麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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382 三十二頁「我をどの位楽しませてくれるか、楽しみなものだ」

 スマラにとって、見聞色の覇気を扱える敵はよくある存在だった。

 敵も自分の行動を読める。自分も相手の行動を読める。ならば、読み合いを超えた先に、攻撃を当てた方が有利になるのは当然の事。

 見聞色の覇気の弱点は一つ。読めても行動に移せないなら意味が無いことだ。

 

 スマラは生まれ持った身体能力と能力による補助を使い、相手以上の速度で見聞色の覇気を無効化していたのだ。

 未来すら見えない未熟者に負けるはずもない。

 

 

 

 シュラは破れた。スマラにちょっかいを仕掛けたがための代償がこれだ。

 

 スマラの蹴りを受けたシュラは鳥の上から吹き飛ばされ、巨大樹の幹にぶつかって止まる。意識は既になく、ズルズルと地面に落ちていく。

 スマラは枝に着地すると吐息を吐いた。戦闘中に止めていた息を吐き出すように。

 

 

 

「クカカカカ!!」

「……あぁ、まだ鳥が居たわね」

 

 シュラが乗っていた鳥――フザが嘴から炎を吐出しながら迫っていた。主人の仇を討とうとしているのだろう。

 だが、鳥如きがスマラに適うわけがない。

 

「グカカカァ!!」

「攻撃してくるなら、動物だろうが容赦しないわよ。………ッ!!」

「ク、クカヵヵヵ…」

 

 スマラが静かに言い放った瞬間、フザはその場に留まるようにして空中に停止し、嘴から炎を吐き出すのを辞めた。

 目はスマラを見つめたままだ。その目はまるで怯えているよう。

 

「去りなさい。……それとも、死にたい?」

「クカカカカ!!?」

 

 スマラが言葉を呟いた瞬間、フザは一目散に逃げ出した。もちろん、主人であるシュラを回収するのも忘れない。

 敵討ちとか言っている次元ではない。あれは関わることすら危険な存在だ。フザの本能はそれを感じ取っていた。

 

 

「ふぅ~。やっと静かになったわね。ここも危なそうだし、船に戻ろうかしら?」

 

 シュラの時よりも疲れた雰囲気を醸し出すスマラ。そのままキョロキョロと辺りを見渡すと、スマラは枝の表面を蹴った。別の枝に飛び移り、リュックサックを回収したのだ。

 

 スマラはそのままストンと枝に腰を下ろし、目を瞑って寝息を立てはじめる。

 戦闘を行ったばかりだというのに、何て寝入りの良さだろうか。

 

 

 

 スマラがこんなにも早く寝れたのには、実は理由があった。

 シュラとの戦闘で相手を上回る見聞色の覇気を発動させたのは勿論。一番の原因はフザに向けた威圧だった。

 フザに向けた威圧は覇王色の覇気の鱗片である。スマラは覇王色の覇気を扱える。ならば、その鱗片レベルの発動も出来るのは当然のこと。

 

 ここで一つ。覚えているだろうか?

 スマラは覇王色を扱えるが、使用後には体調不良を起こすことを。

 

 鱗片と言えど、覇王色には間違いない。

 なので、スマラが体調不良までとはいかなくても、何らかの疲労を覚えるのは必然的だ。

 その疲労が、目を瞑ってすぐの寝入りを引き起こす。

 

 それが、スマラが目をつぶって直ぐに寝息を立てた理由だ。

 もっとも、読書が行えない程の灯りが無かった事も、理由の一つとして挙げられるが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは神の島に存在する神の社。

 この空島を統括する存在は神と呼ばれ、その地位に就いた者の居住区と仕事場がこの場所である。

 

 普通なら多数の神官が仕事に励み、忙しそうにしている様子がうかがえる。のだが、あいにく今は夜の時刻。

 殆どの者が就寝し明日に備えている。

 

 

 そんな神の社の入り口で二人の男が会話していた。

 

「我々が…ンンンンンンーン!!ンンン………ンンン!!」

「喋り難いだろ?下唇を噛んだままだ」

「ッ!!!!!」

 

 会話ではない。ただのコントのようだ。

 特徴的な髪型の男が下唇を噛んだまま喋ると言う所業を、スキンヘッドのグラサン男が注意してようやく気が付いたらしい。

 どんなうっかりなのだろうか。

 

