一色、スクールアイドル始めるってよ。   作:ぶーちゃん☆

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はじめましての方ははじめまして。ぶーちゃん☆と申します!

この度、人生初のクロスオーバーというモノに手を出してしまいました。
とはいえ私は基本的にクロスオーバー作品が苦手なので、よく目にするような俺ガイルクロスではなく、私なりに「クロスっていうのはこういう物だと思う」と思える物を書いてみたくなりました。

それではよろしくお願いいたしますm(__)m




スクールアイドルはじめました。

 

 

「わたし、アイドルになろうと思うんです」

 

 

 

 ある夏の日のこと。ここ千葉県にある県内有数の進学校である我が総武高校の名物二年生生徒会長様が唐突におかしな事を言い出した。

 いや、そう言うと些か語弊があるかもしれない。これではまるで、この生徒会長が普段はおかしな事を言わない常識人だとか捉われかねない。正確には“今日も”唐突におかしな事を言い出した──だろう。

 

 しかし唐突におかしな事を口走るのが半ば常套化しているこの生徒会長を持ってしても、今日の妄言は普段よりも遥かに群を抜いておかしい。それはもう、おかしな事を口走られるのが慣れっこの俺達でさえも、口を半開きにして依頼者の正気を疑ってしまう程だ。

 

 

「おい一色、お前は突然なにを言い出してるんだ。お前の複雑怪奇な思考回路に理解が及ばないんだが」

 

 確かに昔、こいつ「学園のアイドルいろちゃんだよぉう!」とか似合いそうとか思った事はなくはないが、それを口に出してしまうと酷い罵倒を受けてしまいそうだったからもちろん本人には言っていない。

 つまり本日の妄言はいろはすオリジナルという事だ。

 

「は? ……ああ。なんですか先輩、もしかしてラブライブとか知らないんですかー?」

 

 最初は「は?」の一文字だけで自身の不快感を俺に知らせてきた一色ではあったのだが、次の瞬間には「はっはーん。こんなのイマドキの高校生にとっては常識ですけど、イマドキの高校生の常識が非常識な先輩にはちょ〜っと難しかったですよねー?」とでも言わんばかりに、ぷーくすと人を小馬鹿にしたような態度で挑発してくる俺の可愛い後輩。控え目に言ってぶん殴りたい。

 

「アホか。ラブライブくらい知ってるわ。アレだろ? 全国で8000くらいあるグループの中からトップを決める、毎年アキバドームで開催されてるっていうスクールアイドル達の一大イベントだろ?」

 

「……うっわ、知ってたら知ってたで……てか知ってたどころかアイドル事情に詳しいトコが逆にキモいです」

 

「……」

 

 どうすりゃ正解だったんだよ……

 

 というか、本当のところ全然詳しいわけではない。ただ予備知識としてたまたま知っていた程度の薄い知識でしかないのだ。ちなみに薄い予備知識の情報源は材木座だよ☆ なんなのあいつ。興味がある三次元の女の子は美人声優さんだけじゃないの? なに三次元のアイドルに現つを抜かしちゃってるのん? まったく。声優さんが歌ってるわけでもあるまいし。

 

 ぶっちゃけ、俺がラブライブについて知っている知識など今のでほぼお仕舞いだ。他に知っている事と言えば、第何回だかは知らないが、随分前の優勝グループがμ’sとかいう伝説的グループだったということくらい。

 

「あたし知ってるよ! ニュース? の曲とかすっごい可愛いよね! 優美子達とよくカラオケで歌って踊ってるんだぁ」

 

 違うアイドルグループ♂になっちゃったよ。

 一色の突飛な発言に固まっていたままの我が部活メイト 由比ヶ浜結衣ではあったが、この話題ならば自分にも入って来られると思ったらしい。だが由比ヶ浜よ、カラオケで歌って踊るくらいならグループ名くらいちゃんと覚えとけ。まぁ由比ヶ浜に「μ」を読めとか高難度すぎですよねごめんごめん。

 このままだと進学するの大変そうだし、Youアイドルになっちゃいなよ!

 

「結衣先輩、それを言うならニューズですよニューズ」

 

「ミューズ、な」

 

「……うっわ、やっぱ詳しいんだ」

 

「ヒッキーキモい!」

 

「いやなんでだよ……」

 

 それ完全に名前間違えてた事に対する照れ隠しと誤魔化しだよね?

