輝きのスター!   作:第7サーバー

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初めましての人もそうでない人も、どうも作者です。
この作品は基本ダイジェストというか、序盤はものすっごい飛ばしてます。
ワンピースは長編なので全部書くとたぶんあっさりと100話以上になってしまいますのでね。
でもアラバスタ辺りからは結構ちゃんと書いてるつもりです。
なので、できれば序盤の名シーンをすっ飛ばしてるから低評価ってのは勘弁してもらえれば。


第1話・墜ちてきた男

その日、空から一つの星が墜ちてきた。

 

「――おわっ!!? な、なな、なんだっ!!? 隕石か!!?」

 

「とうっ! おれさまは“ホシホシの実”を食べた“スター人間”! いずれ“世界一の有名人(スター)”になる男だ!」

 

「す、スター人間?」

「はーっはっはっはっはっはっ! おれさまの事は気軽に“スター”と呼んでくれていいぜ!」

 

デフォルメされた星形の船と共に墜ちてきた青年。

その恰好はニシキノかプレスリーか。

彼の出現が後の時代に与える影響は大きい。

とはいえ、そんな事を今は彼の妄想の中くらいでしか知る由もない彼らは、和やかに自己紹介などを交わしていた。

 

「しかし、“悪魔の実”の能力者ってのは初めて見たぜ。スター人間か。なあ、お前“ウソップ”海賊団に入らねェか?」

 

長鼻が特徴の“シロップ村”の少年、ウソップがそう言ってスターを誘う。

ウソップは父親が海賊だという事もあり、海賊に憧れており、村の子供を誘って海賊団を結成していた。

それはごっこ遊びの範疇を出ないものであったが、いずれはという気持ちはウソップにもある。

その中で現れた悪魔の実の能力者。

ウソップは大袈裟ではなく、自分の物語が動き始めているのを感じたのだった。

 

「海賊? 海賊ってお尋ね者だろ。そんなのスターじゃねェよ」

 

しかし当のスターは、海賊という言葉に眉を顰める。

いくら飾り立ててみても、結局のところ海賊はお尋ね者であり犯罪者。

スターが目指すところの世界一の有名人(スター)からはだいぶかけ離れていると思っていた。

 

「ふっふ、甘いな。甘すぎる。スター、お前は何もわかってない」

「おれさまが何をわかってないって?」

「だってそうだろう? 今は“大海賊時代”なんだぜ? なら、世界一の有名人(スター)と言えば当然海賊だって事だ。実際、処刑されたとは言え、“海賊王”を知らない人間なんていない」

「がーんっ!!? た、確かに……!」

 

だが、そんなスターの内心を見事に読みとったウソップは、得意げに人差し指を振ってみせると、口八丁でスターの興味を惹く事に成功する。

 

「なあ、おれにプロデュースを任せてみねェか? おれがお前を海賊王を超える“海賊スター”にしてやるよ」

「か、海賊スター……! なんてスターな響きなんだ! ウソップ――いや、キャプテン! おれさまの栄光の“スターロード”の舵取りはキャプテンに任せるぜ!」

 

「おおっ! そうかっ! なら、早速他の団員達に紹介だ!」

 

 

そして――スターがシロップ村に墜ちてきてから数日、海賊“モンキー・D・ルフィ”とその二人の仲間が上陸した。

 

 

「そこまでだ海賊共! おれはこの村を守護するキャプテ~ン・ウソップ! そして、こっちは、あの悪魔の実を食べたおれの八千万人いる部下の一人だ! 今、帰るなら見逃してやるぞ! だから、帰ってください!」

 

ウソップとスターの前に現れた海賊は……麦わら帽子に赤ベスト、デニム生地の半ズボンに草履と、イマイチ想像していたそれとは違った。

しかし、オレンジ髪の少女はともかくとして、もう一人の緑髪の男は刀を三本も提げており、いかにも腕の立ちそうな剣士だったので、まずはウソップは得意のハッタリ(ウソ)で攻めてみる事にした。

 

「八千万、すっげーっ!」

「ウソでしょ」

「げえっ、バレた!!?」

「ほら、バレたって言った」

「しまった、バレたって言っちまった! おのれ策士め!」

「まぁ、あんなのはほっといて村に行きましょう」

 

