冒頭部分は荀攸と合流する以前の話です
*感想で頂いた指摘部分は後日修正します
初恋、そんな甘酸っぱいイベントは遥か昔に元の世界で済ましている。今では顔も名前も思い出せない、そんな遠い記憶。ではもしこの世界に来てから初恋は誰か、と聞かれればはっきりと覚えている。しかし残念ながら答えることはできない。なぜなら名を聞くことさえできなかったのだから。
「こら、こんなところで何やってるの?」
洛陽から少し離れたところ、たった一本だけだが美しい桃の木がある。日課、というほどではないが時々ここで桃の木を眺めながら新作料理を食している。新作といっても既に元の世界では普通に作られているものばかりであるが。
今日も弁当片手にここに来て、いざ食べようと思ったとき、後ろから声をかけられた。言葉として聴けば怒られているのだろうが、声をかけてきた女性はニコニコ笑っているため全然そんな気が起きない。いや実際に怒っていないのだろう。
「見てわからない?お昼、食べてるんだよ」
「へぇ、美味しそうね」
彼女は遠慮なくスカートが汚れることを気にせず、すぐ隣に座った。弁当の方に顔をのぞかせた彼女、ふわりと桃の花とは異なる甘い香りに気づき少し緊張してしまう。
まじまじと弁当の中身を見たあと、彼女は今度はこちらの顔をジッと見つめてきた。目は口ほどにものを言う、一刀はあっさりと降参し弁当を差し出した。
「食べる?箸は一本しかないけど」
「食べる♪」
そう言って手に持っていた箸を奪い取り一口、彼女は目を輝かせた。
「美味しいわね。これなんていう料理?」
「に、肉じゃが」
「肉じゃが?初めて聞く名前だわ。今度作ってもらうわね」
じゃがいも・・・本来はこの時には中国にはあるはずのない食材であるにも関わらず、少量ながら市場に出回っていたのを発見したのだ。それらを栽培し様々な実験を行なった結果作られたのがこの肉じゃがである。じゃがいもがあれば相当の料理のバリエーションを増やすことができる。
箸は進み、次々と肉じゃがが彼女の口へと吸い込まれていく。あまりの食べっぷりに一刀としては軽くひくが、料理人としては誇らしい。自ら作った料理を本心から美味しいと言って食べてくれる、作り手としてはそれほど嬉しいことはない。一刀は彼女の表情を見て、とても気分がよかった。
最近、客に嫌な感情が混じっている。そうはっきりと感じ取れるようになったのはいつごろだろうか。洛陽にあるとある料理店で働いている際に感じたこと、俺が作った料理を食べて喜ぶ、ではなく今人気の店の料理を食べたことがあるというステータスを誇らしげに語る客が増えているような気がしてならない。
確かにそれは悪いことではない。だが純粋に料理を作っている側からしてみれば料理自体をないがしろにしているような行為はあまりいい感情が持てなかった。
「あははっ、残念だけど無理だね。それ、作れるのはこの世界で俺だけだから」
肉じゃがが作られるのはまだまだ先の未来話。故にそれを作ることができるのは北郷一刀ただ一人。いや、目の前の彼女ならば作れるかも知れない。肉じゃがという料理が存在することを知ったが故に。
「そっか、残念」
「いい加減箸止めようよ」
「あなたしか作れないんでしょ?なら食べるしかないじゃない」
無茶苦茶だった。いや確かに間違いではないがだからといって人の弁当を食べつくす奴がいるだろうか。結局肉じゃががなくなるまで箸が止まることはなく、一刀はため息をつきながら、反対に幸せのため息をついている彼女に向けてお茶を差し出した。
「ああ」
懐かしき思い出、それは美化されるというが正しくその通りだと思う。その女性と話したのはその時のたった一度だけ、故に強く、鮮やかに記憶に焼き付いている。その時の夢を見たのはこの洛陽にきたからだろうか。
「花見をしよう!」
