麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが? 作:与麻奴良 カクヤ
ビビの危機を救ったのはスマラだった。顔色も良く、しっかりと地面を踏んでいる。
この場に居る全員が「ビビが助かった!!」初めはそう思っていたが、次第に次の疑問点へとシフトする。
何故スマラは全快しているのか?
答えは簡単だった。今は亡きテーブルを見れば分かる。
クロコダイルが用意していた食事。元々は自分で食べるつもりだったのだろうが、スマラが目を付けた時はまだ残っていた。
クロコダイルはもう食べるつもりがないのか、ひたすらに麦わらの一味に向かって、自分の計画を語り続けるのを確認すると、スマラは決心を決める。
他人が残した食べ物を食べるのは、いささか気が進まなかったが、ここで食べなかったら今度は何時ありつけるかわからない。背に腹は代えられない、とこっそりと口に運んだ。
量でいえば、一食分だろう。栄養失調の者には足りないようにも思えたが、元々スマラは食が細いのが幸いした。
一食分あれば十分だ。スマラは能力を使い、身体に入れる事で得られる栄養の量を増やす。
無であれば増やすことは不可能だが、一でも有ればある程増やすことができる。
というわけで、スマラは一食分の食事で、見事全快レベルの栄養を取る事が出きたのだ。
これで動ける。
スマラは早速契約通りにビビの危機を救った。
「それで?ビビ王女はどうしたいのかしら?」
「どうしたいって……ッ!!!そんなの、ここであいつを叩くのよ!!」
このチャンスを逃してやるものか!!ビビはそう思った。
が、ビビは一つ忘れている。重要なことだ。それは、
「どうやって?私は手伝わないわよ」
こんな状況でもビビの意見を聞かない。飽くまでも護衛任務。ビビに命の危険がないので、手を貸そうともしない。
それに、今はもっと違う事が優先だ。
「そこの檻を開けたいのではなくて?」
「それは……任せてもいいの?」
「まぁ、そうでもしないと、貴女はワニに立ち向かうのでしょう?だったら、初めから私がやった方が良いわ」
助ける目的ではなく、ビビを危険から遠ざける為。理由はどうあれ、今のビビにとっては有り難いことだった。
ビビはスマラにバナナワニを任せた。そして、自分は……。
ビビに任されたスマラは、バナナワニに向き合う。
大きな巨体。長身なスマラでも、丸吞みにされてしまいそうだ。ゴツゴツした強靭そうな鱗で身を覆われており、並みの攻撃なら通さないだろう。
並みの攻撃なら。
「あなたには恨みはないのだけど………。邪魔をするなら殺すわ。大人しくするなら何もしないわ」
スマラは少しの殺気をバナナワニに向ける。これで怯えて帰ってくれるなら、自分も面倒な戦闘を行わなくてもいい。
そんな淡い期待は、
「グルルルル!!!」
「そう、野生の本能が鈍っているのね。平和な生簀の中に買われていたせいよ」
スマラを丸吞みにしてくる行為で消え去った。
スマラは難なく回避すると、バナナワニの側面に蹴りを一発ぶち込む。勿論武装色の覇気付きで。
アラバスタ王国でも獰猛と呼ばれるバナナワニも、偉大なる航路後半でも上位の攻撃には耐えられない。
一発でノックアウトさせる。が、ほっと一安心するのはまだ早い。
水槽から列をなして並んでいるバナナワニが、まだ数十匹で残っているからだ。
「はぁ。面倒くさいったらありゃしないわ」
一体倒しただけなのに愚痴をこぼす。ワンパンキルできるが、数が多いのがネックなのだ。
しかも、時間がない。まだ大丈夫だが、水は着々と増え続けている。このままでは溺れてしまう。
檻を壊そうにも、海楼石と呼ばれる能力者にとって天敵とも言える石で作られていて、スマラでは壊せない。正攻法しか攻略法がない。
バナナワニも、一匹登って来てもダメだと判断したか、一気に複数体が出てくる。
多方向から襲いかかってくるバナナワニ。スマラは見聞色で行動を読み、回避からの攻撃を与えてノックアウトさせていく。
時間だけが問題だ。
スマラは次々と襲いかかってくるバナナワニを沈めていく。
と、一匹のバナナワニがスマラの視界外で動いた。
狙いは………
「誰が私を無視して良いって言ったのかしら!!?」
壊れた階段を登って部屋を脱出しようとしていたビビだった。
間一髪、スマラは直前で狙いに気付き、ビビの前に立ちふさがりバナナワニの攻撃を正面から防いだ。
「頼んでおいて、一人で逃げようとしたのかしら?」
こっちはワニの殲滅に忙しいのだから、余計な行動は控えなさい!!そんな意味を込めてビビに問い詰める。
ビビはそんなことしない!!と声をあげてスマラに自分の行動の意味を説明した。
「ここが水で一杯になるまで、まだ時間があるわ!!外に助けに行くのよ!!」
「外に助け?………そういえば、見えない顔が二人程いるわね」
スマラがバナナワニと戦闘している間、電伝虫が鳴ったらしい。相手はMr.プリンス。
クロコダイルやミス・オールサンデーは正体を知らないが、声をしっている麦わらの一味とリトルガーデンでの一幕を知っているスマラは正体に気付く。サンジだ。
声だけではピストルでやられているらしいが、そんな事でやられる訳がないと判断。
幾らスマラが一人で無双できようと、時間には勝てない。人手が必要だと考えたビビは応援を呼びに行くと決めたというわけだ。
確かに応援は嬉しい。時間が必要な今、少しでも早く欲しいものだ。
水が着々と増え続ける今、足元は水が張りスマラは力を失っていく。
ビビの行動は嬉しい。嬉しいが……。
「かと言って、護衛対象を一人で行かせる訳には行かないのよ」
行動するなら自分がついて行かないといけない。せめて一言欲しかった。
さらに……………
「っ!!」
ガキーン!!
