麦わらの一味?利害が一致しているから乗っているだけですが?   作:与麻奴良 カクヤ

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コラボイベント完。ドラコー、ガチャ演出良かったですね。6万で宝具3に出来ました。


七十三頁「奇天烈おばさん」

「着いた~~ドレスローザ!!」

 

 

 外からルフィの声が聞こえる。

 その大声にスマラは起こされた。

 

 

「うッ……」

 

 

 ぼんやりと意識が覚醒していく。

 窓から差し込む眩しい太陽の光が未覚醒のスマラを刺激する。

 しぼしぼと目をパチパチさせて光に目を慣らしていく。

 

「…………」

 

 うめき声を出しつつ背伸びして凝り固まった身体をほぐしていく。

 時間は何時だろうか?

 壁掛け時計に目を向けると、お昼前だった。

 少し…いやかなり寝坊してしまったらしい。

 

 

「ふぁわぁーーー」

 

 

 欠伸を噛みしめつつ簡単に身支度。

 同室のナミとロビンは恐ろしい程時間をかけるが、スマラは殆ど時間をかけない。

 鏡の前見苦しくない程度に揃えたらお終い。

 結んだり固めたりするのは時間の無駄だ。

 そもそもオシャレに気遣う様な年頃ではない。

 もっとも、若かりし頃のスマラも似たような感じで適当に整えてただけだ。

 逃亡中なのもあるが、それでいいのだろうか?

 

 

 女部屋を出て甲板へ向かう。

 船の上は騒がしくない。時間的に騒がしい奴らが眠っているとは考えにくく、そもそもスマラを惰眠から引きずり起こした声的に、ドレスローザに辿り着いて既に行動を起こしていると言う事だろう。

 ガチャとドアを開けて甲板にたどり着くと、そこには数名しか残っていなかった。

 

「こえーよ~~。どうしてサンジまで島に行っちまったんだよ~」

「一番安全だと思ってたのに……」

 

 膝を芝生について下を向き嘆いているチョッパーとナミがスマラの視界に飛び込んできた。

 何があったのだろうか?

 触れるべきかそっとしておくべきか、悩みつつもやっぱり触れたくなく遠く離れる様に移動をしようした時。

 足音に反応して船に残っているメンバー全員がスマラに視線を向けた。

 

「そうよ!!私達にはまだスマラが居るじゃない!!」

「おぉ~~助かったぁ~~」

「ヨホホホ!!話はお聞きしましたが、そんなにお強いのです? だとしたら心強いですね」

「うむ、苦しゅうないぞ」

 

 ガバッと抱きついて来るナミとチョッパー。

 ブルックは高らかに笑い、ワノ国の子供は何故か偉そうにしている。

 一体何なのか?

 スマラには理解が全く追いつかない。

 とりあえず、ナミとチョッパーはひっぺ剥がして事情を尋ねる。

 

「な、何? ただの船番なんでしょう?」

「それが、一緒に残ってくれるはずだったサンジ君が島に行っちゃったのよ!!」

「敵の襲撃を受けるかもしれねぇって話も出てるしよぉ~」

 

 簡単な説明。しかし、それだけである程度の情報は得て理解する。

 つまり、船番で一番の戦力になるはずだったコックが島に入ってしまい船を守り切る戦力が足りない、と言う事だ。

 

「はぁ……」

 

 ため息を一つ。

 日常的に何か起こらなければならない呪いでもこの船はかかっているのだろうか? 

 そんな疑問が頭を過るが、そんな無駄な事を問いただしてもスマラが満足する答えは帰ってこないだろうと、勝手に結論を付けて無視する。

 

「それで、私は敵が攻めてきたらこの船を守れば言いわけ?」

 

 恐らく船番メンバーが望んでいるであろう言葉を先回りで言うと、彼らは目を丸くして驚く。

 

「え? ホント!?」

「えぇ」

「私達としたらありがたいんだけど、後で何か請求してきたりしない?」

「しないわ。嫌なら私は船内に籠るわ」

「ううん。大歓迎よ」

「うぉぉ!! これでオレ達も安全だぁ~~」

「うむ、大義である……ところで一体誰である?」

 

 ナミは『何か理由でもあるのか?』と意味深に考えてしまうが、スマラ本人に『嫌なら良いわ』と言われて、深く考えるのを止めて素直に喜んだ。

 その他のメンバーはそもそも何も考えずにいる。

 一名スマラの事を全く知らない侍の童が居るが、誰も説明は行わない。

 関係が複雑に絡み合っているし、そうれなら言っても無駄だろう。年相応な頭脳しか持ち合わせていない子供ならしょうがない。

 