思い立ったら吉日、布団から飛び起きた一刀はねねに向けてそう言った。夢で見た情景を懐かしみ、せっかくだから恋たちにあの見事な桃の木を見せたいそう考えたのだ。本音を言えばあの時の女性にまた会えるかも、という仄かな期待があったかもしれない。
「なんなのですか、いきなり」
「だから花見だよ。美しい桃の花を眺めながら美味しいご飯を食べる、以上!」
「訳がわからないのです・・・」
ねねは溜息とともに頭を抱えた。何もそこまでかわいそうなものを見るような目でこちらを見なくてもいいのに。日頃の仕事で疲れているのか、ねねはあまり乗り気ではないようだった。
「ごはん、かずとが作る?」
どこからか現れた恋が背後から覆いかぶさるように抱きついてきた。身体を密着させ擦り寄る恋は俺の手を取り、すんすんと匂いをかいだ。これは最近恋がよくとる行動で、本人いわく「おいしそうなにおいがしてすき」とのことだ。一刀には嗅いでもわからないが、カンが鋭く鋭敏な恋だからこそわかる、のかもしれない。
ついでに言うと、いつどこで嗅がれるかわからないので人一倍、手は清潔に保っている。もし嫌な顔されたりされたら恐らくショックで立ち直れないだろう。
「ねねと一緒に作るよ。あとすんすんするの禁止」
「じゃぁ、こっち」
「ぬあっ。れ、恋殿~」
いつもどおり断ると、素直に標的を移し今度はねねを抱きしめた。当のねねは首元をすんすんされて身悶えている。ねねには申し訳ないが色気はないし、恋も特に恥じらっているような様子がないためものすごく健全である。例えるならば大型犬に押し倒されペロペロされている感じというか、むしろその例えの方が・・・とても健全である。
「れ、恋殿っ。あまりすんすんされるのは恥ずかしいのですぞ。というか一刀も笑ってみてないで早く助けるのです!」
「最近、ねねからも美味しそうな匂いがする」
「うううー。花見でもご飯でもなんでもするのです!一刀、さっさと助けろなのです!これ以上はねねは、ねねは恥ずかしさのあまり死んでしまいそうですぞ・・・」
今にもねねを食べてしまいそうな恋を引っペはがす。二本の頭の触手が心なしかしょんぼりしているような気がするが見なかったことにしよう。
「よし、買い物に行くぞ!そしてちゃちゃっと作って昼過ぎには着けるようにするぞ!」
「おー」
「おー、なのですぞ」
嫌がりつつもちゃんと乗ってくれるところがねねのいいところだ。財布を持って家を出る。円はまだ起きてこなかったためそっとしておくことにした。
恋を中央に一刀とねねが並び三人並んで洛陽の街を歩く。まだ朝も早かったため人通りは少なかったが、市場の方へ行けば活気があふれているだろう。
「手、繋ぐ」
人ごみに突入する直前、恋が二人の手を取った。
「いや、さすがに迷惑になるよ」
「離れるの、ダメ」
「ねねはむしろどんと来いなのですぞ!」
この人ごみの中、確かに手を繋がなければ散り散りになってしまうかもしれない。だがさすがに並んで歩くのは通行の邪魔になってしまうだろう。一刀は無理矢理繋がれた手を引き離そうとした。
「ちょ、え、外れ、ない!?」
繋がれた手は微動だにせず、こんなに柔らかいのに解ける素振りさえ見られない。じっと見つめる恋の瞳、そこからは『嫌なの?死ぬの?』とまるで無言の圧力をかけられているかのようだ。完全に被害妄想です。
「迷惑というなら、こうすればよいのですぞ」
ねねが恋の左腕に抱きついた。満面の笑みを浮かべ幸せそうに微笑むねね。ぎゅっと掴まれた左手に力がこもる。そう、それはつまり。
「俺が恋の腕に抱きつく、ということか・・・」
帽子でもでもかぶってくれば良かった、ハイテンションになる二人をよそに一刀の目から何かがこぼれ落ちた。
「お、北の兄ちゃん。面白いことやってんなぁ」
「そうだね、傍から見たらすごい面白いだろうね!」