「ちっ!!」
「誰が手を出しても良いと言ったのかしら?私には関わらない約束ではなくて?」
ビビが助けを呼ぶ事を良いと思わないクロコダイルが隙を見て攻撃を仕掛けてきた。
砂であろうがスマラは関係ない。阻止は簡単に成功するが、クロコダイルと対峙することになったスマラは不機嫌だ。
「そっちが先に関わって来たんじゃねぇか。今からでも遅くねぇ。 俺と契約を結び直さねぇか?」
「………ッ!!!??」
クロコダイルの言葉にビビが反応する。
クロコダイルはスマラを買収するつもりだ。クロコダイルにとって一番のイレギュラーであり、立ちはだかるなら最も困難な障害がスマラだと考える。
麦わらのルフィとか言う、偉大なる海に入って来たばかりのルーキー程度どうとでもなる。ここで終わりだった筈だ。
だが、スマラがビビ王女の護衛に付いているなら話は別だ。現に今、ビビ王女の護衛目的でバナナワニを蹴散らしている。そして、計画が狂ってしまったことに我を失い手を出してしまう。
クロコダイルは冷静に戻った。起こってしまった事は仕方がない。ならば次にどう動くか?が大切になる。
そして、考えた結果がスマラの買収だ。考えてみればわかる。スマラとこの国の関係は、ただの利害の一致で成り立っているのだ。そこを突けば動かせる。
クロコダイルはスマラに問いただす。俺と契約しろと。
「テメェの目的は知れねぇが、この計画が終わったら俺が用意してやろうじゃねぇか。金か?地位って訳でもなさそうだな。信頼ってタマでもないよなぁ?」
「……………」
クロコダイルが条件を絞り込んで行く。スマラはそんなクロコダイルを黙って見ていた。
「俺に着けば、こんな面倒なことなんざする必要はねぇ。俺からテメェに要求のはただ一つ、『何もするな』それだけだ」
手を出さなかったら報酬として好きな物をやる。それがクロコダイルの要求だった。
「……そうね」
初めてスマラが反応した。
ビビは不安だった。スマラとビビの関係も利害の一致であり、スマラは報酬次第では向こう側に着くかも知れない。
麦わら一味ならバロックワークスから国を救ってくれると信じている。が、スマラがいなければ自分は今までどうなっていたのか分からない。
怖い。ここで裏切られる事に。
スマラの目的は王宮の図書室のみ。持ち主が誰であろうと関係ないはずだ。
だったら反乱が止まって元通りネフェルタリ家が王宮に居ようが、反乱が成功してクロコダイルが居ようが関係ない。
元々、スマラ程の実力があるなら、一人で王宮に行き侵入して読書に浸れる。そうしないのは、スマラが王族に少なからずの敬意を抱いているからだ。
本屋でも立ち読みは断じてしない。気になったなら買えばいいだけの話。どうしても欲しい本があるならば持ち主に交渉する。
だから、この状況でスマラがどちらの手を取るか分からない。
ビビもクロコダイルも、檻の中にいるルフィもナミもウソップも、スモーカーも、ミス・オールサンデーも。
この場にいる全員がスマラに注目する。
裏切って欲しくない。仲間になるんだろ。一緒に旅してきたなかでしょ。こんな奴が敵に回って溜まるか。こいつさえいなければ。どう動くの。奴らとこいつらの関係はなんだ。
それぞれの思いが交差する中、スマラは答えた。
めんどくさいと思った。
これもまだ見ぬ本の為だと我慢した。
昔から我慢は得意だ。
生きてから我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して、
我慢して生きていた。
力を得てから、我慢の限界だった。だから逃げ出した。
逃げ出してからは己の欲望のままに生きた。
初めは出来心だった。何となく気になったから。大した意味はない。
あるとすれば、報酬に目がくらんだからだと思う。
後先考えずに行動した結果、依頼は成功して報酬を得た。
それが始まり。
噂を聞いたのだろうか?ちらほら人が現れるようになった。
中には、仕事だけさせて利益だけを奪い取ろうとした愚か者も居た。そんな愚か者には契約違反の鉄槌を下した。
プライドは特にないと思っていた。
