・シャルティア
喧嘩友達その1。顔を合わせる度に煽ってしまうほど。彼女とは同じ吸血鬼という種族であるものの、エリザベートは彼女を見ると自分の末路を思い出してしまうため苦手ではある。しかし本心では彼女と仲良くなりたいと思っている。
・コキュートス
THE・全裸。彼を見ているとここではない自分が金ぴかに光るゴージャス野郎に襲われそうになっていたような気がする。
・アウラ
喧嘩友達その2。自分よりちっこいのに自分のお姉さんみたいなムーブするのが気に食わない。でも、心の中では親友だと思っている。
・マーレ
どこか言葉に刺がある男の娘。男の子が女の子みたいなカッコをするのって何かイケないと思うの!
・デミウルゴス
みんな大好きデミえもん。見た目に反して紳士なので接しやすい。いつかは自分のプロデューサーになって欲しいと思っている。
・セバス
自分の配下。彼の働きはまさに痒いところに手が届くもので、彼に対する信頼はとても高い。でもたまに頑固なところがあるので、そこが目下の悩みどころだ。
・パンドラ
カッコいいーーーーーーーーーーー!!!
・アルベド
彼女の抱える心の闇を感じ取っており、正直近づきたくない。でもモモンガへの猛烈なアタックには学ぶところがあると思っている。
「――草原だと?」
「はい。ナザリックの外壁から外は沼地ではなく、草原となっておりました」
「そうか。ではその草原以外になにか特徴のある建築物などはなかったか?」
「いえ、残念ながら何もございませんでした。丘のようなものも見あたらず、あるのはただただ広い平坦な草原地帯のみであります」
「なるほど…分かった。ご苦労だったな、セバス」
セバスがナザリックの外を確認したことで分かった点がいくつかある。
ひとつは、今我々がいるこの場所は元の世界とは違う「異世界」であることだ。
本来ナザリック地下大墳墓の外壁から外は毒の沼地が広がっていた。
しかし、あるはずの沼地がなく、代わりに草原が広がっているということは、何らかの要因でナザリックごと別の世界に転移してしまったということになる。
そしてもうひとつは、転移した場所が小高い丘も何もない草原だということである。
誰が何の目的でナザリックを転移させたのかは知らないが、このままでは何者かによる襲撃が予想されるのは想像に難くない。そこで、早急にナザリックを隠蔽する作業が必要だった。
「ナザリックを隠蔽する方法ですが、先んじてアルベド様とデミウルゴス様に考えていただきました。それではデミウルゴス様、後はよろしくお願いします」
「ありがとうセバス。それでは、ナザリックを隠蔽する手段でありますが、マーレの魔法を用いた方法を提案致します」
「うむ。それはどのようなものか教えよ」
「はい。マーレの魔法でナザリックの外壁に土を盛り、小高い丘のようなものに偽装します。それに伴いまして、ナザリック周辺に少し大きめの丘を作り出してナザリックの丘が不自然ではないように致します。」
「本当であれば私は反対です。栄光あるナザリックを土で汚すなど…」
「それは私も同じ事を思っていたが、アルベド。君はこれ以上最適な策があるのかね?」
「うぐ…」
「とまぁ、そういうわけで守護者統括にも許可はいただいております」
許可というよりは論破のような感じである。
だがデミウルゴスの提案した方法は最も理にかなっていると思われる。
アルベドが黙ってしまったことがその証左だ。
「ふむ、理解した。ではマーレ、お前に訪ねるが、先にデミウルゴスが説明した作業を行うことは可能か?」
「はっはい!」
「どの程度の時間で作業を終えられる?」
「えぇっと…今から作業させていただければ夜明けまでには終わらせられます!」
「よし。マーレはすぐにその作業を行ってくれ」
「わ、分かりました!」
「では空から丸見えのナザリックに関しては、私が魔法で認識阻害魔法をかけておくとしよう。それでよいな、アルベド」
「了解致しました。それでは早急に作業に取りかからせていただきます」
情報の共有と今後の方針については話し終わった。
だが、まだ確認しなければならないことがある。
それは――
「最後に汝らに聞きたいことがある。お前たちにとって、『私とばらきーさんはどのような存在』だ?」
――守護者たちが自分たちのことをどう思っているかだ。
彼らの高い忠誠心は素晴らしいものだった。
しかし、守護者個人はどのような思いを持っているかは分からない。
だから、ここで彼らがどう思っているかを知っておかなくてはならないのだ。
「ではシャルティアから述べよ」
「はい。モモンガ様はまさに美の結晶であり、私が心から尽くさせていただくに相応しいお方でありんす!」
「うむ」
「そしてばらきー様は、我ら異形種の頂点に君臨するお方であり、我々女性階層守護者の憧れのお方でありんす!」
「分かった。ではコキュートス、次は汝が述べよ」
「モモンガ様ハ我々ガ忠節ヲ尽クスベキオ方デアリ、最後マデコノ地ニオ残リイタダイタ慈悲深キオ方デアリマス。ばらきー様ハ我々ヲ遙ニ超エル強大サニヨリ、常日頃カラ我ラヲ指導シ、オ導キイタダイテイル、マサニ我ラガ『母』ノ様ナ存在ト感ジテオリマス」
「よし、ではアウラとマーレ」
「モモンガ様は私たちのために心を砕いて行動いただいている、思慮深きお方だと思います。そしてばらきー様は、とても厳しくて恐ろしいお方ではありますが、厳しさの中に母親のような暖かさを感じる、そんなお方だと思っています」
