Fate/stay night 異聞 ~観察者白狐~ 作:Prometheus.jp
前回程では無いにしろ、そこそこお待たせいたしました。
さて、今回はオリジナル展開のお話となります。
それでは、今回も拙作にお付き合いいただけましたら幸いです。
長い夜の帳が上がり、街は茜から乳白色へと色付き、徐々に元の色彩を取り戻しつつある。
非日常の気配に満たされた時間は、やがて日常の気配を取り戻し、何事も無かったかのように穏やかな時間が当たり前のように訪れるだろう。
一部の非日常に生きる者たち以外には。
昨夜遅く、俺たちは間桐臓硯の一派に居城を襲撃されたイリヤちゃんたちを救出し、冬木に於ける朝比奈一門の拠点とも言うべき、ここ冬木
幸い彼女は無傷で済んだのだが、従者である二人のホムンクルスは、しかしその場の応急処置で済む程度の軽傷を負ったセラは兎も角、リーゼリットに至っては右腕切断と左眼の切傷に加え、複数個所の刺傷による失血で意識不明の重体であり、朝を迎えても尚、彼女は手術室から出る事が叶わなかった。
昨夜の戦闘によってバーサーカーを喪ったイリヤちゃんには栞が、リーゼリットの手術には
当のサーシャはと言うと、情報屋から仕入れた紙の束を俺に押し付けると、早々に自身の居室に引き籠った。
曰く「夜更かしは美肌の大敵」なのだそうだが、実際の話、実年齢は俺よりも一回り近く上なのに、肌年齢は二十代前半、ともすれば十代後半と言うから驚きを禁じえない。密かに
さて、今手を付け始めた情報とは、現在冬木市内とその周辺に滞在している魔術師のリストだ。
過去の聖杯戦争の記録を紐解くに、マスターとして選ばれた者以外で市内に在住する魔術師は、聖杯戦争が行われている間は市外に退避するか、自身の工房に守りを固めて引き籠っていたそうだ。
外部の魔術師は言わずもがな、ごく少数の命知らずを除けば、冬木はおろか、日本国内、或いは東アジア地域そのものから遠ざかっていたと言う。
尚、そのごく少数の命知らずがどういう命運に至ったかは語るまでもない。聖杯戦争とは、死神と
しかし、今回の聖杯戦争は異常だ。
マスターに選ばれなかった魔術師が多く集まり、しかも、
こうなると、畢竟正規のマスターたちに飛び火するのも時間の問題なのは言うまでもない。
今まで集めた情報や状況証拠から、今回の聖杯戦争の監督役である言峰綺礼がその黒幕ではないかと睨んでいるのだが、困った事に現実はどうもそう単純では無いようで、
確たる証拠は未だ無いが、言峰が欺瞞情報を流布した事自体は疑うべくも無い。それによって
だが、事前情報の限りではCIAと言峰に何の繋がりも無い。無論こちらが知らない繋がりがある可能性は否定出来ないのだが、道家が情報を横流ししたなどとは考えられない。聖杯を奪い合うライバルは少ない方が良いに決まっている。
そうなると、言峰が何らかの形でCIAに情報を流し、連中も聖杯の奪取に動いたと見て良いのか?
