麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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 約二か月ぶりの更新。お待たせしました。
 オリジナル作品を更新してましましたので遅くなりました。と言い訳を言いつつ、お願いです。
 最後の方は最近書いて、初めの方は前に書いてた分になります。つきましては、書き方が少し違ったり、内容の相違点があるかもしれません。もし見つかりましたら、報告よろしくお願いいたします。


317 三頁「彼が何を言っているのか、ちょっと分からないです」

「なるほどね。つまりのところ貴方達は嵐の中、小舟で遭難していると勘違いして私を攫ったってわけね」

 

 

 場所はゴーイングメリー号のラウンジ。身体に異常がないので、何時までも寝ている訳には行かないと、体を起こしてスマラがこの船に拾われた説明を求めたところ、この部屋に案内されたのだ。

 コックらしいサンジが入れてくれた珈琲を飲みながら、ナミから聞かされた説明に、簡単に言うと…と、自身の言葉で確認を取る。

 

 しかし、スマラの解釈の仕方にルフィが否定を取った。

 

 

「いや、攫った訳じゃなねぇよ。助けたんだ」

 

「助けた……ね。頼まれた訳でもないのに」

 

 

 意地悪く攫ったと言い張るスマラに、ルフィは決して攫ったのでないと言い直す。

 スマラはそれを聞いて、又しても嫌味ったらしく頼んでないと静かに言う。

 そこに、スマラの態度にイラッと来たウソップが参戦。

 

 

「おいおい!お前は嵐の中倒れてたんだろ?だったら、善意で助けてやった俺たちにそんな態度をとることはねえだろ」

 

「おいウソップ。相手はレディだぞ!?それに彼女にも「だから、いつ私が倒れてたって言ったのかしら?」っ!?」

 

 

 助けてやったのにその態度は何だ?と声を上げるウソップに、今度はサンジがウソップを非難しようとして………。

 

 スマラが不機嫌そうに静かに物申した。

 

 

 本を早く読みたいのに、状況説明で時間を食っている。そんな現状について、スマラは苛ついていた。

 故に、サンジの言葉を遮った言葉は殺気が漏れ、ウソップを睨む目には少なからず東の海(イーストブルー)では中々お目にかかれない覇気を纏っていた。

 

 中々お目にかかれにない殺気。それはこの一味が少し前に出会った『王下七武海』鷹の目のミホークを前にした時と同じ気迫がしていた。

 最もそれに気づいたのは船長であるルフィと戦闘員でもあるサンジ、後は殺気に気づいて急いで部屋のドアまで入ってきたゾロくらいだったが。

 

 

 殺気に反応して刹那、圧倒的な気迫に耐えて戦闘態勢へとはいる三人。

 拳を握り隙なくスマラを観察するルフィ、手を腰に納刀してある刀の鞘に回し何時でも抜刀態勢のゾロ、女は手を出さない故にナミの前に立ちどうにかしてこの状況を回避できないかと考えるサンジ。

 

 この船最大戦力の視線を受けたスマラはと言うと。

 それはもう深ーい深ーいため息を吐いた。目には、めんどくさいと言う怠惰とやってしまったと言う自分自身に対する呆れが見える。

 

 

「はぁ~。いきなり殺気を当てた事は謝罪するわ。でも貴方も悪いわよ。人の話は最後まで聞きなさい。物語も途中だけ読んで勝手に結論を出してはせっかくのエピローグが無駄になってしまう。でも、それは最後だけ読んだミステリー小説の様に過程楽しまない事も同じ。」

 

「何事にも順序があるって言いたいわけ?」

 

「そうよ。私はあなた方の説明を聞いて、確かに聞き手にとっては違う解釈をしたわ。でも、私の言い分も聞かなければ双方は納得した感想を述べる事ができない」

 

「つまり、貴女は意見を聞いて貰いたいの?」

 

