Fate/stay night 異聞 ~観察者白狐~ 作:Prometheus.jp
拙作の投稿開始からあっという間に二年が経ち、お気に入り登録がついに100件を超えました。
改めて拙作を読んでくださる皆様にはお礼申し上げます。
さて、今回は今までにない書き方(と言うかネタ)をふんだんに盛り込んでみました。
今回も拙作にお付き合いいただけましたら幸いです。
これで一気にお気に入り数減ったりしないよね………(;´・ω・)(←割とお気に入り数とか評価を気にしているヤツ)
#053 interlude~友誼~
————AYA、君は暖かいんだね。遠い日の、優しくて穏やかな
アーサー王⁉
————この戦い、宝を求め、英雄同士が覇を競い合うものではあったが、どうやらオレは、至高の宝を既に手にしていたらしい。AYAよ、我が姫よ。どうか誓って欲しい。我が妃となる事を————
ギルガメッシュ王まで⁉
おおぉ……………ダブル告白と来たか…………。
フラグ立てすぎて、好感度の調整をしくじったか…………?
うーん…………どちらの告白を受けるべきか?
アーサー王はメインキャラだから比較的攻略し易いけど、まだ全部のイベントを回収してないんだよなぁ…………。
だけどギルガメッシュ王は攻略難易度MAXな上、攻略が隠しキャラ登場のフラグになってるし…………。
「ふむ。どちらを選ぶか決めかねているようだが、どちらかしか選べないのかね?」
「まあ、“逆ハーレムエンド”ってのもあるけど、他のキャラの好感度も上げとかなきゃだから、今は二者択一だなぁ」
「では
「成程、そういう考え方も…………って、うぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
「すっかり元気そうなのは良い事だが、病室では静かにしたまえ」
絶叫する私を、同じA組の
なんで
そして、氷室がいるって事はつまり…………
「じゃーんっ!まさかの時にスペイン宗教裁判!」
なんでモンティ・パイソンなんだよ。しかも赤い服着てるし。
「我らの武器は突然の登場、溢れる叡智、豊かな知性。だ!」
だから、なんでモンティ・パイソンなんだよ。
それに叡智と知性ってほぼ同じだから、実質二つじゃねえか。
「テストの点数が体育と歴史以外
「何おぅ⁉この眉毛ゴリラめ!」
「誰が眉毛ゴリラだコラァッ!」
この喧しいのが、同じA組で陸上部の
「ちょっと蒔ちゃん!綾子ちゃんも落ち着いて!」
無礼千万極まりない蒔寺と、それに鉄拳制裁を加える私の間に割って入って来たのは、これまた同じくA組で陸上部の
氷室や蒔寺とは一年の時から同じクラスで、同じく陸上部であると言う共通点以外、どうしてこいつらとつるんでいるのか分からないぐらい良識的な奴で、見方を変えれば“氷室と蒔寺のストッパー役”と言う立ち位置を確立しているとも言える。
「それはさて置き、来た本題に入らねばな」
私と蒔寺の取っ組み合いなど日常茶飯事と言わんばかりに、氷室が話題を変えつつ小ぶりのボストンバッグを開く。
近所の誼と言う事で、追加の着替えを母さんから預かって来てくれたのだ。
「そして、今朝汝の家に届いたと言う“アマゾネス・ドットコム”からの通販品だ」
「おお、サンキュ………………はぅぁっ!」
手渡された小さな段ボール箱を見た瞬間、私は凍り付いた。
何と……その段ボール箱は開封済みだったのだ!
「これ………中身…………」
「ああ。ちゃんと中身を確認しないと持って来られないからな」
その中身と言うのが、今日発売の恋愛シミュレーションゲーム“和歌のプリンス殿!~げにLOVE1000%~”なのだ。しかも初回限定版アマゾネス・ドットコム特典付き!
「勿論礼儀として、汝の母君立ち合いの元で開けたぞ?」
恥ずかしさのあまり頭を抱え、そして叫んだ。
私の密かな趣味はゲーム。取り分け、最近では恋愛シミュレーションに夢中なのだが、名にし負う“穂群原の女傑”と呼ばれるこの私のイメージとそぐわないのでひた隠しにしてきた。
しかし、それが今白日の下に晒されてしまった!しかも口が軽い蒔寺の前で!
