麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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ファイナル本能寺やレクエムコラボをしていたので遅れました(月一更新なので遅れていない)


797 六十頁「逃げるが勝ち」

「そこまでだァァ~~~~!!」

 

 戦場に響き渡る一人の海兵の声。奇しくもその声は全員の動きを止めるのに十分すぎる大きさと覚悟を持っていた。

 一海兵の叫び声。それだけなら誰も気に留め無かったであろう。しかし、海兵は大将赤犬の前で立ちふさがると言う行動に出たため、戦場の時間が止まった。

 本来、将校にもなっていない様な一海兵が、大将と言葉を交わすと言う事は有り得ないことであった。反逆罪で捕らえられても仕方のないことである。しかし、自らの命を差し出してでも彼は立ち上がる。

 既に勝敗は決しているのに、目的は達成しているのに、戦意のない海賊を追いかけて救える命を捨てて犠牲を増やす。まるで馬鹿みたいだと、彼は赤犬に物申す。

 

 その勇気ある青年の名はコビー。海軍軍曹であり、英雄ガープの弟子であり、麦わらのルフィの友達である人物だ。

 

 

 スマラはコビーが赤犬の前に立ちふさがった事に反応を示す。彼とは麦わらのルフィを通じて顔見知りになった。

 海軍本部に着いた時に案内役として知り合い、その後麦わらのルフィとの出会いを文字として形作らせて読んだ。それだけの交友だが、覚えていた。海賊を友達と呼ぶ可笑しな海兵として。

 

 

 黄猿と睨み合いながらも、コビーと赤犬の成り行きを見守るスマラ。

 と同時に、見聞色の覇気が強者の気配を捉えた。未来視は見えない……ではなく、見るような体力が残っていない。気配を追いながら黄猿から目を逸らさない。

 

 

 

 そんなコビーが作った数秒は世界を変えた。

 

 

 

 正しくない海兵は要らない。赤犬はコビーを焼き殺そうと能力を発動させてマグマ化させた腕を振るう。コビーは恐怖に崩れそうになりながらも動かない。

 誰もがコビーの死を疑わなかった。しかし、その予想は大きく外れた。

 

 

 コビーに叩きつけられるはずだったマグマの拳は止まった。否、止められた。

 赤犬の攻撃を止めたのは、黒いマントに赤髪の隻腕の剣士。スマラが見聞色の覇気で感じ取った気配でもあるその人物。

 彼の登場に戦場の誰もが驚いた。それはスマラも同じこと。

 

 

 ……何でこの場所にッ!!

 

 

 スマラですら思考を停止して呆ける一瞬の隙をついて、黄猿が潜水艦に向かって狙いを定めて……。

 

 

「何もするな、『黄猿』」

 

 

 直ぐ近くのマストの上に一人の男が銃口を構えていた。グルグル模様のマントに白っぽい髪の毛をオールバックに決めた男。

 銃口を向けられただけ。たったそれだけで黄猿は降参のポーズを取った。

 

 ベン・ベックマン

 

 海軍でも海賊でも知らない人は居ないレベルで有名な海賊。そんな彼がこんな場所に居る。

 赤犬を止めた隻腕の赤髪の男に、ベン・ベックマン。湾岸から見える一隻の海賊船。

 四皇『赤髪のシャンクス』とその海賊団が戦場に参戦してきたのだ。

 

 

 これには誰もが予想外。つい先日までは新世界にてカイドウと小競り合いをしているはずだと、海軍側には情報があったのだから。

 赤髪の目的。それはこの戦争を止めること。何故彼がこの様な行動に出たのかは誰にも分からない。しかし、彼のお陰で助かった命があったという事実だけは変わらない。

 

 

 

 

 戦場の空気が確実に変わった。逃げるなら今しかない。

 スマラは宙を蹴り今にも海に潜りそうな潜水艦に飛び乗る。と同時に、シャンクスから渡された麦わら帽子をバギーが投げよこした。

 

 

