麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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次回イベント何かなぁ。空白期間か四章だと楽。


332 十四頁「厄介ネタ」

 寒いだろうから、と言われて治療の終わったナミが眠っているベットの近くにある暖炉前に座っていた。

 何冊目だろうか?夕方かも知れないが、生憎曇り空で太陽が見えない。多分夕方前だろう。

 部屋にはナミとスマラだけでなくチョッパーもいる。時折ナミの容態を確認しながらゴリゴリと薬を作っていた。

 今もナミの容態を確認しようと椅子の上から降りてトコトコと歩いている。と、目が覚めたらしいナミが足音に反応した。

 

「だれ?」

 

 ビクッ!!ドン!!ガシャン!バタ、バタとモノが崩れる音が連続して起きた。

 スマラも音に反応して本から顔を上げる。顔を上げると、ドアの奥で逆覗き見をしているチョッパーを身を起こしてじーっと見つめるナミが確認出来た。

 しばらく眺めていると、チョッパーが喋る事に驚いたナミが驚きの声を上げ、その声にビックリしたチョッパーがドタバタと逃げ去っていく。

 チョッパーが逃げて行った部屋で、スマラはパタンと本を閉じるとナミに近づいた。

 

「おはよう。体は大丈夫かしら?」

 

「あ、スマラ。……ん、まだちょっと怠い気がするけど、意識があった頃に比べると平気そう」

 

「そう。なら良かったわ。もう少し安静にしていなさい」

 

「ヒ————ッヒッヒッヒ!!熱は多少引いたみたいだね小娘!!」

 

 独特な笑い声と共に現れたへそ出しスタイルの長身な老人ドクトリーヌだ。チョッパーが起こした騒ぎを聞きつけてやってきたのだろう。

 スマラは彼女に場所を譲ると、椅子に戻って様子を伺う。

 ドクトリーヌはハッピーかい?と又しても謎の単語を口に出しながら指をナミの額に当て体温を測った。地味ながら凄い特技だ。スマラも体温を測れるが、悪魔の実があってこその能力。素で行えるのは称賛物。

 ドクトリーヌは酒をあおりながらナミに病気の診断結果を説明する。スマラの診断通りケスチアだった。

 

 説明を受けたナミはここに三日拘束される事に異を唱えた。ビビのために急いで出発しないといけないからだ。

 しかし、相手は医者だ。ポリシーもあって、完治するか死ぬまで面倒は見るというもの。

 ナミはベッドに押し倒され、メスを首元に持って来られて脅される。

 ナミは何とか早く出発しようと思い、スマラに目を向けた。スマラなら言いくるめられるはずだ!!そんな希望が目に宿っている。

 

「……スマラ」

 

「私もドクターに賛成よ」

 

 希望が崩れた。しかし、何かあると思い続けてみる。

 

「……本音は?」

 

「ここには珍しい医学書があるわ」

 

「あ、そう」

 

 何処までもスマラだった。

 ナミはジト目をスマラに向けると、ベッドに寝転んで安静になった。と、ここで安静にしてくれないのがこの作品。

 部屋の外からのドタバタと喧騒が聞こえてきて………先ほど出ていったはずのチョッパーが隣の部屋で寝ていたはずのルフィとサンジを引き連れてやって来る。喋る動物だろうとお構いなしに食い飯地を張っているらしい。それとも喋る事を知らないのか、サンジまでもが調理を考えている。

 話を聞かない二人のしつこさにいい加減に堪忍袋の緒が切れたのか、チョッパーは人獣型に変身して二人を振りほどいた。地面に叩きつけるようにしたのは、医者としてどうかと思うが、二人が悪いということにしておこう。ドクトリーヌもチョッパーの行いに何も言わない。

 普通なら怪我の一つや二つ負っているはずなのにケロッと立ち上がるサンジとルフィ。そんな二人の目が椅子に座って読書を再開させていたスマラに向けられる。

 

「あ、スマラおはよ」

 