それとも…………………
「あぁー!さっぱりしたぁっ!」
思考の静寂を引き裂く喜悦の声を上げたのは、シャワールームから出てきた
陽炎のような湯気を肌から立ち上らせ、そのまま冷蔵庫に在る缶ビールを二、三本呷りそうな勢いなのだが………
「皐月………服ぐらい着ろよ………」
バスタオルを肩にかけ、パンツ一丁のあられもない姿で歩き回る
「いいじゃんか別にぃ。あ、
「するか莫迦」
不満に口を尖らせる皐月ではあるが、顔立ちが良い反面、昔から
そんな残念な再従妹がここでシャワーを浴びていたのは、昨夜入手した情報を共有する為に時間を割いて
「これはまた、随分と沢山来てるねぇ。聖杯戦争ってのは、いつから見世物になったんだい?」
湯上りそのままの格好で、ソファに胡坐をかいた皐月が資料の多さに呆れた声を上げる。今のこの異常な状態を見れば、誰だって同じようなリアクションをとる事間違いない。
「あれ?コイツ………瑛兄、このイプシロンってヤ————ぷごっ!」
「いいからシャツぐらい着ろ」
幼少の頃から兄妹同然に育ってきた俺は見慣れているから問題ないが、そろそろ到着するであろうニコラがこんな皐月の姿を目にしたら唖然とするだろうから、クローゼットから美彌のシャツを引っ張り出して投げつけてやった。
「で、このイプシロンってヤツがどうしたって?」
「あぁ、一昨日中央公園の近くで
もそもそとシャツを着こむ皐月から手渡された資料を見ると、確かに宝石魔術の使い手と記されている。
それが先日、他殺体で発見された身元不明の外国人観光客の正体である事が明らかになったのだが、その経歴に目を落とすと看過する事の出来ない単語が躍っていた。
「コイツ、“共和国”の残党かよ」
「
“共和国”と言うのは、四十年ほど前に東欧のとある小国で、当時の国防大臣主導によるクーデターによって勃興した軍事独裁国家だ。
経済基盤となる産業資源が少ない小国であるが故に、その主要産業となったのは、唯一の資源とも言える“人”を派遣する事。つまり傭兵の派遣である。
しかし、自前の軍隊を保有する国家から正式な派遣要請など来る筈も無い。傭兵軍など無用であるばかりか危険であると説いたのは、史実を引用して断定したマキャベリの「君主論」で述べる通りだ。
であれば、主要国家の後ろ暗い陰謀の走狗としてか、テロ組織のゲリラ作戦ぐらいにしか彼らの需要は無く、周辺諸国との国境線問題や鉱山採掘権、果てはこの世に独裁政権そのものが存在する事すら悍ましいと考える狂信的民主主義者による内政干渉などで発生した慢性的な紛争状態とも相まって、国家財政は常に逼迫していたと言う。
明日の食糧も無く民衆が常に飢える一方で、その国家予算の大半を、軍事費とごく一部の特権階級の遊興に費やしている国家の辿る道は、早晩民衆の武装蜂起による滅亡以外に無い事は歴史を紐解いても枚挙に暇がない。
そして共和国は瓦解した。
十数年前に起きた武装蜂起によって、当時の大統領とその夫人が捕えられ、特別軍事法廷の後に即日銃殺刑に処されたのだが、死して尚も銃撃を浴びせられたニュース映像は、その行為の残虐性と恨みの深さが印象的で、今も記憶の片隅に残っている。
だが、大統領の次男を始めとした複数名の政権幹部が今も逃亡を続けていて、その全員が国際指名手配されており、皐月の所属する警察庁にも手配書が回ってきている。
と言うのが
この共和国では“魔術師部隊”を編成し運用していたのだ。
とは言え、魔術の素養がある人間などそうそういる訳ではない。共和国のような総人口十数万人程度のような小国なら尚の事だ。
元々共和国では適齢期の成人を徴兵し、練兵するだけでは数的、時間的に全く足りず、また安上がりと言う理由で、世界各地から誘拐或いは人身売買で集めた年端もいかない子供たちを幼年兵として
