麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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お待たせいたしました。セイバーウォーズ2のストーリークリアしました。イシュタりんは大爆死です。


467 四十一頁「近づく」

 偉大なる航路の中心に位置する島マリンフォード。その島に設置されている世界三大勢力の一つ「海軍本部」

 世界を守る要であるその場所では、ちょっとした騒ぎが起こっていた。

 

「…中将!!やはりおられません!!」

「おられません!!で済む問題か!!どこに行ったんだあの人は!!?」

「自転車がありませんので、恐らく海へ……」

「五老星に連絡を入れろ!!!」

 

 どうやら、重要な人物が突然居なくなったらしい。

 自転車が無いことが海に出ていると結論付けられるのは、自転車で海を移動出来るという事。

 果たして、そんな人物が世界に何人いるだろうか?

 

 

 

 海軍本部から連絡を受けた五老星は、各々に呆れの表情を見せる。

 

「………またあの男か。どうせ見物だろう」

「まったく……自分の立場を弁えているのか……。そうやすやすと動かれてはこちらもたまらん」

 

 世界政府の最高権力者を持ってこうも言わせられる男。

 

 その男こそ、海軍本部最高戦力「大将青雉」その人だ。

 

 

 

 偉大なる航路の前半部分の海の上で、一人の男が自転車を漕いでいた。

 己の能力で海に道を作り、その上を自転車で進む。

 道中出会ったイルカに「ごめんよ」と声をかけてフラフラと進む。己の勘を信じて、先の見えない目的を追いかけて………。

 

 麦わら帽子を被った少年が写っている手配書を見て、ため息をつく。

 その少年の身内を知っている風でもあった。

 

「はぁ、厄介な一族の船に乗ったもんだな。二人共…………。片方はともかく、もう片方は俺の一存じゃ手出しできねぇな………。どうしよっかな~」

 

 どうやらもう片方の方顔を思い出し、嫌そうな顔をする。

 最高戦力ですら、簡単に手を出せない人物。

 

「散歩ついでに会いに行くか……と軽く考えたのが失敗だったな?まぁいいや、あいつも海軍と敵対する様子でもなさそうだしな」

 

 難しい顔をしたのも一瞬。直ぐに「なんとかなるや」と楽観的な気持ちに切り替わる。

 戦争を吹っ掛けに行くわけではない。ただ、ちょっとお話をして、目的を聞き出せたら御の字。その程度の考えだ。

 

 

 

 

 

* * * * * *

 

 

 

 

 

 甲板で風を浴びながら本を読んでいると、大きいだけの反応に囲まれた。本から目を上げると、シーモンキーが海から顔を出してこちらを見ていた。

 目が合う。ドボンとシーモンキーが海に潜り込み、あっという間に津波を引き起こした。

 どうやら、この船は狙われたらしい。

 

「逃げろ~~~シーモンキーだ~!!」

「まずい、風がねぇ!!」

「直ぐに帆を畳んで!!」

「漕ぐんだ!!漕げー!!」

 

 目の間に現れた津波に大慌て。急いで帆を畳み、巨大なオールで船を漕ぐ野郎ども。

 スマラは、その合間を縫って部屋に戻った。

 

 手伝う気はゼロ。せめて邪魔にならない様にと部屋の中に戻る。

 

「……危なかった。本が濡れる所だったわ」

 

 違う。本の安全の為に部屋の中に引き籠ったらしい。

 能力を使えば手元にある本くらい、水飛沫から防げるのだが、屋根のある船に慣れたスマラさん。

 能力を使って体力を消耗するより、部屋の中に退避する事を選んだらしい。

 

 

 早速定位置の椅子に座って読書の続きを読み始める。

 自分の身の危険を除く見聞色の覇気をカット。読み終わるまでは、邪魔はさせない。

 完璧な読書体制に移行して、スマラは読書を再開した。

 

 音すら聞こえない。

 なので、津波から逃げている時に、帆が無い海賊団を見つけたこと。津波とシーモンキーから逃げ押せ、気候が安定し島が見えたこと。

 その島に上陸して、ルフィとウソップ、チョッパーが船から島に探検に行った事を知らない。

 そして、船の外で一大事が起こっている事。

 

 全部全部知らない。仲間ではないから、守る必要はない。

 それは確かだ。だけど、この船に乗っている前提条件が壊れかかっていることすら、スマラには届かない。

 

 

 

 

 

「スマラ!!!ちょっと来て!!」

 

 完全な読書体制に入っているスマラさんの前に、邪魔者が入ってくる。

 ナミだ。勢い良く扉を開け放ち、並々ならぬ気迫を見せてスマラに駆け寄る。

 が、

 

「…………………」

 

 反応しない!!?ペラと頁を捲り、ナミなどいないかのように振る舞う。

 スマラの態度にナミはカーッとなる。こんな時に無視するなんて!!?