「スマラさ~ん!!どうしてこんな場所に?まさか俺のことを心配して……っ!!」

 

「お前、この山を登ったのか!!」

 

「………開口一番うるさいわよ。私は珍しい本を探してこの場所に辿り着いただけなの、貴方たちを追って行った訳ではないわ」

 

 一言で会話をぶった切って読書に戻るスマラ。そんな彼女にドクトリーヌが呆れた様に声をかける。

 

「飽きるものだと思っていたが、そいつの内容が分かるのかい?」

 

「………大体は分かるわ。分からない単語も解説されているし、ほかの本を読んで補えているもの」

 

「……あんたは医者の端くれなのかい?小娘の病気を一足先にケスチアと診断していたけど」

 

「ただの知識を持っているだけよ。私には技術が無い。……………ただ、それだけ」

 

 スマラは何処か遠い所を見ながら返答した。何処を見ていたのかは本人だけしか分からない。

 

 会話を終わった。ルフィとサンジがドクトリーヌと同じテーブルについて会話をしているが、スマラは参加してこない。話自体は聞いているかもしれないが、無視して読書に浸っている。

 途中でルフィとサンジがチョッパーを追いかけて部屋を出て行き、ドクトリーヌが二人を追いかける。ナミが騒ぎに不満を呟き、戻ってきたチョッパーがナミに安静にしているように言う。と、再びルフィとサンジがチョッパーを追いかけ回し、ドクトリーヌが諦めて椅子にドサッと座る。

 ナミがチョッパーを勧誘していたことにお言葉を指すドクトリーヌ。チョッパーの過去を語った。スマラも物語なら……と聞き耳を立ててた。

 

 他の仲間と少し違ったから親に見放されて、悪魔の実を食べたからいよいよ追い出された。それでも仲間が欲しくて探した。それでも仲間は見つからなかった。……たった一人のヤブ医者を除いて。

 私と、似ていないこともないわね。唯一違うところは、たった一人でも生きていけるけど仲間が居ない私と、たった一人では生きていけなかったけど仲間と呼べる存在が二人は居るトナカイ人間。………どちらがいいのかしらね?まぁ、私は今の人生に満足だけれども。

 

 と、チョッパーがトナカイ姿で帰って来た。開口一番に「ワポルが帰って来た」と言う。

 ワポル?誰だか分からないが見聞色で探って見たところ、数日前船を襲ってきた海賊と同じ反応が三つだけあった。彼がワポルだろう。何故ここに「帰って来た」と言われているのかは分からないスマラだったが。

 チョッパーとドクトリーヌは直ぐさま正面玄関へと急いだ。チョッパーを追いかけていたルフィとサンジも流れるままに正面玄関へと向かう。城内に残されたのはベッドで寝ているナミと本を読んでいるスマラだけになる。

 と直ぐにルフィが帰って来た。外が寒いので服を取りに来たらしい。一番の戦力が戦線を離れていいのだろうか?

 ルフィはその辺を漁り始める。普通そんな場所にある訳ないと分かるだろうに。それに、ルフィはこの城に着いた時点でコートを着ていなかった。つまり、いくら探しても見つかるはずがない。

 ナミが気になって外の様子を聞くとルフィは喧嘩だと言う。喧嘩なわけがないが、ナミにはそれだけで十分だったらしく、自身のコートをルフィに貸し与える。ルフィは文句を言いながらもナミに言いくるめられてコートを借りて出ていく。

 

「なんだ、何語事かと思っちゃった」

 

「どうして彼にコートを貸し与えたのかしら?戦闘に行くならキレイな状態で戻ってくるはずないわよ?」

 

「あ………まぁそうなったらあいつに貸しを作れるわ」

 