 つーかどんだけ浅い知識でアイドルになりたいとかふざけたこと言ってんだ。知らないんですかー? とか上から目線でバカにしてたのにこれですよ。

 

 すると、件の一色の妄言以来だんまりを決め込んでいた我が奉仕部部長 雪ノ下雪乃が、どうやら我慢の限界だったのだろう、よせばいいのに口を挟んでくる。

 

「ごめんなさい。私はそういった方面はあまり詳しくないからよくわからないのだけれど、一色さんはそのスクールアイドル、とやらになりたいのかしら? そしてそれをなぜここで? 依頼……とも思えないのだけれど」

 

「待て雪ノ下。それを聞いてしまっては負けな気がする。どうせ一色の事だ。また下らないことに巻き込まれるだけだぞ。返答はへーそうですかー、なれたらいいねー、くらいにしといて大人しく追い返すのが吉だぞ」

 

 我が奉仕部は、簡単に言ってしまえば体の良い便利屋である。魚を与えるのではなく魚の捕り方を教えるのがモットーとか言う割に、フリペの件とかを鑑みるに対一色相手となると思いきり魚捕ってあげちゃってるしね。なんなら噛み砕いて与えちゃってるまである。親バカと雛鳥か。

 だからここで甘やかして一色の妄言に耳を傾けてあげてはいけないのである。親鳥は我が子を巣から突き落として容赦なく殺すのだ。殺しちゃダメだろ。ダメ、DV、ゼッタイ。

 

「それもそうね」

 

「ちょっとー? お二人とも、めっちゃ聞こえてますからねー?」

 

 そう言って頬をぷっくり膨らませた一色がぷりぷりと怒りだすが、そもそもこっちは早くお引き取り願いたくてわざと聞こえるように言っているのだから仕方ない。皮肉も高度すぎると伝わらないんだよねー。

 

 しかしこうまで言われて引き下がらないところを見ると、これはもう話だけでも聞いてやらなくては埒が開かないようだ。誠に遺憾ではあるが聞くだけは聞いてやろうか。

 ……フッ、どうやら俺も雛鳥にはまだまだ甘い親バカらしい。でも俺が餌を噛み砕いて一色にマウストゥーマウスで与えようとしたら確実に逮捕されちゃう!

 

「で? なんでまた急にスクールアイドルになりたいとかいう世迷い言を思いついちゃったの?」

 

「むー、いちいちイラつく言い方しなくてもいいじゃないですか。ただでさえ先輩は世間をイラつかせる事に誰よりも長けてるんですから」

 

 どうも。世間の敵こと比企谷八幡です。

 おかしいな。マジでイラつかせる気で言ったわけではないんだけど。なんなら何気なく頭に思い浮かんだだけの何気ない自然な思考が口を衝いて出て来ただけにすぎないまである。

 そういう人をイラつかせる言動が自然と出てきちゃうから世間の敵になっちゃうんですよねわかります。

 

 すると一色は、ここでこれまでのおちゃらけた空気を一変させる。

 へらへらにまにまと俺を小馬鹿にしていたのは今は昔。俺の向かいに座る少女は、とても真剣な眼差しでこんな真っ直ぐな思いを語り始めた。

 

「ま、アレです。このままでいいのかな? って思っちゃったんですよ」

 

「このままでいい……?」

 

「ですです。きっかけは最悪でしたけど、せっかく先輩に推してもらって一年生ながらに会長になったわけじゃないですか。でも今のまま普通に会長職を勤めても、それじゃ今までの生徒会長達となんにも変わらない、面白味もないただの生徒会長のままな気がするんです。悔しいですけど、現状ではめぐり先輩の代に比べてめっちゃ見劣りしてますしね、わたしの生徒会」

 

 

 そう言ってほんの少し寂し気に微笑んだ一色は、静かにどこか遠くを見る。

 

 

 ──一色いろはという少女は、こう見えてとても現実的で、とても真面目な女の子だ。

 いつもふざけた事ばかりしているのかと思いきや、本当のこいつは色んな事を考え、色んな事と真剣に向き合っている。

 そんなこいつがこうも真剣に宣うのだ。その言葉に、なんの思いも籠もっていないわけがないではないか。

 

「だから、少しでもなにかを残せたらなーって。でも自分に何が出来るのかなんてわからなくて。……そんな時、ふと思っちゃったんですよね。スクールアイドルやりながら会長職もきちんとこなすのって、すごい大変そうだけどなんか格好良くない? って。それが出来たら、わたしも総武に名を残せるような……、先輩が推してくれた事は間違いじゃなかったんだって思ってもらえるような……、そんな生徒会長になれるかなって」

 

 

「一色……」

 

 こいつはバカだから、その真面目さと真剣さを向ける方向が多少おかしくはあるけれど、それでも一色は一色なりに、真面目に考えて出した答えなのだろう。

 ……そして一色いろはは胸を張って声高らかにこう叫ぶのだ。キラキラと輝くような夢を語る為、その大きく美しい瞳にキラキラな輝きをたたえて。

 

