麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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 毎回、思っていて中々言えなくて申し訳ないです。いつも誤字報告して下さる読者様、ありがとうございます。この場にて感謝を。今後ともやらかすと思うのでよろしくお願いします。
 能力を納涼とよくタイプミスしてします。何とかならないか?


328 十二頁「雪の国にて」

 アラバスタ王国を示す進路を無視して海を彷徨う事一日が過ぎた。島は見つかっていない。

 

 何時も通り、指定席となりつつある場所に座り込み読書を続けるスマラ。ナミの命が掛かっているものの、平常運転だ。

 ナミが寝込んでいるので、いつもと配置が少し違う。サンジとビビがナミの看護にあたり、ゾロが見張り台で双眼鏡片手に島を探す。ルフィとウソップは有事に備えて外で遊んでいる。

 つまり、いつもと変わらないというわけだ。ナミが寝込んでいるので永久指針や記録指針で進まず、波の思うが侭に海を漂っているだけだ。

 

 今日も発展がないまま一日が過ぎるのかしら?と緊迫感を全く感じずにスマラが思っていると、船が大きく揺れた。窓の外の景色は雪雲だけなので、天災が起きたわけではないらしい。となると、自然現象以外による揺れ。

 見聞色の覇気で辺りを探ってみると、この船の反応以外に沢山の反応が返ってきた。

 

 海でこの様な反応が返ってくる場合は、貿易船か客船、海軍の軍艦、または海賊船だ。貿易船や客船が海賊船であるこの船に近づく必要はない為、考えられるのは海軍の軍艦か海賊船の二択のみ。

 反応の大きさを考えると、海軍にせよ海賊船にせよこの船の敵ではなさそうだ。放って問題ないだろう。

 

 スマラはこの船にいくらかの人が乗り込んで来るのを感じ取りながら、本当の有事に備えて動ける態勢につく。

 暫くすると銃声が聞こえてくる。戦闘に入ったようだ。海軍なら問答無用で攻撃を仕掛けてくることから、相手は海賊。

 次々に消えていく反応を感じながら、スマラは読書に戻っていく。戦闘はこちら側が優勢も優勢だからだ。

 やがて、一番強い反応が海のかなたに消えて行くのを最後に、戦闘は終了したみたいだ。スマラがこの船に乗って初めての襲撃事件だったが、余程の相手でなければ問題ないことが分かった一件になった。

 

 

 

 夜も更けて深夜三時を過ぎた頃。ナミが目を覚まして身を起こした。

 

「日中寝ていると変な時間に目が覚めてしまうものなのかしら?」

 

「…すまら?この状況は?」

 

 声を掛けてくれたスマラに、ナミは部屋を見渡して訪ねる。女の子部屋であるはずのこの部屋に何故か一人を除いて寝ているからだ。

 ルフィだけではなく、ウソップやゾロまでもいる。それ程心配を掛けているのだろう。

 

「見ての通り、心配なんでしょうね」

 

 スマラはナミの額に手を当てて体温を計った。能力で熱量を測れるのだろう。

 

「まだ上がっている。安静にしときなさい。ホントに死ぬわよ」

 

 ポンと肩を押して身体を寝かせると、ナミは感極まったのか毛布を頭まで被ってしまった。

 スマラはナミが再び寝息をつくまで見守ると、コッソリ部屋を抜け出してキッチンへ向かう。お湯を沸かしてあったかいミルクティーを二人分淹れる。このくらいは問題ない。

 船内を出て甲板に出ると、ミルクティーが零れないように慎重に上に登る。目的地は、

 

「うぅ、寒ぃ。……もう直ぐ満月だな」

 

「明日くらいじゃないかしら?」

 

「スマラさん!?」

 

 今夜の見張り役のサンジの下だ。サンジはスマラが現れたことに驚く。

 

「見張り番は普通二人以上でやるものよ。まぁ、この船は乗組員が少ないから仕方がない事かもしれないけれど」

 

「そうですね。ミルクティーありがとうございます」

 

 サンジは礼を言うとスマラからカップを受け取った。

 暫く無言でミルクティーを飲む時間が続き、サンジが耐え兼ねてスマラに話題をふる。

 

「寝ても大丈夫ですよ。何か起きたならルフィやアホ剣士をたたき起こすので」

 

「…問題ないわ、昼間に寝ればいい話よ。それに今は有事、普通の時は夜になったら寝るわよ」

 

 ナミが病気だから。スマラはそう言う。

 仲間でないと言いながらも有事には動いてくれている。そんなスマラにサンジは笑った。

 

「ナミさんは助かりますよね、スマラさん」

 

「……………どうかしら?」

 

