麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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遅くなって申し訳ありません!!!前回ほどではないですが長いです。


665 五十七頁「最悪の告白」

 場の空気が凍った。物理的にではない。

 

 蛇に睨まれた蛙の様な殺気が場を見定める。誰かを探しているようでもあったその視線は、無関係の者すら圧倒させた。

 簡潔に言えば、ルフィが無自覚に発動させた覇王色の覇気を耐え抜いた者ですら意識を手放してしまう始末。中将レベルや一部の者を除いて誰もが気絶するか怖気づいてしまい地面に膝をついてしまう。その中将ですら震えが止まらない。

 

 圧倒的な強者を目の前にしたような感覚だ。それは白ひげを前にした時と同じ感覚なのだが、一点だけ違う事があった。それは明確な殺気。

 白ひげもエースを救出しようと本気になって攻撃を仕掛けてくるが、あそれはあくまでも目的を達成する為の障害物を払いのけようとする為の攻撃である。戦意の無い者には何もしてこない。無駄な殺しは行わないのだ。

 一方で現在進行形で受けている殺気は明確な殺しの意志が乗っている。本気で怒っているのだ。四皇に匹敵するレベルの者による威圧を前に、中将ですら恐怖で震えてしまうのは仕方のないこと。海賊側の傘下の船長はもちろん、隊長達ですら身構える。

 

 海賊側で唯一平然としていられたのは白ひげのみだった。大海賊時代が始まる前から海の上で生き、幾度となく戦った猛者たち。ロジャー海賊団との争いは少し違う意味を持つが、ビッグマム、カイドウ、シキと言った本気で命を狙ってくる者たちの覇気を受けているからこその余裕。

 動揺と恐怖が広がる中、白ひげは海軍側を観察していた。センゴクを始めとしたおつる、ガープ、三大将には表情こそ変われど、動揺している様子は見られない。これもトップ層だけが知る作戦の内か否か……。

 

 

 考えこそするが、時間は有限である。白ひげは息子達を逃がすために動く。まずは、へこたれている息子達の尻を叩く。

 

 

「お前らァ!!今がチャンスだ!!足を止めるな!!」

 

 

 白ひげの一喝によって場は動き始める。白ひげ海賊団は撤退は再開し始め、海軍側は多少手間取りながらも雑兵をまとめ上がげる。それでも立ち上がれない者は放っておくという非道っぷり。動けない仲間に肩を貸して連れて帰る海賊側とは正反対だ。

 

 

 

 

 

 撤退を始める白ひげ海賊団を見ながら、センゴクは部下から報告……というかお小言を受けていた。あれも作戦の内なのか?と言うものだ。

 

 

「センゴク元帥!!今のは一体…」

 

「慌てるな。今の所、こちらに被害は発生せん。ただ、白ひげの近くには中将以下の者は近寄らせるな。巻き込まれるぞ……」

 

「は、はぁ……」

 

 

 センゴクの命令の意味が少しばかり理解出来ないが、言われた通り命令を他の者に伝えていく海兵。センゴクはその様子を尻目に「こちらにも被害が出なければ良いが…」と今にも崩れ落ちそうな本部本館を見上げながら内心で呟く。

 その姿は厄介事をどう扱うかどうか悩む苦労人そのものだった。

 

 

 

 

 

 そんなセンゴクの様子を観察していた白ひげは、己にトドメを刺そうと近寄っていた海兵等が下がっていくのを確認した。

 遠巻きに見ている。指示があったのだろうと憶測を付ける白ひげだったが、ピクリと己の見聞色の覇気が反応を示した。

 

 それぞれの指揮官が場を治めた事で無視されつつあった殺気だったが、それが自分一人に向けられている事を感じ取る。防御態勢を……と思った時には既に、身体は動いていた。

 見聞色の覇気で攻撃部分を予測、そこに薙刀の刃部分を持って来て打ち返す。瞬間、鈍い音が鳴り響く。見聞色の覇気を用いた高度な戦闘技術であり、覇気すら知らぬ者からすれば、白ひげが何かしたと身構える者当たり前だ。

 だが、それは違った。明確な殺気を籠らせた攻撃。それは単純ではなく計算し尽くされたものであり……。

 