 とは言え、理由くらい言っていても問題ないだろう。

 それくらい言っておかなければ後ろめたい事でもあるのか?と邪推されたら溜まったものじゃない。

 

「別に、貴方達の船長が無理矢理乗せてきたとは言え、船に乗せてもらっている身なのは違いないわ。貴方たちが何処で全滅しようがあまり興味ないけれど、安全な島に向かう船が私が乗っている間に襲撃を受けて沈むのは後味悪いのよ」

 

「「「おぉ~~」」」

 

 前半の海を一緒に航海しているからそこの感動を覚えたナミとチョッパー。

 ブルックは何となく2人にノッっただけである。

 

「……」

 

 柄にもない事をしているのは自分でも分かる。

 それでも一度約束したからにはやり遂げなければならない。

 知らんぷりして船内で読書にのめり込んでいても、襲撃を受ければ対処に駆り出されるのは目に見えていた。

 ならば自分から言いだした方が少しでも印象は良くなるというもの。

 印象とか微塵も気にしてないが……それはそれ、これはこれである。

 

 照れくさくなった…のかもしれない。

 スマラは上を向いて遠くをぼんやりと眺めた。

 

 澄んだ青い空。

 形を変えつつも風に乗って移動する雲。

 燦々と輝く太陽が眩しい。

 サァーと風が吹き髪の毛が揺れる。

 耳をすませば遠くでカモメが鳴き、島からは時折歓声が聞こえて来る。

 

 見聞色の覇気を軽く展開。

 それだけで島から強大な反応が複数存在しているのが分かった。

 スマラでも戦闘になれば無傷で逃げ切るのが難しい相手ばかりだ。

 

 とりあえず見聞色の覇気で警戒していたら大丈夫だろう。

 スマラは芝生に腰を降ろして本を取り出して続きを堪能することにした。

 見聞色の覇気もある上に海の上なのだから敵が接近して来たら誰かが気付くだろう。

 敵地なのに見張りを一人も立てずにいるなんて事、流石に気の緩みが多い彼らでもないだろう。

 興味がないので調べていないが、今回で一番の戦力を持っているドフラミンゴ本人が出張って来ない限り片手間で終わるはず。

 気楽に考えよう。そうしないとやってられない。

 

 

 

 

 

「だ、誰かいる~~!???」

 

 『ソウルキング』ブルックの悲鳴だ。

 スマラは軽めに回していた意識を本から浮上させて横眼で彼らを観察する。

 と同時に、流し聞きしていた彼らの会話の内容を脳内で整理し始めた。

 

 事の発端は見慣れぬワノ国の子供を相手に将軍ごっこ遊びをしている最中だったはず。

 チョッパーが毒味で全て飲み干し、ナミが膝枕であやし、ブルックがギター片手に演奏している時だったはず。

 男部屋から声が聞こえて来たのが始まりだった。

 『やだよー』とブルックの即興の歌詞に則った声は初めは誰かが言ったのだと誤認したのだが、その後に何かが割れたり壊れたりする音が鳴り響く。

 明らかに誰かが居る。

 現在、サニー号に乗っているのは船番待機組に振り分けられたナミ、チョッパー、ブルック、ワノ国の子供モモの助、そしてスマラの5人だけだ。

 スマラが緊急時に手を貸す約束を交わした時には見聞色の覇気で察知していた気配は5人だけだった。

 それが今、改めて見聞色の覇気に意識を割くと確かに船の中に気配があった。

 

「確かに誰か潜り込んでいるわね」

「よし、行くのよスマラ!」

 

 呟いたスマラにナミがGOサインを出す。

 襲撃に対応するとは言ったものの、何故指示を受けなければならないのかしら?

 スマラは首をかしげた。

 

「一体どうやって……あぁ、海の中から近づいたのね」

 

 ナミを無視して一人見聞色の覇気をかいくぐられた方法を考えるスマラ。

 普通に考えたら船で近づくはずだ。海の中は盲点だった。

 とは言え船に潜入する間に海面に顔を出すはずなので、スマラが周囲の警戒に全く集中出来ていなかった証拠である。

 

(しょうがないじゃない。今読み進めて居る本が面白すぎるのだもの)

 

 己の怠惰を責任転嫁した。

 コイツ、次も絶対に同じ過ちを繰り返す。次が有ればの話だが。

 

 

 

 

 

「さて、やりますか」

 

 パタンと本を閉じて立ち上がりながらスマラは言った。

 

 やる気は微塵も湧き上がらないが約束は約束だ。

 力技で反故する奴等とは違う。

 最低限の力は貸してあげよう。

 