豪快に笑う八百屋の店主が憎い。市場の通りをあの格好で抜けるという羞恥プレイもなんのその、本来の目的を果たすためにやってきたのは馴染みのお店。恋とねねは一刀が店主と話している隙に、とっくに手を話商品を物色中である。
こう見えて恋はいい食材を選ぶのがうまい。それは知識に基づくものではなく、本能によるものが大きい。直感でこれは美味い不味いの判断がつけられるのだ。対してねねは経験不足ながらもその深い知識によって選ぶ。ある部分が硬いと美味しくない、見た目に反して重いとぎっしり詰まっている、そういった要点を抑えた選び方をする。
「いやぁすごいね、兄ちゃんのツレ。状態のいいものばかり持ってかれてるよ」
「はっはっは。彼女たちがいてくれると楽できるよ」
「兄ちゃんのこれかい?」
「だったら光栄ですけど、生憎とそんな仲じゃないよ」
小指を突き立てる主人をドツキながらこの時代にもこんなやりとりできるんだなと思いつつ、もし恋たちが恋人だったときのことを思い浮かべる。うん、ないな。
「おい、何か失礼なこと考えてやがらないですか?」
「かずと、おまたせ」
カゴいっぱいの野菜を手に戻ってくる二人、パッと見だが問題なさそうだ。ここは二人を信じてしまおう。
「お疲れ。さっさと会計しちゃおう。おっちゃん、いくら?え、半額でいいの?」
「おいおい、冗談はよしてくれよ。そんなことされちゃ商売上がったりだぜ」
強引に押し切ろうとする一刀の言葉を聞き流し、やれやれとニヒルに微笑む店主。強引に押しきれないのならば搦めでを使うのみ。
「恋、出番だ」
「ん?」
食材と、店主の顔を何度も往復する恋。その無垢な瞳に徐々に耐え切れるものなどいないのだ。両者無言、だが旗色は圧倒的にこちらの方が良い。
「あー、わかったわかった。今日だけな。ただしこれからもちゃんとうちに買いに来い」
「ありが、とう」
ついに店主が折れた。こうして我が軍は圧倒的な食材を手に入れることができるのだ。まさに恋という存在はゲームで言うなればチート、桃鉄で言うならばゴールドカードといっても過言ではない。しかも無制限の。
涼州では歩いているだけで何故か食べ物を渡され、料理屋で立ち止まるだけでただで食事ができてしまうというわけがわからない存在なのである。ここ洛陽でも既に侵食し始めているらしく、涼州のようになってしまう日も近いかも知れない。
「あ、そっちのちっこいのと北の兄ちゃんはダメな」
「なんですとー!?」
きちんとオチはついた。
正直あくどいと言われても仕方がない手口を使い、野菜の他に肉屋や魚屋を強襲、食材をゲットした一刀たちはホクホクした笑顔で自宅に戻る。
「あれ、買い物ですか?誘ってくれればいいのに・・・」
「円、ぐっすり寝てたみたいだし。起こすのも悪いと思って」
「それでも仲間はずれは少し堪えるんですが。しかしそんなに大量に食材を買ってきて、今日は何かお祝いですか?」
「おしい、いい線いってる。だが残念ながら不正解です」
寝間着姿で寝起きらしき円は無防備というか、雰囲気が普段にもまして柔らかい。その表情を見ると私、不機嫌です、と物語っているのがよくわかる。
「花見、ですぞ!お弁当を作っちゃうので円は準備をしておくのです」
「ごはん、ごはん」
テキパキと厨房へと向かうねねに、ハイテンション気味の恋。
「花見、ですか。なかなか風流ですね」
「おお、さすがこーちゃん。わかってるねぇ」
「こーちゃんはやめてくださいっ!」
圧倒的に娯楽が少ないこの世界では、美しいものを愛でるといった趣味を持つ人は多い。それは美術品であったり、風景であったり、植物であったり、動物であったり。
曹操?彼女は特殊な訓練を受けています。
「という訳でちゃちゃーっと作っちゃうからとりあえず顔を洗っておいで。そしてて伝え」
「はぁ、わかりました。しかし私はあまり凝ったものは作れませんよ?」