 酷い考え方だ。

 スマラは読書に戻る。外で戦闘が起こっているならここも安全ではなくなるかもしれない。スマラは読書のペースを上げた。

 そのせいで、こっそりと部屋を抜け出すナミを引き止める事はなかった。もっとも、見ても引き留めたか分からないが。流石に病人なので戦場になるかも知れない場所から出ることを一言は言うと思うが。手の届く範囲で病人に手を出すのを黙って見過ごす程スマラも心情がないわけでないのだから。

 なので、スマラは読書を続ける。見聞色で周りを常に索敵しているが、医学書と言う頭を使わないと読めれない部類の本なので大雑把になっている。近くのナミが部屋から抜け出した事に気づかないくらいに。かと言ってスマラ自身に攻撃すれば気付くし、反射が勝手に動いてくれる。

 

 

 時間が少し経った。城内が騒がしい。

 何事かと本から顔を上げると部屋の中は大渋滞だ。どうしてこんなに人がいるのかしら?そう思って辺りを見渡すと、ナミだけでなくビビが居た。一体何時の間に登ってきたのだろうか?

 

「あ、スマラ。もう直ぐこの島を出発するから準備してね」

 

「そう。なら早めにしなくてはいけないわね」

 

 スマラは出発が近いと知ると、持っていた本をペラペラと一気にめくった。一冊目が終わると本棚から次々と取り出してはペラペラと捲る。二冊目、三冊目四冊目五冊目…………本棚に収納されていた本すべてをそうし終えると、疲れた様子で「準備が終わったわ」と一言。

 見かねた大男———ドルトンさんが「彼女はいったい何を?」とナミとビビに尋ねる。

 

「私も長い時間一緒に居た訳ではないので、スマラさんの事はよく分からないんです。ナミさんは?」

 

「本に関する行動なのは分かるけど………ねぇスマラ、何をしてたの?」

 

 わからないことは聞いて見る。経験上、この先の航海や誰でも知れるような情報以外は教えてくれるはず。一応立場上、こちらの方が上なのだから。

 スマラは一瞬ドルトンに目を向けるが、直ぐに興味を失ったようにして目を逸らしてナミの質問に答える。

 

「速読よ。流石にここの本を持っていく事は出来ないわ」

 

「へー、地味に凄いスキルね。後で内容を堪能するってわけ?」

 

「堪能と言うよりも読み解くと言った方が正しいかしら。それで、急がなくてもいいのかしら?」

 

「「あっ!」」

 

 スマラに言われてここから出発する準備を開始するナミとビビ。隣の医療室で寝ているサンジを二人して引き摺って城内を出る。スマラが手伝えばこの様な苦労をしなくてもいいのだが、言われないので黙っておく。面倒な労働は嫌いだから。

 

 外に出るとチョッパーがルフィと対峙していた。ルフィがチョッパーを誘ってチョッパーが断っているようだ。スマラと似ている。

 自分をトナカイで角も蹄もあるし、青鼻だし、海賊にはなりたいけどバケモノだから……と言って断っている。スマラとの違いは本当は行きたがっている心だけ。

 だから、お礼を言いに出て来ただけだと言うチョッパー。また気が向いたら遊びに来て欲しいと言葉と被るようにしてルフィが「そんなことはどうでもいい。行こうぜ」と誘った。

 勧誘方法としては超強引。いったいどこに、うるさいと言う勧誘方法があるのだろうか。たぶんここだけだ。

 しかし、チョッパーにはその強引さが最後のひと押しになったようだ。声を上げなら泣いている。この船に乗る決意が決まったらしい。

 

 医者ゲットってわけね。偶然立ち寄った島にしては上出来な結果だわ。

 今後病人が出ても私が診察しなくても済みそうだわ。良かった。

 それにしても、まさかロープウェイがあったのね。白い風景に紛れて誰も気づかなかったとは、私としても見落としていたわ。どうして山の上にお城があるのに交通手段がなかったのか?とね。少し考えれば分かるはずなのに。

 