 凝り固まった身体を解すように首、手足、腕、足、背中と動かしていく。

 ぽきぽきと音が鳴り、身体の調子を整えていった。

 ここまでしなくても能力を駆使すれば大抵の敵は手も足も出せずに撃退出来るはずなのだが、この2年で慢心は思いもしない被害を己に振りかけて来ると学んだ。

 ましては此処は新世界。王下七武賊の天夜叉ドンキホーテ・ドフラミンゴの本拠地。

 どの程度の敵が襲ってくるか不明なのだ。ガチガチの戦闘モードじゃなくても肉体を動かす程度の戦力は出て来ているはずだろう。

 幹部級の敵は居るはずだ。前半の楽園なら各々が船長をしていてもおかしくない実力を持っている。

 新世界でも上位層のスマラからすればその程度だが、ドフラミンゴの直属の部下と考えれば油断はあまり出来ない。

 スマラが読んでいる英雄譚でも、英雄の最後は大抵が慢心故の油断で致命傷を負って終わりだった。

 

 見聞色の覇気で敵の気配を探りながらスマラは芝生の上を歩いて男部屋の入り口に立つ。

 気配は部屋の中から動かない。

 向こうもスマラが部屋の前まで来たことを察知したはずだろう。出来ていないならその程度の相手。

 

「行くの? 行くのよね?」

「各自防御態勢よーいッ! 『毛皮強化』」

「ヨホホホッ! さて、鬼が出るか蛇が出るか」

「コラッ! チョパえもん一人だけズルいでござる」

 

 後ろで好き勝手言ってくれる。

 私だって万能ではない。手の届かない範囲だと守り切れないから、各自防御姿勢を取って船から逃げてくれるのが一番ありがたいのだが……船番が船を捨てて逃げるわけにもいかない。

 

 ハァとため息を一つ。今日だけで何度目だろうか?

 軽く覚悟を決めてドアノブを捻る。

 ガチャと音を立ててドアを開いて……。

 

「ザマス?」

 

 バタンッ!!

 速攻で閉じた。

 

「…ッスーーーハァ」

 

 スマラは深く息を吸って吐き出した。

 目頭を抑えて上を向く。

 

「え?何?? 何がったの!?」

「一体どうしたんだ? オバケでも居たのか?!」

「オバケェーーー! やだ怖い!!」

 

 外野がごちゃごちゃ言っているが無視だ。無視。

 

 オーケー。冷静になった。

 冷静になったから先ほど見えたモノについて考察しよう。

 私は男部屋のドアを開けた。それは間違いない。

 用事がないから入ったことは無いが、同じ船の部屋なのだから造り自体は他の部屋を大差無いはずだ。

 となれば、あのキテレツで気色悪いデザインは何だったのだろうか?

 

 スマラは頭を抱えながら先ほど見えた光景を理解しようとするが、幾ら考えても理解できなかった。

 理解と言うかある程度の考察なら沸いている。

 

「……悪魔の実の能力」

 

 ポツリと呟いたスマラに応える声が一つ。

 

「その通りザマス。アトアトの実でそこの部屋を絶対的な『美』に変えて差し上げましたのよ」

 

 ドアが中から開かれて人が出てくる。

 人? 人なのか? 不細工な人魚にも見えなくない?

 オーッホッホッホッホ~~と高笑いする初老に差し掛かった老婆が現れた。

 下半身が異妙に細く上半身にいけばいくほど太くなっている姿は確かに人魚に見えなくもないが、足は鰭ではなく鱗もついていない。

 金髪よりも黄色と橙色のパーマと三角メガネが特徴的な女性だった。

 奇抜なファッションセンスをお持ちの様だ。

 基本的に質素なスタイルを好むスマラとか欠片も合わないだろうと一目見て分かる。(そもそもファッションに欠片も興味がないだけ)

 

 そんなことはどうだって良い。

 敵が目の前に居て、どんな理由だろうと守るべき者が後ろに居るのなら余計な思考は辞めるべきだ。

 スマラは敵の言葉から相手の能力を考察し始めた。

 能力者との戦いは敵の能力を把握して弱点を付く事が戦闘の基本だ。

 

 敵がバカで助かったわ。能力を知る事が勝利に結びつくとは限らないし、より強い能力や覇気で相手の能力を気にしないで勝てる者も居るから絶対とは言い切れないが……。

 言葉通りなら『美に関する能力』?美と言えば海賊女帝のメロメロの実だけれど美に関する能力を得たのなら老婆の体型や容姿や普通過ぎる。

 となれば、美と言うのは老婆の主観的な意見、観測、イメージ、捉え方なのかもしれない。

 あぁ、ある程度絞れてきたわ。

 