「そう言えば、シュラがまだ来ないな」

「生贄を狩りに行くと言ってなかったか?大方返り討ちにされたのだろう」

 

 会話の内容はこの場に居ない、もう一人の神官シュラの事。

 神官とは、神には程遠いもののそれなりの実力を持っている者が選ばれる名誉ある地位の事だ。

 四人しかおらず、それぞれ試練と神の大地での支配領域を持っている。

 この二人も神官だ。特徴的な髪型の男は『空島番長 ゲダツ』スキンヘッドのグラサン男は『スカイブリーダー オーム』実力はどちらも空島でも十本指に入る。

 

「そう言えば、サトリの奴も倒されたんだったな」

「あいつは最弱だ。それでも倒されるなんて誰が予想出来る?」

「出来んな。神(ゴッド)ですら思わなんだろう」

「ではシュラの奴は……」

「大方遅れでもしているのだろうよ。神(ゴッド)の呼び出しだろうが!!」

 

 神官である二人は己が四人の中で最強だと思っているが、誰一人としてその辺の雑魚に負ける程弱いとは思っていない。

 なので、シュラがまだ到着していないのは、ただの遅刻だと思った。

 

 

 そしてシュラが到着しないまま、中から扉が開かれた。

 ガチャッと音を立てて開く扉。それに気づいたゲダツとオームは跳び下がり拳と剣を構える。

 それを後方から見ていた大男が溜息を吐き、神官二人に喚起を飛ばす。

 

「何をしている!!お前たちは!!!」

 

 神兵長であるヤマだ。

 しかし、二人はヤマの言葉を無視して言い合いを始めた。

 

 デカい口を叩くな。貴様など取るに足らないわ!!

 

 その様子にキレたヤマが怒りの声を上げる。

 

「お前たち!!!神(ゴッド)の御前だぞ!!」

「御前?神(ゴッド)はまだおられぬではないか?」

 

 オームが空の上座を見て言い返す。

 確かに誰もいない。

 

 と、そんな時。

 油断していたオームとゲダツに声がかかる。

 

「隙あり!!」

「「!!」」

 

 声に反応してオームとゲダツは再度構えなおすが、二人の間に人が現れ、バリリッッ!!と攻撃が迸る。

 オームとゲダツが攻撃を喰らい呻いているのを後ろに、攻撃を放った者はそのまま側転の要領で動き上座に座った。

 

「ヤハハハハハハ!!!我が神なり」

 

 神官二人に攻撃を浴びせた者が「修行を怠るな」とやんわりと言い放った。

 この者こそがスカイピアの絶対統括者、『神エネル』

 

 

 

 神エネルはオームとゲダツ、ヤマの前で起こっている事を話す。

 青海人達が黄金を狙っている事。明日シャンディア達が再び攻めてくる事を。

 なので、神官二人に神の島全域を開放し、何処に試練を張りルール無用で暴れまわっても問題無いと言い放つ。

 

「――なぜ、急にその様な事を?」

 

 ゲダツが神エネルに質問する。

 神エネルはリンゴを齧りながら答えた。

 

「もうほぼ完成している。………マクシムがな」

「っ!!」

「…では」

「あぁ、さっさと旅立とうではないか。夢の世界へ」

 

 前々から決まっていた。

 スカイピアを統一する前から決めていた計画の完成だ。

 

 そんな神エネルの言葉に、オームとゲダツを驚きと喜びを隠せない。

 遂に完成したか。と両者とも思い、明日の出発を描いて頬が緩む。

 神エネルも気分が良さそうにしていたが、次の話題を考えるにあたって次第に険しい表情に変わる。

 

「神(ゴッド)?どうされたので……」

「一つ、伝えねばな。……………今しがたシュラがやられた」

「ん!?」

「なっ!!?それはまことで?」

 

 神エネルの口から伝えられた驚愕な情報。

 遅刻だと思っていたシュラが、実は青海人にやられたとのこと。

 最悪の予想が当たってしまった。

 一日のうちに二人もの神官が倒されるなど、この六年間でもっとも有り得ない大事件。

 

