麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

30 / 81
 マウスホイール壊れた!!!反応するけい変な感じにスクロールされる。弟の余ってるのを借りよう。

 そして今回からこそ簡潔に……。


361 三十頁「盾なんて意味が無いわ」

 日は登り朝。約束の時間から46分オーバーしてもルフィは帰って来ていなかった。

 積帝雲と突き上げる海流が完全一致する時間まで残り僅か。今直ぐにでも出発しないと、年に数回のチャンスを逃してしまう事になる。

 

「何やってんのよ!!!あいつったらも――――!!」

 

 ナミは怒っていた。自ら危険な航路を通ってまで空島に行きたくないと言っている癖して、いざ準備が整うと怒る。

 船長の行きたい場所に連れていってやるのが航海士。既にナミはルフィの船の航海士としての責任を持っていた。

 

 と、グチグチとルフィに対する愚痴を言っていたナミの標的がスマラに向いた。

 

「スマラ!!あんたも空島に行きたいんでしょ!!」

「……ん?そうね、行ってみたいとは思っているわ」

 

 船の甲板に座り込んで読書に勤しんていたスマラが、ゆったりとナミに受け答えを返す。イライラしているナミと違って、スマラは危険視している様子はない。

 

「なら、とっととルフィを連れ戻して来なさい!!」

「その必要はないわ。もう帰って来る頃だから……」

 

 とスマラが言った瞬間、森の中からルフィの声が聞こえてきた。

 なんて事は無い。スマラは見聞色の覇気で、常にルフィの居場所を掴んでいたからこその余裕だ。

 だが、ルフィが森の中をグルグルと彷徨って、ヘラクレスを探していたとは微塵も思わなかったが。

 

 こんな時もマイペースで昆虫採集をしていたルフィに、ナミとウソップは二人してツッコミを入れると、メンバーは急いで船に乗った。

 猿山連合軍に改良された「ゴーイングメリー号・フライングモデル」だ。実際には、ただ単に羽のような物を船の両端に取り付けただけ。ナミからすれば不安しかない改良工事だった。

 

 金塊もクリケットに返して、マシラとショウジョウの船に連行されるようにして出港。

 初めは緊迫した様子だったが、麦わらの一味の何時もの様子を見て、二隻もゆったりとする。

 

 スマラは何時も通り、船内に入って読書を開始した。

 

 

 

 約三時間後、船の外が騒がしくなっていく。いよいよ空島への航海が始まったようだ。

 普通ならこんな一大イベント、手伝いに甲板に出るのは当然のこと事。だがスマラは気にしないで読書を続ける。

 空島に行きたいのは確かだが、そこに至るまでの航海に興味があるわけではない。ので、本能のままに読書を続けるのは当然だった。

 外にいるメンバーは、こんな時でもスマラが船内から出て来ないのに、慣れ初めていたのでスルーだ。外の様子が気になったり、こちらから必死に頼み込めば出てくるだろうと分かっているからだ。

 

 積帝雲が現れ、太陽が遮られて暗くなる。と同時に船が大きく揺れ始める。

 が、スマラは読書を止めない。このくらいの暗さでも文字は見えるし、本の世界に入る程の集中力の前では大しけの揺れも気にならない。

 と、急に船の揺れが止まった。

 

 ……ッ!!?

 

 本を読みながらも、見聞色の覇気で警戒を怠っていなかったスマラがビクンと反応した。

 大きな反応が一つ、この船の近くに現れたからだ。

 

 スマラは本をパタンと閉じて席を立った。

 自分が出ないとマズイ程の反応だ。

 

 と次の瞬間、船が大きく揺れた。いや、揺れたでは済ませられないほどの衝撃だ。

 なんと、壁が地面になった。簡潔に言い換えれば、船が垂直になったのだ。

 同時に大きな反応が物凄い勢いで遠ざかっていく。

 

 これは………突き上げる海流が起こったと考えてよさそうね。

 差し詰め、空に向かって付き上がっている水柱の側面を、船が進んでいるのかしら?

 どちらにせよ、並みの海賊船ならここで落ちてしまい、海面に叩き付けられて大破していまう。全滅は免れないわ。

 でも、攻略法は絶対に存在している。果たして、それを見つける事は出来るのかしら?