「まぁそんな感じかしら?双方とも同じ物を読んで、なおそれでも意見が合いまみれたのなら仕方のないこと。だって人の解釈は人それぞれじゃない?物語の解釈を巡って争いがおこるのもまた、人生という物語を飾る一興となる。まぁ、私にとってそれはめんどくさいことなのだけれどもね」

 

「「「……………………………………」」」

 

 

 長々と演説をしてしまい、内心で照れているスマラ。そんな彼女の言い方についていけれたのはこの船一番の頭脳を持つナミだけだった。

 しかし、バカではないサンジがスマラが女性とだけでどうにかスマラの話を理解しようとする。

 

 

「えぇとレディ?つまりの所話し合いがしたいとおっしゃるのでしょうか?」

 

「そう言っているのだけれど、伝わらなかったかしら?」

 

 

 スマラの問いにルフィ、ウソップ、ゾロが頷く。ルフィとゾロはともかく、ウソップが理解でできなかったのは普通の人だから仕方のないこと。それくらいスマラさんの演説は様式がかった物だった。普段はこんなにも喋らないのだが、何故か語ってしまったスマラ。更に追撃ダメージが加わる。

 

 

 取り敢えずサンジの解釈によって、話し合いがしたいと言うことが分かった一同はホッとして場の緊張感を緩めた。

 ゾロがこれからの話に興味なさそうに出ていき、サンジが飲み物とデザートの準備の為に背を向けてキッチンへ向かう。そんなサンジにルフィとウソップがデザートを所望し、そんな二人を軽くあしらってナミとスマラに希望を聞いてきた。

 

 

「ナミさんとレディは何にします?材料さえあればお造り致しますよ」

 

「みかんパフェでお願いサンジ君」

 

「分かりました。レディは?」

 

「……ミルク多めのコーヒーで」

 

「承りました」

 

 

 初めて会った自分にまさかデザートを作って貰えるとは思えず、驚いてしまったスマラは好みであるコーヒーを頼んだ。

 そこで自分が自己紹介をしていない事に気づき、先ずは自己紹介から入ろうと決めた。

 

 

「自己紹介がまだだったわね。私はスマラ、いろんな島を巡っているわ」

 

「私はナミ。この船の航海士よ。それでこっちがウソップとサンジ君。出ていったのがゾロで…」

 

「俺はルフィ、海賊王になる男だ!」

 

「海賊王?それにその麦わら帽子…………。メモリー・コネクトオン」

 

 

 ルフィの自己紹介を受けたスマラが彼が被っている麦わら帽子を見て、目を閉じて聞きなれない単語を声に出した。

 何か集中しているスマラにルフィが「なんかあったのか?」と問い掛けるが、スマラは聞こえていない様子でルフィを無視。取り敢えず攻撃的ことじゃないので待ってみることにした。

 

 

 一方でスマラは記憶の回路を調べていた。

 スマラは自身の能力で記憶量を増やしている。その為自分が見聞きしてことなら完全記憶能力レベルで覚えている。がしかし、覚えているからと言ってそれを何時でも引き出せるか?というと全くの別だ。

 スマラが使った能力はそれを可能にする能力だ。原理は単純、記憶から引き出せる量を増やしただけのこと。

 だが、スマラが思い出そうとしている情報は比較的有名な情報だ。故にほんの数秒で終わった。

 

 

「麦わら帽子に該当者二名。しかし一人は故人、もう一人は特徴が合わない。よって単なる思い違いと判断。ふぅ、ごめんなさい。気になる箇所があったのだけれど、人違いだったみたいだわ。ルフィなんて人物聞いたこともなかった」

 

「そっか」

 

「えぇ、私の耳に入らないくらいでは海賊王は難しいのでは?」

 

「ちょっと待て!!ルフィはな!東の海(イーストブルー)で一番の海賊なんだぞ。懸賞金だって破格だ。はぁんお前知らねぇのか?」

 

 

