フランになりました。   作:天道詩音

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レミリア視点になります。


レミリアの記憶。フランの知らない物語。上

 

 一番大切なものが何かと聞かれたら、たった一人の大切な妹、フランだと答えるわ。

 

 私は大きな屋敷に吸血鬼の一人娘として生まれて、年の近いメイド見習いはいても、一緒に遊んでくれるような存在はいなかったから、お母様から来年にはあなたに妹ができますと言われた時は、私と遊んでくれる子が産まれると思い、本当に嬉しかった。

 真冬の寒い時期にフランは産まれた。お母様に抱かれている小さくて弱々しそうなフランを見た時に、お姉ちゃんの私が守ってあげないといけないってその時に思った。

 お母様に抱いてみますかと聞かれたから、優しく持ち上げてみると思ったより重たくてびっくりしたのを覚えている。

 この頃にお父様が亡くなってしまった。お姉ちゃんがお父様の分も二人を守ってあげないとね!

 フランはすぐに大きくなって、半年も経つ頃にはしゃべるようになった。最初にしゃべった言葉が『おねーちゃ』で、それを聞いた時はすぐさまお母様の所に連れて行った。お母様もその言葉を聞いて、フランにとっての一番はレミリアなのかも知れませんねと私を撫でながら笑っていた。その後にお母様が、あなたのママですよーと何度も繰り返して、ママと呼ばせようと頑張っていたのを観ながら、家族って良いなーって考えていた。

 

 一年経つとフランは一人で歩けるようになり、私の後ろをずっとくっついて来るようになった。とてとてとついてくるフランが転ばないか心配で何度も後ろを振り返りながら歩いていた。

 最後には一人で歩かせるのが心配になって手を繋いで仲良く歩いたのも楽しい思い出だった。この頃からフランは私の事を『おねーさま』と呼ぶようになった。かわいらしい声でそう呼ばれると嬉しくて、もっとフランの事を好きになっていった。

 

 二年過ぎればフランは言葉をちゃんと分かるようになり、ことあるごとに話しかけてくるようになった。

「おねーさまあそぼ」

「おねーさまこれよんで」

「おねーさまいっしょにねよ…」

 天使のようにかわいらしい甘い声でお願いされたら何も断れなくて、どんなお願いも聞いてしまった。私たちは悪魔だけれど。

 

 三年後のある日の思い出。妖気の制御をフランに教え始めて、二人で妖気を使って遊ぶようになった。教えるのは私だけど、お母様も傍で優しく見守っていた。

「必殺技を考えたの」

「ひっさつわざ…?」

「そう、相手を一撃で倒す凄い技なのよ!」

「おねーさますごい!」

 目をキラキラさせ、ぴょんぴょんしながらすごいと全身で表現していた。本当に可愛くて私も嬉しくなる。

「フランの必殺技も考えたのよ!」

「わたしのも?おしえて!おしえてー!」

「私の必殺技はグングニル!絶対必中の凄い槍なのよ!フランの必殺技はレーヴァテインで炎の剣で全部焼き尽くしちゃうの!」

「ほのお!かっこいいー!」

「ふふ、そうでしょう!よし、一緒に練習しましょう」

「うん、がんばる!」

 フランにまずは炎の出し方から教えようとしたところでお母様が近づいて来た。

「炎は火傷しちゃうかも知れませんからお母さんもそばに居ますよ。気をつけてくださいね」

「分かったわ!」

「はーい!」

 お母様は私たちの傍ですぐに消火の魔法を使えるように控えてくれて、私たちは怪我も無く必殺技の練習ができた。フランも怪我をしないで必殺技を使えるようになって、いつか私だけでは倒せない敵が現れたら、フランと一緒に必殺技を使って倒そうって約束をしたのは、忘れられない思い出になった。

 

 四年経ったある日、お母様が倒れた。

 元々身体の弱かったお母様は、体調を崩して横になっていることが多かった。それでも突然倒れたのは初めてで、私たちは驚いてお母様に寄り添って泣いている所に執事長が現れて、お母様をすぐさま寝室に運び、妖怪の医師を呼んで診察を始めてくれた。

 診察した結果、原因は不明だけど生まれつき妖気を身体に留めることが出来なかったお母様に、妖気の生成が出来なくなる症状が現れていることが分かった。

 私たち妖怪は妖気が無くなると身体を維持することが出来なくなり死んでしまう。お母様の妖気は減り続けていく一方でこのままでは死んでしまうと言われて、治す方法は無いのかと聞くと、