「も、モモンガ様はとても優しくて素敵な方だと思います。ばらきー様は…なんというか、お母さんみたいなお方だと思います」
「お、お母さんとな?何だかむず痒いが…まぁよい。ではデミウルゴス」
「はっ。モモンガ様は賢明な判断力と瞬時に決断できる頭脳を有される、ナザリックの支配者に相応しきお方であります。また、ばらきー様はこの世の絶対的強者としての風格をお持ちであり、また瞬間的に状況を理解し、適切な判断で我々をお導き頂いてあらせられます、まさにこのナザリックの地母神というべきお方かと」
「セバス、お前も答えよ」
「お二方とも、この地に最後までお残りになっていただきました、慈悲深きお方でございます」
「パンドラはどう思っている?」
「はっ!モモンガ様は私をお作りになられました偉大なるお方であります!あなた様のご命令であれば、例え火の中水の中!でございます。ばらきー様はそんなモモンガ様と共に歩まれ、このナザリックを築き上げられました!そして名だたるアイテムを根こそぎ奪い尽くすそのお姿こそ!荒ぶる鬼のあるべき姿ではないでしょうか!!」
「もういい、ちょっと黙れパンドラ」
「アァン!ヒドゥイ!!」
「アルベド、お前の考えを聞かせてくれ」
「はっ。モモンガ様におかれましては、ナザリック地下大墳墓を最後までお離れになることなく、私たちと共にあられました慈悲深きお方であり、そして私の愛しいお方であります!!」
「アァァン!?」
「ハァァン!?」
シャルティアとアルベドがオンナノコガ出してはいけない声を出しながら酷い形相でお互いを睨み付けだした。
やれやれ、静かになったと思ったらすぐこれである。
周りの守護者たちも「やれやれ」とでも言いたげな表情をしている。
これ以上喧しくされると先に進まないので、釘を刺すことにした。
「喧しいぞ。騒ぐのであれば全て終わった後にせよ」
「「も、申し訳ありません!!」」
そういうとすぐに喧嘩をやめた。そうそうそれでいいんだ。
さて、最後は問題のエリザベートだが…
「エリザベート。お前はどうだ」
「はい。モモンガ様、ばらきー様におかれましては、このナザリック地下大墳墓に最後までお残りいただきました慈悲深きお方であります。」
…ん?
「そして、今なお我々の目の前に君臨していただき、低俗なる我らを導いてくださっておられます。まさに、偉大であり、至高であり、この世の全てをその手に掌握されるであろう存在であると思っております」
…んん??
おかしい。何かおかしい。
あのエリザベートが丁寧な言葉遣いで話している…だと…!?
隣を見やると、モモンガが口をあんぐりさせていた。
よく見ると、他の守護者たちも唖然としていた。あのアルベドでさえも唖然としている。
いや、コキュートスとパンドラはよく分からんが、とにかく驚いていることだけは分かる。
それだけ普段の彼女から丁寧な言葉遣いが飛び出すとは考えられなかったのだ。
「…ちょっと!なんでみんなそんなに驚いてるのよー!?ちゃんと執政者に相応しい言葉遣いでしょうがー!」
「いやぁ…エリザってそんな言葉遣いで喋るイメージとか全くなかったから…」
「全くでありんす」
「ちょっと信じられないよね…」
「日頃ノ行イガ悪イセイダナ」
「エリザには悪いが、私も君がそんな丁寧な言葉を使えるなんて思ってもみなかったよ」
「まさか、かの鮮血魔嬢が丁寧な言葉で話すことができるとは…!流石は我が相棒でございます!!」
「まさかこんなおぼこ娘があのような守護者らしい姿を見せるなんて…!」
「何でよー!?ちょっと酷すぎるんじゃない!?」
「いや、すまぬが吾もちょっと引いたぞ」
「ばらきーまで!?友達なら擁護してくれたっていいでしょー!?」
ちょっと信じられないが、彼女の執政者としての姿を見ることができる貴重な場面を見ることができただけでも良しとしよう。
「とにかく、汝らの考えを聞かせてもらった。今後ともその忠義に恥じぬ働きを示して欲しい。行くぞモモンガ」
「分かりました。では皆、これからも忠義に励め。以上だ」
そう言ってばらきーとモモンガはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンによる力で転移し、闘技場には階層守護者だけが残された。
――――ナザリック地下大墳墓内のどこか
転移した先で二人は大きく溜め息をついた。
それもそうである。まさかあれほどまでに好評価だとは考えてもみなかったのだ。
「おい、モモンガ…」
「皆まで言わないでください、ばらきーさん…俺も同じことを思ってました…」
「「あいつら…マジだ」」
こうして各階層守護者との情報共有と各々の思いや考えを知る話し合いの場は納められた。
――だが、二人はある致命的な見落としをしていた。
そう、ナザリックを崩壊させるに至る重大な案件を――
「それにしてもエリザベートがあのような言葉遣いをするとは思いませんでしたね~」
「全くだ。いつも口を開けばライヴだのアイドル活動だの、それしか頭にないのかと問い詰めたくなる程であるからな」
「そうですねぇ…ん?ライヴ…?アイドル活動…?」
「どうしたモモンガ?」
「いえ、何かとんでもなく大変なことを忘れているような気が…」
闘技場の各階層守護者たちに悲劇が訪れるまで、あと5分――――