円は別に料理ができないわけではないのだが、どちらかというと手間を惜しむタイプであった。例えるなら、ラーメンを食べる際にスープから本格的に作るのは一刀。袋入りラーメンにネギやコーンなどトッピングを加えアレンジをするのがねね。カップラーメンに湯を注ぐのが円、である。
今の喩えは極端であるが、めちゃくちゃ美味しいものではなく最低限で妥当なものを作るのが彼女であった。
「大丈夫、作ってもらうのはおにぎりだから」
特性炊き込みご飯で作るおにぎり。さぞうまいこと間違いなし。
つまみ食いをしようとする恋を抑えつつ一刀とねねの合作が完成する。結局円は衝動に身を任せようとする恋の抑え役しかできなかった。
「おおお!なかなかやりますな、一刀」
「いい、香り」
「見事ですね」
3人とも簡潔であるが最大であろう賛辞。聖域のごとく隠れるように見事に咲く桃の花。ここに連れてきたかいがあった、一刀もその3人の様子を見てホッとひと安心した。そして記憶通りの光景にであったことを素直に喜んだ。
「さっそく食べようか。恋も待ちきれないようだし」
先程からじっと弁当を見つめる恋、先ほどのいい香りとは桃の香りではなくもしかしたら弁当から漂うお肉の方だったのかもしれない。
適当に持ってきた御座っぽいのを敷き、重みのある弁当箱を中央へ。囲うようにして四人座る。水辺であれば火を使っても良かったが、万が一ということもあるし今回は自粛、冷めても美味しいように工夫してきた。
「それじゃ、いただきますっと」
目を輝かせ、思い思いに箸をつける。これは美味しい、こっちのはちょっとしょっぱいですね、恋殿、あーんですぞ!などと騒ぎながら時折上を見上げる。
そこには過去も現在も未来も、変わらず同じように咲き続ける桃の花。一刀いた世界まで世代交代しながら同じように咲き誇るのだろう。
「一刀殿、どうかしました?」
「いんや、何でもないよ」
少しだけネガティブが入った気持ちを笑顔で吹き飛ばす。
「ねね、腕、あげた」
「褒めすぎなのですよ、恋殿ぉ。あ、こっちもねねが作ったんですぞ。ささっ、恋殿、あーんですぞ」
「あーん。むぐむぐ、おいしい。ねね、いつでもおよめにいける、ね」
「もちろんですぞ!いえ、むしろ既にねねは恋殿のお嫁さんなのです!旦那様、こちらも食べてください、なのです!」
いい感じに恋とねねがトリップしている。一刀はつい生易しい目で見てしまうが、円はドン引きしていた。この世界ではそんなに珍しい光景ではないが、どうやら円にはそっちのけはないらしい。某覇王様は以下略。
「ほら円も、あーん」
「え、え、うぇえ!?」
誤魔化すべく、隣でイチャイチャしている恋とねねの真似て円に箸でつまんだ卵焼きを差し出すが、しかし一刀の行動に驚いた円は普段聞いたことのないような叫びを放つ。
「・・・円、女性としてその叫びはどうかと思う」
「まどか、がんば」
「さすが恋殿、この情けなくも女性として失格と言える叫び声をあげた円に優しいお言葉をかけるとは。ねねは、ねねはもっと恋殿のことが好きになってしまいますぞ!」
「し、失礼な!全て悪いのは一刀殿、そう一刀です!」
非情な周囲の視線に顔を真っ赤にして襲いかかる円をさらりと躱し、ぱくりと一口肉じゃがを食べる。冷めることでじゃがいもがしっかりと出汁を吸い込みより深い味わいとなる、自分で作っておいてなんだが最高にうまい。再現度もあの時よりさらに上、もう完璧といっても良い出来だ。
「円も落ち着いて、ね。ほらほら、あーん」
「あ、あーん」
目を瞑り、小さく開けた円の口にじゃがいもをひと切れ放り込む。まるでキスをせがむかのような姿に少しだけどきっとしたが、なんとかバレずに済んだのではないかと思う。横目でねねがニヤニヤしていたからあとでお仕置きをしておこう。
