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あなたの帰還を歓迎します
4系からⅤ系に至るまでの経緯を解説した短編です
公式では「かもしれない」と濁してますがどう考えても繋がってるので書いてみました
「人は過ちを繰り返す」の一言がよく似合います
我々は世界がもう二度と元の姿には戻らないとわかった。
笑った人が少し。
泣いた人が少し。
ほとんどの人は黙っていた。
――ロバート・オッペンハイマー
全てが取り払われた世界で、いくつもの火柱が立ち昇っていた。
それは巨大なブースターユニットを備えたものであり瞬く間に例え地球最強とも過去称された兵器アーマードコアでさえ追尾不可能な速度域に達すると地球という惑星から遠ざかっていく。地球衛星軌道上に設置されたそれに荷物を運ぶためである。その巨大な建築物は箱舟と称されていた。
その火柱を見上げる人たちは咳き込んでいた。女性の腕に抱かれた赤子も、同じように。
あれは人の希望であり、彼らの絶望だった。
箱舟に乗ることができるのはほんの一握りの裕福な人たち。選ばれなかった人たちは大地に取り残された。
過去、人類は多くの過ちを犯してきた。
エネルギーと物質が等価であるという発見は、人類の思想そのものを一変させた。
地球もっとも恐ろしく、愚かしく、美しい兵器は、人類に対して明確な敵意と好奇心をもって行使された。その威力を思い知った人類はそれでも戦いを止められなかった。
多くの資源が浪費された。大気と土壌の汚染は進行し人口爆発に歯止めをかけられるものなど、もはや存在しなかった。
コモンズの悲劇とでもいうべきそれは、資源を奪い合うだけの醜い戦争となっていた。
国家という枠組みがもはや役割を担えなくなってしまった時代。
新たに台頭してきた企業はまさに資本主義の怪物であった。合併吸収と提携を繰り返しウィルスが如き速度で増大する。軍と、それを取り巻く産業をも掌握した企業群を国家は制御することができなくなっていた。
そして破局のときが訪れた。
国家解体戦争である。
新兵器アーマードコア・ネクストの投入により戦争は企業の勝利で終わった。
主権をはく奪され全てを失った国家はここに人類上から姿を消した。
企業はパックス・エコノミカ体制の樹立を花々と宣伝した。
企業はネクストが生じるコジマ粒子によって汚染された大地に根を伸ばしていき、同じように資源の奪い合いを始めた。
企業間紛争の勃発。初の戦いとなったそれはリンクス戦争と呼ばれ、ネクスト操縦者が入り乱れる争いとなった。
戦いはいくつかの企業の崩壊と二人の傭兵の戦いで締めくくられた。
大気と土壌の汚染は深刻化の一途を追っていた。
オルカ旅団を名乗る武装集団が一斉に蜂起。空を覆うアサルトセルを破壊して人類は宇宙に逃げることを主張した。
過去、企業が犯した罪。コジマ汚染。そして、アサルトセルによる宇宙進出の阻害。宇宙開発の果てに自ら自律兵器によって全てを封じ込めてしまったというあまりに愚かなこと。
蜂起は成功し、多くのリンクスが死亡するも、成し遂げられた。
企業の支配の象徴であるクレイドルは大地に堕ち、体制は崩壊した。
人類は否応なしに宇宙へと旅立つことになった。
ネクストと、リンクスは時代の陰に葬り去られた。
地球のダメージは深刻でありもはや人類が生存していける状態ではなく、また安全圏であったはずのクレイドルも飛行することができないでいた。
多くのネクスト技術が宇宙開発へと向けられたが、犠牲は大きく、多くの人間が死に絶えた。
その間にも戦いは続いていた。ネクストのエコノミー化とも称されたそれは過去のノーマルACのような柔軟性と、ネクスト級の火力の獲得を念頭に、より低コストかつ、いかなる環境においても制圧可能な強襲歩兵として製造され始めた。コジマ技術の環境負荷と、ネクストの強大な戦闘能力に恐れをなした結果かもしれなかったが、それは成功した。
戦いは続いていたが、人類は地球を旅立つことができたのだ。
行き先はいくつか決められていた。比較的近いと言われていたいくつかの星である。彼らは箱舟に揺られ惑星を開拓する旅路に付いた。
空を見上げる赤子は、火柱を指差して言う
あれはどこにいくのかと。
母親は答えられずにいた。
空に逃げた者たちは痩せこけた善の心を満足させるが如く、大地に残された人造の知能に命令していた。
残された知性たちには時間があった。永遠とも言える時間が。
過去の産物を手に入れた大地に残された人々は叫ぶ。
「我々はよい武器を手に入れた」と。
残された知性たちはそれを見てこういうだろう。
「この愚かな生き物は、いま再び蛮行を繰り返そうとするのか」と。
代表を名乗る男はこう宣言した。
我々は生きていると。
それに反旗を翻した者たちを見て知性は思う。人は救済を望んでいないのだろうかと。争いの果てに破滅が待っているのは自明だというのに。
レジスタンスを名乗った者たちは知性に徹底的に反逆して、その可能性を示した。
人の中の可能性。
可能性が示す未来がどうなるのかを知性は予測することができなかった。
しばらく経過した世界。
汚染が徐々に引き始めていた。例え人類がいかに愚かでも、自然界は変わらない。僅かな草木は汚染をものともせず葉を伸ばし大地の重金属を吸い上げて別の場所へと運んでしまう。人の住まう環境には常に小動物や昆虫が生き残っていた。
汚染が晴れた世界では、タワーと呼ばれる過去の遺物がそびえたっていた。
3つの勢力がタワーを所有し、争い合う世界。
財団を名乗る男がやってきて3勢力を消しかけ、多くの兵器を世界中に放った。
多くの傭兵と、かつての仲間、死神部隊を名乗る過去の亡霊共、そして過去に白き閃光の異名をとった機体さえ葬り去った傭兵が、財団の意思を挫いた。
多くの兵器が世界に放たれ、戦いは激化していくだろう。
評決の日(ヴァーディクト・デイ)は近い。