 スマラの言葉に、又してもウソップが食い掛る。自分の所の船長を貶されたのだ、当然といえば当然の反応。次第にスマラがルフィの事を知っていないと分かったらしく、椅子から立って何処かに消えてしまった。

 一方でスマラの方も首を傾げつつ反省をする。

 

 

「あ、また言ってしまったわ。ごめんなさい。でも、東の海(イーストブルー)で最高額の賞金首はアーロン一味のアーロンではなくて?」

 

「あぁ、俺が倒した」

 

「倒した?貴方がアーロンをね」

 

「そのことなんだけど……」

 

 

 ナミが説明を続けようとしたが、ウソップが戻って来て中断してしまった。彼は手に持っていた新聞紙を机の上に広げる。どうやらこれを探しに行っていたようだ。

 スマラはその新聞が丁度未読分なのに気付き、読み始める。

 

 

「なるほど、今日の新聞に載っていたのね。……モンキー・D・ルフィ3000万ベリー。まぁ東の海(イーストブルー)にしては上出来のルーキーね」

 

「なぁお前、もしかして偉大なる航路(グランドライン)から来たのか?」

 

「「え?」」

 

 

 これまでの言い方やルフィにダメージを与えれる手段を持ち合わせたスマラ。出来たばかりと雖も数々の敵を倒してきたルフィ達を見下すような態度。これはどう見たって上位の海出身の人物としか思えなかったのだ。

 薄々気づいていたナミを除き、ウソップとサンジが驚いた様子でスマラを見た。特にウソップなどは、これまで大きく出ていた相手がバケモノの巣窟と言われる偉大なる航路(グランドライン)出身だと聞いて、酷く怯えた態度を見せる。

 

 

「えぇ。確かに私は偉大なる航路(グランドライン)出身だわ。それが何か?」

 

「じゃあさ、じゃあさ!偉大なる航路(グランドライン)ってどんな所だ!?」

 

「ちょっと!?ち、近寄らないで。分かった、分かったから、話してあげるから。でも、その前に私の話を聞きなさい!」

 

 

 偉大なる航路(グランドライン)出身だと聞き、楽しみを抑えきれないルフィに詰め寄られるスマラ。しつこいその態度に本日二回目のイラッ。

 ルフィがスマラに触れるのを見計らって能力を発動。触れる時に生じるエネルギー量を変換し、ルフィを吹き飛ばす。

 

 

「ふるべしっ!痛ぇ!!??」

 

「ふぅ。人の話を聞きなさいと言ったばかりじゃない」

 

「あ、貴女能力者なの?ルフィにダメージを与えれるなんて…っ!?」

 

 

 吹き飛ばされて床を転がっているルフィを尻目に、ナミが恐る恐ると言った態度でスマラに聞く。ウソップなどはルフィにダメージが通ると知って心が身体を抜け出そうとしている。

 

 

(お、俺はなんて奴に大きな態度を……)

 

「スマラで結構よ。そうね。確かに能力者だわ。私の身体に触れていた反発エネルギー量を増やして、ちょっとの衝撃であそこまで吹き飛ばすことを可能にしたわけ」

 

「てて、お前の手が痛かったぞ。何でだ?」

 

「そうだわ。ただのエネルギー変換がルフィに効くはずないもの」

 

「効かない?何故かしら?」

 

「あぁスマラさん、こいつはゴム人間なんだ」

 

「おう!俺はゴムゴムの実を食ったゴム人間だ」

 

 

 ほら!と頬をひぱって皮膚が有り得ないくらい伸びるのを見せてくる。スマラはそれを見て、この男に攻撃する時に武装色の覇気を纏っていたことに感謝した。

 

 スマラにルフィの能力を話した事で四人の興味は、何故ルフィに攻撃が通ったのか?に戻る。

 先陣を切ってスマラに質問したのは先程まで怯えていたウソップだ。スマラが怖いがゆえにその力の実態を把握しておこうと考えた結果だ。

 

