あれから3日が経ち、俺はようやく永琳からの許可が出たので、依姫と一緒に軍事広場に向かっていた。
道中は依姫と他愛も無い話をした。
目的地に着くと翼が此方に気付いたらしく、此方に走ってきた。
「三日ぶりだな、凌駕。話は依姫から聞いたぜ。随分と無茶をしたらしいな」
「まぁ、な」
「そうだ。久し振りに手合わせをしようぜ」
「後で相手になるよ」
それから、いつも通りにウォーミングアップをして、約束通り翼と手合わせを始めようとした。
「病み上がりだとしても容赦はしないぜ」
そう言うと左足を半歩後ろに下げ、拳を構えた。
「あれぐらい何でも無いさ。だから全力で掛かってこいよ」
そう言って俺は刀を構えた。
初めに動いたのは翼で此方に向かって跳んで、拳を振り下げた。
俺は後ろに跳躍をして翼の攻撃を避けた。
翼の拳は俺が居た場所に大きな窪みが出来ていた。
まともに受けたら、一溜まりもないだろな。
しかし、翼の攻撃はこれだけでは終わらず、此方にまた跳躍をしてきた。
さっきより速いスピードで………
俺はさっきの様に避けようとしたが、翼も読んでいた様で一撃ではなく、連撃をくり出した。
だが、これは予想の範中だったので苦なく、捌くことが出きるが、このままだとじり貧になると思い反撃をしようとした。
が、翼はこれを待っていたかの様に攻撃のスピードを上げた。
俺は不意を突かれた攻撃だったので、避ける事が出来なかったが、刀を盾にし、何とか直撃は免れたが勢いは殺せず、そのまま後ろに飛ばされた。
「くっ」
俺は空中で体勢を立て直し、追撃をケアする行動をしたが、翼は空中ではなく着地と同時に攻撃をした。
「これでも喰らいやがれ!烈火掌」
俺は自然に笑みを溢した。
やっぱ、こうじゃないと面白くないよな。
「雷閃流『雷斬りー流電ー』!」
この技は相手の攻撃を受け流しながら反撃をする技だ。
「おっと」
翼は紙一重でかわしたが、少し体勢が崩れたので、俺はそこを狙って翼の鳩尾に蹴りをいれた。
「ぐっ」
翼は後方に飛んでいったが、何事も無かった様に体勢を整えた。
多分、能力で自分の防御力を上げ、俺に蹴られる寸前に後方に跳んで衝撃を抑えたのだろう。
あの一瞬でやり遂げるとは、やっぱり翼は強いなと思うのだった。
「やっぱり強いな、凌駕」
「俺なんて未々さ。んじゃ、今度は此方から行くぜ」
俺はそう言うと、腰を落とし刀を持っている右手を左腕辺りで構えた。
「雷閃流『雷斬り………」
俺は普通目では追うことが出来ないスピードで翼の目の前まで跳んだ。
「………ー雷光ー』!」
俺は構えていた刀を横一線に振り斬った。
だが、翼には簡単に避けられてしまった。
しかし、此処までは俺の読み通りに事が進んでいた。
「雷閃流『雷斬りー雷牙ー』!」
刀を振り斬った勢いを利用し、その場で回転をして左上から斬り降ろした。
「ちっ、俊足術」
俊足術。数秒間、音速に近いスピードを出すことが出来るが効果が切れたとき、一瞬隙が出来る。
俺はそこを狙い、技を放った。
「雷閃流『雷斬りー稲妻ー』!」
この技は高速でステップをし、相手を斬り抜ける技だ。
だが、今回は模擬戦なので寸土目をした。
「降参だ」
翼はそう言うとその場に倒れ込んだ。
「今回は俺の勝ちだな」
「そう言えば、永琳さんからあの話を聞いたか」
「月移住計画の事か」
「そうか」
俺はこの時、あの事を言うかどうか迷ったが翼には、言っておこうと思った。
「実は翼に言っておきたい事があるんだ」
「んっ?なんだ」
翼はその場から起き上がり、不思議そうな顔をしていた。
「俺は一緒に月には行かない事にした」
これを聞いた翼は瞳孔が限界まで開き、驚きの顔を隠す事は出来てはいなかった。
それから、気持ちを落ち着かせる為か深呼吸をした。
「色々と聞きたい事はあるが凌駕がそう決めたなら止めはしないぜ」
「翼ならそう言うと思ったよ」
実際はかなり追求されると思った事は黙っておこう。
「残りの時間もよろしく頼むぜ」
翼はそう言うと同時に拳を此方に向けてきた。
俺はそれを見て少し笑みを溢し、翼の拳に俺の拳を合わせた。
「あぁ、言われるまでも無いさ」
それから、俺は翼に依姫にはこの事は内緒にしてほしいと頼んだ。
流石に理由を聞かれたが、それを答えると翼は迷うことなく了承してくれた。
それからは翼と少し雑談をしていた。
「そろそろ昼食でも食べに行くか」
「そうだな」
俺達はその場をあとにし、食堂へと向かった。
そして、数年の月日が過ぎていった。
この数年間では沢山の思い出を作ることが出来た。
ドラゴンみたいな奴の討伐や妖怪の襲撃など、大変だった事も合ったが、それ以上に楽しかった事も合った。
しかし、当たり前だった日常も終わりを告げようとしていた。
今日は計画実行の当日なのだから………