 怒りに任せてスマラの肩をギュッと掴む。

 

「スマラ!!」

「………?」

 

 今度は目を向けた。一瞬、ナミが何故怒っているのか分からない?と首を傾げた後、無意識に使っていた能力を解いた。

 

「ごめんなさい。何か不都合でも起こったのかしら?」

「やっと反応してくれた……。。それが……」

 

 船の外に移動しながら、ナミはスマラに説明を行った。

 後方から海賊船が現れ、船の進路を塞がれたこと。ナミは一応、スマラにも状況を伝えたかったのと、偉大なる航路に付いて詳しいスマラの知識が欲しかったらしい。

 

 甲板に出て船を降りると、確かに巨大なガレオン船があった。

 海賊船と言うことは、旗が書いてあるはず。海賊旗を目にすると、スマラは脳内に検索をかけた。

 

 見て一瞬で思い出せないと言うことは、それほど有名ではない海賊団。

 だが、偉大なる航路を航海出来るレベルの海賊団なのだ。何かしらの情報は出るはず。数日前に立ち上げたばかりの海賊団でない限り。

 そして、情報は出た。

 

「フォクシー海賊団ね。船長は銀ギツネのフォクシー。懸賞金2400万ベリー」

「流石スマラ~!!良く知ってるわね」

「スマラは物知りだな!!医学も知ってるしもしかして、何でも知ってるのか!!?」

「…恐ろしい知識量ね」

「2400万って俺よりも低いじゃねぇか。どっかのコックと良い勝負になりそうだ」

「あ”??おい、くそマリモ。俺が賞金首になったら貴様よりも高ぇんだかんな!」

「ほざいてろ負け犬」

「んだとコラ!!」

 

 海賊旗を見ただけで、殆どタイムラグ無しに相手の名称と船長を当てるスマラ。

 そんなスマラにナミとチョッパーが素直に称賛の言葉をかける。

 二人とは裏腹にロビンは軽く怯える。が、単純に自分でも直ぐに思い出せなかった記憶を直ぐに言い当てた事を称賛しているだけでもある。

 ゾロは船長の懸賞金額に反応しサンジを煽る。サンジがそれに反応して喧嘩が始まる。何時ものやり取りだ。

 

 スマラがフォクシー海賊団を知っていると知ると、フォクシー海賊団の方々も気分が良くなってにこやかだ。

 甲板に集まっている船員のうち一人が、大きく宣言した。

 

「俺たちを知ってるのか!!だったら話は早く済みそうだ」

 

 話が済む?ただ単純に敵船の物資を奪う略奪行為ではないのか?

 話し合いの余地がありそうで、なさそうな勢いだ。

 ナミはスマラに再び疑問をぶつける。

 

「ねえ。あいつらは結局何が言いたいわけなの?」

「……勝手に説明してくれるわよ。それでも分からなかったら、改めて聞きに来なさい」

 

 スマラは言い放つと、この状況に興味を失ったらしく、本を取り出して読み始めた。音を反射していないのは、最低限の配慮だろう。

 ナミは「最後まで説明してくれてもいいのに」とジト目を送りながら、視線をフォクシー海賊団に戻した。

 

 

 スマラが言った通り説明をしてくれる。その内容は、フォクシー海賊団は麦わら一味に対してデービーバックファイトを申し出るという内容だった。

 戦いの火蓋は、互いの船長同士が合意した瞬間から開始される。フォクシー海賊団の船長、銀ギツネのフォクシーは既にルフィに申込みに向かっているらしい。

 この場にいる者たちでは何も出来ない。ただ、船長の判断を待つばかりだ。

 ゾロが喧嘩なら買うと意気込んでいるが、サンジがゾロに喧嘩とは違うと説明を入れる。

 博識なロビンがサンジに続いて、理解しきれていない様子のナミとゾロに説明を入れた。

 

 海賊が海賊を奪い合うゲーム。それがデービーバックファイトだ。

 スマラも十分に知っている。新世界にある海賊たちの楽園「海賊島」そこで生まれたのがこのゲームの発端だ。

 フォクシー海賊団が麦わら一味に対して挑むのは3コインゲーム。簡単に言えば、三回勝負。一回勝つごとに負けた方から好きな船員を奪い取れて、負ければ奪い取られる。欲しい船員がいなければ、船の海賊旗をも剝奪する事が可能。

