麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが? 作:与麻奴良 カクヤ
その代わりと言ってはなんですが、大ボリュームでお届けします。実は思った以上にキリの良いところまで行かなくて、増えちゃいました。
後、いつもは長々と書いている活動報告のゲーム報告をTwitterの方に移動しました。良かったらフォローよろしくお願いいたします。フォロー返しはしますよ。
前置きはこのくらいで、どうぞ。
その少年の声を聞いた時、船内は静かになった。発言をした少年は麦わら帽子を被ったこの船の船長。彼の仲間達も船長の言葉に顔を固くさせる。そして、スマラは思った。
(彼が何を言っているのか分かりません)
ことの始まりはスマラがこの船に間違って助けられたことから始まる。能力で周囲の状況を遮断していたスマラは、遭難していると間違われこの船に乗せられた。
スマラが状況把握してからひと悶着あったが、スマラが乗っていた小舟は海の底。なので、次の行き先であるローグタウンまで乗っけて貰うことになる。
そこまでは良かったのだが、スマラの荷物が船の中に残したままだったのだ。スマラは見聞色の覇気と能力を使っていた持ち物なのが幸いし、悪いと思っている彼等を使い無事に荷物を取り戻すことに成功する。
そして、船内で自分の経緯やこれまでの事を話していたのが数秒前。
「なぁ、何年も帰ってねぇんだったら、俺たちと一緒に冒険しようぜ!!」
この船の船長で今や東の海(イーストブルー)最高額の賞金首麦わらのルフィが、この先の行き先を決めかねていたスマラを仲間に誘い、スマラや彼の仲間を混乱させ今回の冒頭へと戻る。
始めに動いたのはナミだ。彼女はルフィの頭を叩くと、スマラに謝ってくる。うちのバカがごめんなさい、と。
「あはは、ごめんなさいね。こいつは人の都合も考えずに行動を起こす奴だから」
「スマラさん断ってくれても全然構わないぜ。勿論、俺としては美しいスマラさんと一緒に旅ができるのは大歓迎です!!」
「アホかてめぇは。まぁ俺としても強ぇ奴がいるなら大歓迎だ。手合わせも願いてぇ」
「ちょっと待て!!俺は反対だぞぉ!!こんな危ない奴と航海なんてできねぇ!!」
一味の反応はそれぞれだが、明らかな反対意見はスマラにいい思い出を持っていないウソップだけ。来ないならそれでもいいし、来るなら歓迎する。その考えが殆ど。
しかしスマラはすぐに断る。これまで誰かと共に行動などした事が皆無だからだ。それに、所属してしまえば海軍に目を付けられる事となってしまう。スマラはそれだけは避けたかった。
「誘いは嬉しいのだけれど、私には無理よ。海賊が嫌いというわけではないのだけれど、私は飽くまでも旅人。海賊になるつもりはサラサラないわ」
「え~、いいじゃん!やろうぜ海賊!!楽しいからさぁ!!!」
誘いは嬉しい、と言う社交辞令を兼ねて断るスマラだったが、ルフィは全く折れない。これでは断った意味が無い。
スマラは断っても断っても、しつこくしつこく断るごとに強くスマラを誘ってくる。
「楽しみは別に求めてないのだけど……」
「求めてなくてもいいからさぁ~!!一緒に来れば楽しみが分かるって!!」
「だから、海賊には……………」
「そんなのやってみないと分からないぜぇ~!!」
「いや…」
「それにスゲー強いんだろ~」
スマラが何か言いかけると反撃の如く勧誘に励むルフィ。普段は温厚なスマラも流石にキレそうになってしまう。この船に居ると普段は全く無い感情が湧き上がってきてしまっていた。
「そろそろ黙らせてもいいかしら?」と能力執行を行おうと思っていた矢先、ルフィは再びナミに頭を叩かれる。
「いい加減にしなさい!!スマラが困っているでしょう!!」
「あっぶっ!!」
「ナミさんナイス!」
「いよぉーし!ルフィの発言は取り下げだぁ」
女性であるスマラを困らせていたルフィを成敗したナミにエールを送るサンジは、目をハートマークにさせて親指を立ててグッドのポーズ。
ルフィを黙らせた事により、スマラに苦手意識を抱えているウソップがスマラの勧誘は無かった事になる。と歓喜のポーズ。
スマラも「これでやっと正式に断れる」とほっと一安心し、この場の空気はスマラが仲間にならない雰囲気になる。
が、そこに空気を読まない男が一人。それはこの場の中で最もルフィと行動を共にした、麦わらの一味一人目の船員。ロロノア・ゾロだ。