そして、その幼年兵の中から魔術の素養がある者を選抜し養成してきたのだが、神秘の隠匿を第一義とする魔術協会がそのような蛮行を見逃す筈も無く、また聖堂教会も共和国の在り方を看過出来ぬ立場から、両組織による合同作戦として、密かに国内の反政府組織や周辺各国への裏工作を行い、あくまで民衆による武装蜂起と言う形で政権を崩壊させる事には成功した。
しかし、政権崩壊はあくまで目的の為の手段の一つであり、その真の目的は、無論独裁政権の走狗としてしか機能しない魔術師達の粛清だったのだが、近代になって協定が結ばれたとはいえ、所詮魔術協会と聖堂教会は不倶戴天の敵同士。両組織の
「おはようさん。なんや新しい情報が入った言うて………って、なんどすか皐月はん。またエライ艶姿どすなぁ」
リストの中から数名の共和国関係者を見つけたところで、ようやくニコラがやって来たのだが、シャツを着ただけの皐月の姿を見て目を丸くした。まあ、普通はそう言うリアクションになるだろうな。
「実は、昨夜は瑛兄とずっと………」
「サーシャが冬木に居る魔術師たちのリストを手に入れて来てな」
「ほな、ちょい見せとぉくれやす」
「無視すんなよお前らぁっ!!」
まあこれでも
「はぁ、共和国とはまた懐かしおすなぁ」
「この時って、ニコラも行ってたんだっけ?」
「へぇ、こん時の作戦にはボクも参加してましたわ。まあ、新米代行者に出来る事言うたら、後方で雑用係ぐらいしかあらしまへんけど。ほんでも、
「そうらしいな。
「そらもう、あん時の
今となっては両組織の現場上層部の滑稽さは密かな笑い
真っ当な魔術師でさえ、人並みに良心の呵責に耐えかねたのか否かは知らないが、当時その作戦に参加した者の中には、年端もいかない少年少女が理不尽に狩り殺される惨状を見兼ね、わざと見逃したり自らの養子や弟子としたりした者が多く、上層部も半ば黙認状態だったと言う。
かつて衛宮切嗣のパートナーを務めた
「しっかし、元共和国の連中も何人かいるって事は、CIAが動いたのって、こいつらを追ってきたって事かねぇ…………?」
それは十分に考えられる。
CIAが聖杯の奪取を目的に部隊を展開したにしては、魔術師としては二流でも、戦闘経験豊富な人員で構成された部隊規模としては些か過剰ではないかと考えていたところだ。
だが、共和国残党の身柄確保或いは暗殺が目的、若しくは両方が目的であれば、二個分隊相当の戦闘要員は妥当な作戦人数と言えるだろう。
リストに上がった魔術師は合計で三十六人。その内半数の十八人がCIAのメンバーで、死亡が確認されたイプシロンと言う人物を含めた九人が元共和国の残党。後は道香龍とフリーの魔術師達だが、その中には経歴に不審な者が数名いて、当時の作戦参加者に拾われた元共和国の生き残りと言う可能性もある。
「フリーの方は、ベルツはんがなんや知ってるかもしれへんさかい、断定するんは後でええのちゃいますか?」
「そうだな。CIAの方は、
規模はどうあれ、CIA同様に関係者が一堂に会している現状、こいつらもまた組織立って動くと見て良いだろう。
結論付けるには些か性急かもしれないが、目的の方は今更考えるまでも無く聖杯の奪取の一言に尽きる。
「共和国の人らが聖杯
「幹部連中も冬木周辺に潜伏してる可能性が有るって事だな」
「だね。
皐月がそう言って、やおら脱ぎ散らかした上着から携帯電話を取り出し、警察庁内にいると言う後輩の魔術師に電話をかけ始めた。
「随分と
「いや、三つだ」
「三つ?二つちゃうん?」
「道家だよ」
政治的勝敗で言えば、共和国は一番御し易い。そちらの魔術師を狩った後に幹部連中を根こそぎ生け捕りにして、警察などの表社会への目くらましなり裏取引の材料として使えるし、皐月に好意的に協力してくれている刑事を始めとした所轄に花を持たせたって良い。仮に連中が冬木に居なくても粛々と狩ればいいだけだ。
