フランになりました。   作:天道詩音

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咲夜視点です。


咲夜の世界。

 

 私はフランドール様とレミリア様に仕えるために生きてきました。

 

 お嬢様方が居る紅魔館から一番近い町の外れにある、小さな家に私は産まれました。

 その家は紅魔館に仕えていた私の先祖様が150年前に建てた家で、私の一族はずっとこの家で暮らしていました。

 一族には仕えるべき主が二人います。レミリア様とフランドール様、その両名に仕えるために、技能を幼い頃から学ばされ続けました。

 紅魔館には多くの妖怪が住んでいて、メイドも大半は妖怪と聞いています。

 私はただの人間なので、主の役に立つためには技能を極めていくしかありません。お母様に厳しく学ばされたおかげで、ここまで来ることが出来ました。

 

 どうして私の一族が150年も前に紅魔館に仕えていた、先祖様の主のために150年の歳月を、もう一度仕えるためだけの研鑽に費やせたのは何故かと言うと、それは先祖様が主と約束をしたからです。

 

 フランドール様とレミリア様が共に居られる日々を目指し、出来ること全てをやっていきますと、誓ったからです。

 先祖様はレミリア様方の隠れ家としてその家を建てました。幽閉されていたフランドール様を救出できた時の逃げ場として用意したそうです。

 次に孤児院から子供を引き取り、メイドとしての技能や剣術やナイフ投げの技術を教えていきました、紅魔館に仕えていた先祖との血のつながりは無いですが、私にはその技能と技術が全てを引き継がれています。先祖様と私の血のつながりは無いですが、先祖様の意思は私が引き継ぎました。

 

 あの家にレミリア様方が来られた場合、直ぐに仕えさせる為、来られなくても先祖様が誓った約束を果たすまで研鑽を続けていく事が私達の存在意義でした。

 研鑽を積む日々の中、レミリア様がフランドール様を救出したと一報が入りました。私の祖母やその家族はとても喜び、誰かを紅魔館へ仕えさせるのかと、話し合いが始まりましたが、結局仕えさせることはありませんでした。技術、技能は人としては最上位ですが、妖怪と比べると大した実力ではありませんでした。

 なので技術、技能だけではなく、人工的に能力を使えるようになるために、魔法薬の開発を始めました。魔法薬には力のある妖怪の血液が入っていて、それを少しずつ私達の血に混ぜていく事で、妖怪の血が濃くなっていき、ついに私の代で能力が発現しました。

 

 私の能力は、時を操る程度の能力です。

 時間を止めたり、遅くしたり、速めたりと操ることができます。この能力と継承された技術を全て極めた事で紅魔館に向かう事を許されました。

 

 私は今まで、家の者達に言われるがままに、レミリア様方に仕えるためにと生きてきましたが、レミリア様に会い、心から仕えたいと思いました。

 一族の者達に言われるがままに仕えるのではなく、心の底からレミリア様に仕えたいと思いました。

 

 まだフランドール様とはお会いしたことは無いですが、フランドール様の優しさと、先祖様が残したフランドール様を支えたいと思わせる話をいくつも聞き、フランドール様を支えたいと思っていました。

 

 改めてお願い申し上げます。どうかお二方に仕えさせていただけませんか?よろしくお願いいたします。

 

「あなたの気持ちは伝わったわ。これからよろしくね咲夜」

「…………ありがとうございます」

 

 こうして私はレミリア様とフランドール様に仕えることが出来ました。

 最初の一ヶ月は、紅魔館でメイドの仕事を徹底的に覚えさせられました。後はどれだけ仕事が出来るか、忠誠心がちゃんとあるのかどうかの判断をしていたのだと思います。

 一ヶ月には正式に仕えることを許されました。レミリア様には今後はフランドール様に仕えて欲しいと言われ、今からフランドール様に会いに行きます。

 フランドール様に仕えるのでレミリア様の事は別の呼び名で呼ぶようにと言われたので、お嬢様と呼ばせていただくことにしました。

 これはフランドール様に仕えていると周知させる為なので、レミリア様をお嬢様と呼ばせていただきますが、これからも、お嬢様ももう一人の主だと思い、仕えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

 フランドール様のお話を他のメイドの方達に聞くと、とても可愛らしく、可憐な女の子だと聞きました。毎日花に水をあげて、魔法の勉強をして、部屋でお嬢様の帰りを待つ。優しく、勉強熱心なフランドール様ですが、用事が無いときは部屋から出ないので、私を含め、メイド達はなかなか会えないのが残念だと思っています。私も一度もお会いしたことが無いので今から会える事がとても楽しみです。

 

 フランドール様の居る、お部屋に入ると噂に違わない可愛らしい女の子がベッドに座っていました。

 金でできた糸のような金色の髪に、陶器のような純白の肌、ルビーのように深い紅色の瞳、装飾品のような羽根、それらを更に引き立てる赤い服。全てが可愛らしさを引き立たせていました。

 

「フランに仕えさせるメイドが決まったの。咲夜挨拶をしてくれるかしら?」

「かしこまりました。初めまして、十六夜咲夜と申します。よろしくお願い致します」

「フランドール・スカーレットです……よろしくね?」

 極上の蜂蜜酒のような甘いお声。少し不安そうな声で話すフランドール様を支えたくなる気持ちが溢れ出てくる。

 

「あ、あの咲夜って呼んでいい?……ダメ?」

「もちろん構いません。ありがとうございます」

「ありがとうね! 咲夜! 私のことはフランって呼んでね!」

 これからはフランドール様改め、フラン様とお呼びさせていただきます。フラン様が私の傍まで寄ってきました。下から私を見上げる姿がとても可愛らしいです。私の顔を見ていますが、やはり表情が変わらないのが気になるのでしょうか?

