幼馴染が彼氏作ったから俺も彼女作りたい   作:仮面

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ちょっと仕事の出張云々で次いつ更新出来るか解らなかったのでもう一話さっさと投げておこうと思いました。

前の話、何かしら反応はあるだろうなーと思ったら想像の三倍位感想が来てびっくりしています。今まで全部の感想に返信する!ってしてましたがちょっとパンクしそうなので幾つか感想返信を絞らせてください。本当に申し訳ございません。ちゃんと全部読んでます。


叫び散らしたい。

『赤点全部回避ー!!ほんとありがとうね!!』

 

 すっげえテンションの高いスタンプと共にラインが届いていた。石黒は無事、テストを乗り切ることが出来たらしい。

 今日から夏休み。俺と高見はテスト最終日。なんで土曜日まで制服着て登校してテストを受けねばならんのだ。

 

 ぶっちゃけテストの点数は悪くないとは思うが、どんな問題が出たか、手応えがどうだったか、とかそんなこと一々覚えていない。

 なんというか、思った以上にダメージを負った。高見と詩織が付き合った時ほどじゃないが、俺は思った以上にメンタルが弱いらしい。

 

 いつの間にかダメージを受けて凹んで、そして寝たら忘れて治る。そして朝ご飯を食べてる辺りで傷が疼くように思い出し、またしんどくなる。多分、生きてる限りそんなものの繰り返し。心臓に泥を塗りたくって、風呂に入っても落ちやしないのだ。

 

 俺が気付いてないだけで皆そうだと思うし、俺が解っていなかっただけで昔からそうだと思う。ただ、自覚するとしんどいだけで。

 

「おめでとう。俺も今テスト全部終わった」

 

 取り敢えず石黒にラインを送っておく。

 

『お疲れ様(*´`*)』

 

 あいつ今日は部活じゃないのか。今昼間だけど。……あ、そういやグラウンド男子サッカー部が使ってたわ。

 

 どっか行くかなー。姉ちゃん家居ねえし。

 どちらにせよ着替えたいので取り敢えず一度家に帰るか。

 

「あれ?ハルト?」

 

「んあ?……あっ」

 

 学校を出たところで呼び止められた。少し日焼けしている赤茶色の髪の毛のお兄さん。サングラスを掛けているその姿はプールとかにいるちょっと柄悪めのパリピ……みたいな人。マジか、こんな所で会うとは。

 

「郁也さんじゃん」

 

 郁也さん。姉ちゃんの元カレである。半年くらい前までは付き合ってたんじゃねえかな。結構ノリの良い人で、たまに家にも遊びに来てたから俺も仲良くさせてもらってた。なんならラインも知ってる。

 

「久しぶりだなぁ。お前ここの高校行ってたんだ、妹もここなんだよ」

 

「マジで?」

 

 まあ、俺交友関係狭いから知り合いじゃないと思うけど。

 

「テストの結果が散々だったからカラオケ奢れ!って妹に言われて学校まで迎えに来たんだよ。ハルトも来るか?」

 

「いや妹知らねえから気まずいっしょ流石に」

 

 カラオケはちょっと行きたいけど。取り敢えずなんかあったらカラオケで叫ぶのが俺のやり方なので。

 

「雨、元気してる?」

 

「姉ちゃん?クソほど元気だよ」

 

 たまには休めってくらいには。

 

「郁也さん新しい彼女出来たの?」

 

「二ヶ月位前に告白されてなんとなく付き合ってみたけど振った」

 

「なんで」

 

「合わなかった」

 

 そういうこともあるのか。姉ちゃんとは一年半位付き合ってたから結構長かったのかな。

 

「あそこまで体目的っぽく来られたらセフレでいいわ」

 

「昼間っから学校の前で生々しい話するのしんどいからやめて」

 

 工事現場勤めだったっけかな。郁也さんの体つきはすごくかっこいい。綺麗なマッチョ、って体してる。

 

「あ、妹来た」

 

「え?どの子……え?は?マジで言ってる?」

 

「……なんで兄貴と神崎が一緒に居るの」

 

「あれ?香澄、知り合い?」

 

 まじかよ。

 

 俺の狭い交友関係の中で微かに繋がってる赤髪ヤンキーの女王様、織田香澄が郁也さんの妹だった。

 成程、染めてる髪の色似てる。

 

「同じクラス。てかなんで兄貴と神崎が知り合いなの」

 

「ハルトのお姉ちゃん、俺の元カノ」

 

「あー、結構前にラインのアイコンだった人」

 

 こんなことってあるんですね。世間って狭い。というか郁也さんの名字、織田ってこと初めて知ったわ。

 

「知り合いで良かった。ハルトもカラオケ来いよ。奢るぞ?」

 

「えーと……」

 

 この場合、どうしたら良いのだろうか。

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

「採点機能付ける?」

 

「どっちでもいいよ、早く歌おうよ」

 