 

「……死になさい」

 

「ッ!!アホンダラ!!!」

 

 

 凛とした声と共に女が現れる。パッと現れたかのように白ひげの裏を取り、明確な殺気を籠らせた手を伸ばす。

 が、白ひげもこの程度でやられる程弱っていはいない。振り向くと同時に能力を纏った拳を振りぬく。

 

 女性の細い手と白ひげのゴツイ拳がぶつかる。能力付きの白ひげの攻撃を受けた女が死んだ!!遠巻きに見ていた海兵等はそう思ったのだが、彼等の予想を上回る結界が起こった。

 拳と手がぶつかった瞬間、これまでで一番大きな衝撃が発生する。何かが白ひげの能力に破れ消し飛ばされ、振動能力が女を襲う。

 

 地面が爆発し土煙が舞い上がる。海兵等は白ひげに攻撃した女の冥福を祈った。それは仕方のないことだ。

 なにせ、彼達の中に女の事を知っている者は誰一人として居なかったのだから。彼等の目からすれば、美しい女性が急に現れ白ひげの攻撃を直撃で受けてしまった、となるのだ。

 

 しかし、白ひげは油断しない。能力は直撃したが、それくらいで倒れるのなら己の見聞色の覇気は危険信号を鳴らさない。少なくても中将以上の強者である。

 それに声からして覚えている。やり合ったわけではないが、一度だけ面識がある。その時に聞いた声とそっくりだ。どうしてこの場に居るのか、何故負けるかもしれない自分に攻撃を仕掛けて来るのか?その理由が分からない。

 

 

 煙が不自然に晴れた。中央に立っているのは無傷の女――スマラだ。

 白ひげの攻撃を受けてもピンピンとしている姿を見た周囲の反応は、至って当たり前の反応を見せる。「無傷だと!?」「白ひげの攻撃だぞ!!?」「誰だあいつは…」「しかしまぁ、綺麗な人だ」「まさか、最近噂になっている…」等の反応が大半を閉める。

 お親父の危機に手を貸せないのを歯ぎしりしながら見ていた白ひげ海賊団及び傘下の連中も同じ様な反応だ。誰一人としてスマラの事を知らない。

 しかし、古参の何名かは引っ掛かりを覚えているようだ。何となく見覚えはある。が、それがいつだったのか思い出せない。なにせ、スマラが世間に登場したのは大海賊時代が始まる以前が最初で最後だったのだから、思いだせなくても当然だ。

 

 だが、大海賊時代以前から名を上げて海に生きていた白ひげは違う。即座にスマラの事を思い出すと、彼女にどうしてここに居るのか質問を繰り出す。

 

 

「テメェ……こんな場所で何してやがる。これを知られたら困るのは小娘の方だろう」

 

 

 戦う理由はないはずだ。そう白ひげはスマラを説得しようとするが、スマラは聞く耳を持たなかった。

 口を開く気にもならないらしく、白ひげの言葉を無視して行動に移す。一歩前に歩く。その時の能力を使って一歩で移動できる距離を書き換えると、白ひげの目の前に瞬間移動して腕を伸ばす。

 が、白ひげもそれを読んでいたのか軽く回避。したと思ったのだが、スマラは腕を伸ばした時に発生した空気移動を操作、白ひげを押しのける。

 バランスを崩してしまう白ひげ。老いとこれまでのダメージによって簡単には立ち直れない。

 今度は簡単に避けられないようにと、ゆったりとした速度ではなく普通のパンチの速度で白ひげに腕を伸ばした。反撃の可能性も考えて腕は黒く染まっている。

 

 今度こそ殺った。

 

 僅かに残っている理性でそう確信した。……白ひげを――部屋にあった本を殺した相手を殺す事しか考えていない時点でそれは理性と呼べるようなものではないのだが、それはいったん置いておこう。

 

 殺気全開のスマラに触れたら最後、触れた瞬間に能力を使われて血管を通っている血液の量を極端に増やしたり減らしたりして殺しに来る。それ効かなくても、その他の人間を生存に必要な物体の量をぶち壊して殺しにいく。