私のイメージが根底から覆ると言うこの事態、苦悶の雄叫びを上げずにいられようか!いや、無い!!
「いやぁ、びっくりした?びっくりしたよね⁉コレはたまたま目に入って、たまたま買っただけの———」
「まだバレてないと思ってた事にビックリだわ………」
諸君らが愛してくれた美綴綾子は死んだ!何故だ⁉
「まぁ落ち着けみつづりん。別にんな事でどうこう言わねえよ。今時珍しくもねぇだろ?BL趣味なん———」
わが拳は疾風!あまりの迅さ故に、未だかつて誰も拳の影すら見たものはおらぬ!!
「乙女ゲー好きと腐女子は違う!“男同士”ではなく、自己投影としての“女主人公”の存在!!つまり男性向け美少女ゲーの対となる“逆ハー”で!って、何を力説してるんだ私は!!!!」
あぁ、どうして私はこんなにも恥辱に塗れてしまったのだ………!
くっ!私の身体は自由に出来ても、心までは自由に出来ると思うなよ!さぁ!殺すなら殺せ!!
「やれやれ。何やら騒がしいと思ったら、貴様らが来ていたのか」
おっと、話の途中だがワイバーン、じゃなくて生徒会長だ。
穂群原学園の生徒会長
「きゃーっ!生徒会長ったら、女の子の部屋に入って来るなんて!んもぅエッチなんだから!」
「ははは、それはすまなかったな。ところで、日本にもアメリカばりの銃制度が出来ると良いな」
蒔寺も蒔寺だけど、会長も会長でさらっとエグイ事言ったわ…………。
しかし、蒔寺にはてきめんに効いたようで、顔を青くして震えている訳だけど、こいつは喋らなければそれなりに見栄えのするヤツなんだがねぇ………。
「馬鹿、撃つ奴があるか!拳銃は最後の武器だ。我々は忍者部隊だ!!」
「……………誰だ。お前?」
「弾丸の中も何のその!!」
蒔寺の心無い一言に吐血したのは、会長と同じクラスの
「後藤氏にしては髪が黒っぽ過ぎるが、
おおっと、冷静沈着が眼鏡をかけているような氷室が、妙な喰いつき方をし始めたぞ。
「あ、いや、今夢中の時代劇に合わせているのでござるよ」
しかし、氷室の期待通りの展開ではなかった事で、目に見えてテンションが下がり、後藤はまたも吐血する。何と言うかいつもの展開だな。
後藤は映画とかドラマの影響を受けやすい奴で、ウチの道場に入門した理由も「映画を観て格闘技をしたくなった」って言っていたけど、それは主人公が中国拳法を使う映画だった。ちなみに、使ってみたい技はキックボクシングで、憧れる格闘家は日本拳法をベースにしている格闘家だった。空手関係ねぇじゃん!!
「兎に角、あまり騒ぎ過ぎると学園に苦情が入るやもしれん。そうでなくても、朝比奈先生にはそう言った不心得者の乱行は筒抜けと思っておくことだ」
確かにいつもの調子で騒ぎ過ぎた、と冷静になってみると私自身も反省するところはある。しかし…………
「会長の言う事は分かるけど、なんで朝比奈先生に特に筒抜けになんのさ?」
「あぁ、瑛ちゃん先生が自分で言ってないなら、みつづりんが知らないのも当然かぁ………」
「うむ。私も知ったのはつい先日の事だったからな」
私以外の全員が意外な顔をするけど、これって知ってなくちゃいけない事だったか?
別に朝比奈先生は、生徒指導とかやってたわけじゃなかった筈だし…………。
「朝比奈先生の御実家は、この病院も含めた旭奈会の理事長を代々務めてる家でな、ここの院長先生とも親戚との事で、騒がしい生徒がいたら、全て朝比奈先生のお耳に入るらしい」
「瑛ちゃん先生の弟さんもこの病院で働いてるって聞いて、この前それらしい名札付けた先生見かけたけど、めっちゃ瑛ちゃん先生に似てたわ」
マジですか………。
朝比奈先生はなかなかのイケメンでしかも独身だ。そこへ大病院の御曹司で、将来の理事長とか………ナニコレ、どこかの乙女ゲーの攻略対象に在りそうなキャラ設定じゃん!
