「ははっ、強いな。久し振りに勝てなかったな~」
俺はその場に倒れ込み、色々と考え込んでしまった。
近くに依姫が居ることを忘れるぐらいに。
(やっぱり、中途半端な流儀だと極めている奴には勝てないな。今回は運が良かっただけで、次にやったら確実に負けるな)
凌駕が使った二つの流儀はまだ未完成でとても実戦で使えるものではないが、凌駕自身の力量で何とか形になっているものだ。
「………凌駕さん、大丈夫ですか」
俺は依姫が声を掛けている事に気づいて、考えいた事を頭の隅に置き、起き上がった。
「大丈夫だ。少し疲れただけだ」
「そうでしたか」
そう言い終えた後、依姫は少し上の方を見ていたので、俺もその方を見ると時計があり、時間は12時を回っていた。
「もうこんな時間ですか。昼食の時間ですね」
依姫がそんな事を言っている時、俺は取り敢えず刀を鞘に納めた。
「凌駕さんは先に食堂に行っていて下さい。私は隊の皆を呼んで来るので」
そう言うと依姫は走り出し、入ってきた入り口から出ていった。
てか、食堂の場所を知らないだけど………
「取り敢えず、誰かに聞いてみるか」
俺は歩き出し、その部屋をあとにした。
依姫って案外、天然なのか。と思った事は本人には内緒である。
それから、俺は運が良く食堂の場所を教えてもらい、10分ぐらいで着く事が出来た。
中に入ると翼が俺を見付けた様で手を振っていた。
よく、この人混みで見付けられたな。
そして、翼の所に行き、椅子に座った。
俺は翼に何が合ったかを聞かれたので、翼と別れた後の事を話した。
勿論、依姫と戦った事も………
それを聞いた翼はかなり驚いていた。
翼から聞いた話だが、依姫はこの街でベスト10に入ると言われている位、強いらしい。
それから、俺達は昼食を食べ終わり、午後の訓練を受け、今は依姫と一緒に帰っている。
まぁ、帰路が一緒なだけだが………
それで、依姫は普段は軍の寮で生活しているけど、週1で帰っているらしく、丁度今日がその日だった。
でも、同じ様な話を聞いたけど、まさかな………
「そう言えば、あの流儀は何ですか。急に動きが変わってびっくりしましたよ」
「あれは黒刀流って言って俺の独自の流儀だ。だけど………」
「だけど、どうしたんですか」
俺は言葉を濁して、話そうとしなかったが依姫が追求する様に聞いてきたので、話す事にした。
「黒刀流、それと雷閃流、どちらもまだ未完成なんだ」
この事を聞いた依姫はかなり驚いていた。
しかし、少し深呼吸をして気持ちを落ち着かせていた。
「それで俺から頼みが有るんだが、聞いてくれるか」
「何ですか?」
「俺に修行をつけてはくれないか」
「私なんかで良いんですか」
依姫は少し驚いていたが、さっきよりは大丈夫な様でそう聞き返してきた。
「依姫以外には頼めそうにないからな。頼めるか」
依姫の顔が少し赤みが増した。
けど、凌駕はそんな事には気付く事はなかった。
「私で良ければ、お受けします。但し、流儀が完成したら、手合わせをして下さいね」
「やっぱり分かっちゃったか」
「はい、何と無くですけど」
これが剣士の勘って奴なのかな。
それから、修行の場所や時間を決めた後、俺達は雑談をしながら帰路を歩いていた。
数分経った頃、もうすぐ永琳の家に着くな、と思った時、依姫が俺に質問をしてきた。
「凌駕さんってどの辺りに住んでいるのですか」
俺は少し悩んだが、依姫なら大丈夫だと思い、永琳の所に居候をしている事を話した。
次いでに森であった事も。
「………と言うわけで今は永琳の所に居候させてもらってる」
「えっ!?」
依姫は瞳孔が限界まで開き、口をポカンと開いていた。
かなり驚いている様だった。
「依姫、大丈夫か」
そう言うと依姫は、ハッと我に返り、そして走り出していった。
「ちょ、待てて」
俺も依姫を追い掛ける様に走り出した。
てか、依姫走るの速すぎないか。
そして、依姫を追い掛けていると、依姫は永琳の家の中に入っていった。
俺もその後に続いて入ったが、そこには永琳の両肩を掴んでいる依姫の姿がいた。
何かを問い質している様だった。
「あら。お帰りなさい、凌駕」
「お、おう。ただいま」
「話を反らさないで下さい。何で凌駕さんが此処に居候しているんですか!」
「ちゃんと説明するから、少し落ち着きなさい」
その言葉を聞いた依姫は永琳の両肩から手を離し、少し離れた場所に座った。
俺も中に入り、空いている場所に座った。
「取り敢えず、簡潔に話すわよ」
そう言って永琳は此処までの経緯を話した。
勿論、森であった事も含めて………
「成る程。取り敢えず、話は分かりました。では、これからよろしくね、凌駕さん」
「あぁ、此方こそよろしくな」
こうして、もう一人の住人は依姫と分かり、これからの生活が賑やかになるのだった。