 助かる方法は、先の白ひげやロングリングロングランドでの青雉の様に覚醒レベルの能力で抵抗しなければ、生き残るすべはない。

 

 

「親父に何しやがる!!!」

 

「そこから離れろ!!」

 

「親父ィ!!!」

 

 

 だが、そのまま黙って見ている訳でもないのが白ひげ海賊団。逃げろと言われても海兵でもない見知らぬ女性、しかも親父相手に張り合っているヤベー奴が、明らかにヤバそうな雰囲気を纏った手を伸ばす。そんな危機に助けに行かないはずがない。

 普通の船員が行っても無駄に死傷者が増えるだけ。故に隊長達がスマラを止めようと戦線に戻って来た。

 

 砲弾を浴びせられ、二刀流による連撃、巨大鉄球による打撃がスマラを襲う。十番隊隊長クリエル、五番隊隊長ビスタ、七番隊隊長ラクヨウだ。いずれも新世界に覇を轟かせる実力者。本来ならば、隊長全員でかかりたいところだが、撤退の指示出しや殿と言った役割分担が必要。本来ならば、マルコやジョズと言った隊長の中でもずば抜けた二人が駆け付けたい場面だが、マルコは海楼石の手錠に、ジョズは氷漬けで動けない。

 

 砲弾の爆発は無傷、剣と鉄球は跳ね返された。が、肝心の白ひげへと伸ばす腕は止まった。攻撃が効かなった事に驚きはあるが、一番の目的を果たした。後は傷が深い親父から引き離せば……。

 

 

「……邪魔」

 

 

 回し蹴りがラクヨウを襲い、能力によるノックバックを上げることでより遠くへ吹き飛ばす。

 

 

「ラクヨウッ!!!テメェ!!」

 

「……待てッ!!クリエル!!」

 

 

 仲間が吹き飛ばされた事に怒ったクリエルがバズーカを鈍器にして襲い掛かる。何かに気づいたビスタが制止しようとするも、既に遅かった。

 迫りくるバズーカを軽々しく避けると、そのまま懐に潜り込んで掌をお腹に当てる。次の瞬間、ドゴォ!!と音を立てて崩れ落ちるクリエル。

 当然避けられた時には武装色の覇気で防御を固めていた。しかし、それを無視してた攻撃がクリエルを襲った。バキッと嫌な音を消える意識の中で聞こえたクリエル、肋骨がやられたようだ。そのまま意識を失って地面に倒れる。

 

 

「…フンッ!!俺の愛する息子達に何しやがる!!」

 

「…………」

 

「お、親父…」

 

 

 スマラの背後から白ひげが能力を込めた薙刀を全力で振るった。スマラも優雅に振り向いて裏拳を当てる。

 振動能力と量変化能力がぶつかり合う。当人たちは全く気にしていないが、すぐそばに居たビスタは驚きの声が口から零れ落ちながら必死に耐える。このままでは巻き込まれるのは必然なので、衝撃波を利用して数メートル後方に退避。

 

 スマラは振動能力によって生み出された運動エネルギーの量の向きを変更して、自身に向かうべき方向から逸らす。よって無傷に攻撃を逸らすことに成功する。

 普段以上の集中力がいるのか、短い吐息を吐きだすスマラ。理性が殆ど残っていないので、すぐさま次の行動に移る。

 足を動かす。能力によって進む量を増やして一瞬だ。周りの目には瞬間移動したように見えるだろう。もっとも、剃や見聞色の覇気を体得している者にはある程度予測の付く速度だ。

 白ひげも見聞色の覇気をフル活用して攻撃を放つ。拳から発生する地震が、薙刀に付属された地震能力が、スマラの行動予測場所に現れる。スマラもそれに対応していく。能力を使って攻撃を逸らすと、周囲に被害が広がっていく。海兵を巻き込んでもスマラは知らんぷり。というか、目の前の敵しか見えていない。

 

 数合打ち合って白ひげは納得した様に攻撃を止めた。

 

 

「なるほどなぁ。読めたぜ。テメェ海軍に利用されていなぇか?」

 

「利用?私は至って冷静よ。貴方が私の敵。それだけで十分」

 

 