CIAは一見政治的に厄介な存在に見えたが、同盟国内部への極秘作戦部隊を派遣している以上、外務省なり防衛省なり、一部の政府高官に内々の話さえしていないと見てよく、仮にしていたとしても
そんな立場の連中であれば、密かに始末したとしても詰め腹を切らされるのは黙認した高官だろうし、そうでなくても
だが、一番の厄介は道家だ。
東方魔術連盟に於いて魔術協会への反発を強める強硬派の筆頭であり、連盟内で最大派閥の首座を占めている。
汚れ仕事専門の道香龍を先鋒に差し向けた道家も、万が一には彼の独断として切り捨てる算段なのだろうが、仮に連盟の双璧と謳われる両家が衝突する事態になれば、両家の被害、連盟内に及ぼす影響は計り知れない。ともすれば、魔術協会が介入して連盟が潰されると言う事態にも発展しかねない。そうなると穏健派筆頭である朝比奈一門の威信が失墜するのは必至だ。
「幸いな事に、道家は未だ“組織”として動いてない。その前に両方の組織を潰しておければ、後顧の憂いは無いんだがな…………」
「なんや、道家も潰さはるん?」
「場合によってはな。ニコラには悪いが、言峰が黒幕という疑惑を抱いている事は変わらんし、変える要素も今のところ見当たらん。であれば、言峰と繋がってる道家ともぶつかる可能性も無くはない」
とは言え、道家が簡単に手を引くとは考えにくい。
連中だって魔術師だ。魔術師であれば“根源の渦”、
魔道の研鑽によって至るのであれば、こちらが手も口も出す筋合いは無い。だが聖杯に選ばれなかった者がマスターを僭称して上前を撥ねようなど、ましてや神秘の漏洩が危惧されるような騒乱を引き起こしているとあっては、それを黙って見逃してやるつもりは無い。
「その上で、こう言う事を訊くのは卑怯だと分かってるが、言峰が俺たちの斃すべき敵と確定したら、お前は
「…………前にも言うたけど、こん命は瑛賢はんに預けてます。それだけじゃ足らしまへんか?」
ニコラの答えは解っていた。だが、一門の長と言う立場に於いて、黒幕と思しき人物と個人的な繫がりがある彼に問い質さずにはいられない事に、内心で忸怩たる思いを抱き謝罪した。
「ええよ。瑛賢はんも難儀な立場ちゅう事はよう知ってるさかい。ほんで、そないなったらボクが言峰君と戦うさかい、瑛賢はんは手ぇ出さへんとぉくれやす」
ニコラの申し出は、まるで“一門の為に友人すら敵に回せるか否かという踏み絵を自ら進んで踏む”かのように聞こえるが、実際の思惑はそうではない。
どうあれ俺は“魔術師”であり、名誉会員のような立場であろうとも魔術協会にも籍を置く者だ。それが聖堂教会から正式に派遣された監督役を害した場合、両組織の関係と、なにより一門の立場に少なからぬ影響を及ぼしかねない事を憂慮しているからだ。
ニコラも一門の一人ではあるが、自分が言峰を斃し、それが両組織に問題視されたとしても、自らの経歴を利用して“組織対組織”という構図から“個人対個人”と言う構図へと矮小化させられ得るとの目論みがあるからだ。
「…………解かった。その時はニコラに任せる。俺と言峰がやり合う事にならないよう、上手く立ち回れよ?」
そんなニコラの思惑を、俺自身の感情だけでモノを言えば「冗談じゃねぇ!」の一言に尽きるのだが、その言葉を呑みこんで、年来の友人より一門の将来を選んだ彼の選択を尊重する事とした。
「でも
ニコラとの話が終わる丁度いいタイミングで、後輩の魔術師との電話を済ませた皐月が会話に参加してきた。
皐月の懸念も尤もではあるのだが、如何に言峰の格闘戦能力が高いとは言え、ニコラも代行者として
「首席卒業の言峰君にどんだけ迫れるかは分からへんけど、ボクかて毎晩美人さんに神の愛を説いとっただけちゃうで。まぁ、精々気張りますわ」
