男女比に差のある世界のTS配信者   作:熊猫パンダ

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コラボラジオ配信

企業の関わる仕事が少しずつ増えてきているように感じる。

先週も『週刊配信王』という雑誌のインタビューを受けたばかりだ。

様々なサイトの人気配信者との対談を記事にしている雑誌らしく、通話でのインタビューだったが貴重な体験をさせてもらった。

何でも、王女という形で特設記事を書くんだとか、恐ろしい……。

 

配信の方では、今日はチャルさんとラジオをする予定。

コーナーで使う手紙を選び終えて、普通のお手紙として質問を採用している途中で、チャルさんに質問を取られてしまったのだ。

――ギリギリの質問を選びたいと言ってたが、何を選ぶ気だろう。

本当に炎上だけは避けてほしいところだ。

 

 

配信時間より20分ほど早く通話を始めて、打ち合わせをして失敗する可能性を事前に減らしておく。

ラグの把握や、チャルさんの緊張を事前に解しておく。

しかし、チャルさんはどこか疲れぎみ、配信も早く切り上げてあげるべきかもしれない。

 

 

「予告していた通り、今日はラジオ形式で行わせていただきますっ。そして今日はノームとチャルさんの二人でやらせていただきます!」

 

「はいはーい、アタシですよー。――始まって早々で悪いんだけど、農民達あんなのノームちゃんに送ってんの?闇深すぎだぞ……」

 

「……?チャルさん何かありましたか?」

 

「質問箱からまともな質問選ぶ方が苦労したわ!もっと無茶振りを選ぶつもりだったのにさっ。匿名だからって何でも送って良いわけねえんだよなあ!ノームちゃんも言わなアカンわっ!」

 

あ、チャルさんは質問箱の仕分けに苦労していたのか……。

奪ったのは自分だから後に引けなくなって頑張ってたんだろう、可愛いな。

 

「貰えるだけで嬉しいですし、あれは皆さんからの質問なので、下ネタのような余程のものじゃない限り、答えなきゃダメですよ」

 

「あのさぁ……。水揚げされたか?って質問が採用箱に入ってる時点でヤべェんだよ……。農民達もノームちゃんに隠語ならセーフ、みたいなのないから諦めろや」

 

『農民の闇』『水揚げって何ですか?』『なんで知ってるの^^』『初っぱなから飛ばしてんな』『危うくカウントダウンの二の舞』『チャルに関わるな』『さすチャル』

 

何の隠語だったんだろうか。

……コメントでもわからない人がいるみたいだし、後で調べてみようかな。

オープニングトークもそこそこに、チャルさんの選んだ質問を返していく。

 

 

「続いては『ふつおた』より、ノームさんの好みの男性はどんな方ですか。女性でも構いません、との質問だァ。やっぱこう、こういうのだよな~」

 

私としてはあんまりピンときません。

そうはっきりそう言う訳にもいかないので、言葉を濁すしかない。

今は正直、どっちも恋愛対象に見れないんだよなあ。

 

「ん、やっぱり話していて楽しい人が一番だと思いますよ。その延長線に恋愛感情があるんじゃないですかね……」

 

「ヒューッ!良いっスね~。聞いたか農民達、話すのがまず第一歩、スタートラインだぞ!」

 

『俺が彼氏ゾ』『二度とノームと口を利くな』『コブラじゃねえか』『声帯復活した』『ノーム、愛してるぞ』『ボイスメッセージ送るわ』『チャルガチ勢です』

 

お、コメント欄にチャルさん推しもいる。

順調に人気になっているようで、私も嬉しくなる。

 

「そういうチャルさんはどうなんですか?」

 

「アタシ、ピアスとか開けてるから男が寄ってこないんだよね。まあ見てるだけで十分だけど。……っコメント!デブでもブスでもねぇっての!キレんぞっ!」

 

『清楚と信じてた』『ノームに関わるな』『口調である程度察するわ』『でもすこ』『ピアス開ける女……ヒェ』『もうキレてるんだよなぁ』

 

この世界にも、ピアスを開けている女性は存在したのか。

テレビに出ている人達は清純派をアピールしている人が多いので、初めて聞いた気がする。

 

 

「えーっと次の質問は農民々蝉さんから、――イェーイ!見ってる~?……はい、感慨深かった配信の瞬間はいつですか、とのことです」

 

チャルさん、急にまともなテンションに戻るのはビックリするからやめてほしい。

恥ずかしいならしなくても良いのに。

 

「現金な話ですけど、前まで貯金をすり減らして生きていたので、投げ銭が解禁された時はちょっとした達成感がありましたね。……チャルさんは?」

 

「アタシィ?別にお金には困ってないしなあ。……ノームちゃんの配信に呼ばれたときかな」

 

『はい百合営業』『ノームを潤せて嬉しい』『ああ^~』『チャルノムは素晴らしいです』『ノムチャルだろjk』『ノーム貧乏だったんか』

 

嬉しい一言だ。

私も一緒に配信できているだけで嬉しくなる。

でもチャルさんが喋りづらそうなので、この話題は打ち切る。

 

 

「次のコーナーは『二人の息合わせ』ですっ!農民達からもらったお題から連想したものを、二人で合わせようという物ですっ。あまりに合わなければ罰ゲームとなります」

 

「罰ゲーム聞いてないんですけどー!」

 

文句は気にしないでスルー。

 

最初のお題は『白い食べ物』というもの。

私の回答は米、対するチャルさんの回答はマシュマロで合わず。

次は『角のある動物』――トナカイとユニコーン。

 

 

「チャルさん意外とメルヘンチックですね……」

 

「べ、別に良いだろうが!トナカイもサンタだしメルヘンチックだと思いますうーー」

 

まずユニコーンって架空の動物なのでは?

……チャルさん絶対可愛いもの好きだ、間違いない。

 

「最後のお題は『怖いもの』です。チャルさん、これは当てましょうね」

 

「おうよー。もう既に頭に浮かんでるから大丈夫大丈夫、皆これ怖いはず」

 

皆が怖いもので、メルヘンチックなもの……間違いない。

これはチャルさんと合うはずだ。

 

「お化け、幽霊っ」

 

「ゴキブリ」

 

全然メルヘンチックちゃうやん。

 

「なんでこんな時だけ現実的なんですかっ!」

 

「いや、お化け怖くねえし。そうかー、ノームちゃんは怖いかー」

 

『おハーブ生える』『お化け怖がるノームちゃん』『かわE』『罰ゲームゥー!』『ゴッキは怖いからしゃーない』『熱中症、ゆっくりよろしく』『本当に怖いのは上司』

 

違うんだ、これじゃまるで私がお化けが怖いみたいになってしまったではないか……。

罰ゲームはコメントにある、熱中症をゆっくり言う、というものに決定した。

 

少しだけ『週刊配信王』の宣伝だけしてラジオを終了した。

最後までお化けの絵文字がコメント欄から消えることはなかった。




配信者王、台本形式の受け答えのものだけどいる?


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