だが、ウソップの得意技は軽視していた少女によってあっさりと見破られてしまう。

そこでウソップは作戦に若干修正を加え、悪魔の実の能力者がいるという事を前面に押し出す事にした。

 

「――待てっ! 八千万人の部下はウソだが、こいつが悪魔の実の能力者だというのは本当だ! ボコボコにされたくなければ、今度こそ帰るんだ! これは最後通告だぞ! 大人しく聞いた方が身のためだ!」

 

ウソップの言葉に、なぜか微妙な空気が流れる。

剣士と少女が立ち塞がる二人ではなく、麦わら帽子の少年を見た。

 

「へえ、悪魔の実ねえ……」

「またウソじゃないの?」

「今度は本当だ!」

「どうやら本当みたいだな」

「あれを信じるの?」

「さっきは素直に反応しただろう?」

 

しかしそうは言いながらも、彼らは村への道を進んで行く。

 

「くっ……どうしても、村へ行くというのか! こうなれば、スター! お前の力を見せてやれ! おれが援護してやる!」

 

ウソップは内心ではビビる気持ちもあるものの、相手が同年代の少年少女である事に加えて、こちらには悪魔の実の能力者がいるのだからと強気に出る。

まぁ、そう言いながらもスターの背に隠れているが、そこは通常運転だ。

 

「ふふふっ、はーっはっはっはっはっはっ! ようやくおれさまの出番のようだな! ならば見よ! おれさまの輝き――“スタービーム”!!!」

 

「「「「ビーム!!?」」」」

 

キュボ――キラキラーンッ☆!!!

 

「すっげーーーっ!!!」

「ほ、本当に能力者じゃない……」

「少しは楽しめそうだ」

 

「す、す――あっ、いや……さすがはおれの仲間だ! 見たか海賊! 今の技の直撃を受けたくなければ、とっとと尻尾を巻いて帰れ!」

 

ウソップはその技を初めて見た内心の動揺を押し隠しつつ叫ぶ。

その言葉に散々疑っていた少女こそ、多少腰が引けているが、剣士は刀に手をかけ、麦わら帽子の少年に至っては目を輝かせて近寄ってくる。

 

「向かって来るのか……マズイぞキャプテン」

「くっ……こうなれば撃退するしかない。頼んだぞスター!」

 

ウソップはスターが放ったビームに勝機を見たが、逆にスターは浮かない顔をしていた。

 

「それなんだがキャプテン。おれさまは今まで有名人(スター)になるためだけに能力を使って来たから、実は戦いは不得手なんだ」

「な、何っ!!? け、けど、あのビームなら……!」

「アレは演出用だ。見た目は派手だが、殺傷能力は全然ないはずだ」

 

それは事実で、スターの技は見た目は派手でも、要はクラッカーとか花火みたいなもので、しかも本人も人に向けた事がないために、それらがどこまで使えるかほぼ不明だった。

 

「ま、マジか……?」

「マジだ」

 

「「…………」」

 

「――そうだ! スター! “スターシップ”を出してくれ! アレで空を飛んで、おれの“銀河パチンコ”で攻撃する!」

「なるほど! わかったぜ、キャプテン! ――“スターシップ”!!!」

 

スターの言葉にウソップの頭は高速で回転し、その答えを弾き出した。

とりあえず空にいさえすれば安全で、しかも自分の特技でもある百発百中の射撃と合わせれば、それはもうかなりの無敵さを発揮するのではないかと。

 

「「「飛んだっ!!?」」」

 

「くらえっ! “タバスコ星”! “卵星”!」

「ぎゃあ! 目が! それに臭ェっ!」

「――おおっ! キャプテン、やったぜ、効いてるぞ! それにやっぱり、キャプテンの技のネーミングセンスは最高にイカスな!」

「ふふん、そうだろうそうだろう! 何せおれは勇敢なる海の戦士、キャプテ~ン・ウソ――」

 

「おれは怒ったぞ!」

 

「う、うう、腕が伸びたっ!!?」

「あいつも悪魔の実の能力者だったのか……!」

 

ウソップの考え自体は確かに悪くなかったのが、彼らが対峙していた存在もまた規格外。

悪魔の実の能力者であったから、それはもう規格外に加えて予想外だった。

“スターシップ”の縁を掴み飛び乗ってきたその姿に、ウソップとスターの二人はギャーギャーと騒ぎ、戦いの感じは一気に霧散してしまう。

その後、なんだかんだで和解したというか、仲良くなった一行はそれぞれ自己紹介を交わした。

 

