私たちが住んでいる屋敷はお父様の弟である叔父の屋敷で、お父様はフランが産まれる前に避けられない戦いがあり、そこで亡くなってしまった。
身体の弱いお母様が私とフランを一人で守れる訳もなく、お父様が亡くなった後に叔父を頼りこの屋敷に引っ越した。初めて会った叔父は、弱者共はどうでもいいが兄の家族だったので仕方なく迎えてやるのだと言っていた。
弱肉強食の妖怪の世界では仕方ないことなのかも知れないけど、ボロボロになりながらも屋敷に辿り着いた私たちにあんまりじゃないかと怒ろうとしたらお母様に遮られ、本当にありがとうございますと頭を下げているお母様を見て一緒に頭を下げたのがこの屋敷での最初の記憶だった。
お母様が亡くなってからフランは私の傍を離れなくなった。何処に行ってもフランは着いてきて私の手を離さなかった。一度フランが寝ている時に月を観に行こうとベランダに出たら、フランが起きてしまったのか、お姉様どこ?行かないでと泣き出してしまった。すぐにフランの傍に戻って抱きしめて、ごめんなさいと言いながら優しく背中を撫でて寝かしつけた。
私は魔法の勉強をするために魔道書を読んでいると、フランの話し声が聞こえた。メイドの誰かと話しているのかと思い、気にせず魔道書を読み進めていたけど、しばらく聞いていてももう一人の声が聞こえない。思わずフランの方を見ると壁へ向かって喋っている。
「フラン誰と話しているの?」
「おかあさまがいたの。たくさんはなしたの」
「えっ…?」
フランはお母様と楽しい話をたくさんしたと嬉しそうに話していた。お母様はもう亡くなっているとは言えなかった。
フランが妖気を暴走させてメイドに大怪我を負わせてしまった。叔父に外に集まってきた人間共を殺してこいと言われて、フランにごめんなさい待っていてねと言ってメイドにお守りを任せて、私は外にいる人間達を急いで狩ってくると、私の部屋にメイドや執事が大勢集まってきていた。
部屋に入るとフランが泣いていて、ベッドにはお守りを任せていたメイドが血まみれで倒れていた。聞けばフランが妖気を爆発させてメイドが巻き込まれてしまったらしい。
幸いメイドは命に別状は無かったけど、メイド達はフランが怖いので世話をしたくないと言って、フランの傍には来なくなってしまった。フランの世話はほとんど私がして、私が出来ない時は執事長が行ってくれた。
フランが5歳になって少し経った頃、フランは地下室に閉じ込められてしまった。
私はこの時に、叔父に村が反乱を起こそうとしているので滅ぼしてこいと言われて長い間、外に出なければいけなかった。
この日フランは能力に目覚めた。ありとあらゆるものを破壊する程度の能力に。
切っ掛けはフランが怪我を負わせたメイドの父親が、その事件でフランの事をを殺したいほど恨み、フランを殺そうとしたらしく、フランが自分を守るために、能力を使ってメイドの父親を殺したらしく、その現場を目撃した執事や兵士がフランを取り押さえようと集まってきて、その全員を能力で殺害し、最後には叔父が現れて、腕一本と引き換えにフランを拘束して地下室に閉じ込めたらしい。
私が帰った時には全て終わった後だった。叔父にフランは何処か聞くと地下に閉じ込めたと言われ、外に出してと言うとふざけるなと怒鳴り、妖気を束ねたレーザーを撃たれて、壁まで吹っ飛ばされて止められた。
それでも諦めきれず叔父を倒してでも出そうとしたけど、勝てなかった。最強の吸血鬼と呼ばれていた叔父は片腕を無くしても強く、その時の私は一撃で意識を飛ばされてしまった。負けた私はしばらく自室に幽閉された。もっと強くなって叔父を倒し、フランを必ず外に出すとこの時に誓った。
数年後に部屋を出れるようになった。それまで私は妖気の扱い方をもっと上手くなろうと力の使い方を必死で学んでいた。フランに会いたかったけど地下へ行くことは禁じられていた。会いに行けばフランを殺すと言われていたので行けなかった。
数十年後、妖気の扱い方を極めたと思った。思い描いた通りに扱うことができるようになったから、次は能力を使えるようになろうと、自分の内側を必死に探り、能力を見つけようとしていた。
フランは元気ではあると食事を毎日運んでいる執事長が言っていた。お姉さまに会いたいと毎日言われているとも。私もフランに会いたい。
更に数十年後、執事長が叔父に殺されたと執事長の娘でメイドをしているシーラに言われた。フランが記憶を失ったような言動をしていて、様子がおかしいので外に出して医師に診てもらったほうがいいのではと訴えると、叔父は激怒して妖気の剣で執事長を刺した。それでも訴えた続けた執事長は首を切られ、殺されてしまった。
なんでそこまでしてくれたのと聞くと、
「父はお嬢様方の母君を助けられなかった事を悔いて居ました。あの時、医師やお嬢様方が必死で助けようとしていたのに、傍で立っているだけで何も出来なかった自分が許せないと言っていました」
「執事長は倒れたお母様を直ぐに運んで、医師も呼んでくれてたわ!その後も医師を手伝ってくれてたと思うの。執事長はよくやっていたと思うわ…」
「ありがとうございます。そう思って頂けていたのであれば、父も浮かばれます。私はお嬢様と会う事を旦那様に禁じられてしまったので、最後になりますが父は母君の仰っていたレミリア様とフランドール様が一緒に居て欲しいと願っていたのを叶えてあげたいと言っていました。私も父の願いを叶えたいと誓ったので、出来ることは全てやっていきますが、どうかレミリア様もよろしくお願い致します」
「ええ!どれだけ掛かっても必ずフランを助けると約束するわ!」
「ありがとうございます……それでは失礼致します」
頭を下げてシーラは去って行った。フランが記憶を失っている?今すぐ会って確かめたいけど、まだ会えない。早く強くならないと!
また数十年が経ち、フランが閉じ込められてから百年が過ぎた。私は運命を操る程度の能力を使えるようになった。
運命とは、未来において定められた事象。私の能力は未来に干渉し、ある程度の改変が出来る能力だと理解した。改変出来るか出来ないかは試してみると分かったから、フランを救う為に試行錯誤してみる。
ーー直ぐにフランを救えるか?不可
ーー直ぐに叔父を倒せるか?不可
ーー明日の天気を晴れにする。不可
ーー1カ月後の天気を晴れにする。可能
直近の未来の改変は難しく、遠い未来の出来事なら改変しやすいのだと解った。それなら、
ーーいつかフランを救えるか?可能
ーーいつか叔父を倒せるか?可能
ーーいつかフランと一緒に居られるの?可能
希望が見えた。私は能力を行使する。
「いつかフランと共に過ごせる日々を私はたぐり寄せる!」
能力の行使は一つの事象に対してしか使えない。それでも、どれだけ掛かっても私はこの未来をたぐり寄せる為だけに使い続ける!
レミリア視点は2話で終わる予定が予定より長くなってしまったので、3話で終わらせます。
オリキャラが名前付きで登場しました。この子の視点も閑話として一話使うか、後書きに載せるかは考え中です。
イチャイチャは近づいています!たぶん!
運命を操る程度の能力。
これは原作で使われて無かったと思うので、未来の改変を行える能力としました。それだけだと強すぎるので、一度に一つしか改変出来なくて、近い未来の改変は難しく、遠くなる程改変しやすくなるとしました。
フランを救う未来はどれだけ遠いのでしょうか?