 

 ある程度の予測を立てると、スマラは再び読書に戻った。

 もちろん、失敗して海面に叩きつけられてしまった時の為に、脱出の準備はしている。果たして、この船は空島にたどり着くことができるのか?

 スマラはどちらでも良さそうにしていて、行けたら良いなぁと思っていた。

 

 

 

 

 

 本の世界に夢中になり過ぎていたスマラは顔を上げた。

 何時しか轟音鳴り止み、外にいるはずのメンバーの声が聞こえない。

 

 死んでしまったのだろうか?いや、反応は甲板に見られれる。

 どうやら、意識を失っているだけのようだ。

 

 スマラは外の様子を、己の目で確かめる為に起き上がる。

 垂直になっていた船内では、床に寝そべる様にして背をもたれさせた方が楽だったからだ。船が再び元の方向に戻れば、スマラが床に寝そべっており、足を壁に伸ばしている姿勢になる。

 傍から見ればはしたない格好。もしスカートでも穿いていたのなら、重力に従って捲れ、ショーツが見えてしまっていただろう。が、実際にはそのような事は起きない。何故ならホットパンツだからだ!!服など基本的にどうでもよく、緊急時に動き回る事を想定した服装を着ているのは当然だろう。

 

 

「……大丈夫かしら?」

「…ケホッ………ハァハァ、あんたは無事のようね」

「ゴホッ!!よ、良かった。スマラさんは無事でしたか」

「ゲ―――――ゲ――……エホ!!」

「………参った。何が起きたんだ………!?全員居るか?」

「ハァ……ハァ……」

 

 スマラが声を掛けると、ナミとサンジが反応した。二人とも、中に居たスマラの身を案じてくれている。

 一方でチョッパーは未だに目が回っており、ウソップに至っては意識を失っている。

 ゾロは起こったことに驚くも直ぐに船員の安否確認を取る。ロビンも息を整えている。

 全員を見て分かった事は濡れている事。船内に居て何があったか理解出来ていないスマラだったが、辺りを見渡してある程度の事を予想した。

 そこは辺り一面に広がる雲の世界。上を向いても雲、下を覗いても雲、視界が雲しか写し出していない。

 

 成程。ここは差し詰め空の海。積帝雲に突入した際に、何故か存在している海らしき雲でこうなったと。

 雲は雲でも、船が浮かんでいる様に、地上の海と同じ性質を持った雲が存在しているのね。

 まるで別世界。ならば、見た事が内容な本が存在しているのかしら?

 冒険には興味ないけど………。

 

 と考察しているうちに、ウソップが復活。雲の海に飛び込んでいった。

 スマラが、雲に海底はあるのかしら?と思うと同時に、ロビンも同じ事を思ったらしい。違う点は、スマラは脳内でボーっと考えるだけなのに対して、ロビンは口に出して皆に知らせる。

 結果、ルフィが腕を伸ばし、ロビンが能力で目を咲かせてウソップを捕獲。こうして事なきを得た。スマラはぼんやりと眺めているだけだったが。

 

 ウソップを引き上げると同時に、巨大なタコも引っ付いてきた。

 巨大なタコに大声を上げてビビるナミとチョッパー。ゾロが切り込み隊長を務め、サンジとルフィがあっと言う間に終わらせた。下が海なので、ルフィだけは船から腕を伸ばして攻撃しただけだったが。

 戦闘が終わった所で、意識を取り戻したウソップが早々に騒いだ。ズボンの中に見たこともない生き物が侵入していたらしい。

 ロビンとナミが考察する。クリケットが持っていた航海日誌にあった奇妙な魚だと結論付けた。地上とは環境が違うため、進化の過程が違うとのこと。ロビンは博識で如何にも考古学者っぽい。

 

 その生き物をサンジが瞬く間にソテーにしルフィ食べている中、スマラはようやく思考を停止させた。

 スマラは双眼鏡で周囲を見渡しているチョッパーの元を尋ねる。

 

「空島はどこだ?」

「何か見つかった?」

「お?スマラも興味あるのか!?望遠鏡貸そうか?」

 