それでも歳を取り過ぎているって?いやいや、あの若々しい見た目でアラフォー世代と言われたら初対面の人間の大半は驚くだろう。事実、私も例に漏れなかった。むしろ“イケおじ枠”としては若い部類にあるけど、攻略対象としてはアリっちゃぁアリだ。
なんでこいつらがそんな事知っているのか?と一瞬疑問に思ったけど、よくよく考えたら会長は古刹の跡取り息子、蒔寺は老舗の呉服屋の一人娘、氷室に至っては市長の一人娘だ。地域の政財界なんていう“大人の世界”を通して知っていたとしてもおかしくはない。そんな連中とよくつるんでる三枝も、話にだけは聞いているのだろう。
「え…………?朝比奈先生って、そんな名家の御子息だったのでござるか………?」
おぉっと、ここにも初めて聞いたって奴がいたぞ。まぁ、会長と後藤はそこそこ親しい間柄だろうけど、会長自身が人の家の事情をペラペラと喋るような奴じゃないから、後藤が知らないのも無理はないか。
「そういう訳だから、
「部屋のスミでガタガタ震えて命ごいをする心の準備はOK⁉」
「言った傍から喧しい」
ほら言わんこっちゃない。ものの見事にアームロックを極められてるじゃんか…………。
「時に“寺の子”よ。汝、
さっきから会長の左腕に巻かれた包帯が気になっていたんだけど、朝比奈先生の事と蒔寺がここぞとばかりに暴走するもんだからなかなか聞き出せなかったんだよな。
「ああ、昨夜不覚にも転んで擦りむいてしまってな。大仰な処置と言えなくもないが、まあ大事を取ってくださったのだろう」
会長にしては珍しい事もあったモノだと思ったけど、先日のガス漏れ事故の後遺症めいたものがあるのかもしれない。かく言う私も、全身の倦怠感が未だ抜けきっていない状態だ。なにしろ下された診断結果が“極度の体力低下”だったのだから、会長も似たようなモノだと思うし、きっと思った以上に体力を消耗していて、踏ん張りが利かなかったのだろう。
そろそろ診察の時間だと言う会長は改めて、しかしやんわりとあまり騒がないようにと釘を刺し、私たちがいる病室から後藤と共に出ていった。
「……………生徒会長と一緒にいたの………誰だっけ…………?」
「唐突にどうした由紀っち⁉」
「紛う事無くC組の後藤氏だったろう?」
「え?あれ………?」
三枝は天然と言う訳でなく、むしろ
哀れなるかな後藤。この場に居たら致命傷の一撃を喰らっていたな………。
「にしても不思議だよなぁ。アタシらみたいに検査だけで済んだ奴もいれば、みつづりんや生徒会長みたいに入院する奴もいるんだから、その違いが判んねぇよなぁ」
会長たちの背中を見送った蒔寺の疑問は、ここにいる全員が共通して持っているところだろう。
事実、体力低下が原因と言うなら、氷室や蒔寺はともかく、クラスの中では体力が一番無い三枝だって入院していてもおかしくない筈なのに、彼女は見た通りピンピンしている。
同じ学園の敷地内にいたのに、何故こうも差が出たのか?私たちは考察と雑談を交えて議論するも、現時点では当て推量にしかならず、ここ最近の疑問の解消を求める為、氷室の提案でこの後、市立図書館に行くことになったようだ。
それに不思議と思う点はもう一つある。
学園でのガス漏れ事故の発生以降も、冬木市内全域で同様のガス漏れ事故が発生しているらしく、中には意識不明の被害者だっているという話も聞く。
いくらこの病院が大規模な病院だからと言っても、その病床には当然限りがあり、私たちのような軽症患者は、早々に通院治療に切り替えて重症患者を受け入れる余裕を作っておくべきなのに、そうした動きが見られない。
と言うか、病棟で見かけるのは同じ穂群原学園の生徒や教員ばかりで、他の患者は見かけないのだ。
「それって、朝比奈先生が学園の教師をしている事と関係が………って、そんな事あるわけないよね。あははは…………」
自分でも突拍子も無い事を言ってしまったと照れ笑いする三枝だけど、何故か私には妙に納得できる説でもあった。
だって、街の異変の裏で暗躍する謎のイケメン教師とか、なんかアツい展開じゃん!