「ま、ぶっちゃけ今のままじゃ地味なんですよねー。わたし派手な方が好きだし。それにわたし将来の夢は年収一千万円以上の編集者さんに嫁ぐ事だったじゃないですかー? でもこのまま地味で普通の生徒会長やってたって、将来的にあんま大手出版社のエリート編集者なんかと関わる機会ないと思うんですよ。なのでどうしたらいいかなって考えたトキふと思いついたんです。あ、学生の内にアイドルとかやって有名になっとけば、そういう選択肢とかコネが増えるんじゃない? って。とりまスクールアイドルでもやってサクッとラブライブでも優勝しちゃえば、いい感じに芸能事務所から注目されちゃいますし? んで腰掛け程度にアイドルやってればコネも広がる一方じゃないですかー? そしたらアレですよアレ。編集者どころか出版社社長だって狙えちゃう可能性だって出てきますし? イケメンスポーツ選手とかイケメンIT社長だって狙いたい放題イケイケがっぽりですよ」

 

「……」

 

 こいつの夢は、輝きは輝きでも宝石とかゴールドの輝きしかなかった。おいおい、ぺろっと舌出してウインクしてるけど、台詞がアレ過ぎて全然可愛くないからね?

 あんなに駄目だった後輩の目を見張るような成長に感動してた優しい先輩心を返して!

 

「あ、でもそれだけ選択肢があるにもかかわらず、長年共に連れ添ってきた貧乏マネージャーと結婚とかになったら、それはそれで好感度爆上がりでよくないですか? あ、そだ。ふふふ、わたしが見事プロのアイドルになった暁には、無職の先輩にマネージャー業の斡旋くらいしてあげてもいいですよ?」

 

「……わ、わーい、凄く嬉しいなー」

 

 なんかもう「宝くじ当たったらなに買おうかな♪」レベルの夢物語ですね。寝言は寝てから言え。

 それにあまりの馬鹿らしさにうっかり肯定しちゃったけど、なんかそれだとまるで俺との結婚もやぶさかではないみたいに聞こえちゃうから気をつけてねいろはす? 中学までの俺なら確実に騙されて身ぐるみ剥がされてたからね? 身ぐるみ剥がされちゃうのかよ。

 あとなんか雪ノ下達といろはすがすんごい笑顔でバチバチっと目と目が通じ合ってるんですけど、なんだか寒いし恐いんでやめてもらえませんかね。穏やかじゃない!

 

「……つーかお前、メンバー集めて登録すりゃいいだけだから、とりまスクールアイドルになる、ってだけならまぁ解るが、サクッとラブライブ優勝とか出来るわけないだろ……。そう簡単に芸能事務所の目に留まれるとは思えんが」

 

 

 なんだかおかしな空気になってしまったので、そんなピリッと刺激的な空気を一旦整える為にも話題を進呈する俺。っべー! 俺ってばデキた大人すぎね?

 

 

 ──しかし俺はそんな空気を読める大人な自分を後悔する事となる。空気を整える為のこの何気ない質問が、この後一色がとんでもない事を口走る為のトリガーになってしまうのだから。

 

「あ、それなら問題ないですよー。だっていくらスクールアイドルって言ったって、所詮はアマチュアの部活動みたいなもんじゃないですかー? それくらいなら雪乃先輩と結衣先輩のお二人に加えて、このわたし一色いろはまで揃えば問題なく勝ち進めちゃいますって」

 

 

「……は?」

 

「……え?」

 

 

 ある夏の日のこと。ここ千葉県にある県内有数の進学校である我が総武高校の名物二年生生徒会長様が唐突におかしな事を言い出した。

 いや、そう言うと些か語弊があるかもしれない。これではまるで、この生徒会長が普段はおかしな事を言わない常識人だとか捉われかねない。正確には“今日も”唐突におかしな事を言い出した──だろう。

 

 

 ……と、つい先ほど頭に浮かんだばかりの思考がフラッシュバックしてしまうのも無理からぬこと。そしてその思考に誤りが無かったのだと正銘された瞬間でもあっただろう。

 

 そしてそれは、常日頃おかしな事ばかり口走っている我らが生徒会長に突然指名された──、いやさ指名どころか、さも初めから決まっていた事のようにスクールアイドルメンバーとして名前が挙げられた雪ノ下と由比ヶ浜のとびきりの疑問符が、まるで今後のアイドル活動を占うかのような美しいハーモニーを奏でた瞬間でもあったのだ。

 

 

 

続く

 




というわけでありがとうございましたm(__)m
クロスとか言いながらクロスキャラは一切出てきませんでしたが、次の次にはきちんと出てきます。つまり次回はまだ出ません(苦笑)
しかし当然のことながら、八幡とラブライブヒロインのラブコメとかにはなりません!なんなら八幡とラブライブキャラが会話しないまである。ほぼ、ですけど(^^;)


この作品は、もともと1話完結の短編のつもりで書き始めた短い短い作品です。
でもいざ書き始めたら2〜3万文字くらいにはなってしまいそうで、3万字とかになると推敲が大変で大変でもう気力が保ちそうにない為、1話1話の文量を減らした短めの連載とさせていただきました。
そんなわけで、多分4〜5話程度で完結する作品になるかと思います。

週1〜2回程度の更新でサクッと終わらせる予定ですので、もしよろしければ最後までお付き合いいただけましたら幸いですm(__)m


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