 サンジの弱音にスマラは明確に答えない。スマラの中ではナミは助からないと思っているからだ。

 確定したわけではないが、ナミの病気はケスチアだろう。恐らく普通の病院では特効薬などまず手に入らないし、診断できるかも微妙なところだろう。奇跡的な確率で医学の発展している国に漂流しない限りナミの病気は治らないはずだ。

 心当たりは幾つかある。偉大なる航路序盤では一つ。雪国だったのでもしかしたら……とこの船の運の良さに驚いていた。

 

「それじゃあ戻るわ。カップは片付けておいてあげる」

 

「あぁ、ありがとうございました。面倒だったら置いておいてもいいですよ。俺がやっておきますので」

 

 サンジからカップを受け取り見入り台から降りるスマラ。なんてことのない、だたの気まぐれが起こした行動だ。スマラ自身でも何故気まぐれを起こしたのか分からない。

 この船に乗っているからだろうか?それがいい方向に向いているのか、それとも悪い方向に向いているのか。知る者は誰一人いるはずが無かった。

 

 

 

 

 

 何処に行けばいいのだろうか?

 誰を頼ればいいのだろうか?

 それを探す目的もあったはずだ。

 これが、答えなのだろうか?

 この答えは本当に正しいのだろうか?

 それは………………………………………。

 

 

 

 

 

 雪が安定して降り続けている。

 気候が安定しない偉大なる航路で気候が安定しているのは、島が近い証拠である。このまま行けば島が周囲に見えてくるだろう。

 と、言ったそばから「島が見つかった」との報告が外から聞こえてくる。

 気候から考えるには恐らく冬島。外は寒いのでスマラは船内に閉じこもった。

 

 船が島の河口に入ると、周囲に少なくない反応が返ってくる。先日の海賊と比べても大差ない。対象出来るであろうとスマラは放置。

 銃声が一発聞こえてきたが何とか話し合いで解決できたらしく、船をこの場に停留して上陸することになった。とルフィとサンジが教えてくれる。

 

「そう、それで?」

 

「上陸はどうしますか?」

 

「一緒に行こうぜ!!」

 

「……後で行くわ。適当に見て回るから私のことを待つ必要はないと前から伝えているけれども?」

 

「あぁ、ならいいんだ。俺が聞きたかっただけですよ」

 

「えぇ~今回こそは一緒に行きたかったのに~」

 

「黙れ!?今回はナミさん優先なのを忘れるんじゃねぇぞ!!」

 

 どうしてもスマラと一緒に島の探検を行いたいルフィをサンジが止める。あくまでも今回はナミ優先だと。それ以外にも、スマラの好きにさせてあげたいという思いもあるのかもしれないが。

 ルフィとサンジが去ると、船内は再び静寂に包まれる。船にはスマラとゾロ、ビビのペットカルガモのカルーだけとなった。

 

時間が少し経ち、何となく気になったスマラは甲板に出る。すると、寒くて毛布に包まっている震えているカルーに話しかけているゾロの姿が。

少し意外だったのと、話していた内容が可笑しかったのでつい反応してしまう。

 

「それは治ったとは言わないわよ」

 

「あぁん!?なんだスマラか。いいんだよ俺はこれで。いい加減筋トレにも飽きて来たところなんだ。一本勝負とかどうだ?」

 

恐らくリトルガーデンで受けた傷を、針で縫い付けてまだ塞がり切っていない状態で治ったと言い切るゾロ。その上鍛錬としてスマラと組手をしたいと言い出す始末。手の付けようの無いバカだ。

スマラは深〜くため息を吐いた。

 

どうしてこの船にはこうも個性的な人間が多いのかしら?ますます興味深くなって来たわ。

とはいえ、流石におかしいわよ。まだ完治しきっていないのに私と戦いたいってどんな戦闘狂なのかしら?

 

怪我人とは、健康であっても模擬戦闘はしたくないスマラは呆れた目をゾロに向けた。

 

「誰が戦うものですか。私が戦うのは自分に害がある場合のみよ」

 

害がある場合。それは、自分と同格レベルの相手のみだ。簡単に言えば偉大なる航路の上位。それ以外は戦闘にすらならない。

スマラが戦闘を開始する=この船では絶対に勝てない相手のみだ。そんな相手は当分現れる訳が無いとスマラは高を括る。

 

「チッ、そうかよ。だったら寒中水泳でもやろうかねぇ」

 

スマラが嫌そうに断ると、ゾロは舌打ちをして上半身の服を脱ぎ去った。気温が氷点下で雪も降っているのにバカだ。

幾ら鍛錬だと言おうとやって良いことと悪いことがある。身体を真っ先に壊すに決まっている。もっとも、それを越えた先に限界を超えた強さが手に入るのかもしれないが。

 