 ついてきました。というか車に乗せられた。

 いや、カラオケは確かに行きたかったけど、そんな兄妹水入らず、みたいな所に転がり込んで良かったのだろうか?迷惑な気がするんだが。しかもこういう場合、何の曲入れたらいいか迷うんだよな。取り敢えず郁也さんと織田の入れる曲から流れを予測しないと……。

 

「……神崎の前で歌うの、なんか恥ずい。先歌ってよ」

 

「絶対やだね」

 

 そういやこいつヒプマイ好きなんだっけ。意外とオタジャンルの曲も入れても大丈夫な感じなのか?……いや、郁也さんがいる前で織田がそっち系統の曲を歌うとは思えん。学校では擬態してる訳だし。

 

「郁也さん何歌うの?」

 

「俺?割となんでも歌うけど」

 

「俺、郁也さんの歌聴きたい」

 

「あー、俺から?何入れっかなー……」

 

 目線で「よくやった」みたいに語りかけてくる織田に笑った。最初に歌うのは嫌だったらしい。気持ちは解る。最初って何入れたらいいかマジでわからん。カラオケ一曲目の為に作られたボカロ曲とかあった気がする。

 

「んじゃ最初だし無難にいくかー」

 

 郁也さんが入れたのは祈り花。うわぁ、センスいいなぁ。俺その曲好き。

 郁也さんの歌唱力は普通に高かった。なんというか、安定して上手い。きっちり音程合ってるし聴きやすいし……なんか最近皆歌うまいよね。

 

「じゃ、次ハルトな。大体歌うジャンルって雨と同じだろ?」

 

「姉ちゃん、郁也さんといる時は何歌ってたの」

 

「うーん……色々」

 

 とても解りやすい答えをありがとう。

 今の気分に合ってる曲でも入れるか。今の気分、今の気分……?あ、これでいいや。

 

「それ、アタシらの世代じゃなくない?」

 

「好きだからいいんだよ」

 

 globeのFaces Places。なんとなく思い切り歌いたかったし、これにした。ちょっと長めの曲をいきなり入れるのもどうかと思ったが、まあ気にしない。

 

 踊り疲れた夢なんてありゃしない。俺がどうしたいかなんて誰にも解らない。誰か、汚れた俺を拾ってくれ、救ってくれ。一オクターブ下で叫び散らした。

 

「……神崎、あんためちゃくちゃ歌上手いじゃん」

 

「すげえな。そういや雨も上手かったっけ」

 

 なんかめちゃくちゃ褒められた。何故か知らんがうちの家族は皆異様に歌が上手い。俺はあまり上手くないと思ってる(実際家族では一番下手だ)が、人前でガチで歌うとびっくりされたりする。

 

「アタシこの後に歌うの普通にイヤなんだけど。ハードル高い」

 

「さっさと歌え。俺ちょっと喉休める」

 

「えー……」

 

 織田が入れたのはONE OK ROCKのWherever you are。こいつも中々センスいいじゃねえか。やっぱりオタジャンルは隠していくつもりなのか?てかこいつも普通に上手い。

 

「歌い終わってから気付いたけど神崎の前なら擬態する必要も無いのか、オタバレしてるし。アニソンとかじゃんじゃん入れよ」

 

 やっぱり擬態してたのか。というか郁也さんの前では擬態してないのね。

 

「あー、あれだぞ。こいつ普通に家にBL漫画とかあるから」

 

「兄貴っ!言わなくていいの!!」

 

「マジ?」

 

「忘れろバカっ!!兄貴もさっさと次入れてよ!!」

 

 結構深みにハマってるオタクじゃねえか。

 なんとなく郁也さんがあの姉ちゃんと一年半位付き合っていられた理由がわかった気がする。オタ趣味に抵抗ないタイプの人だ。見た目そんな感じしないのにな。

 

 郁也さんが入れたのは地球最後の告白を。あ、思いっ切りボカロ曲とかも歌えるんですね。

 ……これ、サンホラとかは流石に封印するべきだろうけど姉ちゃんとカラオケ行くのと変わらない気がしてきたぞ。

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 郁也さんの「色々歌う」と言ったのはマジだったらしく、洋楽、ロック、アイドル、ボーカロイド、アニソンと本当に色んなジャンルの曲を歌っていた。織田も同じように多ジャンルを歌う。本当にこれ姉ちゃんと来てる時と遜色ないぞこれ。

 

「アンタ、Kも知ってるの?」

 

「作画に惹かれて観てた。この歌好きなんだよ」

 

「それ、イメージソングだっけ」

 

「そう」

 

 俺は叫び散らすような歌か、バラードかの二択で攻めていたけど、ここでパターンを変えてみた。angelaのいつかのゼロから。ラスサビの歌詞を無性に歌いたくなったのだ。今の俺が泥だらけだからかもしれない。輝ける炎は何処にあるんだろうな。王に仕える人生なら……王に一生を捧げることだけを考えて生きていけたかもしれない。それはそれで楽なのかもな。

 

「……ちょっと休憩」

 

 歌い疲れた。

 

「神崎、アンタそれだけ上手いならアタシと組んで文化祭有志の出し物で歌わない?」

 

