私は多くの妖怪が住む大きな屋敷でメイドをしています。屋敷の主はブラド・スカーレット様で私含めメイド達は旦那様と呼んでいます。
旦那様は最強の吸血鬼と呼ばれていて、誰にも負けた事が無く、この屋敷が恐れられている原因の殆どは旦那様で、過去に辺り一帯の妖怪達の殆どを討伐し、人間達はその強さに畏怖を覚えて恭順を誓いました。
残りの原因は、数年前に屋敷へ訪れたレミリアお嬢様で、一部の人間達が屋敷へ襲撃する時があり、それらを息する間もなく排除した姿が恐れられているようです。
私から見れば、レミリアお嬢様は大変お強いですが、見た目は可愛らしい女の子で私達メイドにも笑顔で挨拶してくれるので、メイド達からの評判が凄く高いです。私ももう一人の主だと思っています。
私の主はブラド様とレミリア様とフランドール様がいます。後者二人はまだ自称私の主ですけどね。
フランドール様はまだ幼く、レミリア様にずっとついて回っている姿がとても微笑ましく思います。今日はフランドール様の母君と遊んでいたようですが、レミリア様の所に行きたくなったらしく、甘い声でおねーさまはどこ?と言われた時は全霊を掛けてお連れしますと誓った程でした。レミリア様の元へ着いたらありがと-!と嬉しそうに言われた時は至福の思いでした。
この幸せな日々はお嬢様方の母君が亡くなってしまった事で終わりを迎えてしまいました。
母君が亡くなられた時の事を父が悔いていました。私の父は執事長としてブラド様が小さな頃から勤めていて、この屋敷で一番の年長者です。父は母君やレミリア様の付き人としてお世話をしていたので、あの日もっと出来ることがあったのでは?知識を持つ者をもっと呼べば、何とかなったのでは?人間の医者を呼べば違う観点から観れたのでは?と救えたかも知れない可能性を考え続けて、その度に後悔してと、繰り返していたと言っていました。
そこにレミリア様が訪れ、母君が亡くなって一番悲しいのに、元気を出してと言われたそうです。レミリア様に悲しく無いのですかとつい聞いてしまったそうですが、私が悲しんで泣いたら、フランも泣いてしまうから。お姉ちゃんだもの、フランを泣かせる訳にはいかないわ。と言われて、母君が仰っていた、レミリアとフランで二人一緒に生きてと言う言葉を思い出したそうです。
そこから父はレミリア様とフランドール様が二人で過ごせる日々を送れるように、レミリア様の手伝いをしたり、フランドール様を元気づけたりと、悔いていた頃とは別人のように快活に働くようになりました。私も元気になった父を見て嬉しく思い、改めてお嬢様方に感謝と忠誠を誓いました。
そんな中、フランドール様が旦那様によって地下室に閉じ込められました。
父はフランドール様から事情を聞き、他のメイドが見つけた遺書によってその時に何があったのかが解りました。
フランドール様だけが悪い訳では無いと父が報告に行きましたが、肩を切られて血を流し、帰ってきました。幽閉を止められませんでした。
フランドール様をかなり憎んでいる様子だったので、刺激しない方がいいと釘を刺されました。
レミリア様はひどく悲しんでいました。寝る時も一緒に居たフランドール様が居ないことで眠れなくなってしまいました。私は夜通しレミリア様の手を握っていました。何日か経てば、眠れるようになっていましたが、悲しそうな表情は晴れませんでした。何かできる事が無いかと考えて、フランドール様を模した人形を作ってレミリア様に渡したら大変喜んで頂けました。久々にレミリア様の笑顔を見れて嬉しく思いました。
レミリア様が強くなって旦那様を倒して、フランを救い出してみせると言っていました。父からはフランドール様がお姉さまに会いたいとずっと言っていると聞いてるので、どうかその二つの願いが叶うようにと祈らずにはいられませんでした。
祈り続ける日々は父が亡くなった事で終わりを告げました。父はフランドール様の部屋から戻り、珍しく私の元へ来ました。フランドール様の様子がおかしく、記憶を無くしてしまったかも知れない。今から出して治療すれば元に戻る可能性がある。それかレミリア様と引き合わせれば治るかもしれないと言い、それを旦那様に伝えに行くと言われました。
フランドール様を憎んでいる旦那様にそんな事を言ってしまえば殺されますと言いいましたが、父の意思は固く、レミリア様とフランドール様の事をよろしくお願いしますといい、行ってしまいました。父を次に見たのは亡くなった後でした。
私は旦那様の部屋に呼ばれて、扉を開けると首の無い誰かが倒れていた。壁の下を見ると父の首がありました…。
ー執事長は俺に指図をしたから殺してやった。
ーお前は逆らわないよな?