勝手にしなさい、とスマラは心の中で答えると船を降りる。島に上陸して本を探す為だ。

初めて訪れた島なのに案内は要らないのか?見聞色の覇気が有れば問題ない。人の反応が多い場所に向かえば良いだけだ。

雪に足を囚われながらも森の中を歩いていると、先方から銃を装備した集団が現れる。彼はスマラを見ると銃をスマラに向けて構えた。

 雪が降っている中、防寒性もなさそうな普通のちょっと高価っぽそうな服装で歩いている見たことのない人。そんな者を発見して、島の警備隊に属している彼らが銃を構えて身元確認をしないわけが無いのは当たり前だ。

 

「貴様!!何者だ!!答えろ!!」

 

「さっきの船に載っている者ですよ」

 

「そ、そうですか。……その格好、寒くないですか?良かったら服貸しますよ?」

 

「結構です。それじゃ私は行きますので」

 

「気を付けて」

 

 スマラは全く気付かなかったが、男どもはスマラの美貌にノックアウト。少し赤くなりながらもスマラを見送った。

 その後少しボーっとしていた彼らは気を取り戻すと、何故彼女に好意的に接したのだろう?と疑問を抱いながら海岸沿いの警備についた。

 

 

 森を向けると集落が見えた。雪が積もらないように急斜面になっている屋根は、冬島ではよく見られる光景で、スマラは特に珍しがることもなく集落を進む。

 途中で気のいいおばちゃんに本を扱ている店を訪ねて場所を教えてもらい、その店に入って本棚を物色し数冊選んだ。

 流通もある程度ある島なのか、殆どが見たことのある本。

 スマラはため息を吐く。

 

「はぁ、やっぱり余り無いわね。自分で集めるのも限界に達してきたのかしら?」

 

 何気ない独り言。そんな言葉に返答があった。

 

「お姉さん、何かお探しかな?」

 

 店員さんだった。スマラがあまり本が無いと嘆いていたのが聞こえたのか、ご丁寧にも要望の本を探してくれるそうだ。

 スマラは期待半分諦め半分で頼ることにする。

 

「この島で珍しい本が置いている場所はないかしら?どんな場所でも構わないわ」

 

「珍しい本?それはただの書店や雑貨店ではなくて?う~ん??………あっ!どんな場所でもって言ったよね?」

 

「えぇ。歩いて行けなくても問題ないわ。置いてあるだけでいいの」

 

 何と店員さんはスマラの要望に心当たりがあったらしい。店員さんは窓の方に向かって「あそこが見えますか?」と聞いてくる。

 指の先には島に入った時に見えたり円柱状の山々。その内最も標高の高い山を指して説明してれる。

 

「あそこの山には前国王のお城があるんだ。今は魔女が住んでいて、そこならなにか珍しい本があるかも知れないよ」

 

「分かったわ。……それと、この国の名前は?」

 

 そう言えばそうだった。何となく予想はつくが、スマラはこの国の名前を聞いていない。

 この機に尋ねてみる。

 

「名前は無いよ。滅んだばかりだからね」

 

「滅ぶ前の名前は?」

 

「ドラム王国さ」

 

 やっぱり。とスマラは内心微笑んだ。

 ドラム王国は世界会議にも参加を許された国で、医学が発展していると本で紹介もされている。この国ならナミの病気を治す事が可能かもしれない。それに、読んだことのない医学書だってあるかも知れない。

 麦わらの一味の引きの良さを喜びながら、スマラはそう思った。

 

 スマラは早速お城に向かう事にする。何故魔女が住んでいるかなどどうでもいい。国が滅んだ理由もどうでもいい。

 とにかく読んだことの無い本が読めれば良いのだ。それが医学書であっても。

 

 店内の出口に向かっていると、店員さん慌ててふためく。

 

「ちょっ!!冗談ですって!!確かに山の頂上に魔女がいますけど、誰も登れる訳が無いでしょう!!それに、森にはラパーンって言う危険な動物まで居るんですよ!!」

 

「…………」

 

 店員さんの喚き声にスマラは立ち止まる。店員さんは嬉しそうにパァーっと笑顔を見せて…

 

「良かった。えっと他に取り寄せたい本なんかは…」

 

「私は珍しい本が読みたいの。場所は関係ないわ。もし私が死んでも貴方に罪は無いわよ。これ以上喚くなら物理的に黙らせるから」

 

「ひっ!!」

 

 恐らくスマラをナンパしたかった店員さんは、スマラの冷たい視線を受けて尻もちをついて後ずさる。少々相手が悪かったと諦めるしか無い。

 しかし、店員さんの情報が役に立ったのも事実。スマラはお礼だけ言って立ち去った。目指すはドラムロッキー。移動は疲れそうだが、立ち入り禁止ではないし行けないこともない。ならば行くしかない。

 スマラの頭では既に、新しい本を想像してほわほわ状態だった。

 

 

 時同じくして、サンジとルフィもナミを背負ってドラムロッキーを目指し始めていた。

 

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