遅くなりました。
日に日に登録者が増える。
チャルさんも最近は有名になってきたし、そろそろコラボをしたい。
もちろん登録者だけでなく、色々な変化もある。
ついに昨日、とある企業からゲームをやってくれないか?という依頼が来た。
所謂FPSと呼ばれるジャンル、私に扱いきれるかよ……。
男だった頃よりも反射神経が格段に衰えたし、こちらの世界では配信者を志すまで一切ネットに触れてこなかった。
前はもう少しゲーム上手かったはずなんだけどなあ。
――いや、マイナスに考えちゃダメだっ。
配信の時、チャルさんはゲーム全般凄く上手かった。
もしコラボするなら、相手の得意なものを一緒にやりたい、できれば楽しんで。
これは練習のチャンスだ。
ついでに、農民達に貼られたゲーム下手のレッテルを書き換えてやるのだ。
「こんにちはー、ノームです。今日はFPSをやります。下手なのは自覚してますし、エイムもひどいので立ち回りだけでも安定させたいんです。バトル・ロワイアル自体初めてなので、優しく教えてくだされると助かります」
『ゲーム下手だけど好き』『ナイトいる?』『ちょっとカクついてるから画質下げとき』『VCつけてみ?たぶん勝てるわ』『新作やんけ!』『初めてなら、優しく教えるよ♡』
さっそくのアドバイス通り一番画質を軽くする。
一気にヌルヌル動くようになった。
うーん、コラボするときに迷惑をかけると悪いし、パソコンも新調するべきなのかもしれないな……。
まずは一人モードのソロで戦おうかな。
飛行機から降下してゲームスタート。
降りて近くの家に入り家を漁って武器を探す。
お、クロスボウを2つ発見。
「二丁……弓?序盤から一撃で倒せる武器、それが2つもあるなんて運がありますね。意外に勝てちゃうかもしれないですよ」
『最強ゾ』『弓が2つ……来るぞ遊馬!』『鎌使え』『来ねえよ』『初心者向けではない』『農民の狩り用具』『素直にやめとき』『ママの拳骨見せて』
……どうやら使いこなせなさそう、というのが評価のよう。
確かに普通の銃の方が連射できて使い勝手が良さそうに思う。
でも一撃必殺のロマンを捨てられないのだ。
音も静かだし、別にこの武器でも戦えるのでは?
遠くに敵影、狙える距離だ。
目標をセンターに入れてスイッチ!
「華麗に一撃で倒すのを見といてくださいね!――ほぇ?弾速が遅いよぉ……」
放った矢はきれいな弧を描いて、相手の後ろに着弾した。
あれ、しっかり狙ったのに……。
「矢の弾速をなめるな」「新井が悪い」「クソザコ偏差」「小イキリ失敗」「はい録音完了」「アホ声」「敵は抜けなくてもワイはヌいたぞ」
慌てて矢を装填して2回目も狙うが、またも走っている相手の後ろに落ちる。
……逃げ切られた。
「それに、ここ戦闘範囲から外れましたね……。ってことは今敵が逃げていった方向に走らないといけないんですか!?ひえぇ」
武器は相変わらずのクロスボウ2つ。
近距離で敵と出会うと咄嗟に適当に弾を撃ってしまう私に、勝ち目はありませんでした……。
「――せっかくなので一戦だけ四人、スクワッドでやりますね。パスワードはいつもの……って埋まるのはやっ!……ん、K.K太郎さん、馬鹿変態最低おじさんさん、チャル……チャルさん!?よろしくお願いしますね!」
『面子が濃くて草』『おじ、有能』『もっと罵れ』『チャルネキきたー!』『実質コラボ』『チャルに関わるな』『チャルに関われ』『お前かキミシマァ!』
私は罵倒したんじゃなくて名前を読み上げただけだ、無罪。
それとチャルさんにさっきまでのプレイを見られていたのか……。
っていうかまだ見てるならっ!
「チャルを知らない人のために紹介すると、この人も女性の配信者なんですよ!ゲームが上手くて、楽しそうにやるんです。……通話繋げられたりしますか?」
『コラボか!』『ノーム以外にもおったんか』『百合営業しろ』『イキッてけ』『女が二人……来るぞ遊馬!』『わいも通話にいれてクレメンス』『チャルに関わるな』
初コラボが突発的と正直不安だが、配信にそれを出さない。
twisterのDMを使って連絡を交換。
電話をかけてみると、少しだけ間があった後に
「ど、ど、も……チャルと申しますう。ノームさんから声をかけて頂き恐縮です……ヴエ、緊張で吐きそう」
緊張しているのか、いつもの配信で聞くときより少し上擦った声。
ホストである私が頑張らないと。
『クソザコモードで草』『ママ?』『マウント取れ』『隠せない汚さ』『ノームの対義語』『ほーん、ええやん』『かわいい……かわいくない?』『まじ女?』
「この人数に緊張しているようですし、ゲームをやっていこうと思います。チャルさんも、いつもみたいな口調で良いですよー。お喋りしましょうね」
「えっうん、じゃない。やるやる!――Foo、1キルぅ!イエァ!……何でもないです」
「ナイスですし、その飾らない口調が良さですよっ。何ならキチゲ?を解放してもらっても全然構わないです!」
あれをやっている時のチャルさんは楽しそうだったし、良いことなんだろう。
コメントもそんなにやめて、と言わなくても良いだろうに……。
ゲームに話を戻すと、メンバー全員が強いのだ。
車や物資が勝手に集めてもらえる、なんという姫プレイ。
もっと友達とやる感覚でやってほしいのに……。
というか高所から索敵してる私よりも見つけるのが早いってどういうことなんだよっ。
私も一人くらい、と狙いを定めて撃つ……ダウンさせた!
「ついにやりましたよ!1キルですけど役に立てましたっ。ほら、最低おじさんさんも褒めてくれてます!」
「ノームちゃんの手を汚させないよう頑張ってたのになぁ……。そんでアタシは6キル目なんだよなあ」
「さすがチャルさんです!私も早く追い付けるように頑張りますね」
「やばいマウントとったのに罪悪感しか残らないの初めてなんだけど」
『イキリ失敗』『効果がねえ!』『なん……だと?』『無敵の返し食らってて草』『カスが効かねえんだよ、カスって言ってごめんね』『謝るなら言うな』
最後の1人をK.Kさんが倒して、なんとチーム1位で終わった。
こちらのチームは一人も死んでおらず、大勝と言っても過言じゃないだろう。
参加してくれた人達に感謝の言葉を忘れない。
ゲームは切り上げて、少しだけチャルさんと雑談をした後に、次のコラボの約束をして解散する。
「初心者の私ですがFPS、楽しく遊べましたよー!では、今日はノームと、突発的なコラボながら通話も快諾してくれた……」
「チャルでお送りしました!……はいはい散った散った!テメーら解散だよ!」
「この締めの言葉をコラボ相手と言うの、夢だったんですよね……。息があってる感じが出て好きなんですっ。」
「――アースキッ、かわいいなあもう!」
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