「あぁ、私の心網から声が聞こえなくなった。相手は………」

「神(ゴッド)相手は誰なので?」

「ふむ。……よく聞こえないなこれは。私の心網から逃げられる者が存在しているとはな……面白いではないか!!!」

 

 自分の心網で捉えられない者が一人存在している。

 神エネルはそれを面白いと思った。

 なぜなら、自分の能力が絶対だと信じており、例え心網が通じなくても負けないと盲信しているからだ。

 

「お前たちはそいつには手を出すな。我が直々に相手をしてやる」

「神(ゴッド)自ら!!?」

「しかし、心網も通じず容姿が不明です。どうやって見分ければ?」

 

 そうだ。

 心網が通じないなら攻撃を読むことだけでなく、知らない者の見分けも付かない。

 神エネルにはその方法があるのか?

 

「なに、強そうな奴に尋ねて見れば良かろう。もし本人だと分かれば戦闘を避けるだけだ」

「なるほど。青海人は僅か八名。流石に近くまで寄れば心網で強さが分かるでしょう」

「そうだな。我をどの位楽しませてくれるか、楽しみなものだ。ヤハハハ!!」

 

 

 

 こうして夜は更けていく。

 スマラは眠っている。知らない所で、厄介ごとに巻き込まれているともつゆ知らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜も開け、知らず知らずのうちに神エネルが定めたサバイバルゲームが始まった。

 

 そんな空島の運命を掛けたゲームの最中、麦わら一味は二手に別れて行動していた。空島に眠る黄金を探す部隊と、メリー号を島の出口まで安全に持っていく部隊。

 

 メリー号の部隊は全員で三名。船を航海させるに必要不可欠な航海士、ナミ。ナミの護衛であり、船を守る最大戦力、サンジ。こんな危険な島に入っていけるか!!と怖がって残ったウソップ。以上三名に、昨日神官の襲撃を受けた際に仲間を守ってくれた、空の騎士ガン・フォール。

 これが現在メリー号に乗っているメンバーである。

 

 生贄の祭壇から出発して少し。彼らはガン・フォールから空の戦いについて学んでいた。

 衝撃を吸収し、任意で放出させる事が出来る衝撃貝。それを実演させてみせ、空の戦いが如何に地上とは違うものか教えるガン・フォール。

 貝の種類を見極められない青海人には厳しい。更に加工雲も存在している。

 日々訓練をし、何年、何十年と鍛錬を繰り返した者に青海人は手に負えないだろう。

 

 ガン・フォールはそう述べた。ルフィ達の真の実力を見ていないから言える言葉だ。

 

 そして、ここまで聞いたサンジが唯一語られなかった気掛かりを質問する。

 『マントラ』とは何か?

 

 ガン・フォールは吾輩が扱えるわけではないが……と、前置きを入れて知っている事を話す。

 曰く、聞く力だと。人間、生きているだけで何らかの声を発生している。その声を聞く事によって、相手の次の行動を読めるのだとか。

 神官は神の島全域、神エネルに至っては神の国全域を聞ける規格外。

 

「あの力は得体の知れない……」

 

 そうガン・フォールは締めくくった。

 

「お、おい」

「あぁ、分かってるよ」

 

 心網の説明を聞いたウソップとサンジが何かに気づいた。

 言葉はないものの、お互いに言いたいことは分かる。

 麦わら一味の船にも一人、相手の行動が読める規格外が存在していると。

 

「スマラよね……」

「あぁ、あいつは初めからルフィの行動を知っていたかの様に避けやがった」

「スマラさん………まさか空島出身だったのかな~??」

「いや、そこまでは分からなんぞ」

 

 ナミ、ウソップ、サンジはスマラが心網と呼ばれる不思議な力を扱える事を決定づけた。

 しかし、それが空島特融の力なのか、それとも地上でも普通に知られているものなのか?そこまでは本人に聞かなければならない。

 

 話題は、何時の間にかいなくなっていたスマラの事に変わる。

 一味の中でも特にスマラを気にかけている二人がいるのだ、話題は尽きない。

 

「そう言えば、船動かしてちゃってるけど、帰ってこれると思う?」

「大変だ~~!!迎えに行かないと!!」

「お、おい待て!!サンジ!!」

 

 ナミがスマラはこの船に帰って来れるのか?と疑問を口に出すと、サンジが船から跳び降りようとする。が、ウソップが慌ててサンジを引き留める。

 ウソップがビビりながらサンジを説得し始めた。

 