 白ひげの言葉が心外だったのか、言い返すスマラ。だが、それは支離滅裂な言い分だ。

 冷静でない人ほど冷静だと自分を判断する。つまりスマラは冷静ではないのだ。知らず知らずのうちに海軍に利用されている事に頭が回らない。普段のスマラなら簡単に至る結論に到達できない。目の前の事で頭が一杯な証拠だ。

 それが分かっただけでも進展したと言える。のだが、それが分かった事で現状は変わらない。

 

 これが普通の人間なら怒りが収まるまで声をかけ続けるか、適当に相手をすればいいだけの話。しかし、スマラは普通の人ではない。

 普通の旅人を自称しているが、世界でも上位に入る実力にどうしても政府や四皇が無視できない生まれ。どう見たって普通の人間ではない。普通の人間なら世界最強の男に立ち向かったりしない。そもそも戦場にいない。

 白ひげですら気を緩めれば命に直結するレベルの相手。時間をかけようものなら海軍がその隙に息子達を襲う。かと言って無視して海軍を相手どれば後ろから刺される。

 現状維持しか見つからない。解決方があるとすれば……

 

 

「小娘、こんな場所に居ても良いのか……。何も動きを見せなかったテメェが動いたと知れば、直ぐにでもやって来るぞ」

 

「……そんなことはどうでもいい。罪を償って死ねばいい」

 

「罪って言われてもなぁ。俺がテメェに何したって言うんだら!!」

 

 

 そう、対話だ。相手が動物でもあるまいし言葉は通じる。理性がちょっと吹き飛んでいて、行動が感情に左右されているが、それでも受け答えは帰って来る。

 どうにかして怒りを治める、もしくは方向変更させて被害を抑えたい。そのための対話を試みる白ひげだった。普段よりも理性が引っ込んで二言目には「死ね」と言うスマラ相手にどこまでやれるのか……。

 弱点であるはずの「家族」を指摘しても、どうでもいいとバッサリと切り捨てられてしまう。これがかなり重症だ。

 

 スマラにとって家族とは過去に棄てた存在。しかし向こうは諦めていないと知っているからこそ、今の今までひっそりと放浪してきたのだ。

 スマラは知らないといえ、この戦争は公開放送されている。丁度バギーが捉えていた映像電伝虫は復活していて、戦場を映し出していた。

 そもそも、映像電伝虫による公開放送が無くても、いくらでも情報の取集方があるのに定評のある奴らだ。こんな場所で白ひげとやり合っている情報を掴めば、戦争中であろうと乗り込んでくる可能性を否定できない。

 そうなれば被害は更に大きくなる一方だ。撤退し始めている白ひげ海賊団も、海軍ですら同じことが言える。それなのに海軍がスマラを利用したのは偏に、それだけ白ひげを本気で潰したいが故の決行だったのだろう。

 

 

 言葉を交わしながらもスマラは白ひげに向けた攻撃の手を緩めない。白ひげも薙刀と素手を使ってその攻撃を圧殺する。

 互いに決め手にかける。スマラは理性が無い、白ひげは怪我と病気で衰えて。この二つの要因が戦いを長引させる。

 

 

「面倒くせぇ!!そろそろ理性を取り戻したらどうだ、このボケナスがぁ!!」

 

「………ッ!!?」

 

 

 攻撃を回避して懐に潜り込んできたスマラを、白ひげは蹴り上げて宙に浮かせる。能力を使ってダメージをなくしても、衝撃によるノックバックを無視することは出来なかったようだ。それだけ白ひげは本気で蹴り上げた。

 宙に浮くスマラの頭を手で掴んだ。スマラは掴まれた頭と手を通して能力を執行。白ひげを体内から破壊していく。

 苦しい表情でスマラの能力を直に受ける白ひげは、それでもスマラを放さずに振動エネルギーを拳にため込んでいく。多少の反撃覚悟でキツイ一撃をお見舞いする事にしたらしい。話し合いが通じないスマラが悪い。

 

 頭を掴まれて視界が閉ざされているが、それでもこれから起こることくらい予想が付くスマラはそれでも白ひげへの破壊活動を辞めなかった。振動能力をフル活用した一撃を喰らうと分かっていながらだ。