「キャプテン!!四皇は珍しいけど早く扉を閉めて!!」

 

「ああ…待て。何か飛んでくる」

 

「キャプテン!!!黄猿と互角にやり合ってた女性が乗ってるよ!!?」

 

「海軍側じゃねぇなら何でもいい。勝手な行動は慎んで貰うぞ」

 

 

 白くまがスマラを警戒して構えるも、今は敵じゃないからどうでも良かった。

 トラファルガー・ローはスマラに「勝手な行動はするな」とだけ伝えると、飛んで来た麦わら帽子をスマラに投げよこして奥に向かう。

 

 

「ふぅ……。疲れたわ……」

 

 

 ついつい零れ落ちた本音。その弱気な声は誰にも聞こえなかった。

 

 連戦に次ぐ連戦。それも四皇に大将。誰であろうと疲労は免れない。スマラですらそうだ。

 ちょっと休むくらい良いよね。寝ている間も自動で反射にしておけば、超新星程度ならどうにかなると思うし…。と目を瞑って休み始める。

 

 そんなスマラを、オロオロと眺めている白くまは一人居たとか……。

 

 

 

 

 

 

 数時間が経過した。スマラは規則正しい寝息をたてて寝ていた。

 そんなスマラの元にコツコツと足音を鳴らして近づく男が一人。緊急手術を施した後のトラファルガー・ローだ。

 彼はスマラに近づくと立ち止まる。距離は遠くとも近すぎるわけでもない。触れようと手を伸ばしても触れられない距離だが、彼の攻撃の範囲内ではある、そんな中途半端な距離。

 

 トラファルガー・ローは途端に寒気を感じ取った。原因は言わずとも分かるであろう。

 目の前の人物はただ寝ている。寝ていると言う生物的な行為なのに、己を刺す気配がビンビンと感じ取れる。

 末恐ろしい存在だ。四皇にも引け取らない圧倒的な強者を目の前にした気迫を、寝ているだけで放って居るのだ。ロー以外の船員なら近寄ろうとは思わないだろう。

 これ以上は近寄ってはならない。ローの本能が警戒を鳴らす。が、ローはそれでも一歩足を踏み出した。

 

 

「……ッ」

 

「…………?あぁ、そんなつもりは無かったのよ」

 

 

 ローの気配を感じ取ったスマラが目を開く。スマラは自分が無意識のうちに攻撃態勢へと意識を持っていたことを謝罪する。

 麦わらとジンベエを預けたと言え、安地とは言い難い場所なのだ。信用出来るまでは寝ている間も無意識の内に警戒するに決まっている。麦わら一味の船?アレは論外だ。まるで敵意が感じ取れない。

 しかしこの船は別だ。麦わらの一味とは本来敵同士、助けるメリットが無い。恩を作ると言う考え方もあるかもしれないが、医者と言うからにはそこまで考えているのかも分からない。

 何かあるかも知れない、と警戒を解かないのも当然と言えば当然の行動だろう。さらに言えば、この船は潜水艦。現状海に潜って海軍から逃げている最中である。幾らスマラであろうと能力者。海水に触れてしまえば力は制御出来なくなる。能力によってやりようはあるにしても、不利な状況下には変わりない。

 故に、無意識の内に攻撃態勢へと移行していたのは仕方のないことだ。今のところ敵対心が見られないなら、攻撃態勢を取っていた事を謝るのも当然と言えよう。

 

 

「……それで?麦わらのルフィは助かったのかしら?」

 

「その前に一つ答えろ。テメェは麦わら屋のなんだ?麦わら屋の仲間じゃねぇだろ」

 

「そうね。仲間ではないわ。味方……とも違うわね。えぇっと……とりあえず、敵ではないわ。海軍……世界政府に勝手に敵認定された以上、この船を沈めたり売ったりすることは無いわ」

 

「…………とりあえず信じてやる。妙な動きをするんじゃねぇぞ。即刻叩き出すからな」

 

