麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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え?もう50話いったんですか?……これ100までに終わるかな?いや、終わらせたいです。

はい。あけましておめでとうございます。利害一致2020年初の投稿です!!
今年もよろしくお願いします。
今年中には完結されたいところです。

では、中盤に差し掛かったところで本編をどうぞ。
あ、今年も誤字脱字報告ありがとうございます!!何時も助かっています。


582 五十頁「海列車での旅」

 スマラが海列車に乗ってからほどなくして、車両のドアが開いた。中に入って来たのはロビンだ。

 

「あら、逃げ無かったのね」

「逃げる?私にそんな理由なんて……ないわッ!!」

「そうかしら?でも、彼等は追って来た…でしょう」

「……何処まで見越しているのッ」

 

 入って来たロビンに向かってニッコリと笑顔で嫌味を述べるスマラ。本人は嫌味だと気づいていない辺りがロビンを煽る。

 一方でロビンは、スマラがこの場に居ることについては驚かないが、スマラが先程あった麦わら一味が追いかけて来る事件を知っている事について息を呑む。スマラにとっては軽い予想なのだが、ロビンからすれば未来を見通しているようにも見えなくもない。

 

 ロビンはスマラの真正面に座った。こうして対面する形で座ったのは、少なからずロビンとスマラに、同じ船に乗っていたと言う共通点があるからだ。

 敵だらけの海列車の中で、一番心休める場所なのだろう。スマラにとってロビンはただの教師なだけである……。味方ではない。

 

 と、数分も経たないうちにスマラの横にシルズが現れた。

 報告の為だ。

 

「予定よりも早い時間ですが、出港する事になりました。何かご不満は?」

「特にないわ。勝手にしなさい」

「ありがとうございます」

 

 一礼してからシルズは下がった。こちらの意見を知らせるのだろう。

 と、シルズの事に興味を持ったロビンがスマラに話しかける。

 スマラは本から目を逸らさずに、適当に答えた。そのくらいスマラには造作もなく、重要な内容ではない。

 

「彼女は?」

「専属の侍女だそうよ」

「…至れり尽くせりね」

「貴女と違って連行されるわけではないもの。あそこまでは求めてなかったけれど、それなりの対応がなければついて行ったりしなかったわ」

 

 実質そうだ。久しぶりに偉大なる海…新世界に帰郷するついでに 麦わら一味の船に乗ってその冒険を見る。来るときには見たことない島で本を物色するのが理由だった。始まりは別だとしても……。

 しかし、その船に乗ってからというもの、苦労する出来事が多い気がする。

 伝説レベルの空島に到着でき、歴史の本文の写しもゲットできた。そればかりか、ニコ・ロビンに古代文字の読み方を教授してもらえた。良いこともあった。

 しかし、それに比べては苦労が多いような気もする。クロコダイルの足止めから始まり、エネルにちょっかいをかけられ、青雉とも本気の戦闘を行った。勿論、それ相応対価だと割り切る事も出来なくはない。

 しかし、スマラはそこまで大人じゃない。(心の広さ的な意味で)自分の欲望に忠実なニンゲンだ。

 世界政府が「ほら、ニートしててもいいからここに居て?」と手招きをするだけでホイホイついて行ってしまうような女である。

 

 だからスマラには麦わら一味から離れられる用事が出来てラッキーだったりする。

 こんなにも早くに対応してくるとは思いもしなかったが……。

 

 ロビンとの会話はそれで終わった。

 程なくして、海列車はゆっくりと出港していく。思ったほど振動は来ない。

 振動があったとしても、読書中のスマラには気にしないだろうが、乗り心地は別である。

 

 

 

 

 

 出航から少し時間が経った。

 外の天候は悪天候。雨が降り注ぎ、風も強く波は荒い。

 そんな中でもスピードを保ったまま進むことの出来る海列車は画期的な移動道具だろう。

 

 不意にスマラが窓の外を指さした。

 

「そこ、見てごらんなさい」

「え?……長鼻くん!!?」

 

 スマラに指をさされた方向を向くと、そこには仮面を被っているものの、特徴的な鼻はウソップその人だ。

 彼は雨に打たれながらも列車に張り付いていた。

 咄嗟に窓を開けて中に入れてあげる。そういう所が甘いのだ。本当に仲間を捨てたならそもそも相手にしない。

 

