麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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総合評価が1,000ポイントを超えました。連載開始当初はここまで増えるとは思っておらず、ただ息抜きで書いていた作品でした。ここまで評価してくださり、誠にありがとうございました。これからも頑張りたいと思います。

今更感ありますが、台風は大丈夫でしたか?自分ですか?地方都市の郊外(周りに田んぼよかある感じ。段々と開発進んで行っている←これが昔の景色が亡くなって悲しい……)なので全く関係無かったですね。東京ザマァ~としか思ってませんでした。

鬼キュアも毎朝頑張ってます!!!深夜アニメリアタイで見たいので、ほぼずっと昼夜逆転生活送ってますよ。火曜日と金曜日、日曜日は見る奴無いから寝れる。ただし、朝起きれる自信がないから基本寝ない。ニートですか?ギリギリ違います。


436 三十八頁「あら?遅かったわね」

 地面に降りたスマラは、人知れず消えていった。

 

 辺りは薄暗い。これまで空島を覆っていた雷雲のせいではない。

 単純に、太陽が傾いているからだ。

 

 

 スマラは神の大地を歩く。

 戻ってこないスマラを不安がっている麦わら一味など知りもしない。

 どうせ彼らのことだから、もう一日は動かないだろう。

 その間に何としてでも見つけ出さねばなるまい。

 

 あそこまで労働を行ったのだ。

 これで見つかりませんでした。では済まされない。

 だからこそ、探し出さねばならない。

 

 黄金の大鐘楼に刻まれているという歴史の本文を。

 

 

 

 

 

「正解みたいね」

 

 神の大地を探し回って数時間。

 のんびりとのほぉ~んと歩いているとやっと見つかった大鐘楼に、スマラはほっと一安心。

 その場所は、神の大地の東の海岸。巨大な豆蔓に引っかかっていた。

 

 探し物は見つかった。後は用事を済ませるだけだ。

 だがしかし、蔓に引っかかっているため、肝心な歴史の本文が見えない。

 

 非常にめんどくさい。

 スマラの用事を済ませるためには、蔓に引っかかっている黄金の大鐘楼を引っ張り上げないとだめだろう。

 非常にめんどくさいのは、引っ張り上げなくてはならないことだった。

 

 見たこともない大きさの大鐘楼に加えて、全てが黄金で製造されている。当然重たい。

 数百名の人間が引っ張ってやっと動かせる重さだろう。

 能力を使って、人では到底不可能なことが可能にできるスマラでもためらう重さ。

 単純に、今日だけでエネルの攻撃を何十回と無効化した疲労が溜まっているだけだが……。

 

 

 

 それでも、今やろうとも思わない。明日でもいいだろう。

 スマラはそう見切りを付けると、少し離れた場所に移動して腰を下ろした。

 そのまま背負っているリュックサックの中から、食パンを一切れ取り出すと、むしゃむしゃと食べ始めた。

 晩御飯だ。スマラが個人で用意する食事に、まともな物を期待する方が間違っている。スマラはこれで十分なのだから!!

 

 もっぎゅもっぎゅと食パンを完食すると、スマラは寝転ぶ。ご飯を食べたばかりに寝転んだら太る?消化に悪い?

 スマラさんにはその様な小さい事は気にしないのだ。能力によって体重も増えない!!女の敵である。

 

 

 世界中に住む女性が羨む様な力を持っているスマラさんは、そんな事も知らない。

 寝転ぶと、直ぐに眠たくなる。眠気もある程度操れるが、今はそれ以上に疲れているらしい。

 

 まぁ、当然と言えば当然の反応だろう。

 エネルはスマラの予想以上に強敵だった。空の上ばかりに興味を示すこともなく、青海をもっと見聞したのなら、スマラに匹敵する力を得ることだって可能かもしれない。

 それ程までに、自然系能力者は厄介なのだ。

 

 

 

 スマラは瞳を閉じると、直ぐに夢の世界に旅立って行った。

 

 

 

 

 

 ふと、目が覚めた。

 