「えぇ。それで充分よ。私としても馴れ合うつもりはないもの」

 

 

 お互いに牽制する。戦争の一部始終を見ていたローからすれば、スマラの能力を攻略出来るかは分からない。逆にスマラだって、ローの能力を防げるとは限らないのだ。

 自然系のような自然現象や動物系のような力の強化ならば、スマラの能力での対応はかなりし易い。が、超人系能力者は時偶にスマラの理解に苦しむ能力を使ってくる場合がある。

 『トラファルガー・ロー』彼の能力は不明な点が多い。オペオペの実の能力者だと言う事は分かっているが、その能力に自身の能力で対応可能かどうかは分からない。

 

 スマラは一先ず相手の言い分を飲む。敵地で変な行動をとるはずもなく、そもそも自分に不利益な行動を起こすはずがない。

 スマラの受け答えにジッと睨んでいたローであったが、やがて視線を切って続きを話す。完全に信用された訳ではないが、少なくとも一触即発の状況からは脱け出したみたいだ。

 

 

「…海峡屋の方は何とかなった。後は時間が解決してくれるはずだ」

 

「ジンベエの事なんか聞いてはいないのよ。肝心なのは麦わらのルフィ。医者を名乗るのなら助けられたんでしょう?死の外科医」

 

「……医者を名乗るからと言って、全ての怪我を治せるわけじゃねぇ。そこんところは履き違えるな」

 

「………………」

 

「緊急手術は何とか終わった。だが、油断出来ねぇ状態が続いている。後は奴の回復力を待つしか無いな」

 

「なるほど……」

 

 

 まだ生きている。しかし、辛うじて命を繋いでいる状態。ローから伝えられた容態に、スマラは一先ずホッとした。命さえ繋いでいるなら何とかなるだろう。アラバスタで瀕死の状態からたった数日で持ち直した超回復力を知っている。

 しかし、早く回復してもらえるなら願ったり叶ったり。スマラも早く麦わらのルフィの再出港を見届けて、白ひげ海賊団に居場所の提供をしてもらいたい。居場所というか、ぐーたら出来る環境の提供だが…。

 

 ならば、さっさと麦わらのルフィには回復してもらいたい。スマラは足早にルフィがいる場所へと足を進める。だが、それを見過ごせない者がこの場には居る。

 

 

「待て!!何処へ向かうつもりだ!!勝手な行動はするなと約束させたはずだ」

 

「何処に向かおうが私の勝手でしょう?……麦わらのルフィの下よ」

 

「…何をするつもりだ。奴は一応俺の患者だ。勝手な真似はして欲しくねえ」

 

「………悪い事にはならないわ」

 

 

 良いこと思い付いたと言わんばかりにスマラは返す。止めたって無駄だ。スマラは自分の利害の為に行動している。こうなったら最後、止められる者は数少ない。

 ローは仕方なく奥の手術室へ通した。ここが海底だとしても勝てる見込みが存在しないからだ。何をするつもりかは分からないが、悪いことにならないのは確かなのだろう……。そんな気がした。




 また何かしてるよスマラさん。行動原理が不明と非難されるんだろうなぁ。



 全く関係ないことですが言いたい事が一つ。
 最近ハーメルンで特殊タグが増えてます。フォウント変更などは紙の媒体からありますし、良い雰囲気も出すのでそれなりに理解は出来る。ただ、動く文字を多用するのは好きじゃないですね。
 勿論、自分はそこまで面倒な事はしたくないので、わざわざ手間をかけているのは素直に尊敬出来ますよ?しかし、多用されると小説感が薄くなる。後、動いたり消えたりされると読みにくい!!!←これに尽きる
 以上、特殊タグを使う小説が増えている件について読者視点からでした。自分は面倒なので使いませんよ。

次回作品に向けてのアンケート。詳しくは活動報告にて

  • 原作SAO
  • 原作ありふれた職業で世界最強
  • 原作ハリー・ポッター
  • カルデア職員
  • 原作ワンピース
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