 窓を開けたせいで雨風がスマラに降りかかるが、能力を使って反射。全くもって問題ない。

 慌ててタオルを持ってきたシルズさんが首をかしげる。彼女はスマラの能力を知らないのだろう。もしくは、知らないふりをしているのか……。

 

 

 

 ウソップはスマラがこの場にいる事に驚いたものの、直ぐにロビンに状況を説明した。

 曰く、彼の名は「そげキング」狙撃の島で生まれ育ち……というのはどうでもいい。彼はロビンを助けにきたらしい。それも、海列車内ではフランキーと呼ばれるチンピラとサンジを筆頭に、後方には麦わら一味も大人数を引き連れているらしい。

 なるほど。麦わら一味らしい行動力である。

 今直ぐ逃げよう!!と言うウソップにロビンは異を唱える。追いかけて欲しくなかった!!と。それにウソップも反発して次第に言い争いは大きくなり……。

 

「……どうした?今更泣きわめいても貴様の運命は変わりはせんよ。それとも、元仲間同士で話が盛り上がったのかな?」

「なんでもないわ」

「……??」

「何でもないから、一人にしてちょうだい」

 

 大きな声が第二車両にも聞こえたのだろう。様子見に政府の役人が入って来た。ロビンに対して尊大な態度でいる。それなりに高い地位の人間らしい。

 役人が入って来る直前にロビンの外套に隠れたウソップは、ロビンの声に合わせて腕を動かす。ロビンの雰囲気と腕の動きが噛み合っていないのは、ご愛嬌だろう。

 

「…………」

 

 それでも世界政府の役人は納得がいっていない様子。

 それはそれで当たりまえの反応である。この程度で騙されるようでは、政府の役人は上に上がれない。

 本人は犯罪者。基本的には信用にならない。なので、ここにいるもう二人に聞けばいいだけの話だ。

 

「おい、そこのスマラとか言う奴。この車両に変わった事は無かったか?」

「……………」

 

 本から目を逸らさないスマラ。

 役人はイライラしてスマラの返答を待つ。

 上からの指示でスマラを護衛しているが、内心では「こんな小娘をどうして政府は……」とか思ている。

 

 対してそげキングは物凄く焦っていた。どうにかロビンの着ている外套に隠れる事はできたが、スマラの事を忘れていた。

 スマラが言えば、そげキングの居場所は即座にばれる。冷汗が止まらなかった。

 

 そのスマラさんは、本から目を逸らさないでいた。役人はさらにイラつく。

 このまま何もなかったで帰る事はできるが、それによって騒動を見逃したとなると、自分の責任になる。つまり、昇格の機会を失うことなになる。

 だから、彼は帰れないでいた。

 

「…出来れば早くお聞かせ願いたいですね。我々も暇ではないので」

「……知らないわよ。私はずっと本から目を逸らしていないのだから」

 

 あら不思議。スマラは確かにそげキングの事を知っているはずなのに、知らないと言った。

 知らない。それはどちらとも取れる意味合いだ。嘘を付いている可能性もある。

 だから役人はスマラの横に佇んでいるシルズに目線を動かした。

 それだけで意味を理解してシルズは答えた。

 

「いえ、私は向こう側でスマラ様のお茶の準備をしていましたので何とも……」

「チッ」

 

 どういう訳か、シルズもスマラと同じ答えを述べる。確かにシルズはそげキングの姿を見ているはずなのに……。

 

 

 

 カチッと音がした。

 スマラがチラッと視線を上げると、役人が拳銃をロビンに向けている所だった。

 

「さて、それだけではいそうですか。と帰れるほど俺も甘くないんだよ。その外套を外してもらおうか!」

 

 向けられる銃口。

 それにロビンは従うしかいない。能力を使ってこの役人を倒すこともできるが、それではそげキングをかくまっている事がバレてしまう。

 スマラは……気にも止めないで読書を続けている。間に入るつもりは全くないようだ。

 

「(ロビン、俺のことは良いから、外套を外してくれ)」

 