 太陽が雲の先から見え始め、朝露が辺りに蔓延している気持ち良い朝方。

 

 もう少し眠りたい気持ちを抑えて、スマラは起き上がると見聞色の覇気を発動した。

 すると、少し離れた場所に数名の反応が帰ってくる。なんてことのない一般人の反応だ。

 ふと目が覚めたのは、彼らが原因だろう。

 

 チラッと確認すると、彼らは大鐘楼に群がっている。やがて、紐を括りつけて引っ張り出そうとしていた。

 彼らもまた、麦わら一味からこの大地が空に現れた時の伝承を聞き、象徴である黄金の大鐘楼を探していたのだろう。

 

 引っ張り出してくれるなら願ってもないことだ。

 スマラでも骨の折れる作業を代わりに行ってくれるのだ。甘えるとしよう。

 全てが終わった後、じっくりと目当ての物を作ればいい。

 これでも島を守った麦わらの一味に引っ付いているスマラだ。易々と追い返されたりはしないだろう。

 どうしても断られるならその時はその時だ。

 全員を気絶させた後に作業に移ればいいだけの話。

 

 その時まで気軽に待つとしよう。

 麦わら一味の気配は常にマーク済み。空島を出港しようとしたらすぐにわかる。

 それまでに終わりそうにないなら、スマラも手伝わざるをえないが………何とかなるだろう。

 スマラは、黄金の大鐘楼を引っ張り上げようとしている者達を見て、楽観的に見守った。

 

 

 

 シャリシャリ。チラッ。ペラッ。

 

 シャリシャリシャリシャリ。チラッ。ペラッ。

 

 

 シャンディアの戦士たちが「せーのっ!」と声を合わせて大鐘楼を引っ張り上げている中、のんきな音が響く。(のんきな音はシャンディアの皆さんには聞こえてません)

 リンゴが齧られる音。本の頁が捲られる音も一緒にだ。

 

 本の頁が捲られると言えば、スマラしかいない。スマラ以外に居るというのなら、是非とも教えて欲しいものだ。それ程筋金入りの読書中毒。

 

 スマラは少し離れた木の枝の上で、本を読みながら朝食のリンゴを齧っていた。時々、チラッと前方の進行状況を確認するのも忘れていない。

 現状、スマラはシャンディアの皆さんが黄金の大鐘楼を引っ張り上げるのを待っていた。

 他力本願過ぎるスマラさん。だが、それでこそスマラさんと言えるだろう。

 このまま普通に出ていき、シャンディアの皆さんと一緒に汗を流す………なんて事があったら、誰でも気持ち悪いと思うはず。何となくスマラの事を理解し始めている麦わら一味のメンバーが見れば、すぐさま熱か毒、偽物を疑うだろう。

 

 他人など気にしない。自分に利益がないと動かず、その利益すらも本や物語と言った特殊性癖。

 能力が強力ゆえに動くことを嫌い、面倒だとか自身がしなくてはならない場面以外では常に読書をして、自分の趣味を優先する。

 それがスマラだ。

 

 なので、シャンディアの皆さんが一生懸命に働いているのを見ても、ただのうのうと朝食と読書に浸っていても、何ら違和感もない。

 読書をして精神的な疲労を癒しながら、スマラは時が経つのを待った。

 

 

 

 

 

 いくら時間が経っただろうか?時計を持たないスマラには体内時計でしか、時間を知るすべがない。

 もっとも、街中だったりすれば話は別だろう。

 

 まぁどちらにせよ、スマラには取って時間は特に意味を持たない概念である。

 明かりのない夜には寝て、好きな時に起きる。起きている間は基本読書をするだけ。お腹が空いたら読書の片手間に食べ物を齧り、また読書の時間へと戻る。

 予定などないに等しい。その場の空気に流されて島を旅する。ある意味無職者。

 そんな者に時間の概念はいらない。時間など気がついたら経っていた。それだけだ。時計などいらない生活になるのは必然的だった。

 

 

 

「やった!!!!」

「これがオーゴン!!!?」

「なんて美しいものなんだ!!」

 

 