 珍しくスマラが本以外の事に興味を向けている。

 チョッパーは初めてスマラと会った時から、自分をバケモノ扱いしないスマラの事を気に入っていた。なので、スマラから声をかけてくれて嬉しかった。

 チョッパーはスマラに望遠鏡を手渡そうとするが、断られてしまう。

 

「それは貴方が使いなさい。私は目が良いから無くても見えるわ」

「そうなのか?…望遠鏡と同じくらい見えるってことなのか~!!?スゲー」

「そうでもないわ。能力あってのことだわ。…………船?」

「ホントだ!おーい皆~!!船と………人?」

 

 双眼鏡が必要ないのは、能力で視力を上げているからだ。全く見えない状態をゼロ、数キロ先の光景をハッキリと確認出来る事をMaxだとすれば、そのゼロからMaxの振り幅、つまるところ範囲、量だ。全ての測りごとを量と定めると、スマラの能力によって自在に変更可能になる。

 そうやって視力を変えているので、双眼鏡などに頼らずとも遠くの光景を見ることが出来るのだ。

 

 チョッパーとスマラが二人して周囲の状況を見ていると、スマラが船を見つけた。チョッパーも見つけ、仲間に知らせるが……。

 

 何の前触れも無く船が爆発した。急にチョッパーが動揺し双眼鏡を取り落とした事に、皆が「何があったの」とチョッパーに聞く。

 しかし、チョッパーも良く分かっていない様子。ならば!!とゾロが傍で同じ光景を見ていたとされるスマラに、質問する対象を切り替える。

 

「おい、何があった?」

「戦闘ね。船が見えたけど爆発して沈んでいるわ。それで………船を爆発させた人がこちらに向かってくるわ」

「はぁ!?」

「人が来る?――ッ!!?人だ!!誰か来るぞ!!」

 

 スマラの報告を聞いて、サンジがスマラが未だに視線を向けている方向を向くと、雲の海を人が滑っていた。

 スマラとサンジの言う通り、雲の海を人が滑ってこちらに向かて来ていた。盾とバズーカ砲のような武器、足元には底が高い靴、上半身は裸であり腰巻きしか着ていない。文明人のようには見えない。

 

 そいつは、サンジが話し合いを促すも、関係無いとばかりに攻撃態勢に入った。

 

「排除する」

 

 一言。その一言だけでルフィ、ゾロ、サンジは戦闘態勢に入る。が、三人とも一撃を受けるとダウンしてしまう。

 目を疑うナミ。ウソップとチョッパーは、麦わらの一味の三強が一瞬にしてやられた事に悲鳴をあげる。

 そいつは、船の縁を使って跳ぼ上げると、バズーカ砲のような物を船に向けた。どうやら先ほどスマラが見た、船が爆発する光景は此奴のせいらしい。

 

「…ッ!!スマラお願い!!」

「………仕方ないわね」

 

 船が壊されてはたまったものじゃない!!ナミは麦わら一味の三強が呆気なくやられた事を配慮して、スマラに頼んだ。

 険しい目を向けられたスマラは、一瞬目を細めて考えるも、溜息をつくように了解する。

 一応船に乗せて貰っている立場だ。こんな時くらい役に立っても問題ないだろう。倒すわけではない。単に船が壊される脅威を跳ね除けるだけだ。

 

 縁に足をかけて跳ぶ。襲撃者は構わずバズーカ砲をぶっ放そうした瞬間、強い衝撃を受ける。

 襲撃者の予想を遥かに上回る速度で接近したスマラさんが原因だ。

 

「ガハッ!!」

「盾なんて意味が無いわ。一先ず、吹き飛びなさい」

 

 一瞬空中で交差する。スマラの物理攻撃力は、新世界でも折り紙つきの威力を誇る。そんな者が覇気も知らないような者にぶつかればどうなるのか?