「やだよめんどくせえ」

 

 只でさえ実行委員みたいなの面倒臭いのに。演劇は脚本までやったらあとは全部詩織に投げよう。出店はちょっと作戦思いついたしそっちにかかりたいし。

 

「……そういえばさ、これ聞いていいのか解らないけど。郁也さんさぁ」

 

「ん?俺?」

 

「うん。なんで姉ちゃんと別れたの」

 

 ぶっちゃけ家に遊びに来てた時もかなり良い雰囲気だったし、(俺がいたからかもしれないが)必要以上にイチャイチャもしていなかった気がする。なんというか、安定していた。だから別れた、って姉ちゃんから聞いた時はちょっとびっくりした記憶あるんだよな。あの後三日位姉ちゃん沈んでたし、勝手に振られた、と思ってたんだが実際どうだったのかは聞いてなかった気がする。

 

「あー……あいつと別れた理由な。まあ、譲れないものがあったというか……コードギアスで誰推しかで争って別れた」

 

「は?」

 

「兄貴、それマジで言ってる?」

 

「いや、俺らの世代だとこれ結構バチバチ争うもんだぞ。ルル派かスザク派か、とかカレン派かC.C.派か、とか。俺はシャーリー推しだったんだが雨はシャーリーがあんま好きじゃなくて喧嘩した」

 

「くっだらな!兄貴バカでしょ?」

 

 いや、確かに姉ちゃんはシャーリーがあまり好きじゃなかった記憶あるけど。え?それが原因で別れたの?オタクの恋愛難し過ぎない?推しが違ったり解釈違いが生じたら拗れるの?無理じゃね?

 

「……ごめん、流石に嘘。なんというかなぁ、俺くらいの歳になると結婚もちょっと考えてくるんだよ。雨のやつはまだ当分結婚するつもり無さそうで、その辺りでちょっと揉めた……って言うのが正しいのかな。別に嫌な別れ方したとかそういう訳じゃないけどな」

 

 結婚。

 そっか、郁也さん姉ちゃんより二つ年上だったっけ。二十五か。確かにちょっとずつ結婚も考え始める歳だわな。

 対する姉ちゃんに結婚するつもりがまだ無かった、って訳か。確かに郁也さんは結婚も視野に入れたお付き合いのつもりだったが、姉ちゃんはまだ結婚を考えられない、って言われたらまあ、揉めるだろうな。

 

「こういう話は蓋さえ開けてしまえば大した話でもないだろ?なんならたまにまだ雨とラインでやりとりしてるぞ」

 

「マジかよ」

 

「兄貴にいい女が転がり込んでこないのはその辺りに理由があるね」

 

 姉ちゃんもそうなんじゃねえの?そろそろ男見つけろよマジで。

 

「ハルトはいないのか?彼女」

 

「いない」

 

 ちょっとその話するのやめてくれ。今ちょっとダメージ受けるから。

 

「まあ、お前雨に似てるもんな。雨もそうなんだけど「威嚇してるからな!近寄んなよ!」みたいなオーラ出てるんだよ。こう、内側に魅力は詰まってるけど、それを針と鎧で塗り固めて見せてない、みたいな。グイグイ来る奴はその良い部分に触れられるけど、そうじゃなかったらあまり好かれないタイプなんだよな。……しんどいだろうけど、まあ頑張れ。愚痴ライン位なら聞くぞ?」

 

「郁也さん流石。落とし方を解ってるね」

 

「ははっ、俺がヤリチンみたいに言うのやめろよ」

 

 威嚇してるつもりは無いんだけどな。

 ただ、姉ちゃんと結構付き合ってただけあって、なんか姉ちゃんが喜びそうなこと言うのは上手い。基本俺と姉ちゃんは似てるので、つまり俺もそういうことを言われると嬉しいもんだ。今の、俺が女ならイチコロで惚れてるね。横で織田が呆れているが気にしない。

 

「神崎の尖り方でグイグイいける女子なんてそれこそ幼馴染の詩織位でしょ」

 

「あれはグイグイ来るというか、戦車がキャタピラで蹂躙しに来る感じだぞ。ガールズアンドパンツァーだぞ」

 

「……ふふっ、ちょっと想像したら笑える」

 

 というかお前も割とグイグイ来るよな。こいつはその鎧に向かって槍刺しに来てる感じあるけど。

 

「そろそろ出るか。悪いなハルト、付き合わせて。家まで送るぞ」

 

「マジ?車で?乗せてもらお」

 

 姉ちゃんから『家帰ったらお前居なかった。どこほっつき歩いてんの』というラインを見るのはもう少し先の話であった為、家の前に着くと姉ちゃんと郁也さんが鉢合わせするという事実を知るのももう少し先……というか後の祭りになってからの話である。





ヒロインは誰だ!って話ですが、私としては「皆ヒロイン」だと思ってます(?)
読んでくださっている方が「この子可愛い!」って子がいたらその子をヒロインに見立ててあげてください。皆川ちゃんだってヒロインだし姉ちゃんだってヒロインです。コバだって!(?)
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