「しかし、こんなことでこいつが諦めるのか?」
「「「………………」」」
「スマラ一緒に行こうぜ!!」
ゾロの一言で一同は黙ってしまう。その隙にルフィがスマラの勧誘を再開するが、今度は先ほどとは違い誰も気に留めない。
ゾロの言葉に一理あったからだ。
思い返してみると、ゾロが何度断ってもルフィはめげずにゾロを勧誘し続けた。結局ゾロが海軍に楯突くことをきっかけにルフィの仲間になった。
サンジもそうだ。初めは断った。しかしルフィはめげないし、オーナーの許可を先に取ると言う策(本人は全くそのつもりはない)も見せつけた。それでも断り続けたサンジだが、クリーク海賊団との戦いで信念の強さを見せつけられ、夢を叶える為の覚悟を決意しこの船に乗った。
ナミは少しだけ違うが、事を辿れば同じ様なもの。始めはただのお金を稼ぐ手段として手を組んだ。それが二つの島を巡る間にこの空間が気持ちいいと感じるようになった。一時は船を奪うと言う裏切り行為にまで手を染めたが、それでもルフィはナミの事を仲間だと言い張り、鎖であったアーロンを倒してしまう。
この船に乗っているルフィとスマラ以外の四人。その内三人はルフィのしつこい勧誘に折れて仲間になった。
唯一ルフィからしつこい勧誘を受けなかったウソップだが、ルフィ達と出会い海に出る決意を決めるきっかけになり、既に仲間だと思っていたルフィの一言でこの船に乗ることになった。
そのことを入れれば、四人とも全員がルフィのせいでこの船に乗ることとなったと言えるだろう。
ゾロの一言で、この中の誰もがルフィにしつこく勧誘されて仲間になっている。そう思い至った四人は、しつこく勧誘を繰り出すルフィに向かって静かに腕を挙げているスマラに何も言えなくなっていた。
「いい加減にしなさいっ!!」
「だぁ!!痛ってぇぇぇ!!!」
ごんっといい音を立ててスマラの武装色付きの拳がルフィにヒットした。威力調節をしたおかげか、吹き飛ばされることはなかったが、地面に沈んでしまうルフィ。
流石に今のはルフィが悪いと分かっているので、仲間は誰もルフィを心配しない。それどころか、吞気に会話を続ける。
「……諦めると思うか?」
「絶対諦めないと思うわ」
「だな」
「俺たちの時と同じだこりゃあ。余程のことが無い限り無理なのは俺たち全員が知ってることだ」
ルフィを地面に沈めたスマラは、読書でもとリュックサックの中に手を入れてお目当ての本を取り出しながら、体験者達の会話を聞いていた。
体験者ということは今後の展開として、またこのしつこい勧誘者の攻略法のヒントでも、と耳を傾けていたのですが、聞こえる会話は誰もが諦める様なものばかり。スマラはため息と共に、「もうちょっと頑張ってよね」と悪態を吐いた。
一方でスマラにそのゴムの身を貫通する攻撃を喰らったルフィは、一分もすれば痛みは和らいで立ち上がります。そして、スマラのことが益々気に入ったのか、立ち上がると勧誘を開始。
スマラが無視を決め込んで読書をしていても、ルフィは気にもせずに話しかける。
「なぁなぁ!!今のどうやったら出来るんだ??」
「…………………」
「昔じいちゃんにも同じようにやられたんだ!!」
「………………」
「もしかして、海軍にでもいたのか?」
「………………」
「なぁ~答えてくれよ~。あ、何の本読んでんだ?俺にも教えてくれよ!」
何回質問を繰り返しても返ってくる答えはゼロ。なので偶々目に入った本について話題を振ることにした。
ルフィが本に話題を移したのは、スマラが本の話題なら話してくれるかもしれない!と思ってのこと。実際にスマラが反応して答えても、ルフィはちんぷんかんぷんであろう。兎に角、ルフィは何でもいいからスマラと話がしたかったのだ。
しかし今のスマラ、ルフィの声が全く聞こえていなかった。能力で音量を消している、のではなく、ただ単に物凄い集中しているからだ。
理由はちょう簡単。スマラが最後に読書をしたのはおおよそ数時間前。お昼寝タイムを挟んで読もうとしたつもりが、この船に拾われてリュックサックがなくなりと、かなりの時間読書が出来ていなかった。
スマラにとって読書とは、ただの暇つぶしではない。更に言えば、知識を集める手段でもない。勿論、読書を経て知識が詰まって行くのは面白いし、それを他人に披露するのも嫌いではない。