 そげキングが腹を括った。ロビンに外套を脱ぐ様に指示を出して、己は作戦を立てる。

 ロビンが外套を脱ぐと、そげキングが現れる。

 役人は疑っていたが、実際に目の前に現れた不審人物に動けないでいた。

 それはほんの一秒だったのかもしれない。だは、準備が出来ているそげキングからすれば、一秒で相手を狙撃できる。

 

「必殺!!『火薬星(ガウンパウダースター)』!!!」

「何ッ!!」

 

 至近距離で爆発を受け、役人は上半身に酷い火傷を覆いながら気を失ってしまう。

 いや、火傷で済んだだけマシ。普通なら体のパーツが一部消し飛んでいる。役人と言えども、現地で働く実行係として鍛えているのだろう。

 

 と、後方の車両からも破壊音が聞こえてくる。サンジとフランキーの仕業だろう。怒鳴り声まで聞こえて来た。

 ロビンは決心した様な表情で立ち上がり、ドアに向かって歩く。そげキングが必死になって止めようとしているが、ロビンは歩みを止めない。

 ロビンがドアを開けたと同時にスマラは意識の外に追い出した。

 興味はない。ウソップもスマラの事は何も言わなかった。ならば、後はどうなろうが知ったことではない。

 ただ一つ。気になったことがある。

 

「それで、何故あそこで嘘を吐いたの?」

「嘘…?いいえ、噓ではございませんが……」

 

 それはシルズのことであった。

 彼女は世界政府が用意した侍女である。何処から見ても侍女にしか見えないが、世界政府が用意したにしては安易過ぎる。

 侍女とは裏腹に何かを隠している、そんな気がしてならない。小説でも、こんな役回りには必ず裏のある人物が登場する。

 彼女がただの侍女ではないと仮定して考えよう。ならば、彼女は完全に世界政府側の人間だ。サイファポールと考えるのが一番思いつく役職だろう。

 ならば、何故そげキングの居場所を吐かなかったのか?シルズもそげキングが車両に侵入してくる場目も、ロビンの外套に隠れる場面も目撃しているはずである。

 なのに、何故「見てませんでした…」と嘘を吐くのだろうか?

 

「そうね。確かに見てないとは答えてないわね。何とも……。それが答えだもの。何故そう答えたの?」

 

 単純な疑問だった。スマラ自身がそげキングの居場所を教えなかったのは単純に面倒だったのと、教えてもメリットが無いからである。

 対してシルズは何故答えなかった?これか先、少なくない時間をそばに置く人物だ。多少なりとも人なりを知っておきたい。自らの危機を回避する為にも……。

 

「何故?と言われましても……。私はスマラ様にお仕え致す者です。主人の意見と違うような事は言いません」

「……そう」

 

 

 なるほど。スマラの意見を尊重する為に答えなかった。

 あくまでもスマラの意見を尊重する。それが彼女の活動方針なのだろう。

 はたしてそれが、侍女だからなのか、世界政府に命令されているのかは、スマラには判断がつかなかった。

 

 

 

 列車に静寂が……実際には第二車両と第三車両でロビン奪還作戦が行われているのだが、スマラには全くもって関係の無い話である。

 スマラは何事もなかったかのように読書を続ける。時折シルズから差し出されるカップを手に取り喉を潤すが、それ以外は全くもって体を動かさない。

 気分の良い時に出る鼻歌は、もう出てこない……。

 

 

 

 

 

 気が付いたら騒動も収まっていた。ロビンが目の前に座り、通路を挟んだ隣りの座席には海パン半裸のチンピラが座っている。

 どちらも海楼石の手錠に繋がれおり、自力で外すのは一部のバケモノを除いて不可能だろう。

 窓の外に視線を向ければ、あれ程荒れていた海は穏やかになっており、その島を囲うようにして雲がなくなっている。

 

 その場所こそが世界政府の玄関。司法の島エニエスロビー。

 別名「不夜島」とも呼ばれており、一年間を通して夜が一切訪れない特殊な環境を持つ島だ。夜が無いことから、夜間の襲撃は有り得ないし、そもそも世界政府に喧嘩を売ろうとする無謀者は世界中探してもほんの一部しか存在しない。

 