 

「それで、ルフィに攻撃が通った理由って何なのでしょうか?」

 

「なぜ敬語?まぁ、偉大なる航路(グランドライン)に入ったら分かるのではなくて?」

 

 

 単純に、覇気と呼ばれる力が存在すると言っても良かった。実際に偉大なる航路(グランドライン)の後半では当たり前の様に使われている能力だ。この力を知っているか、使えるかで戦闘の勝敗に大きく影響するほどの能力。

 では、何故この場で説明をしなかったのか?それは単にめんどくさかったからである。

 

 

 最後に本を読んでから既に四半日が立っており、スマラの読書禁断症状が現れる段階。つまりのところ、少しイライラしてきた。

 なので、話を強引に進めてこの船とおさらばする事に決めた。

 

 

「それで、あなたたちが私を遭難していると勘違いしたのは私の能力が発動してたからなの。ありとあらゆる『量』を操ることが可能な私の能力は、雨の音量と肌の感覚量を遮断してたのよ」

 

「そうか!だから私たちが触ってもあなたは気付かなかった!」

 

「道理で冷たい肌なわけだ。感覚を止めているから俺たちが触っても人の肌の様に感じなかったのか」

 

 

 スマラの説明にナミとサンジが納得がいった!と顔を合わせる。実はスマラの事を人間ではないのかと疑っていたのだ。

 スマラの説明を聞いても「不思議能力かぁ~」と考えることを放棄しているウソップとルフィを尻目に、スマラはそろそろ我慢の限界が達したようで、ナミに自分の荷物は何処か?と尋ねた。

 

 

「え?私は知らないけど……。サンジ君は?」

 

「いや、俺も」

 

「「「えっ?」」」

 

 

 三人の声が揃った。目を合わせてたっぷりと見つめ合った後、スマラが自分をこの船に乗せた張本人に顔を向ける。

 

 

「あの、小舟に私の荷物が一緒に載せてあったはずだけど?」

 

「………………………ごめんなさい」

 

 

 ルフィはたっぷりと時間をかけた後、素直な気持ちで頭を下げて謝った。そこから導き出される答えは、この船にスマラの荷物はない、ということだ。

 

 

「謝って済む問題じゃねぇだろ!!?」バシッ!

 

「よし、戻ろう!」

 

「戻ろうってルフィ、この嵐だもの見つかりっこないわ!……はぁ。悪いけどスマラ、ある程度の弁償はするから勘弁してくれないかな?」

 

「………………………………」

 

 

 嵐の中小舟に置いてきてしまった荷物。一同慌てて荷物を取り戻そうとするが、この嵐だ。普通なら小舟は転覆して荷物は海の底に沈んでしまっていると考え着く。

 戻ろうと言い張るルフィの提案を却下しつつ、ナミはスマラの荷物を弁償すると言った。ルフィのお小遣いを使ってと小声で言っているのは誰もスルーしている。

 

 しかし、肝心なスマラは一向に慌わていなかった。目を閉じて何かに集中している様子だ。

 当の本人が全く慌てていない様子を見て、四人は直ぐに落ち着きを取り戻した。

 

 

「何だ?固まっちまってるぞ?」

 

「きっと、行き場のない怒りを俺たちに向ける準備をしているんだぁ!!」

 

 

 目を閉じているスマラを見てウソップが真っ先に逃げ出した。当の本人が謝っても、スマラに絡まれた思い出を忘れられず、荷物を失っても微動だにしないスマラに恐怖を抱いたから。船の甲板で見張り役をしていたゾロに泣きついている声が聞こえてくる。

 

 そんなこともつゆ知らず、スマラが目を開けた。それと同時に図々しくも指示を出す。

 

 

「見つけた。…船を4時の方向へ移動できるかしら?出来る限りの事をするのよね?」

 

「あ、お前!俺が船長だぞ!!?勝手に進路を決めるなよ。野郎ども帆を動かせぇ!!四時の方向にすっ進め!!!」

 