「そうかしら?この船とは全く噛み合っていない奇天烈な景観になっただけだけれど? そもそも貴女は何処の誰?」

 

 思考しつつも声をかけて相手の情報を探る事にした。

 敵だと分かっていても自己紹介は大事。己は名乗らないのがまた自己中心的な思考回路をしている。

 老婆はお喋りなのか、それとも自身の能力に絶対的な自信を持っているのか、ペラペラと喋ってくれた。

 

「あたくしを知らない何て損してるザマスね。いいでしょう。あたくしは~ドンキホーテファミリー幹部!! トレーボル軍所属のジョーラ!!」

「ご丁寧にどうも」

「そちらはもちろん知っておりますわ。かの高名な元賞金稼ぎ!! スマラと名乗っているのでしたわね」

 

 ナミには一瞬だけスマラが気張った様に思えたが直ぐに冷静な態度に戻った。

 ここで追及するべき時ではないので心の内に留めておく事にした。

 

「有名なのは損しかないわね。私の強さを知っているなら退いてくれないかしら。貴女では私では勝てない。最低でも天夜叉を連れて来るべきだったわね」

「若様は別の重要な仕事があるざんす。それに、能力は相性次第でますよッ!!」

 

 ジョーラは急に攻撃に移った。

 両手で非科学的な泡を作り出して撃ちだす。

 誰がどう見ようと悪魔の実の能力による攻撃だ。

 

「避けなさいッ!」

 

 手加減をする理由もない。

 見聞色の覇気で未来を見ていたスマラは易々と避けるが、後ろでスマラとジョーラのやり取りをハラハラしながら見物していた者たちはスマラの警告では間に合わなかった。

 

「えっ!? なにこれ!?」

「泡かー!? でも変だぞこれ!」

「ホネ吉拙者を守るのだッー!!」

「と言われましてもこの距離だと無理です!! そもそも跳ね返れせられるんですか!?」

 

 泡が船番達4名に当たった途端に弾けた。

 見た感じ殺傷能力は無いと思われる。

 

「何をしたの?」

「オーッホッホッ! 先ほども言ったでしょう。ワタクシの能力で美に変えてさしあげましたのよ」

 

 能力を探るが相変わらず答える気はないらしい。

 と言うか、普通は答えるはずがない。

 何度も言うが、能力者は敵に能力を知られないのが一番能力を発揮出来る時間帯なのだ。

 敵に能力を知られたら対策され、弱点を見つけられたらそこを突かれて負ける可能性がグッと高くなる。

 敵の能力を知りたいのなら、スマラも能力の開示を行えばいい。

 もっとも、スマラとジョーラの力量を考えれば能力を知っていようが知らまいが関係無い場合が多い。

 自身の能力や素の力でゴリ押しすれば勝てる能力もいる。

 

 がしかし。

 悪魔の実の能力でも相性が悪い能力者は誰だろうといる。

 スマラにとっては超人系悪魔の実がそれだ。

 ゴムゴムの実やキラキラの実と言った自身に影響を及ぼす能力なら武装色の覇気で無効化して殴れば済むは無しだが、ソルソルの実やグラグラ実と言った他人への影響が強い能力相手だと無効化出来ない、失敗する可能性は高い。

 ジョーラの能力が美に関する能力ならば、ジョーラ本人に作用していない以上概念的な変化を起こす能力なのだろうと推測できた。

 

 なので、スマラはジョーラの攻撃を防ぐのではなく避けたのだ。

 善意で麦わら一味にも回避を行う様に言ってあげたのだが、戦闘に長けている者が居ないのか避けることはかなわなかった。

 麦わら一味の3人とワノ国の子供を覆っていた泡が消えていく。

 晴れたその先にいたのは……。

 

「……厄介な能力ね」

「「「「な、なんじゃこりゃ」」」」

 

 各々を見て叫ぶ麦わら一味。

 奇天烈な容姿に変わり果ててしまった船番の4名が居た。

 

 確かに厄介な能力だ。

 この能力を受けてしまうと普段の力を発揮できないかもしれない。

 そう考えるとスマラはうかつに動けなくなってしまった。

 

「ホーッホッホッホ!! 流石ワタクシざます。ステキな格好になりましたわね」

 

 高笑いで奇天烈な格好に変わり果てたナミたちを褒め称えるジョーラ。

 その感性は決して共感できないスマラだったが、冷静な部分でジョーラには能力の相性が最悪だと言う事を把握して指示をとばした。

 

 

「撤退よ。私が抑えている間に脱出しなさい」

 

 




アレれ?対ジョーラ戦なんて初期プロットには無かったぞ。ドレスローザ編は船で読書してたら勝手にゾウにスキップするはずだったのに……。

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