言葉と共に巨大な妖気が放たれて、恐怖で身体が震える。父が殺されたのに…お嬢様方が共に居られる日々を願ったのに頷いてしまった。
ー次があいつに運ぶ最後の食事だ。
ー渡すときにお前のせいで執事長が殺されたと言え。
ー監視を付ける。言わなければお前を殺す。
食事を運ぶ時に、その通りに言ってしまった。自分の命よりも大切な願いがあったのに…自分の命を優先してしまいました。
監視が消えて、部屋に帰ると涙が止まりませんでした。泣きながら思うのは、父の願い。レミリアとの誓い。フランドール様との思い出。私の祈り。
私はたった二人の主に誓います。この命が終わるまで、レミリア様とフランドール様が共に居られる幸せな日々を願い。そのためだけに私は生きると…私は決意しました。
数十年、ブラドに悟られないようにフランドール様に料理を届けました。少しでも悟られる可能性を潰すため、フランドール様には一切話しかけませんでした。料理も私に与えられた料理を届け、私はそこから僅かばかりを食べて生きました。
レミリア様は更に強くなったと友人たちから聞きました。きっと昔よりももっと凛々しく、かっこ良くなっているのでしょう。友人たちから聞くレミリア様の話が私の支えになりました。
フランドール様も元気が余っているのか、妖気を使って遊んでいました。ただ、扉に妖気をぶつけて大きな音を出すのは不味いです。話しかけないと誓っていましたが、フランドール様に扉にぶつけないでくださいと注意してしまいました。ごめんなさいと誤った声は、昔と変わらずにとても可愛らしい声でした。
…………血が止まらない。ブラドが扉の結界を強化して、戻るところに鉢合わせして、料理を届けていた事がばれてしまった。剣で刺されて料理を落とし、倒れ込む。
傷口を押さえても、血は流れていく一方で薄れゆく意識の中思うのは、私のたった二人の主の事……。
申し訳ありません…レミリア様…フランドール様…どうかお二人が幸せにに…一緒に居て笑い合っていた日々を送れますように…祈っていま……す…………。
オリキャラは出すつもりは無かったのですが、プロット無しで始めた結果、色々補完しないといけない事が増えて、メイド視点を追加してしまいました。
レミリア視点で全部補完できればよかったのですが、話の展開を変えれずに一話追加する事になりました。
これで他人の視点は終わりです。
次からはイチャイチャ編スタートですよね!たぶん!
人物紹介
メイド(シーラ)
今回の視点の人。
ブラドと執事長の掘り下げと、料理を運ばなくなった訳を書く為に登場してもらいました。
シーラが食事を運んでいなかったらフランドールは亡くなっていました。
ifの話ですが、もし生きていたら咲夜さんの立ち位置になっていました。
執事長
先代から執事長を勤めていました。
レミリア達の世話役をしていたのですが、母君とフランを救えなかった事を後悔していた。
レミリアの優しさと主としてのカリスマを見て、最後はレミリアを主と仰いでいました。
ブラド
ーー在りし日にあった会話。
どうしてそんなにフランドール様を恨んでいるのですか?
……俺の能力は知っているか?
申し訳ありませんが存じ上げません。
俺の能力は再生する程度の能力だ。大抵の傷は直ぐに治るが、あいつに破壊された部分は治らない。分かるか?治らない傷を修復させようと能力は発動し続ける。その時の激痛が。剣を突き立てられ、掻き回される様な痛みを絶え間なく受けている苦痛を。故にあいつにも同じような苦しみを与えてやる。飢えて苦しみながら死んでいけ。
再生する程度の能力で全ての怪我を瞬時に治すはずが、フランの能力で破壊された腕と胸の傷が治せずに、永遠の苦痛を受けていた。
痛みはあっても戦いの中で死にたかったブラドは、レミリアに殺された時、やっとその苦痛が終わるので、これで漸く死ねると言っていた。
↑を作中内に入れることができなかったので、こちらで補完させて貰いました。