 本の世界に入り込み始めたスマラの耳に、歓声が聞こえてきた。

 せっかく本の世界に入り込みそうだったのに!!と間の悪いシャンディア達にイラつきながらも、本来の目的を思い出したスマラはチラッと本から視線を上げた。

 するとそこには、見事な黄金の大鐘楼があった。蔓や苔に覆われながらも、その形は健在。四百年もの歳月をかけて、再び人の目に触れる事が出来た訳。

 

 

 スマラは本をパタンと閉じると、リュックサックにしまい込んで腰を上げる。そのまま枝からヒョイと飛び降りてシャンディアの下に向う。

 

「少しいいかしら?」

「…!?青海人か……。何用だ」

 

 スマラが黄金の大鐘楼を見上げているシャンディアの皆さんへ声を掛けると、集まっている者のなかでも一番の高齢者と言っても過言ではない者がスマラに答えた。

 彼がシャンディアの酋長だ。最年長の者であり、幼きワイパーに大戦士ガルガラの執念を伝えた者でもある。

 

「そこの歴史の本文に用があるの。場所を空けてもらっても構わないかしら?」

「用?何をするつもだ……」

「少し紙に写すだけよ。遺蹟に少しだけ触るけど、壊したりはしないわ」

「………写す?一体何の意味が?」

「さぁね。………物語が読みたいだけ……なのかしらね」

 

 スマラの答えは、まるで自分がしている作業なのに意味が分かっていない様子だった。意味が分からないのにしている作業。誰かに命令されてしているような………。

 

 スマラは酋長が何も言わない事を肯定と取り、早速作業に取り掛かった。

 リュックサックを降ろして身軽になると、中から巨大な模造紙とインクを取り出した。模造紙は広げると、丁度歴史の本文にぴったりと当てはまる位の大きさ。

 スマラが述べた目的の写す。それは決して嘘や戯言なのではなく本気のようだ。

 

 一人で着々と準備を始めているスマラに、誰かが誰もが持っている疑問点を言った。

 

「もしかして、読めるのか?」

「まさか。今はまだ、読めはしないわ」

 

 今は……まるで今後は読めるようになる。そう確定しているような言い方だ。

 

 今度はペタペタとインクを遺跡に塗りたくるスマラ。

 それは、先祖が大切にしていた物を汚す行為と等しい。我慢できずに一人が酋長に抗議の声をあげた。

 

「酋長!!遺跡が!!」

「……仕方ない」

 

 この黄金の大鐘楼がとても貴重な物あると、一番分かっているはずの酋長は、スマラを止めるどころか何もしない。淡々と抗議を言った者に言った。それはスマラの行為を認めると同意儀。

 しかし、シャンドラの皆さんは納得いかない様子。一人が声を上げたのを堺に、次々とスマラの行為を非難し始めた。中には武器を手に取り構える者もいる。

 

「おい!!いくら恩人の青海人であろうと、そのような行為は認めんぞ!!」

「そうだ!!折れたオーゴンの棒くらいは差し上げても良いが、その遺跡を汚すな!!」

「今すぐにそれをやめろ!!」

「酋長!!流石に辞めるべきです」

 

 スマラの行為に怒りを見せるシャンドラの皆さん。ここまで広がれば、いくら酋長でも抑えられない。

 スマラさん大ピンチ!!!!

 

 と、なる訳がない。

 シャンドラの皆さんは知らないが数刻前、空島を恐怖に落とし入れたエネル。奴を簡単に叩き倒す事が可能な実力を持っているスマラさんだ。この程度ではどうってことない。

 しかし、嫌々ながらも珍しく作業をしているスマラさん。

 

 うん。イラつくよね。

 簡単な作業と言えど、丁寧にしているのは確かだ。そんな中横やりの様に非難する声を聞かされるのは、スマラでなくてもイラつくだろう。

 

 なので、スマラさん抑えていた威圧を少しだけ解放した。覇王色の覇気ではないが、ただの人を怯えさせるには十分な威圧だ。

 シャンドラの皆さんにスマラの威圧が襲う。武器を構えていたものは取り落とし、酋長に言葉を述べていた者は口が開けない。どちらでもなくただ見守っていたものでさえ、息を吞んでスマラから目を離せない。