「食べたことない味なのですが、ホッとするというか、とても美味しいですね」
「そりゃ俺が作るんだから、不味いわけないな」
「あ、いやそういう意味じゃなくて」
「わかってるって。ほら、どんどんたべ」
そう言い切る直前、円、俺の二人がとある一点に視線を向けた。
その視線の先には、一人の少女。その瞳には何故か殺意を宿して仁王立ちでこちらを睨みつける。
「貴様ら、ここをどこだと思っておるのだ!」
怒りに震え問いただす姿は、とても少女とは思えないほどの迫力があった。だが所詮はその程度、このメンバーを怯ませるには到底足りない。恋なんかは完全に眼中になく、ねねは気づいていないのかそれとも無視しているのか見ることすらしない。
「さぁ?洛陽ではないことは確かかな」
代表で一刀が答える。少女はその答えがお気に召さなかったようでより怒りを込めて叫んだ。
「ここは、私と、母様の思い出の場所だ!そこに堂々と・・・」
だがその叫びはふと何かに気づいた様子を見せると、だんだんと弱くなりついには完全に停止する。そして先ほどの様子とは打って変わって恐る恐るといった視線を向けられた。
「もしや貴様、北郷と申すのではあるまいな?」
おもむろに近づき正面からじっと顔を見つめてきた少女から、懐かしい甘い香りを嗅いだような気がした。
そしてそれからしばらくした後、その少女は玉座に座り、目の前にいる諸侯に見せつけるように隣に声をかける。
「一刀よ、朕に毎日食事を作って欲しいのだ」
これは董卓が諸侯を集め開いた"北郷亭"のお披露目の場。北郷亭は皇帝に献上され、董卓は褒美として様々なものを手に入れる。董卓の栄華はもはや約束されたも同然だ。
わざわざ諸侯を集めたのは皇帝である劉弁の意思であった。先ほどの発言も"北郷一刀は自分のものだから手を出すな"という独占欲から発せられたものであり、皇帝のものにおいそれ手を出そうというものはいないだろう。そこまでに至った経緯はいくつかあった。
一つはあまりにも誘拐が多かったこと。この日を迎えるまでの僅かな期間で数えられるだけでも15回の誘拐未遂が発生していた。いずれも防ぐことができたが皇帝が正式に一刀を迎え入れようとすることで手出しできなくなるだろう。
そしてもう一つ、劉弁が一刀を気に入った故。純粋に傍にいて欲しいと願ったために。
「申し訳ありませんが」
「むぅ、強情じゃな。だがその物言い、朕は許す。しかし朕は諦めんぞ」
皇帝に請われ、それをあまつさえ断る。その異常さが、この場にいた諸侯には信じられなかった。皇帝が本当に欲しいのならば命令すればよい、だが欲しいと頼んだのだ。そして何でもないように断る姿、劉弁もわかっていたかのようにむしろ上機嫌で諦めないと宣言する。
・・・ベタ惚れね。本当に恐ろしいわ。
集められた諸侯の一人、曹操は苦々しく唇を噛む。これではおいそれと手に入れることは叶わず、しばらくは傍観に徹するしかない。ちらりと麗羽に視線を向けるとあちらも笑顔の仮面の下で相当切れているようだ。他にも様々な諸侯がこの場にいるが、皆似たりよったりの意見であろう。
「董卓には特別に褒美を出そう。これからも朕にしっかりと仕えてくれ」
「はっ。かしこましました」
恭しく頭を下げる董卓なる少女を見つめ、曹操は今後について思いを馳せた。
ここまで読んでいただきありがとうございました
まさか色々と考えている間にひと月も経っているとは思いませんでした。
特に誰がやらかすかで相当悩みました。今後の展開が多少なりとも変わってきますので。
結果このような形に収まりまして、矛盾とかあればすみません。
劉弁の喋り方や皇帝のあり方等疑問を浮かべるところが多々あるかと思いますが
難しくしすぎると話が進まなくなりそうなのでスルーでお願いします orz
さてようやく書きたかった部分がかけそうです
次回があればよろしくお願いいたします