「凌駕ね。それで何で貴方はこんな所にいるの」
永琳は名前を聞いた後、直ぐに質問をしてきた。
俺はこうなる事は予想はしていたが、もう少し後になると思っていた。
まぁ、取り敢えず質問に答えるか。
「俺は旅をしているんだよ」
質問に答えるとは言ったが、嘘は付かないとは言っていない。
まぁ、ちゃんとした理由はあるが…………
「そうだったのね」
これも予想外だ。もう少し疑うと思ったけど、追求されないなら問題ない。
「後、その量の霊力は何なの」
「えっ、霊力を感じるのか」
「えっ」
永琳も俺の答えに驚いたらしく、目の瞳孔がかなり開いた。
「もしかして、霊力を感じれないの」
俺は永琳の質問に首を縦に振った。
それを見た永琳はため息を吐き、呆れた顔で話を始めた。
「今まで、よく生きていられたわね」
「悪運は強い方なんだ」
俺は永琳の言葉にそう返した。
ちっ、嫌な事を思い出しちまった。
「取り敢えず、貴方はこれからどうするの」
「先ずは、人の居る場所を探すかな」
「なら、そこまで案内してあげる」
「良いのか」
俺は案内を頼む前に永琳から案内をしてくれるとは有り難かった。
「命の恩人だからね。これぐらいは構わないわ」
「それじゃ、次いでに霊力の感じ方も教えてくれないか」
「構わないわよ。歩きながらで良いかしら」
「問題ないぜ」
そして俺は永琳から街に向かいながら、霊力の事を学んだ。
永琳から聞いたことをまとめると、霊力は人が初めから持っているが大体は使える前に死んでしまうらしい。
と言うより、気付かずに死んでしまうと言う方が正しいだろう。
それと霊力を感じるには意識を集中させ、自分の中にあるモノを感じ取る……………まぁ、瞑想みたいなものだろう。
取り敢えず、これが出来れば霊力を抑え込む事も練習すれば出来るそうだ。
「少しやってみるか」
俺は歩くのを止めて目を瞑った。
それから、数秒で霊力っぽいのを感じる事が出来た。
永琳が言ってた通り、かなりの量が辺りに放出されていた。
(これが霊力かな。取り敢えず、こんな感じで抑え込めば良いのかな)
俺は霊力を自分の中に抑え込むイメージでやると、上手くいき放出されていた霊力は無くなった。
「これで良いのか」
俺は目を開けてから永琳に聞いた。
「えぇ、問題ないわ」
永琳は驚きを隠せない様な声で答えた。
まぁ、直ぐにこんな事をされたらそうなるよな。
「そろそろ行くとしようぜ」
「えぇ、そうね」
そうして、俺達は街に向かって歩き出し、少しの沈黙が続いたが永琳がそれを壊した。
「そう言えば凌駕は街に行ってどうするの」
「まぁ、暫くの間はそこで過ごそうと思っているつもりだが」
「なら、ツクヨミ様の許可がいるわね」
「ツクヨミ様って?」
多分、日本神話の奴だと思うけど………
「私達の街の創設者で神様よ」
「へ~、神様か」
「あまり驚かないのね」
「まぁ、ね」
それからはまた沈黙が数分間続いた。
数分間歩いていると木々の間から白い壁が見えた。
そして、それが見えたのと同時に永琳が口を開いた。
「もう少しで着くわよ」
永琳がそう言って森を抜けると、白い壁に囲まれた建物等があり、壁の前に一人の兵士が立っていた。
多分、見張りの兵士だろう。
「永琳さん、お帰りなさい。その後ろの者は」
「私の命の恩人よ。通して貰えるかしら」
「そうでしたか。どうぞ、お通り下さい」
そう言って兵士は門を開いた。
門を通った後、永琳が先ずは荷物を置いてからツクヨミ様の所に向かうと言ったので、俺はそれを了承した。
そして今は、ツクヨミ様の所にいる。
「と、言うわけなので凌駕を住まわしても良いでしょうか」
ツクヨミ様の元に着いてからは、永琳が事の事情を説明をしていた。
「うむ、別に構わないが住む場所がね」
ツクヨミ様は少し考え、答え始めた。