 エニエスロビーを司る司法の塔は島の中央部に位置し、島全体をぐるりと囲む底の見えない滝に囲まれている。これにより、司法の塔から逃げ出す事はほぼ不可能。

 司法の塔の後方には、どうやって建設したのかも考える事が出来ないような巨大な門。

 政府専用の航路、たらい海流への入り口である。あそこを超えたが最後、行き先は海軍本部か大監獄インペルダウンしかありえない。つまり、海賊にとっては死の門とも言える。

 

 というのが、エニエスロビーの大まかな説明である。一般的には知られていない情報もあるが、絶対に漏れてはいけない機密情報ではない。

 なら、政府の重要機関である島の事を、スマラが知っていないはずがない。

 

 

 

 

 海列車がエニエスロビーに到着した。完全に列車が止まり、降りる時間だ。

 もう少し本を読んでいたい気持ちもあるが、このままではおいて行かれてしまう。スマラはそれでもいいが、政府との交換条件に乗ってこんな場所まで来てやったのだ。タダで帰るのも気が引ける。

 ならば、普通なら到底叶わぬような場所にある本だって読めるはずだ。何なら世界政府が禁書指定している本だって!!

 そう思うと、スマラは早速行動を開始する。本に栞を挟んでリュックサックにしまい込む。席を立ちフランキーとロビンの後に続く。

 

 列車を降りると、大勢の役人と海兵に出迎えられる。全員が敬礼を行って長期間任務に就いていたCP9の四名に「ご苦労様です!!」と言っている。やくざの重役を出迎える風景に似ているが、実際にヤクザと政府を似たり寄ったりしている組織のようなので、間違いではない。CP9など闇の組織である。

 

「罪人を連れ出せ!!」

「あう!!この俺様を誰だと思ってやがる!もっと丁重に扱いやがれ!!」

「ぎゃ~~ッ!!」

「気を付けろ!!コイツ噛むぞ!!」

 

 両腕を鎖でグルグルに巻きにされて尚、自由な口を使って噛みついて抵抗を試みる。勿論それで逃げられとは思っていない。単なる嫌がらせ行為だ。

 

「流石CP9だ。世界政府が20年追い続けた女……」

「あれがニコ・ロビンか……」

「すげぇ美人だ」

 

 と、次に出てきたロビンの美人っぷりに息を呑む海兵役人共。

 政府から逃げ続けて来たと言う事実に驚きと称賛を与え、そんな女を捉えたCP9を褒め称える。

 

「おい見ろよ。スッゲー美人だぜ」

「雰囲気がニコ・ロビンよりも段違いだ」

「あれが急に命令が下った女かよ」

「噂では、大将青雉と互角に渡り合ったらしいぞ」

「噓だろっ…大将って最高戦力だぞ」

「でも見ろよ、手錠もついていない」

 

 などと、スマラが姿を見せたことでより一層騒がしくなる。

 スマラ自身は思っていないが、容姿端麗で教養も家柄もある意味では良い。こんな人間早々出会えない。

 隣を歩くシルズが侍女姿で佇んでいるのも、より一層スマラをお嬢様っぽくさせている。

 

 

 

 

 正門が開き、政府の役人が住む為だけに作られた町中を進む。

 先頭にはCP9のリーダーであるロブ・ルッチ、カク、カリファ、フランキーを引き連れているブルーノ、ロビンだ。

 最後尾にスマラがシズルを携えて進む。

 

 ふと、ロビンが立ち止まって後ろ振り向いた。嫌な予感がしたのだ。

 

「どうしたニコ・ロビン……立ち止まるな」

 

 ロビンに対してルッチが進むように促す。

 ロビンは素直に……それでいて名残惜しそうに前を向いた。

 そんなロビンに、スマラは面白そうに言った。

 

「来てるわよ。彼らが」

「……ッ!!」

 

 面白半分に麦わら一味がこの島にいることを伝えるスマラ。

 その表情は、物語の中盤から終盤に差し掛かった一番美味しい場面を読んでいる時のようにうっとりとしていた。

 

 …………スマラ、この状況を楽しんでいる。誰が見てもそうだろう。

 でも、それがスマラだもの。




エニエスロビー編かっ飛ばしますよ~!!

次回作品に向けてのアンケート。詳しくは活動報告にて

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