しかし、それだけならばただの読書好きの女の子。スマラはそれの数段先を行く。
ご飯を食べる時も読書。移動中も読書。眠くなるまで読書。本の資金を調達するするときも読書。襲いかかってくるならず者と対面した時も読書。とにかく読書。何時でも何処でも、読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書読書。物心ついた時から片時も離さずに読書だ。
そんなスマラが短い間と言えど読書をしなかったのは、これまでの人生でたったの一度のみ。その時は流石に手を抜けない相手だったので、やむを得ず読書を中止した。非常に不本意ながらも自分の意志で辞めたのだ。
しかし、二度目である今は違う。自分の意志でもなく、ましてや不可抗力でもない。悪意は無くても他人によって読書が出来ない環境へといざなわれた。
だからか、その反動で物凄い集中力をスマラは纏っていた。何者にも彼女の読書を止められない。例え船が転覆しようが、無意識のうちに船から空中へと移動しそのまま読書を続けるかもしれない。
そんな今までにない集中しているスマラは手と頭、本の頁に書いてある文字を追いその内容を頭の中で想像すること以外の機能を完全に除外していた。
なので、スマラを時折突いたりしているルフィの声は一切聞こえていなかった。
ルフィが幾つ声をかけても無視。普通なら鬱陶しいくて無視できないはずなのに、無視を決め込んでいるスマラ。そんな二人のやり取りを見て、ナミが流石に一旦辞める様にルフィに言った。
「こらルフィ。今集中しているみたいだからそっとしておいてあげましょう。ほら、外の天気の晴れてきたみたいだから、ローグタウンに向けて出発よ!」
「そうだな!野郎ども、ローグタウンに向けて出発だぁ!!」
やっと何処かに行ってくれた。読書に集中しながらも周りの状況を把握していたスマラは、人が散らばったのを見てそう思った。
ゾロとウソップは再び帆を張りに、ナミは海図を持って進路の方角を支持するために、サンジだけがこの部屋に残り夕食の支度をしている。ルフィ?羊の船首にでも乗っているのだろう。
スマラはサンジが夕食の支度をする音をBGMに読書を続ける。
ふと、隣に誰かが座ってくる気配を感じた。スマラは文字を追う目を一瞬だけ外し、視野を広げる。のがいけなかった。
スマラは視野を広げてしまった自分を後悔した。なぜなら自分の隣に座っているのが、何処かに行っていたルフィだったから。
今から移動しようにも、移動したら読書から集中が途切れた、と思い勧誘される。スマラは隣に座り自分を眺めているルフィを無視して読書に励むしかなかった。
とは言え、真横で自分をジロジロを眺めている奴が居ながら読書に集中出来る人が何人いるだろうか?スマラの場合、能力で周りの状況を無効化すれば問題はないだろう。だが、一応ここは海賊船。完全に周りの状況把握を切るのは得策ではない。
なので、スマラは隣にいるルフィに気を散らしながら読書を続けるしかなかった。
「ねぇ。どうして私をこんなにも誘うの?」
「あ、反応した」
ルフィに耐えられず、本から目を逸らさないまま質問した。ルフィは「何故?」と問われてもすぐには答えを出せないようで、頭を抱えて答えを出そうと考える。ルフィでも明確な理由があるわけでもないらしい。
「なんとなくだ」
「…なんとなく?」
なんとなく。それがルフィの出した答えだった。ただ気分でスマラを仲間にしたかった。そうともとれる答えを聞いてスマラは、
「気分で決めておいた癖して、えらく諦めが悪いのね」
「だから、なんとなく仲間にしたくなったんだ。お前が本気で断らねぇ限り、俺はお前を仲間に加えたい」
「気分で仲間にしたくなって、自分の意志は曲げない。………まぁ、いいのでは?」
ルフィの言葉の裏を返せば、スマラが能力で逃げれば、もしくは圧倒的な力で叩き潰して海軍にでも引き渡せば、ルフィは諦めると言っている。
思えばそうだ。スマラはルフィの勧誘を嫌がりながらも本気で振り払わなかった。現に今だって一人で航海できるのに、この船に乗っている。
心の底で、この時間や空間が心地良いと感じているのだろうか?それは、スマラ自身にも分からない。
初めてルフィを褒める言葉を出したスマラにルフィは、
「なんだ?褒めてくれるのか?ありがとう!!だったら俺の仲間になれよ!!」
「………考えとくわ」
再び勧誘するルフィにスマラは、初めて否定的な答えを出さなかった。