「………そこはニコラを信じるとして、そっちはどうだった?」
話題を切り替える為に水を向けられた皐月が言うには、公安で共和国幹部が国内に潜伏していると言う情報は現時点で掴んでいないらしく、複数人の元共和国魔術部隊の残党が冬木に潜伏している事を教えると、早急に情報収集に当たると言明したそうだ。
「その件で相談なんだけどさ……………聖杯戦争が終わってからでいいから、自分の家も一門に入れてくれって言ってるんだけど…………」
「情報料としてはちょい高いんちゃう?そもそも、その人は
「うーん………魔術回路は消滅寸前な上、代償を用いなきゃ成立しない呪術を扱う魔術系統だからねぇ………。暗示や潜伏、諜報なんかに特化してるようだけど、正直、一門の誰よりも優れているかと言うと、答えは“ノー”なんだよねぇ…………」
大昔ならいざ知らず、血縁や師弟関係以外の魔術師の参入を感情的に拒絶するほど
そもそも、一門はその門戸を広く開け、洋の東西を問わず魔術師を受け入れているとは言え、今後一門に益となるか否かという打算的な判断基準に基づいて参入の可否を決めている。
そして魔術とは等価交換が原則で、一門は魔術師の集団である以上、それに見合った利益を一門にもたらさざる者に開かれる扉は無い。だからこそ、ニコラが否定的な立場で疑問を示すのも当然の事なのだ。
「…………そうだな………。今後の働き次第ってところだな。そうじゃねえと、皐月だって推挙出来ないだろ?」
「え?私が………?」
「皐月はんの後輩なんやさかい、ちゃんと最後まで面倒見たれって事どすえ」
「だよねぇ……………」
げんなりした顔をするものの、皐月は昔から後輩の面倒見が良く、今以て学生時代の知己とも連絡を取り合うぐらいに人望と、それに伴う人脈がある。
だが、そんな皐月の数少ない美徳も、今回ばかりは負の方向に作用しているようだ。
潜伏や諜報等の、裏方仕事とも言える技能に秀でた者は貴重な人材と言える。
陰謀と詐術で彩られた魔術世界に於いて、身を護る為、或いは外敵を排除する為の戦略戦術を構築する上で、正確な情報というモノは千金に値する事は言うまでもない。
しかし同時に情報収集の場と言うのは全ての最前線であり、徒手で敵前に迫る分、戦闘の最前線よりも命を落とす危険性が高い。
敵に捕えられた諜報員の末路は、概ね悲惨なモノだと古今東西を見渡しても相場が決まっている。
尋問と拷問の末に情報を全て抜き取られ、廃人同然となり、利用価値が無くなったと見做されたところで、ようやく
故に技能の巧拙よりも、如何なる状況に於いても持っている情報を漏洩させない事が諜報員に求められる資質と言って良いだろう。
翻って皐月の後輩は、既に諜報員としての資質を問うに致命的な失態を犯している。
皐月の話の聞き出し方が巧かったのかもしれないが、彼は自分の魔術特性を皐月に話してしまっているのだ。
こういう手合いは、命の危険が迫った際に助命の対価として自分が持ちうる情報全てを開示する事に躊躇が無い。そう言う人物を諜報員として登用する事は、得られるモノ以上のリスクを抱え込む事に他ならない。
職務上の指示とは言え、
しかし今の段階では、彼を一門に迎え入れる事に関して認める事は出来ない。
対価の支払いが金銭で済めばそれに越した事は無いが、それでも尚一門に加わる事に拘泥し、罷り間違っても脅迫紛いの手に打って出て来たなら、甚だ遺憾ではあるが彼の命を縮める決断を下す必要がある。
とは言え、そんな魔術師を使った皐月の顔に泥を塗らないよう配慮もしてやらねばならない。面倒事や厄介事は精神衛生上極力避けたいのだが、一門の長として多くの魔術師を従える宗主である以上、面目を保つ意味も含めてそうも言っていられないのが辛いところで、ニコラの言う通り