 スマラが自身の推測不足に嘆いていると、チョッパーが戻って来た。後ろに刃物を投げつけて追ってくるドクトリーヌを引き連れて。多分、お許しを得られなかったのだろう。

 チョッパーは獣型でソリを引いてこちらに向かって走って来る。ロープウェイに乗らず、ソリを使って山を降りるらしい。後ろから刃物を投げつけてくるドクトリーヌに驚きながら急いでソリに乗る。

 ソリは大人数で乗ることを想定している訳ではない中型タイプなので、全員が乗るといっぱいいっぱい。ナミとビビがサンジが落ちないように抑えて、ゾロとウソップが反対側に腰掛ける。最後尾にルフィとスマラが乗ると満席。スマラは一瞬降りようか?と考えがよぎったが、どうせ乗れるなら一緒に連れて行ってもらった方が楽だと思いそのまま腰掛ける。

 ロープは白い色で張られており、チョッパーは兎も角人が乗っているソリが安定して降りるには少々ぐらつくが、チョッパーは速度でカバーする。途中でルフィがふざけて空気抵抗をもろに受けてソリから落ちそうになり、慌てたウソップが何とか引っ張り上げると言う事故があったものの、ソリは無事に地面に着地した。

 

 森を抜けている最中にドン!ドン!と発泡音が島に響いた。何事かとソリを止めて振り返って見ると、桜が咲いていた。

 いや、本当に桜の木が咲いている訳ではない。ドラムロックを木の幹として、辺りに降り注ぐ雪を桜の花に見立てているのだ。

 幻想的。いったい誰がこんな方法で、雪国に春島の植物を咲かせて見せようと思いつくのか。

 チョッパーには思い当たる節があるのだろう。大号泣している。一同もその幻想的な景色を見て立ち止まり空を見上げていた。

 そしてスマラも夜に咲く桜を見て、少しだけ感動的になっていた。

 

 

 

 

 

 桜を咲かせてから少しだけ時間が経ち、麦わら一味の船が出航した頃。赤い塵が付着した雪も殆どが地面に落ちてゆき、夜空には満月が夜を照らしていた。

 ドラムロックの頂上。雪の上に座って麦わら一味の出航を見守っていた人物が二人。言わずと分かる、チョッパーを取られたドクトリーヌと国の代表ドルトンさんだ。

 奇跡は起こった。国は生まれ変わる。笑顔で二人は話していた。そんな中、ドルトンさんに報告が入る。

 麦わらのルフィに伝言があったそうだ。ドルトンさんは心配ないと言う。伝言の島と麦わら一味の目指している島が一致しているからだ。

 一方でドクトリーヌはモンキー・D・ルフィの名前を聞いて、何やら感傷浸っていた。139歳ともなればDについて知っている情報も世間とは違うらしい。

 そして、

 

「あぁ、思い出したね」

 

「何がですか?もしかして何か伝える事が……」

 

「違うよ。…あのクリーム色の髪をした娘のことだ」

 

「彼女が何か?見たところ不思議と強さを感じましたけど……。そう言えば、我々よりも先にここに付いていた彼女は一体どうやってこの場所に?」

 

「跳んで来たそうだよ。しかし、あの娘なら納得できる。もう30年くらい前だったかね、当時新聞で大騒ぎになったからね」

 

「跳んで?それに、30年前とは」

 

「あれは船に乗せておくだけで厄介を招く存在だ。それがまさか家のバカ息子が付いて行っちまった舟に居るとはね。そろそろ、時代が動き出すよ」

 

 ドクトリーヌの独り言にドルトンは意味を理解出来ていなかった。分かることはただ一つ、クリーム色をした髪の毛を持つ女性のことだということ。

 如何やら、この国を救ってくれた恩人達は厄介事を乗せているらしい。

 

 

 

 

 

 そして、船の上。

 スマラは遥か遠くを見ていた。目線の先はドラムロック。

 

 まさかねぇ。

 

 




こんなに伏線張って、全部回収出来るか心配。もっとも、張りすぎな気もするけど。

次回、到着アラバスタ王国!!!ビビ渾身のお願い。
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