が、何時しか依頼を達成することが微かなプライドになっていた。
一度承った依頼は完遂する。
そう言ったプライドが、微かにあった。
なぜなら自分は…………………………。
だから答えは見えている。
「確かに貴方の提案は魅力的だわ」
開口一番。スマラの言葉にクロコダイルは口元を上げた。
しかし、次の一言で崩れ去る。
「でも、一度受けた依頼を破棄する事はしないわ。約束はキチンと守る。当然でしょ?」
「スマラさん!!」
「スマラ!!」
「よしスマラ!!早く鍵を見つけてくれ!!」
「くっ!! ………ならいいさ。ビビ王女を諦めるしかねぇ話だ。俺と敵対する気はねぇならそれでいいさ」
目論見が外れたクロコダイルは、さっさと撤退する事を選ぶ。この場さえ凌げれば、後は水が全てを終わらせてくれる。それで己を倒すと意気込んでいる者は息絶える。
クロコダイルは当初の予定通り、店前で捕まえたと言うMr.プリンスを拝見する為、扉の向こうへ消えて行った。
「スマラさんこれからどうすれば………」
「今、この部屋から逃げ出すのは下作よ。私はこのワニの処理に少し時間がかかるだろうし、クロコダイルが許さない。………そうね。私が合図を飛ばしたら店内に行きなさい」
「え?店内に?」
スマラはそれだけ言うと、バナナワニの処理にかかった。一体何匹ものバナナワニを飼っていたのだろうか?着実に少なくなってきているが、まだ時間はかかる。
バナナワニをこれまで通りに倒していく。ビビを狙った個体も、きっちと仕留める。
と、見聞色の覇気が外の状況を察知した。
今だ。待ち望んでいた条件は達成られたのだ。
スマラはビビに合図を送る。
「今よ!!行くなら急ぎなさい。多分、向こうから見つけてくれるわ」
「………?とりあえず、分かったわ。皆!!もう少しだけ我慢して!!必ず戻って来るから!!私は絶対に皆を見捨てたりなんかしない!!」
「……おう!!頼んだぞ、ビビ!!!」
ビビは走り去っていく。その後ろをバナナワニが追いかけようとするが、スマラがそれを許さない。
「ふぅー。大変ね。幾ら誤魔化したと言えど、一食分のエネルギー。そろそろ終わらせたいわね……」
倒れる前ほどと言えないが、精神的疲労が溜まってきているスマラ。
さらに言うと……
「ぎゃぁ~~!!!水がああああ!!!!!」
「死ぬぅぅ!!!!」
「スマラ急いで!!!!」
水が膝まで迫っていた。
檻入っている三人がスマラに急ぐように伝えるが、それも無理な話だ。
「水が厄介ね」
スマラも悪魔の実の能力だ。水に浸かると力が抜けるのは、当たり前のことだった。
何とか足場を確保しながら戦っているが、バナナワニは水中生物。水が多くなってきているこの場で、不利になって行くのはスマラの方だ。
と、スマラが見聞色で気配を察知した。
もうそこまで来ている。これで戦力は増えた。
「お食事中は極力音を立てません様に……反行儀キックコース!!!」
バナナワニが一匹吹き飛んだ。
「おっす、待ったか?」
ビビが呼んで来た助けがそこにいた。
で、もう一つ謝らないと………。今回も話が進みませんでした。次回こそは場面飛ばします。必ず、絶対に……。と約束しても出来ない奴。
今後どんな風に進めていくべきかアンケート!!読者様の意見が聞きたいです。が、アンケート結果が絶対に反映するかは分かりません。結果を意識しながら書いて行けたらなぁ。と思ったアンケートです。
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出来るだけ簡潔に!!
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もっとストーリーに関わって欲しい
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そんなことよりも更新速度早よ!!
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知るか!勝手にやってろ!!