Fate/stay night 異聞 ~観察者白狐~ 作:Prometheus.jp
拙作も投稿を始めて、早三年を迎えます。
こんなに長くなるとは私自身も思っていなかったのですが、お付き合いくださる皆様には感謝しかありません。
さて、今回はかなり短いのですがお楽しみいただけたらと思います。
それでは、今回も拙作にお付き合いいただけましたら幸いです。
ぼんやりと、意識は何度目かの覚醒を迎えた。
一体自分はどれだけ眠っていたのだろうか?
ほんの数分のようであり、何日も眠っていたようでもあり、時間の感覚が完全にマヒしてしまっていて、今日は何日なのかも分からない。
もしかしたらどこかのSF映画みたいに、目覚めたら何年後かの未来で、世界は大きく変わっていた。なんて事だってあるかもしれない。
そんな在りもしない淡い期待を胸にカーテンを開けようと思ったけど、意思に反して体はピクリとも動こうとはしなかった。
眠り過ぎて体中の筋肉が萎縮してしまったのかと思ったけど、そうじゃない事は直ぐに判った。
皮膚も、筋肉も、血管も、骨も、神経も、それら全てを支える
とても大きなモノを吞み込んだのに、それでも足りない。
とても大きなモノを呑み込んだのに、器の底に空いた孔はもっと大きくなって、溜まるどころか、僅かにこびり付いた残り滓でさえも流れ出ているかのようだった。
足りない。足りない。苦しい。足りない。お腹空いた。足りない。苦しい。なんで?足りない。足りない。止めて。足りない。出てこないで。足りない。どうして?足りない。足りない。私だけが。足りない。足りない。苦しい。足りない。足りない。お腹空いた。足りない。足りない。足りない。食べちゃいたい。足りない。もっと。足りない。足りない。足りない。足りない。足りない。ダメ。足りない。足りない。足りない。足りない。足りない。足りない。足りない。
ああ………………
あれっぽっちじゃ、全然足りない………………
もう、片っ端から食べちゃえばいいんだ……………
ダメ……………!
なんで?
そんな事………………!
良いじゃない。お腹が空いたんだから。
でも……………!
なんでそんなに我慢するの?
だって……………
自分に力が無いと思い込んでいたから、自分が奪われるのは仕方が無いと思い込んでいたじゃない。
違う…………!
ええ、でも今は違う。
え……………?
誰もが私より弱い。
そんな…………
欲しいモノは力づくで手に入れればいい。
そうじゃなくて……………
私から奪おうとする人たちだって、食べちゃえばいい。例えば、
……………!
何も我慢する必要なんて無いのよ。
私には、私が思うままに出来る力がある。
周りの人たちが私にそうしてきたのだから、周りの人たちが私にそうされたって、誰も文句を言える訳が無い。
惨めな蟻さんを指先でプチプチ潰すように、甘いキャンディを口いっぱいに頬張るように、思うままにすればいいだけ。
………………………
………そんなに彼の前では良い子でいたいの?
……………!
今更清純ぶったって、いずれ分かる事じゃない。
………やめて………
それを知られたくないのなら、どうやって彼を繋ぎとめるつもりなの?
彼が求めてきても、拒絶するつもりだったの?
………やめて………
あんなクズには、発情したメス犬みたいに腰を振って悦ばせていたくせに。
………やめて………!
それとも、彼を閉じ込めて、動けないようにして、自分一人じゃ何も出来ないお人形さんのようにしたかったの?随分と倒錯した良い趣味ね。
やめてっ!!!
「こんばんは。
カーテンの隙間から差し込む薄い月明りが、いつの間にか傍に立っていた白い女の子の銀色の髪を輝かせていた。
その姿はまるで、こんなにも汚れきった私を赦し、どこかへと連れて行ってくれる天使のようにも見えたけど、私の記憶が、
「
………分からない。
自分が目の前の女の子と同じ容れ物だと言う事はお爺様から聞いている。
だけど、こんなにも早く体が言う事を聞かなくなるなんて……………。
「貴女、このままだとあと数日で
………解っている。
日に日にそれは
違う。
「もっとも、食い潰されなくても貴方は死ぬわ。絶対に、助からない」
どうあれ
衝撃は無い。
漠然と“きっとそうなるのだろう”と感じていたから。
それが改めて現実のモノだと突きつけられただけ。
「
その銀色の髪を一本引き抜いた白い少女が呪文を唱えると、それはまるで蛇のように動き出して私の頸部に巻き付いた。
「どうする?貴女が望むなら、このまま頸を千切って殺してあげるけど?」
天使のような顔で、死神に突きつけられるよりも恐ろしいと思える死の宣告は、しかし甘美な誘惑にさえ思えた。
このまま死ねれば、彼に私の本当の姿を見られなくて済む。
上辺だけでも、良い後輩のまま、彼の
あぁ、それはなんて魅力的な提案なのだろうか…………。
…………………本当にそれでいいの?
私が死んだら、きっと彼は悲しむだろう。
だけどそれはやがて癒され、別の誰かが彼の傍らに立って、私の事なんていずれ思い出さなくなるかもしれない。
それじゃあ、無駄死にだ。
………………やだ、そんなの、嫌だ……………!
だって…………
だって……………
私は何も悪くない……………!
私だってこんな結果は望んでいなかった。
誰も助けてくれなかったからこうなってしまったんだ。
気味の悪い蟲が全身を這い上がってきた時のように、私の
………私は消えてなんてやらない。
………私は殺されてなんてやらない…………!
「…………ふぅん。そんなになっても、まだ生きたいのね」
不意に頸に巻き付いていた感触が失われていく。
私を見下ろす彼女の眼は、蔑むでも無く、かと言って哀れむでも無く、唯々超然としていた。
「いいわ。どれだけ生き汚いと罵られても、精々生き足掻きなさい」
器は二つも要らない。
いくら殺されてやるつもりが無かったとしても、私をこの場で殺す事だって出来た筈だ。
なのに、どうして……………?
————俯いていても、悲しい事しか転がっていないわよ————
踵を返し、立ち去ろうとした彼女がポツリと呟いた一言は、何故か明瞭に私の耳に届いた。
そしてそれは、ずっと以前に夕暮れの街を見下ろす展望台で、あの人の言った言葉と全く同じで、彼女の呟きもあの人の受け売りなのかとさえ思った。
綺麗で、優しくて、それでいて颯爽としていて、同性の私でさえ憧れてしまうあの人の背中を、あの人の横顔を思い浮かべると、何故か意識はゆっくりと、暗く穏やかな海へと沈んでいった。
六周年キャンペーンも終わり、夏イベは九月と明言していたので、その間の二週間ばかりは何か復刻イベでも来るのか?
それとも、ここのところガチャラッシュだったので、幕間やDLキャンペーンで一休み入れるのか?
拙作は出来上がったら予約投稿しているので、もしかしたら、この最新話が投稿される前に何らかのアナウンスがあるかもしれませんね('-'*
さて、次回は……
・図書館では、うわっ何をする!くぁwせdrftgyふじこlp
・バイバイ
・ふわっふわやぞ!
以上の予定です。