 攻撃の事しか考えていない。既に防御する思考を辞めたようだ。それに反する様に、能力を攻撃へと使っていく。

 

 常人なら一秒すら持たないスマラの能力を白ひげは覇気と能力で耐え抜いた。能力の全てを手に収着させてスマラごと地面に叩きつける。地面が割れ、スマラは激しい衝撃波を直に受けてしまう。

 

 

 

「……」

 

「………」

 

 

 一秒、二秒、三秒。いつまで経ってもスマラは動かない。

 死んだか?周囲はシーンと静まり返る。誰だって白ひげに挑んだ正体不安定の生死が気になるのだ。

 

 

 はっきり申し上げよう。この程度ではスマラは死なない。いくら理性が失われていようと、残っている本能が咄嗟に危険だと判断して防御を固めたのだ。それだけでなく、生まれ持った頑丈な身体もあって外見的な怪我は見当たらない。

 ただ地面に倒れたまま動かないのだ。いつまで経っても動かないスマラに業を煮やした白ひげが、コツンと薙刀の先っぽで突っつく。

 

 

「………」

 

「おい、小娘」

 

「…………痛いわよ。いい加減にしなさい」

 

 

 覇気は込めていないが、それでも最上大技物工の一振りは伊達じゃない。ツンツン攻撃はスマラの能力を突破した!!

 厳密には違う。身体にダメージは負う事は無かったが、強い衝撃を頭に受けたのだ。記憶喪失の治し方ではないが、強い衝撃を頭に受けたことで理性を取り戻したらしい。

 言葉に棘はあるが、先までとは声色が違う。二言目に「死ね」と言ってない!!?

 

 刃の先を握って忌々しそうに白ひげを睨むスマラ。怒りはまだ治まっていないらしいが、一先ず聞く耳を取り戻したらしい。

 さて、ここからどう対応を取るか。それによってはまた直ぐに敵対するだろう。

 

 

「で、訳も話さずに俺に殺意を向けて来るとは何事だァ。場合によっちゃあ落とし前キチンと付けてもらうぞ」

 

「ふん。よくもまぁ被害者面していること。……貴方の攻撃でいったい何十冊の本が亡くなったと思っているのッ!!」

 

 

 感情に任せながら薙刀を放す。怒り心頭と言った様子で荒ぽっくはあるが、単なる力を使った反動を受け止められない程白ひげは軟じゃない。

 怒り心頭と言った様子をしているスマラだが、少なくても対話を行う気はあるようで、白ひげを睨んだまま動かない。

 

 そんな敵対を辞めていないスマラの様子を見て、一番近くにいるビスタは何時でも切り込める様に構えていた。親父相手に生き残るどころか張り合っていた。そんな相手に自分の剣は効くだろうか?それでも、今は自分以外にいざという時に親父を守れる者はいない。そう自分に言い聞かせて身構える。

 親父は分かっているようだが、あいつは誰だったか……。と記憶を探っているビスタであった。

 

 一方でスマラから怒りの理由を説明された白ひげはと言うと、

 

 

「あァ?本だァ?……なるほどな。おおよそ予想は着くが、それを俺にぶつけるのも少し違ェんじゃねぇか?」

 

 

 スマラの説明を一蹴。自分に非はないと言い張る。

 

 

「違う……。それは冷静になって理解したわ。でも、その上で貴方に弁償を求めているの」

 

「政府に文句を言いつければいいじゃねぇか。何でテメェがこんな場所に居たのかは知らねぇが、大方の想像はつく」

 

 

 言いがかりは俺に言うな、政府に愚痴ってくれ。白ひげはそう言うが、スマラもスマラも考えなしで白ひげに弁償を請求しているわではない。

 

 

「政府はもうダメよ。私には何も不自由ない環境を用意すること、それが私が政府の指定した場所に大人しくとどまる条件」

 

「戦争の真っただ中に説明無しに置き去りにされて、尚且つ被害を受けた。だからもう信用できねぇということか」

 

「えぇ。その通りよ」

 

 