 

「妖気を留めるか生成出来るようになれば可能性はあります。ただ時間が足りません。出来るだけ時間を作るためには母君と似た妖気を持つお嬢様方の協力が必要になります」

 

 と言われ、何でもすると伝えるとお母様に妖気を送り続けてくださいと言われた。お母様の手を握って泣いていたフランにお母様を一緒に助けましょうと伝えて、一緒に妖気を送り続ける。

 

 一時間、二時間と必死に妖気を送り続ける。医師も必死に原因を突き止めようとしているが見つからない。

 四時間を超えてもまだ見つけることが出来ない。お母様は倒れてから未だに目を覚まさない。

 

 六時間経って遂に原因を突き止めたが、フランは妖気が底を尽きそうになってきたので妖気を送る事を止められた。私たちも妖気が無くなれば死ぬことは同じで、これ以上、妖気が減ればフランも危険だった。止めなさいと言っても妖気を止めなかったフランは限界を迎えたのか気絶してしまった。気絶しただけで大事には至らなかったフランの分も私は妖気を送り続けた。

 

 八時間経過して私の妖気も尽きそうなところでお母様が目を覚ます。目は虚ろながらも私とフランを視界に入れた。

「お母様! すぐに治るからもう少しがんばって! 私もがんばるから…!」

「レミリア…フラン…ごめんなさい…」

「なんで謝るの? まだ治せるのよ! お願い死なないでお母様!」

 私の妖気も底を尽きそうになってきたけど、命を燃やすように妖気を生成し送り続けた。必死で妖気を送る私の頭をお母様が弱々しく撫でた。

「ありがとう…もういいのよ。本当は二人が立派に育つまで一緒に居たかったのだけれど…お母さんはもう十分生きました」

「まだだよ…! まだ私もフランもお母様と一緒に居たいの…!」

「レミリア…フランをよろしくお願いします。あなたの妹はお姉さんに似たのかしっかり者に育ちましたけど、まだ甘えたい盛りなんです。楽しい時も…悲しい時も…二人でなら乗り越えられるとお母さんは信じています……」

「いやっ…! お母様も居ないと駄目なの!」

「どんな時も…二人で一緒に…生きてくださいね……」

 頭を撫でていた手がするりと落ちていった。お母様は優しく微笑みながら二度と目を覚ますことは無かった…。

 

 

「おかあさまねちゃったの?」

 お母様の傍で泣き崩れていると気絶から醒めたフランが心配そうに話し掛けてきたので、フランを抱きしめるとまた涙が出てくる。

「フラン…ごめんなさい…」

「おねーさま…おかあさまは?」

「ごめんなさい…」

「おねーさま…?」

「お母様は亡くなってしまったの…もう目を覚まさないの…」

「なんで…いやだよ…おかあさまおきて…おきてよ!」

 私を突き飛ばしフランはお母様を強く揺すって起こそうとしている。

「ごめんね…フラン…ごめんね」

 私はもう一度フランを抱きしめて泣いた。

「いや…いや!いやあああああああ!っあ……」

 絶叫を上げたフランが突然意識を失って私に寄りかかってきた。

「えっ……? フラン!?」

 倒れたフランは控えていた医師にすぐさまベッドに運ばれ寝かされた。ショックで意識を失ったらしく、私もフランの横に行きベッドに倒れる。私も限界だった。倒れるとすぐに意識を失ってしまった。

 

 お母様の葬儀は小さいながらも行われた。私もフランも最後のお別れをして、私は泣いてしまったがフランは泣いていなかった。

強い子だとその時は思ったけど違った。予兆だったのかも知れない。

 

 お母様が亡くなってからフランが少しずつおかしくなっていった。




イチャイチャが書きたくて書き始めたのですが、中々重たくなってしまいました。
ただフランの過去話まで書いた場合は話が重くなるのは仕方なかったのかも知れません。
次もレミリア視点です。

イチャイチャが書けるまで書き続けるのでこれからもよろしくお願いします。

あと話は変わりますが、文の始まりに半角スペース二回で一文字分空けていたのですが、反映されていないことに気づきました。
全角スペースに訂正しておきました。多少見やすくなったかもです。
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