そんなスマラの答えにルフィは嬉しそうに笑うと、追撃は放たない。ここで押すと、いい方向に向いている風が、逆方向に吹き荒れると野生の本能で感じ取ったからだ。
サンジはそんな二人のやり取りを聞いて、嬉しそうにするとより一層料理に没頭した。己の料理でスマラの仲間入りを押せないか?と実に船長の為とも己の為とも言える動機からだが、食事が美味しいのは良いことである。
船室にはサンジが夕食の支度をする音とスマラが頁をめくる、ペラ………ペラ………ペラ、と言う音だけが響く。
やがて、今日の航海は終わりと見たのか、ナミが地図を仕舞いながら入って来た。それに続いて、帆を畳んで錨を下ろし終えたウソップとゾロも加わり、一同は揃った。
後は夕食を待つだけ、となった所でサンジが見計らったかのように完成させ、テーブルへと運ぶ。
「さぁどうぞ、レディ達。しっかりと味わって食べて下さい」
「ありがと、サンジ君」
「はい、ナミさん!!スマラさんもどうぞ。もし足りないようでしたら、お代わりなどもご用意しております」
「えぇ、ありがとう」
ナミとスマラの前だけには大皿から盛り付けられた夕食が。女性だからこそのサービスだ。
男ども?そんなの知らん!早い者勝ちで取り合え!なのが、この船の食事事情。用意された半分以上がルフィの腹の中に入っていく。
一人でいるのなら殆どの食事を食パンで済ませ、その間も本を読み続けるスマラも、流石に出された物は食べるし、ながら食いはしない。
本をリュックサックの中にしまうと、よそってくれた夕食を食べる。ゆっくりと優雅に。
別にスマラは意識はしていないのだが、その姿は育ちの良さがにじみ出ている。
掻っ込む様に食べている男性陣とは真反対。ナミはそのマナーの良さに驚きながらも、サンジだって普通にしている時はマナーは良いし、本が好きなスマラのことだ読んで覚えたのだろう。と結論を出すと、それ以上深く考えなかった。
もう一人、頭の切れてスマラの事をよく観察している一人を除いて。
食事も進み、残り少しとなった頃。既に食べ終えて、何気ない会話をする一同にスマラは呟いた。
「……この船に乗っているのもありかもしれないわね」
「………っ!!!」
聞き耳を立てていたわけでもないのに、スマラの声は全員に聞こえた。
そして、ある者は嬉しそうに、ある者は驚いたように、またある者は怯えたように、最後にある者は興味深そうに、それぞれ反応する。
「やったー!!!はっはっはっ!!!」
「え!?噓!?」
「ひぃ~!!マジかぁ~!!」
「へぇー」
反応はそれぞれ、一人を除いて歓迎の方向に向いていた。夕食が終わったばかりだが、これから歓迎の宴を……と場の空気がなっているそこに、スマラは待ったを掛ける。
「待ちなさい。私は仲間になるとは一言も言っていないわよ」
「え?何でだ?船に乗ってくれるんだろ?」
「えぇ、貴方が諦めないのだもの。一先ず、海賊の仲間になるのはどうしても承諾できないわ」
「じゃあどうして……」
スマラのストップにルフィが疑問を抱く。分からない事は質問するの精神でスマラに聞いてみると、海賊の仲間にはなれないとの事。
ならばどうするか?とナミが質問をスマラにした。
スマラは少しだけ間をおいて考えた後、その質問に対して、出来るだけ丁寧に答える。スマラが普通に答えたら、ナミとサンジ辺りは理解出てても、ルフィを筆頭に理解が及ばない者たちが多数存在すると、今までの時間で導いていたからだ。
スマラの説明はこうだ。
初めは仲間になる事を否定していたが、だからといって嫌いではなかった。スマラはしつこく勧誘してくるルフィにいい加減辞めてもらおうとも思っていた。
スマラがルフィから聞いた諦める条件は、仲間に入る、又はスマラがこの一味を全滅させること。前者はどうあがいてもスマラには不可能であり、後者もそこまでする理由はない。
ならば妥協点を探すしか方法はなく、スマラは読書を楽しみながら考えた。
そして導き出した答えは、仲間には入らないけど船には乗る、と言う強引な妥協案。
この東の海も飽きた所だし、いい加減偉大なる航路に戻ってもいいかもしれない、と考えたスマラはその提案を決定した。
だって、流石に偉大なる航路を一人で航海するのは体に負担がかかりまくるし、航路が特殊である故に面倒くさい。