 信用は元々していない。それでも報酬が魅力的だったらから話に乗っただけの契約。こちらは大人しくしいたのに一方的に破られた条件。

 政府としては、何も言ってこないからそのままでもいいねよね?とばっちりの被害を受けても白ひげのせいにしたら良いし、何なら怒りで白ひげにダメージを与えてくれたら御の字だ!!という感じだろうか。

 実際にスマラは戦争の事を対して意識せずに場所を変えてほしいとも申請しなかった。それによって、白ひげ攻撃で理性を失って白ひげと争ったりもした。

 理性を取り戻してみると、この状況が政府の用意した作戦の内の一つだと言う事が分かる。そして、スマラが理性を取り戻して政府との契約を切っても大した痛手にならないことも分かる。

 

 だからスマラは不機嫌だった。

 ただ手元に置いておきたいだけだからと思って乗ってあげたのに、結局のところ自分を利用して来る政府も。それが分かっていながらも乗った自分も。

 どっちの事も嫌いだ。だからスマラはここで終わらせると決めた。

 

 先ずは、弁償という名の己の欲望を白ひげに吹っ掛ける。部屋に有った本を全て読んでいる……わけではない。読んでいない本もあり、それを易々と諦め切れるスマラでもない。

 政府程ではないが、それなりの貿易ルートを持っている天下の白ひげ海賊団ならば……と考えてだ。

 

 

「もう政府とは縁を切るつもりだし、それでも本は手に入れたい。ならば壊した本人に請求するのは当然でしょう?仮にも四皇の船長。できないはずはないわよね?」

 

「アホ言うな、俺がそこまでする義理はねぇだろうがよォ。さっきの攻撃を無かったことにしてやるからそれで勘弁しな」

 

「…は?」

 

 

 白ひげ、スマラの交渉を見事にぶっ壊す。請求してきた相手にチャラにしてやるからそれで我慢しろとは、肝が備わっている者しかできない。

 まさかの返答にスマラは殺気をだだ漏らせる。そんなスマラにビスタが身構える中、白ひげは不敵に笑った。

 まるでどうだ?と言わんばかりの態度。機嫌の悪いスマラにこれほどまで大胆な挑発行為ができる存在も、世界に数名しか存在していないだろう。

 

 一方でスマラは白ひげの態度を見て溢れた殺気を抑える。感情的になってはダメだ。自分に不都合な方へと流されるぞ。そう自分に言い聞かせると同時に能力を使って感情を抑える。

 普段はここまでしないが、そうも言っていられない危険な状態だと判断して能力まで使った緊急の冷却行為。

 

 

「っす~~~っは~~~~。そうね、貴方の言う通りでもあるわ。白ひげは非はない。問題だったのは契約違反した海軍。そうしましょう」

 

「余計な手間取らせやがって……。撤退の時間稼ぎ、手伝ってもらうぞ…」

 

「え?何で白ひげ海賊団の手伝いをしなければならないの?」

 

 

 深呼吸を行って冷静に戻ったスマラは、多少遺恨を残しながらも白ひげと和解した。これにて終了。この場に居る必要は無くなった。早速この面倒そうな場所から撤退しようとして後ろを向いたスマラに、白ひげは無惨にもスマラに言いがかりをつけてきた。

 手間取らせたんだから撤退の手伝いしやがれ。これにはスマラもビックリ。クルリと振り返って首をかしげる。美女がキョトンとしている様子はそれは萌える。

 が、その場にその価値の分かる人種はいなかった。居たのは……

 

 

「白ひげと奴が手を組んだぞ!!!『可憐なる賞金稼ぎ』も元々は海賊の身。決してこの場から逃がすな!!」

 

 

 これも作戦の内か、スマラに敵対心を見せるセンゴクの放送が響き渡ったのだった。

 

 




 さて、こっからどうなるのやら…(すっとぼけ)
 ちなみに、赤犬とエースサイドでの進行は一旦ストップしております。どちらにも無視できない状況でしたからね。この後見事赤犬がエースを煽りまくります。(この後はご存知…)
 そしてビスタ、最後までスマラのことを思い出せず……。

次回作品に向けてのアンケート。詳しくは活動報告にて

  • 原作SAO
  • 原作ありふれた職業で世界最強
  • 原作ハリー・ポッター
  • カルデア職員
  • 原作ワンピース
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