「ふむ。朝比奈先生の御立場であれば、学園の被害者を一か所に集める事も不可能ではないかもしれないが、こうは考えられないか?」
そう前置きし、氷室は淡々と語り始めた。
この病院を運営する旭奈会は国内屈指の医療法人である事からも、方々に秘密工作を行う事の出来るコネクションを持っていたとしても何ら不思議ではない。
しかも朝比奈先生はそのトップの跡取り息子だ。将来は定まっているにも拘らず、何故今学園の教師と言う立場に在るのか?実は“学園の教師”と言うのは仮の姿で、本来の立場はまた別にあると考えるのが妥当だろう。
しかし一方で、朝比奈先生は生徒思いで教育熱心な人柄である事は、私たち全員が知るところである。学園関係者を一か所に集めるのは、何某かの陰謀の魔手から、私たち生徒を護る為、状況を利用した厚意の発露なのではないか。
そう氷室は言うのだけど、何の根拠もない妄想に過ぎないだろう。
事実、氷室自身もそれは妄想であると断じている。
「だが、昨今の異変や何某かの陰謀に加担している等との風説を流されるより、こんな夢のある妄想が流れていた方が、朝比奈先生へのダメージも少なくて済むのではないか?むしろこれが事実に近しいのであれば、その真意はどうあれ、先生の御厚意に僅かでも報いる事が出来るかもしれん」
氷室の仮説に“アツい展開”等と考えていた自分が恥ずかしくなってきた。
それと同時に、そう言う事をさらっと言える
「む?思わず長居をしてしまったな」
「あ、いつの間にこんな時間に………。ごめんね綾子ちゃん」
「いやいや良いって事よ。それよりも、今日は来てくれてありがとな」
「んじゃ、そろそろ行くか………って、いけね、見舞いの品を渡し忘れるところだったわ」
うん、
蒔寺から手渡されたそれは本のようで、しかも二冊ほど。蒔寺曰く「ゲームだけじゃアレだから、別の暇潰しアイテム」をと言う事だ。
「アタシはこういうの詳しくないから、店の人の娘さんが“コレが良い”っておススメしてくれたんだ」
「おぉ、サンキューな」
その後、三人は軽く挨拶をして病室から退室していった。
最近市内で頻発する事件や事故。それでも私はどこか他人事のように捉えていた。自分がその当事者となるまでは。
学園でのガス漏れ事故発生当初、弓道部員の大半が倒れてしまったのは、部長としての私の指導が至らなかったのでは?と思い悩み、柄にもなく気持ちが暗く沈みこんでいて、世界もなんだか灰色に塗り潰されていくかのような錯覚さえ覚えた。
だけど……………。
氷室、蒔寺、三枝………。
何を言うでもなく、ただ笑わせてくれる私の友人たち。
そんなお前たちの存在は、灰色の世界を掃う一筋の光を、地の底から湧き出る元気を与えてくれる。
「…………お前らとは、長い付き合いになれればいいな…………」
心の底から自然と湧き出た言葉は、きっと私が本当に望む願いなのかもしれない。
良い友人を持つ事が出来るのは、それだけでも“奇跡”と呼べる事なのだろう。
そんな友人たちに感謝しつつ、見舞いの品である本を読もうと袋から取り出した。
そのタイトルは……………
————ミル貝とボク 水管Hard Splash!!!————
————石油王子の油田“開発”~そんなに掘削されたら、ボクの油田が溢れちゃうっー!~————
って、BL小説じゃねえかっっ!!!!!!!
元ネタは50年以上前のモノだったり2004年以降のモノだったりするけど、後悔はしていない(キリッ
拙作はシリアス傾向(当社比)だったので、箸休め的な話をたまにはいいかと思い、こうなっちゃいました('-'*
さて皆様におかれましては、サマーキャンプの進捗はいかがでしょうか?
弊カルデアでは、キャストリアを「労働基準法?何それ?美味しいの?」と言わんばかりにこき使っております。
イベ限定鯖も全騎お迎えした事ですし、育成に勤しもうかと思ったのですが、種火が足りませぬ(;'∀')
つか、巴御前は推しの一騎なので宝具マ目指そうかなぁ………。
さて、次回は……
・お宅訪問
・ふわっふわやぞ!
・お説教タイムの始まりだ
・徘徊爺さん
以上の予定です。