東方古転録(凍結)   作:玖珂凌駕

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八話 迫り来る敵

「朝か」

俺は横にあった時計を見るともう10時を廻っていた。

「流石に寝過ぎたな」

俺は体を起こし、旅立ちの準備を始めた。

数分後、ある程度準備が整ったので、刀を持ち部屋をあとにした。

「あら、随分と遅い起床ね」

部屋から出ると、永琳が声を掛けてきた。

俺は永琳の前に座り、さっきの返答をした。

「またには良いだろ。どうせ、今日は軍の仕事は無いんだし」

俺はそう言った後、お茶を湯呑みに入れて飲み始めた。

「まぁ、良いわ。今のうちにこれを渡しておくわ」

そう言うと永琳は此方に向かって棒状の物を投げ渡してきた。

俺はそれを受け取り、詳しく見てみると頭の方にスイッチがあった。

「何なんだ、これ」

 

「それは簡易シールドを張れる機器よ」

 

「何でこんな物を渡すんだ」

永琳は何か言いにくそうだったが、暫くしたら話始めた。

「実はロケットの発射後、爆弾を落とす事になっているの」

 

「なるほど、もしもの時の保険みたいなものか」

永琳の話を聞いてこれを貰った経緯はわかったが、爆弾を落とす意味があまり分からなかったが、ツクヨミの事だ、何かしらの考えがあるのだろうと思い、俺は深く追求はしなかった。

「まぁ、そんな所よ」

 

「なら、有り難く貰っておくよ」

それからは他愛も無い雑談を数十分間、話していた。

そう言えば、依姫を見てないなと思い、永琳に尋ねた。

「依姫を見ないけど、何処に居るんだ」

 

「彼女なら、見張りの手伝いに行ったわよ」

 

「随分と働き者だな」

そう言いつつ、お茶をすすった。

今更だが此処のお茶は俺がいた世界よりも美味しいんだよな。

「凌駕はもう少し働いた方が良いじゃないかしら」

 

「まぁ⎯⎯⎯⎯」

俺が話を続けようとした時、危険を報せる鐘が街中に鳴り響いた。

俺と永琳はすぐに外に出て、街の様子を見た。

外に出ると街の人達がロケットに向かって走っていた。

俺は一人の民間人を呼び止め、話を聞いた。

「何があったんだ」

 

「南の方から妖怪の軍勢が此方に向かって進軍しているんだ」

 

「ありがと、引き止めて悪かったな」

その男は俺がそう言うと、再びロケットに向かって走っていた。

俺は永琳の近くに行き、話をした。

「永琳、今からロケットを発射するにはどれぐらい掛かる」

 

「そうね、一時間位かしら。そんな事を聞いて、まさか!?」

永琳はこの時、何かを察した様で俺の腕を掴んできた。

「そのまさかだよ。ロケットの発射まで俺が時間を稼ぐ」

 

「無茶よ。一人でなんて………」

 

「大丈夫だ。俺を誰だと思っている」

永琳も理解してくれた様で掴んでいた手を放してくれた。

「そうだったわね。『雷神卿』とまで呼ばれるぐらいだものね」

雷神卿………。

俺がこの街に住み始めて5年になろうとした時、ツクヨミから貰った二つ名みたいなものだ。

と、当時は思っていたが実際はツクヨミがこの街で強者と認めた者だけが貰えるもので、俺以外に依姫と翼も持っている。

依姫は『月花』、翼は『岩砕』の二つ名だ。

「んじゃ、そっちは頼んだぜ」

 

「そっちこそ、間違っても死ぬんじゃないわよ」

俺はその言葉を聞くと、妖怪の軍勢が向かって来ている南門に走り出した。

門に近づくに連れて逃げていく人は少なくなり、爆発音等の戦闘音が段々大きくなった。

(戦闘音がするって事は誰かが戦ってるわけだな。大体は予想が出来るが少し急ぐか)

俺はそう思い、走るスピードを上げた。

 

 

 

少し時間を遡り、南門の見張り台では………。

「依姫さん、そろそろ交代の時間です」

 

「もうそんな時間か」

依姫は最後に一通り外を見渡した時、妖怪の軍勢が此方に向かって進軍していた。

依姫はこれを見ると交代の見張りに警報の鐘を鳴らすように伝えた。

見張りの兵はすぐに鐘を鳴らしに降りていき、依姫はそれを見た後に刀を持ち、見張り台から降りていった。

依姫が門の前に来るまでに鐘が鳴り響き、妖怪の軍勢を目視出来るまで、近付いていた。

「オー、あれはかなりの量だな」

 

「翼か」

 

「よっと、あの数を二人で相手するには少し厳しいな」

そう言いながら、翼は城壁から飛び降り、依姫の近くまで歩いていった。

「でも、私達しか止められる人はいないけどね」

 

「分かってるさ。取り敢えず、片っ端から潰すまでだ」

そう言うと、二人は敵の方へと体を向け、軍勢に向かって走り出した。

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