 

 覇王色の覇気ではないと言えど、世界でもトップレベルの実力を持ったスマラの威圧だ。一般人ではなくとも心の弱い者には響く。

 結果、この場に居た三分の一が気を失って倒れたのは当然だろう。

 

 これでも軽めなのは、直接的な妨害をされていなかったり、そこまで大きな威圧を出さなくても簡単に黙らせる事が可能だと判断した余裕であったり、単に面倒であったり。と、色々な懸念が混ざり合った結果である。

 

 

「酋長!!彼女は!!?」

「こうなる事が分かっていたから、この方に素直に場を明け渡したのだ。見ろ、これ以上強引に止めるというのなら、我々を皆殺しにしてでも用事を済ませるだろう」

「………酷い言いようね。流石にそこまではしないわよ。せいぜい全員を気絶させる程度かしら?」

 

 シャンドラの皆さんが不満を述べるのが分かっていながらも、スマラに場所を素直に引き渡したその理由。

 それは、酋長だけがスマラの目に気がついていたからであった。

 冷たい目。人などどうとでも思っていない。人間的ではないその目を酋長だけが気がついていた。

 もしここにワイパーがいたのなら、酋長と同じ様に止めただろう。いや、酋長よりも力づくでも仲間たちを止めるはず。なにせ、彼はシャンドラの皆さんの中で唯一、スマラの実力を目にしていたからだ。

 エネルの雷を無効化する様なバケモノを敵に回したくないと思うのは、当然の感情だろう。

 

 それに、スマラとて意味なしげに遺跡を汚すわけではない。

 魚拓の方法で遺跡に刻まれている文字を紙に写し、それを持ち帰る目的があるからだ。

 ただ無意味に遺跡を壊すのが目的ではないので、後片付けだってキチンと行う。

 

 全てを説明しなかったスマラも悪いし、話を最後まで聞かずに暴走したシャンドラの皆さんも悪い。

 どっこいどっこいだろう。

 

 一人でこの大きさの遺跡を移すのは時間がかかる。テキパキとスマラは作業を進める中、気絶しなかったシャンドラの皆さんが、酋長の指示を受けて手伝ってくれた。

 紙を抑えて、一斉に引っ付ける。スマラの指示の元、作業は速いペースで終わっていく。

 

 

 

「どういうつもりなの?私は手伝ってとは言っていないわよ」

「先のお詫びだ。それに、一人よりも皆で行った方が早く終わるだろう」

「……そう……ありがと」

「礼など不要だ。……お詫びと言っただろう。エネルの倒してくれた青海人でもある……」

 

 沈黙が流れる。遺跡の文字を写した紙は既にスマラのリュックサックの中。

 他の人達は遺跡に残ったインクを洗い落としている最中。

 その様子を眺めながら、スマラと酋長は遺跡の前に立ち尽くす。

 

 隣にいる酋長は何百年と続く部族の長だ。風格だってある。

 それならば、この遺跡に書いてある内容だって分かるのでは?と気になったスマラは口を開いてみた。

 

「………何が書かれているのかご存知で?」

「……………しらずとも良いことだ。我々は―――――」

 

 我々はただ守るのみ。そう言いたかったのだろうか?

 だが、意外な人物によってその言葉は消える。

 

「『真意を心に口を閉ざせ。我らは歴史を紡ぐ者。大鐘楼の響きと共に』」

 

 意外な人物。いや、シャンドラの皆さんにとって意外であり、その正体を知っているスマラからすれば自然な人物。

 

「あら、遅かったわね」

「貴女みたいに島中を探し回った訳ではないもの。報告を受けてから来たのよ」

 

 麦わら一味の考古学者『悪魔の子』ニコ・ロビンだった。




すまない!!思ったよりも文字数が伸びてしまった……。ので、もう一話。次回こそ空島終了です!!

次回作品に向けてのアンケート。詳しくは活動報告にて

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