 賭ける物は「仲間」と「誇り」勝てば戦力強化、負ければ失う物は大きい。如何にも海賊が考えそうなエゲつないゲーム。

 

 大まかな話を聞いたナミは大声で拒否権を言い放つ。

 だが、海賊団の船員には拒否権などなく、全ては船長の判断に委ねられる。

 海賊の世界では暗黙のルール。破れば大恥をかく。

 どうやら、ゾロとサンジは珍しく意見が一致しているらしく、「大恥をかくくらいなら死ぬ」そう思っているらしい。

 ロビンは意見を述べることはなく、諦めなさいとナミを落ち着かせる。

 

 しかし、この場にはまだ一人存在している。

 デービーバックファイトどころか、フォクシー海賊団の存在すら気に留めていないスマラだ。

 ナミは、笑顔でスマラに近寄った。

 

「ス~マラ。あんたはあんな下らないゲーム嫌よね?」

 

 目が物語っている。めんどくさがりのスマラなら、絶対のこのゲームを受けないだろうと。

 だが、現実は非情だ。斜め上を行くと言っても良いだろう。

 

「ゲームは嫌だけど、私には関係ないわよ?」

「……え?」

 

 まさかの関係無い。ゲームを受ける以前の問題だ。

 スマラの物言いに、ナミは固まった。最後の希望が崩れ去った現状である。

 

「だってあの人たちは、『麦わら一味』に対してゲームを仕掛けているのよ?『麦わら一味』でないただの相乗りしているだけの私には関係無いわ」

「………そうだったわね」

 

 まさしくその通りだった。『麦わら一味』に入っていないスマラからすれば、ゲームを受ける以前の問題だ。

 最近はそのことを忘れ始めていたナミは、見るからに落胆する。

 何故か虚しくなったので、打開策を教えてみる。

 

「海賊の誇りとか暗黙のルールを気にしないなら、フォクシー海賊団を皆殺しにしたら?後はここにいるメンバーが黙ってさえいれば、何の問題もないわよ?」

「問題大有りよ!!こんな大きな海賊団を皆殺しとかできるか~!!」

 

 スマラの考え方は、ナミには………一般人にとって少しばかり過激だったらしい。

 そんなのできるか~!とナミはスマラに常識を教えると同時に、崩れ落ちた。

 もう一つ。非常に可能性を低いが確実な方法を思い出させてみる。

 

「船長を止めたらゲームに受けたことにならないわよ?」

「……そうよ!!早くルフィを止めなくちゃ!!」

 

 ナミは素早く立ち上がり、恐らくルフィがいるであろう方向に向かって走り始めた。

 フォクシー海賊団が「無駄な足掻きは辞めるんだな!!」とナミに向かって各々に叫んでいるを無視して進むナミ。

 その様子を眺めながら、ゾロがポツリと言った。

 

「皆殺しって過激だな」

「………そうかしら?気に要らない意見は力でねじ伏せる。この海の基本よ」

「そういえばスマラさん、海賊じゃなかったのか……。そんなスマラさんもステキだぁ~~!!」

 

 サンジがスマラにメロメロなご様子。文脈が合ってない気もするが、これが正常な状態なので気にしない。

 

 さて、肝心なゲームを受けるか受けないかの件だが、ナミがルフィを止めに向かっている行動も虚しく、二発の銃声が聞こえてきた。

 この島で誰かが決闘していたとか、銃の練習をしていた。なんて偶然がない限り、ゲームが受諾された事を示す銃声だった。

 

「まさか……!!」

「あ~あ~、受けやがった」

「望むところだ…」

「面白そうね」

 

 ナミは目を開いて驚愕し、サンジは半分呆れて、ゾロはニヤリと笑いながら、ロビンも珍しく不敵な笑みを浮かべて。

 各々に反応を示す。フォクシー海賊団の皆さんも嬉しそうに歓声を上げた。

 

 ここに、麦わら一味とフォクシー海賊団のデービーバックファイトの開催が決定した。

 

 

 この場の誰よりも一歩引いた場所で見物しているスマラ。彼女は内心で笑った。

 さて、仲間を失うゲームを麦わら一味はどうくぐり抜けるのか………。

 ここで解体されるのも良し。見事打ち勝ち、無傷で終わるのもまた一興。

 私にとってどちらでもいい。ただ、この結末を見届けるだけ………。

 

 

 

 デービーバックファイトの参加決定。その意思を受け取った瞬間、フォクシー海賊団は瞬く間に祭り会場を作り上げた。

 余興のステージで賭け事を行う者。屋台を作り上げて祭り価格で食べ物や飲み物を販売する者。何でもアリだ。

 これも、デービーバックファイトで勝ち取った大勢の船員が所属しているおかげだろう。並みの海賊団ではこの様な事は行えない。

 