 

 スマラが指示を出したことに不満があったルフィだが、ただ単に指示を出したかっただけで、スマラの荷物探しには協力するらしい。

 船長の命令を受けた船員達はそれぞれの役割をこなすべく部屋を出ていった。

 

 

「……誰もいなくなったのね。よくもまぁ、初めて会った怪しい人を船内に一人残していられるのね」

 

 

 誰もいなくなった部屋を見て、スマラは「もし私が海軍の潜入隊だったらどうするのかしら?」とらしくもない心配をしつつ、自分の荷物を拾うために甲板へと足を向けた。初めての場所だが出方はなんとなくわかる。うるさい方向に向かって行けばいいのだから。

 

 

 

 

 甲板に出ると、全員が動き回っていた。ゾロが操舵を動かし、サンジとウソップがナミの指示を受けて帆の向きを変える。

 全員が動き回っているなか、ただ一人ルフィだけが羊頭の船首の上でキョロキョロと辺りを見渡していた。きっと、何かすると邪魔になるのでスマラの荷物を探しているのだろう。

 

 

「ん~?見えねぇな~?あ、お前の荷物ってどんなんだ?」

 

「お前じゃなくて、スマラで結構よ。私の荷物は一応リュックサックね。私には位置が分かるからそこまで心配しなくても大丈夫」

 

「そうか?だったらどっちが先に見つける勝負だ!」

 

「なぜそうなるのかしら?」

 

 

 急に勝負ごとになった展開に、スマラはルフィの思考回路が全く理解不能だった。とは言っても、当の本人は真剣にスマラの荷物を探している。手を抜けば失礼に値するだろう。スマラは早速見聞色の覇気と自前の能力を使い、荷物を見つけることにした。

 そこへナミがやって来る。

 

 

「どう?見つかりそう?」

 

「えぇ。段々と近づいているのが分かるわ」

 

「えぇ!!?すっげ~な!!ようし、なら俺が先に見つけてやる!!」

 

「その必要はないわ。もう見つかった」

 

 

 スマラが指を指した先には、リュックサックが浮いていた。荷物が入っているはずなのに浮いている。

 

 ナミは疑問に思ったが、ルフィは気にも留めず腕を伸ばしてスマラの荷物を引っ張り上げた。そして、そのままスマラに渡す。

 

 

「ほらよ」

 

「あ、ありがとう。その腕便利ね」

 

 

 その場所まで進んでくれれば、後は自前の能力で取りに行くつもりだったスマラはルフィが拾い上げた事に目を広げてお礼を言う。めんどくさい能力執行をせずに済んだのはルフィのお陰だ。

 

 スマラはルフィから荷物を受け取ると中身の確認を始めた。リュックサックと言っても大型ではなく小型。せいぜい本が二、三冊入ればいいくらいのサイズ。

 

 しかし、出てきた量はというと……

 

 

「十っと、これも大丈夫そうね。離れていても無事でよかったわ」

 

「うぉー!!いっぱいあるなぁ!!」

 

 

 何と十冊の本に財布と着換えと言った荷物。明らかに容量を超えている質量にルフィは目を輝かせる。

 一方で有り得ない質量が出てきたことに驚いているナミは、今の現状に抗議を上げた。

 

 

「な、何でそんなにも沢山の荷物が出て来るのよ!!?それもスマラの能力なの!?」

 

「スゲー!雨に濡れねぇぞこの本!!」

 

 

 忘れているかもしれないが、今は嵐の真っ只中。雨がた絶え間なく降り注ぎ、風が吹き荒れている。

 そんな中、本を取り出すと直ぐに濡れ破れ、風に吹かれて飛んでいくに決まっている。しかし、スマラの本はその場に何事もなかったかのようにとどまり、全くの影響を受けた形跡が見当たらない。

 