「ゴメンね瑛兄。事が事だから魔術師が良いと思って頼んだんだけど、あんな身の程知らずな要求をしてくる奴だなんて思わなかったよ………」
「そいつの処遇は事が済んだ後で考えればいいさ。それに皐月に任せた以上、俺にだって責任はあるんだ。一人で抱え込む必要なんかねえよ」
「…………ありがと、瑛兄…………」
ともあれ、
続いて、この案件の大元でもある聖杯戦争について、新たに得た情報を共有する。
バーサーカーが斃され、聖杯戦争から脱落するであろうイリヤちゃんを旭奈会で保護した事については、二人共予想出来ていたとして特に異論が出る事は無かった。
そして脱落した筈の
二人の反応は予想通りだ。なにしろ同じサーヴァントである栞でさえ、あの状況を目の当たりにして茫然自失したのだから驚かない筈が無い。もし驚かない者がいるとすれば、聖杯戦争に於ける英霊召喚のシステムを熟知している御三家ぐらいだろう。
「その二騎が生きてるって、監督役は知ってるの?なんだっけ?ナントカ盤でどのクラスのサーヴァントが現界してるのか分かるんでしょ?」
「霊基盤どすなぁ。そやけど、そら監督役の言峰君しか
「いや、
どういう経緯であれ、
その事実を言峰が知っているか否かは、正直些末な問題だ。現状で得られる
「とはいえ、ニコラをこのまま手ぶらで帰したら、それはそれで疑念を抱かせるだろうから…………こいつが冬木に居るって情報を
テーブルに広がる書類の山の中から一枚を拾い上げて手渡し、それを一瞥したニコラは悪戯を企む少年のように口角を僅かに上げた。
「……成程。この人が冬木におるっちゅう情報を掴んださかい、ボクは今日瑛賢はんに呼ばれた。ちゅう事にしとくんどすな?」
その書類に記されている人物の本名は定かではないが、“フェオ”と言う
「ああ。それと、こうも伝えてくれ。政権幹部数名が極秘裏に入国して、公安が行方を捜索していると言う情報を掴んだ。連中の目的は聖杯の強奪にあり、ここ最近の
俺が冬木にいる事自体、言峰は何らかの意図があると訝しんでいる事は間違いない。そこへ、旧知のニコラまでもが学園での騒動から間を置かずに、一門の一人として自分の元にやって来たとあっては、全体像を把握していなくても疑惑を確実なモノとするに十分な材料だ。
その点は織り込み済みなのだが、
その為に、
神秘の隠匿に無頓着であるが故に、魔術協会、聖堂教会の双方を敵に回した連中の残党が、よりにもよって聖杯戦争真っ最中の冬木に組織的に集まり、その中には国際指名手配中の政権幹部までいる可能性を示唆されれば、
「ついでにボロを出してくれれば御の字だけど、奴さんがそんな手に引っかかってくれるものかねぇ………?」
「そこまでは期待出来んが、ああいうヤツには、むしろこんな二流三流の
こちらからの提案に応じなければ、
ヤツがどちらを採っても、こちらには損の無い話なのではあるのだが…………
しかし、先程から思考の内に揺蕩うモヤモヤとした不安は一体何なのか?
修験道の
だとしても、その霧の遥か上にある蒼天を目指すが如く、目指すべき先を見誤る事無く
言峰綺礼………お前が何を企んでいるかは知らんが、
まさかまさかのバゼットさん実装と、ホロウを彷彿とさせるシナリオ展開に胸を熱くしていましたが、バゼットさんを呼ぶための触媒として吉〇家の牛丼をテイクアウトで買って来て回してみたら、最初の10連の一発目でバゼットさんが来ただけではなく、牛丼を食っている間に回したガチャでは全てバゼットさんが出ると言う、なかなかの奇跡が起きました。
やはり牛丼は聖遺物だったのですね('-'*
さて、次回は……
・バイバイ
・ふわっふわやぞ!
・なべてこの世はいとヤバし
・中かき回しちゃらめぇっ!
・やるっきゃないと
以上の予定です。