 答えは簡単。襲撃者はお空の星となった。かな~り抑え気味なその威力も、武装色の覇気どころかまともな防御も出来なかった襲撃者には強すぎたらしい。

 もっとも、今回は倒す事が目的ではなく、とりあえずこいつをどこか遠くに吹き飛ばす事が目的だった。威力は弄らずに、風圧だけを強めて吹き飛ばせば済む話。

 何と無く接近戦闘で終わらしたスマラだが、あのままバズーカ砲を撃たれても対処は可能だった。まぁ、とっさの判断で、船に被害を出すには受けよりも攻めの方が都合がいいと判断したから。けして、広範囲のバズーカ砲を能力で操作するのが面倒だったとかではない。ないったらないのだ。

 

 スタッと甲板に戻ったスマラ。

 ナミはスマラにお礼を述べる。

 

「助かったわ。ありがと」

「どうってことないわ。ここまで来て船が壊されるのは私も困るから……。貸し一つとでも思っておいて」

「ふむ。青海人があのワイパーをいとも容易く撃退するとは………恐れ入った」

「……………」

「あんた誰よ!!!」

 

 いつの間にかスマラとナミの会話に参加して来た男。自然と居た為、誰も気付かなかった。スマラだけ別だが。

 ナミは叫ぶと同時にスマラの後ろに隠れる。見知らぬ人が船に乗っているのだ、先ほどの件もあって当然の反応だろう。

 他のメンバーも臨戦態勢入る。が、甲冑を着た老人は両手を上げて戦意がない事を伝えた。

 

「あぁ、そう構えるな。吾輩は助けに来たのだ」

「ピエー」

 

 間が空いた。

 助けに来たと甲冑を着た老人は言うが、実際に助けて貰ったわけではないので信用出来るはずはない。

 

「助けに来たのは良いけど、私が吹き飛ばしたわよ?」

「そうよ!!スマラがやっつけたあいつは一体何なのよ!?それに何よあんた達、だらしない!!三人がかりでやられちゃって!!」

 

 ナミは突然現れた老人に困惑しつつ、真っ先にやられてしまった三人を叱り飛ばす。

 サンジが不甲斐ない自分を叱りながら謝る。

 

「いや、全く不甲斐ない」

「なんか体が………上手く動かねぇ」

 

 ルフィが己の不調を知らせる。ゾロも言葉には出さないが、同じ気持ちならしい。

 そんな三人の疑問に答えたのは、博識のロビンだった。

 

「……きっと、空気が薄いせいね。誰かさんには関係ないみたいだけど……」

「…………??」

「あぁ……言われてみれば………」

 

 誰かさんとはスマラさんのことである。

 肝心の本人はけだるそうに本を読んでいた。うん、謎の不審者を全く気にしていない。

 ここに着いた時は、初めての島であり未知の島と言う事で外の様子に興味を持ったが、次第に興味は薄れていった。後は、人の住んでいる場所で本を購入出来れば満足なのだ。

 

 なので、その後の詳しい話は聞いていなかった。

 麦わら一味三強が一瞬にしてやられた理由が空気の薄さだとか、突き上げる海流以外にも空島に行く手段はあったとか、甲冑を着た老人の名前がガン・フォールで傭兵をやっているなど。

 何一つ聞いていなかった。いや、聞こえてはいるだろうが、それほど重要な情報としては記憶されなかった。能力の関係で記憶はしているが……。

 

 スマラさんは何時も通りだった。

 さて、彼女が次に本から目を逸らすのはいつになることやら。




 簡潔にとは何だったのか?
 し、知らない。やっぱり途中のスマラ関係ない場面は書かなくても良かったか……。

 スマラさんが働いている!!
 多分空島で働くのはあと一回です。書いているうちに別方向に向かわなければ。

 バズーカ砲
 バーンバズーカだったよね?ガス噴射からの爆発だろうが、撃たれる前に仕留めれば関係ない。

 空の騎士
 出番奪っちゃったね!!これにより空の騎士の強さが伝わっていない。今後にどう影響を与えるのか!!?←与えません。原作通りです。

 能力について少しでましたね。
 う^ん。これで大分、「量」が何を指すのか分かって来たのではないでしょうか?もちろん、自分の考えが全て伝わるとは思ってません。質問があればいつでもどうぞ。

 次回を地味に書いているのですが、何とか簡潔にできそうです。一先ず一巻分はカットできるかも。

今後どんな風に進めていくべきかアンケート!!読者様の意見が聞きたいです。が、アンケート結果が絶対に反映するかは分かりません。結果を意識しながら書いて行けたらなぁ。と思ったアンケートです。

  • 出来るだけ簡潔に!!
  • もっとストーリーに関わって欲しい
  • そんなことよりも更新速度早よ!!
  • 知るか!勝手にやってろ!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。