 船に戻るのも気が引けたスマラは、危険なゲームに参加した事で唯一落ち込んでいるナミと共に木箱に座って時間が経つのを待っていた。

 サンジとルフィだけがこの場に居らず、ルフィは船長として参加表明誓う儀式に参加する為簡易ステージに上っている。

 サンジはというと……

 

「ナミさんわたあめ売ってたよ~!」

 

 未だにブスッと不貞腐れているナミのご機嫌を回復させようとわたあめを買って来ていた。敵船にお金を払っていいのだろうか?

 サンジが買って来たわたあめの数は三つ。本命であるナミと仲間であるロビン。

 最後にスマラへ渡して来た。サンジが男女差別なのは承知の上。誰も文句など言わない。

 

「はい。どうぞ」

「……くれるの?」

「勿論!!」

「そ。………私の事など気にしなくてもいいのに」

「スマラさんがそこに居てくれるだけで俺は十分です!!」

 

 本を片手で抑え、空いた手でわたあめを受け取る。

 活字に目を通しながら一口。……甘くて美味しい。

 祭りの度に出していると言えど、一般の海賊が作るわたあめは美味しかった。

 スマラとて女性。皮肉なことに甘い物が嫌いなわけがなかった。

 

 

 ルフィが戻って来たことで、ゲームの出場者振り分けを行う。

 誰がどの競技に出場するのか、自分たちで決めなければならない。ここでも一苦労かかるのがこの一味の特徴。

 ルフィを筆頭にゾロ、サンジが最後の戦闘に出たいと言いだし、ナミとウソップが試合に出たくないと落ち込む。

 二人共スマラの方を向いて、何やら期待の籠った目で見つめてきたが、スマラは本に目を落として無視した。

 

 

 

 出場者が決まると、早速一回戦が始まる。準備が整い、観客は皆海岸沿いに集まる。

 

 一回戦の内容は手作りボートレース。ルールは簡単。オール二本と空ダル三個使ってボートを作り上げて、島を一周するというもの。

 麦わら一味からの出場者はウソップ、ナミ、ロビンの三名だ。一味全体を見てみると、一番競技とあった組合せなのではないだろうか?

 相手チームは女の子一人に魚人とホシザメ。海でのレースなら、完全に有利なチームだろう。

 

 

 麦わら一味が応援の為、海岸沿いに移動する。

 が、いつまで経っても動かないスマラを気にしたらチョッパーが声をかけてきた。

 

「スマラは見に来ないのか?」」

「ここでも十分見えるわ」

「そうなのか!!スマラは目が良いんだな!!」

 

 海岸沿いに移動しなくても映像電伝虫のお陰で見えるし、何なら実況もあるので本を読みながら観戦しちゃう!!

 チョッパーに反応したらしいルフィもやって来た。

 

「こっから見えるってスゲーな!!」

「そう?そこに映像電伝虫があるわ」

「それでも、スマラは完璧に分かるんだろ?空島に居た奴ら見てぇに気配も読めるしな!!」

 

 「今度教えてくれよ!!」とルフィはスマラの肩をゆすった。

 思いのほか勢いが強く、ぐゎんぐゎん揺れて読書何処ではない。

 

「いい加減に……」

「わぁ!!?何だ!!?」

「しなさい!!」

 

 ビシッ!!

 スマラの肩をゆすっていたルフィの顔を掴み、おでこを思いっきりデコピンするスマラ。

 武装色は勿論、自前の能力すら使って威力を倍増。ただのデコピンとは思えない音を立ててルフィを弾き飛ばした。

 ゴロゴロとゾロたちの元に転がったルフィ。今のは彼が悪い。

 

 出会った当初は攻撃と間違われていたそれは、今では単なる茶番のようなもの。

 サンジが呆れたようにルフィを引き摺って移動する。チョッパーや他のメンバーもそれに続く。

 試合開始までもう少しだ。急がないと始まってしまう。

 

 

 皆が移動し、ここに残っているのはスマラと、

 

「一つ聞いていいか?」

「何かしら?答えられる事なら良いわよ」

 

 珍しく気難しい顔をしていたゾロだけだった。

 




さて!!デービーバックファイトの始まり!!

次回!!最高戦力………登場予定。

次回作品に向けてのアンケート。詳しくは活動報告にて

  • 原作SAO
  • 原作ありふれた職業で世界最強
  • 原作ハリー・ポッター
  • カルデア職員
  • 原作ワンピース
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