「お前がこの船から降りたら、誰が守るんだよ~!!言っとくが、俺を戦力にしたらダメだぞ!!」

「そうよ。冷静に考えてサンジ君。スマラなら声を聞いて場所を探すんじゃないかと思う。それに、今までスマラが負けた所を見たことある?」

「ないです!!……確かにそうだ。ナミさんが言った通り、スマラさんは必ず帰って来る!!」

 

 ウソップの説得にナミも助太刀し、サンジはようやく止まった。

 

 一連の会話を聞いていたガン・フォールは、心網が扱えるらしい人物に目を開く。

 

「聞いて居れば、青海人にも心網が扱える者が居るそうだな」

「私達も詳しく知らないんだけど、これまでも言動から絶対に使えるはずよ」

「ふむ。それがあの娘さんか………」

 

 ガン・フォールはこの一味に初めて会った時のことを思い出す。

 ワイパーの襲撃から青海人を守ろうと思って駆けつけてみたものの、戦闘は既に終了後。あのワイパーを初見で返り討ちにしていた。

 その時に、自分の説明を興味なさそうに聞いて居なかった娘がスマラだろう。と、ガン・フォールは納得する。

 

「な、なぁ。一つ思ったんだけど」

「ん?どうしたウソップ?」

 

 ウソップが何か考え着いたらしい。

 サンジが聞き返すと、ウソップは簡単そうに言った。

 

「この島には神官や神、ゲリラ達がうじゃうじゃいるんだろ?だったらスマラが纏めて全部吹き飛ばしてくれねぇかな~?って思ったり……」

「あいつがそんな面倒な事すると思う?」

「だよなぁ~。希望願望ってやつだよ」

 

 ナミ一言で論破。ウソップもやってもらおうとか、やってくれるはずだとかは思っていない。だって、スマラだもの。自分から進んで敵に手を出すなんて事、今まで一度も無かったので、ウソップも「言ってみただけだ」と早々に諦める。

 ただ、誰一人としてスマラが神に勝ないとは思っていない。

 

 

 

 

 

 知らぬ所でサバイバルゲームが始まっているとは知らない。そもそも、この島が神側、ゲリラ側、麦わら一味の三つ巴の戦場になっているとすら知らないスマラは………

 

「ふ~~んっ!!っと、快適快適」

 

 何も知らずに読書をしていた。

 片手で本を掴んで、もう片手でリュックサックから取り出した食パンをモッギュモッギュ食べていた。まったくお行儀の悪い手本のようだ。

 

 

 

 神の島には82人の参加者が存在している。

 その中で生き残れる者は僅か5人。神エネルがそう決めた。

 勿論、スマラもその中に入っている。

 さて、スマラは無事にサバイバルゲームから逃げる事ができるのか?答えは誰も知らない。

 

 

 神エネルに狙われているとはつゆ知らず、スマラは読書に勤しむ。

 誰かこの人に状況を説明してあげてください!!

 

 

 

 




 開幕のフザ戦は前話に組み込もうと思ったのですが、長くなりすぎるし投稿が遅くなるのでやめました。

 シュラよりもフザの方が……。
 分かります。分かりますよ!!シュラよりもフザの方が疲れているじゃん!!あれです、スマラにとって動くよりも、威圧で引いてくれるフザの方が都合が良かったのです。

 前話で描写無いですけど、夕方過ぎ~夜初めの時間帯の話です。

 ナミ達に見聞色の覇気使いだとバレました。
 別に隠している訳で無い。しかも、空島なので心網呼ばわりですし……。物語の進行状況に変わりはありません。他の小説でよく見る、覇気が早い段階で目覚めたりはしません。

 ふ~~んっ!!
 背伸びの際に出た声です。ずっと同じ体制はキツイからね……。

今後どんな風に進めていくべきかアンケート!!読者様の意見が聞きたいです。が、アンケート結果が絶対に反映するかは分かりません。結果を意識しながら書いて行けたらなぁ。と思ったアンケートです。

  • 出来るだけ簡潔に!!
  • もっとストーリーに関わって欲しい
  • そんなことよりも更新速度早よ!!
  • 知るか!勝手にやってろ!!
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