しかしこの船に乗っていると、行先は勝手に決めてくれるし、航海もしてくれる。寝床の心配もしなくては良さそうだ。要するに便乗して乗っているだけで偉大なる航路が渡れる寸法。
この船が通る航路がスマラの渡って来た航路と全く同じとも限らなく、行き先で未知の本に出逢えるかもしれない。
唯一の心配は、途中リタイヤが考えられるが、その時はその時だ。途中でも最終地点でもいいので、兎に角前に進めれば問題ない。
というわけで、スマラは仲間ではなくて、ただの旅人としてこの船に乗る事を承諾したのだ。
「ん?仲間と何が違うんだ?」
「船に乗ることだけを承諾したのよ。仲間じゃないわ。……そうね、食客とでも思ってくれれば十分だわ」
「ん???船には乗るのに、仲間じゃねぇのか?」
スマラの説明に理解が及んでいないルフィ。ルフィは「船に乗る=仲間」と思っているようだった。
そんな頭の理解に追い付いていないルフィに「こいつには理解されないと後々不味い」とルフィの認識を絶対にしておきたいスマラは更に説明をするも、ルフィには通じていない。
「理解できるまで何度でも!!」と説明を続けようとするスマラに、「このままだとループするだけ」と感じたナミが仲介人として間に立った。
スマラは分かっていないが、スマラの説明は少々遠回りに走っており、小難しいのだ。考える、と言う自然界で人間が繁栄してきた理由を殆ど放棄しているルフィにはいささか、無理難題なのだ。
小難しく考えずに、要所要所が分かれば、スマラの言いたいことは簡単に分かるのだが。
スマラにも少しは非があるが、まだ出会って時間の浅いルフィの事を理解して説明しろという方が無理な話だ。対人関係が、部屋に籠りっぱなしの職業自宅を警備する者たち並みに低いスマラにそれを求めるのは、ルフィと同類とも言えるが……。
「だから……」
「ちょっと待ってスマラ。はぁ~、良いルフィ。スマラは船に乗るって言ってるの。その後の説明はあんたには難しいから考えなくて言いわ。仲間にするチャンス期間が伸びた、とでも思っておきなさい」
「なんだよぉ!!そうならそうと、言ってくれよなぁ~!!よーしッ!!スマラの歓迎会をやるぞ~!!」
それで完全に理解したのか、していないのか、判断に悩む言葉を発するルフィ。
スマラは「ホントにこの状態でよいのだろうか?」と首を傾げながら、ルフィの号令で歓迎会、もとい夕食後なので飲み物の準備をしている様子を眺めていた。
「これくらいでちょうど良いのよ。あいつには」
「……理解力が格段に低いというのも、難しいのね」
サンジが飲み物を準備している傍らに、ナミが騒いでいるルフィを横目に言ってきた。
「唯一の懸念は、彼が私が仲間に入ったと勘違いするかもしれないことね」
「そこはほら、私たちが言い聞かせておくわ。何なら、一層諦めて仲間になっちゃう?偉大なる航路の知識だけじゃなくて、実力も通用するらしいスマラが仲間だと、より安全だわ」
「無理よ。これは私の意志もあるけれど、どうしても仲間にはなれないわ」
「それって……他の海賊船に所属している、とか?」
スマラは初めから言っていた「仲間にはなれない」の言葉に、ナミはもしかして自分と同じなのでは?と疑問と危機感を抱いて質問する。
が、スマラからの返答は何でもないものだった。
「いいえ、所属なんかしてやるものですか。犯罪者になると、私の資金源がもらえなくなるじゃない」
「それって……」
犯罪者になると、海賊を海軍に引き渡して生活費が稼げなくなるじゃない?というスマラ。
ナミはそっちのことよりも、前者の言葉に違和感を覚えた。まるで、この船ではない何処かに所属されそうになったようだったと。
しかし、そのことの追求は出来なかった。スマラがルフィに無理矢理乾杯の音頭を取らされたからだ。
ナミは、気のせいかと無理矢理納得させて歓迎会に加わった。
もしもの時はルフィが何とかしてくれる。
嘗てルフィが自分にそうしてくれた様に。と、ナミは自分の船長の強さを信じて。
スマラが、この世界でも強者の部類に入るとは知らずにそう思ったのだった。
こうしてスマラは、なし崩し的にこの船に乗ることになり、懐かしき偉大なる航路に帰ることとなった。
この先、スマラにとんでもない苦労が押し寄せて来るとは思わずに。
予告通りスマラがルフィの船に乗りました。
次回はローグタウン。スマラは処刑されそうになるルフィを見て、どう行動するのか??海軍の反応は??
取りあえず、12日頃を予定します。