 そんな異常な状態にルフィは単純に目を輝かせ、ナミは驚きスマラの能力だと看板する。

 そこへ、荷物が見つかった事で船を動かす必要が無くなった為、他の三人も集まって来た。

 

 

「へぇー、スマラさんのリュックは食料保存とかに向いてそうだな」

 

「そんな事はどうでもいいだろ、アホコック。こいつがどんな能力を持っているか?それが一番重要だ」

 

「そっか、ゾロは知らねぇもんな。スマラの能力。何か色々と変える不思議能力だ!」

 

 

 スマラの能力をただ一人知らないゾロに、ルフィが自信ありげに応える。しかし、その説明では詳細が分からず、「分かるわけねぇだろ」と呆れるゾロだった。

 ゾロはルフィに見切りを付け、理解できてそうなナミに話を振る。

 

 

「『量』を操る能力だってさ」

 

「『量』?なんだそりゃ」

 

「簡単に言えば、熱量、音量、エネルギー量、体積量と量と名の付くものを操れる能力よ」

 

 

 当の本人であるスマラが分かり易く説明を口にする。がしかし、そこはルフィに次ぐ頭の悪さを発揮して、「そうか。要するに不思議能力ってわけだな」とルフィと全く同じ解釈をするのだった。

 

 

 

 

 

 場所は移動して船内。全員が集まれるラウンジ兼キッチン&操舵室という一室で、サンジが淹れた飲み物を頂きながら、これからどうするか?という話になった。

 

 

「で、スマラはこれからどうするの?」

 

「そうね。適当に降ろしてくれたら構わないわ。目的地はとくにありませんし」

 

「だったら、ローグタウンね」

 

 

 この船の次の行き先を聞いてスマラは少しだけ驚いた。

 

 ローグタウンと言えば、海賊王ゴールドロジャーが処刑された大海賊時代の幕明けの場所として有名だ。当然スマラは東の海(イーストブルー)で真っ先に訪れた島でもある。

 そして、島の位置的にもローグタウンに向かう海賊と言えば……。

 

 

「偉大なる航路(グランドライン)に入るつもりなのね」

 

「あぁ。今から楽しみなんだ!!なぁ、スマラ!!偉大なる航路(グランドライン)の話をしてくれよ!!」

 

「えっ!?えぇ、少しならいいわ」

 

 

 如何やら、もう直ぐ偉大なる航路(グランドライン)入りするらしいこの海賊船に、スマラは「いつぶりかしら?」と思い出に更ける。

 

 

 (確か、十数歳のころに海に出て……………。もう数十年以来かしら?)

 

 

 と、偉大なる航路(グランドライン)について適当に語っている間に思いふけっていると、ルフィが急に意外なことを言い出した。

 スマラが何年も昔の話と言っていたのを覚えていたからか分からないが、スマラにとってもルフィの仲間にとっても意外な内容だった。

 

 

「なぁ、何年も帰ってねぇんだったら、俺たちと一緒に冒険しようぜ!!」

 

「「「「「はぁ!?」」」」」

 

 

 ルフィ以外全員が声をそろえて驚いた。

 色々な出来事が重なった一日であったが、その中でもこの瞬間が一番理解不能な時間だった。とスマラは思う。

 

 

(彼が何を言っているのか、ちょっと分からないわ!!)

 

 




 感想で、アクセラレータのベクトル操作でもしている?と来たのですが、作中でも言っている通り違います。一応タグには『偽一方通行』とも載せてます。
 とあるはにわかなので詳しく知らないのですが、アクセラレータは物質の『向き』を変換してるとのこと。対してスマラは物質問わず『量』を操っています。
 もし「それは同じ事だよ」と思う方は同じ事と解釈しても構いません。が、アクセラレータに出来てスマラに出来ない場合や、アクセラレータは出来ないけどスマラには出来る場合がございますので、ご了承ください。
 取りあえず、深く考えるな!とでも言っておきます。
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