 妖怪の血が混ざった結果、人間性が薄れて、感情も出せなくなってしまったのだと母から聞きました。ですが、従者とは感情を出さず冷静に、常に主を思って行動するべしとも言われたので、感情が出ないことも従者としては悪くないことなのかもしれません。

 ですが、フラン様を少し困った顔にしてしまう、表情の無さが治せればとも思ってしまいます。表情で伝わらないなら、行動でフラン様の事をお慕いしていると伝えられるよう努力していきましょう。

 

 それからはフラン様の柔らかな手と握手をして、これからよろしくと挨拶をして、時を止めて移動をして、驚いていた表情も可愛らしく

嗜虐心を忠誠心で押さえつけました。

 止まった世界で私と遊びたいと言われました。時間を止める度にこのまま時が止まり続けたらどうしようと考えてしまいます。私以外誰も居ない世界ですが、フラン様が共に居てくれるのであれば時が永遠に止まったとしても、悪くはありませんね。

 

 フラン様の従者になって二週間が過ぎました。お世話をするのはとても幸せな事で、毎日が充実しています。フラン様が目を覚まし、顔を洗いに行くのを手伝います。眠そうに顔をくしくし洗っているのを眺めるだけで仕えてよかったと思います。タオルを渡して顔を吹いてもらいます。目をぱっちり覚まして、おはようと言われると一日の活力が沸いてきます。

 次にフラン様はお花に水を与えにいきます。お花におはようとご挨拶をして、水を与えている姿を傍で見ることが毎日の楽しみになっています。

 

「きゃっ冷たい!」

 フラン様がジョウロを落としそうになったので、落ちる前に取ったのですが、フラン様に水が掛かってしまいました。

 

「フラン様申し訳ありません。すぐに着替えを持ってきます」

「ありがとー……服の下まで濡れちゃったよー……」

 フラン様が風邪を引く前に着替えを持って来なくてはなりません。時を止めるのは今この時の為にあるのですね。

 

 服の下まで濡れてしまった事を考えると、下着もお持ちしないといけませんね。フラン様のタンスを開けて着替えを選ばないといけません。私が作製した衣装を取り出します。今日はこの服にして貰いましょう。私が作った服をフラン様が着てくれるなんて、メイドとしてとても幸せな事です。

 

「フラン様。お着替えを用意いたしました」

「ありがとう! 着替えるから待っていてね」

 時を止めて急いでフラン様の元に戻りました。ベッドの真ん中にぺたんと座っているフラン様が服を脱いでいきます。脱いだ服はすぐに回収して、洗濯かごに入れていきます。

 

「下着もご用意したので、脱いでいただけますか? そちらは洗濯に出します」

「はーい。ちょっと待ってね……んー脱いだよ!」

 下着も回収し、洗濯かごに入れたのでフラン様のお身体をタオルで吹いていきます。絹よりも細やかでさらりとしているお身体に触れるのは恐れ多いですが、風邪を引かせないためには必要な事ですね。今とても幸せです。

 

 フラン様の服を着せていきます。優しく丁寧に着せないといけません。万が一でもフラン様のお身体をに傷をつけないように細心の注意を払って着替えを手伝いました。

 着替えが終わったので、フラン様はまた水を与えにいきました。今度は溢さないようにお気を付けください。もし溢した場合はすぐに時を止めますのでご安心ください。

 

 お花と話しながら水を与えているフラン様を見て思います。この幸せな時間が何時までも続いて欲しいと願わずにはいられません。

 

 ですが、レミリア様が戻ってきてフラン様に記憶を戻すのかと聞きました。今のフラン様が居なくなりませんよね?あの可愛らしい笑顔をこれからも見れますよね?

 

「私は記憶を取り戻したいな。辛い記憶があったとしても、全部思い出して……私がフランドールだってちゃんと言えるようになりたいの!」

 それでも、フラン様は記憶を取り戻したいと願いました。ならば私も全霊を掛けて手伝います。従者としてフラン様の願いを叶えるために私の全てをお使いください。

 

 フラン様の為に私は生きているのですから。




投稿時間が遅れてすみません。
三時間遅れになってしまいました。
次がストーリーの最終話なので、時間を掛けて書きたいので次回の更新は三日後でお願いします。
ストーリーとしては最終話ですが、エピローグや後日談などでしばらく続いていく予定です。
次回もよろしくお願いします。

咲夜視点では、
レミリアは仕えたくなるカリスマ
フランドールは支えたくなるようなカリスマ
として描写したつもりです。つもりなだけかもですが!

登場人物紹介
咲夜
フラン様に仕えました。
お嬢様にも仕えています。
従者としてフラン様をお慕いしています。
フラン様の決意に全霊を掛けて手伝うと誓いました。

フラン様
咲夜から見てとても可愛い主様です。
次回はどうなっていくのでしょうか?


咲夜の設定は独自設定増し増しです!
妖怪の血が混ざりましたが、種族としてはちゃんと人間です。

読んでいただきありがとうございました!
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