「なら、永琳の所に住むがよい。永琳、構わないか」
「ツクヨミ様がそうおっしゃるなら」
永琳はツクヨミ様の言った事に驚いたが、直ぐに冷静さを取り戻してそう答えた。
「うむ、永琳は下がっても良いぞ。凌駕は少し残ってはくれぬか」
ツクヨミ様がそう言うと永琳は失礼しますと言い、部屋を出ていった。
「それで何か用があるのか」
「単刀直入に聞く………お主が此処にいる間で良いから、軍に入ってはくれぬか」
「別に構わないが、何でだ?」
ツクヨミ様曰く、永琳を助けた時に殺した妖怪がかなり強いらしく、それを一撃で殺した俺の腕を見込んでの事らしい。
「それで話はこれで終わりか」
「最後に一つ。明日から軍事広場に行ってくれ。そこで訓練をしているからね。場所は永琳にでも聞いてくれ」
「了解した」
そう言って俺はこの部屋から出ていき、近くで永琳が長椅子に座っているのが見えた。
「待ってたのか」
俺は永琳の元に近付いて、そう言った。
「えぇ、それで何を話してたの」
「歩きながらで良いか」
俺はそう言うと永琳は頭を縦に振ったので、歩き出してツクヨミ様に頼まれた事を話した。
「んな訳で、明日から軍事広場に行く事になった」
「そう。取り敢えず、その場所の地図を書いてあげるわ」
「助かる」
それから、色々と話していると永琳の家まで着いたので中に入った。
「取り敢えず、凌駕の部屋は彼処ね」
俺は永琳が指を指した方を見ると、扉があったのでそこに入ると、人が寝泊まり出来る位の広さはあった。
そして、俺は刀を置いて座った。
(取り敢えず、今までの事を整理しないとな。まず、此処は幻想郷が出来るかなり前の世界である事は確かだな。折角、此処に転生したんだから、幻想郷が出来るまで見てみたいな。そうすると、不老不死にならないとな。でも、体格がまだ良くないからな……………よし、3年後に能力で不老不死なるかな)
俺は整理が出来たので、一度部屋を出ようと立ち上がったら、扉が開く音がしたので見てみると永琳が入ってきた。
「何か用か?」
「これを渡しに来たのと、今後の事をね」
永琳は俺に1枚の紙切れを渡され、見てみると軍事広場までの地図だった。
それから、今後の事について話し合った。
特に家事の事についてで、この家にはあと二人が住んでいるが、一人はほとんど帰っては来なくて、もう一人は週に一回帰ってくる程度らしいので、家事は二人でやる事になるそうだ。
そして、永琳は家事の振り分けを話して、俺は料理関係とゴミ捨て係になった。
「んじゃ、早速夕食を作るとするか」
俺は立ち上がり、部屋を出た。
「台所は彼処よ」
永琳も俺が出た後に出てきて、台所の場所を教えてくれた。
俺は台所に向かい近くにあった冷蔵庫らしき物を開けると、野菜は生で食べれるものばかりで肉類等は惣菜だらけだった。
これを見た俺は、ため息を吐き必要な材料を出した。
それから、数十分が経つ頃には料理が完成し、机に並べた。
「これ、凌駕が作ったの」
匂いに釣られて来たのか、永琳が自分の部屋から出てきて、机を見て驚いていた。
「俺以外に誰がいるんだ」
「そうだったわね」
永琳は机の近くに座り、いただきますと言って食べ始めた。
俺も永琳の後を追うように食べ始めた。
「何これ、凄く美味しいんだけど」
「元は惣菜だったからな。不味くはならないだろう」
「えっ、これって惣菜だったの」
永琳は驚いた様で、身をのり出して聞いてきた。
そんなに驚く事なのか、と俺は心の中で思ったが、冷蔵庫の状況を思い出して納得した。
「まぁ、少し手を加えただけだけどな」
それから、永琳に色々と聞かれたが流石に面倒だったので、てきとうに答えていた。
それで今は、布団が引かれた自分の部屋におり、一息ついていた。
「今日だけでかなり疲れたな。でも、明日からが楽しみだな」
そして俺は布団に入り、眠った。