「そうか。ルフィは“ゴムゴムの実”を食べた“ゴム人間”なのか」

 

麦わら帽子の少年はモンキー・D・ルフィ。

緑髪の剣士は“ロロノア・ゾロ”。

オレンジ髪の少女は“ナミ”。

 

「ああ。そういうスターはホシホシの実を食べたスター人間なんだろ? あのビームとか空飛ぶ船とか、すっげぇえええっ!!! カッコいいよなーっ!!!」

 

同年代の気安さ、さらに明るく友好的なルフィの態度に場は盛り上がる。

 

「はーっはっはっはっはっはっ! わかってるじゃないかっ! 何せこのおれさま“プトレマイオス・E・T・スター”は名前からしてスター人間になる事を定められていたかと思えるくらいのスター性を持つ男だからな!」

「あ、スターって本名だったんだ?」

「その通りだ。だから、おれさまは幼少の頃からスターくんスターくんとご近所でも評判のスターだったんだぜ!」

「そりゃ、本名だからみんなそう呼ぶわよねえ……」

 

ナミが自慢げにそう語るスターに呆れたように呟くと、ウソップが時間を確認して、立ち上がった。

 

「お。そろそろいい時間だな。それじゃ、スター、おれはいつものに行ってくるから」

「ああ。わかった」

 

そう言ってルフィ達を案内した村のめし屋を出て行くその姿を、視線で追ったナミはとりあえずでその場に残るスターに尋ねる。

 

「――彼、どこに行ったの?」

「ん、“カヤ”に会いに行ったんだ。カヤってのは丘の上にある屋敷のお嬢様だ」

 

それから……カヤの屋敷で働いてる執事の“クラハドール”が実は海賊で、村に襲撃計画を立てている事を偶然知ってしまった一行は、ウソップの提案で、その一件をウソップの“ウソ”にするために戦いを決意した。

 

「そういや、お前ら何ができるんだ?」

 

「斬る」

「のびる」

「盗む」

「目立つ」

 

「――そんで、お前は?」

「隠れる」

 

「「「「お前は戦えよッ!!!」」」」

 

そんな風に時間は流れ……夜が明け、海賊襲撃の朝が来る。

 

「……来ないな」

 

しかし万全の状態で待ち構える五人の前に、けれど海賊は現れない。

不意にナミが何かに気づいた。

 

「ねえ、ちょっと待って。何か北の方から声が聞こえるんだけど……本当にここから海賊たちは来るの?」

「北!!? 北にも最初お前らと出会った海岸がある! この海岸で襲撃計画を話し合ってたからてっきりこっちから来ると思ってたけど、もしかして……!」

「海岸を間違えたって事っ!!?」

「ヤバイ! 早く北の海岸に行かねえとっ!」

 

その言葉にルフィが真っ先に駆け出した。

 

「――あっ、しまっ、足が滑る……!」

 

続いて駆け出そうとしたナミだが、ウソップの仕掛けていた罠に足を取られ、咄嗟に傍にいたゾロを掴む。

 

「がっ!!? てめェ、何しやがるっ……ッ!」

「ごめんっ! あたしの宝が危ないのっ! 二人とも落ちるよりマシでしょ!」

「だったらてめェが落ちやがれっ!」

 

そんな醜い争いを続けるゾロとナミの上空には影。

 

「……何やってんだ。キャプテンが仕掛けた罠で遊んでないで、とっとと全員おれさまの“スターシップ”に乗れよ」

 

「「…………」」

 

“スターシップ”の上で白い目を向けるスターとウソップの姿に、ナミは誤魔化すように咳払いをして、“スターシップ”に乗ると、苛立ち紛れにとりあえず二人を殴った。

 

「うおぉーっ! それに乗せてくれるのかーっ!」

「特別だぜ。これは移動用でもあるが、本来はおれさまのファンサービス用の乗り物なんだからな」

 

理不尽な暴力にも負けず、“スターシップ”は一人走って行ってしまっていたルフィも拾うと北の海岸へ――。

 

「なんだ!!? 星の船!!?」

「UFOだっ!!!」

「うわっ、攻撃して来るぞっ! 宇宙人かっ!!?」

 

いきなり現れた空飛ぶ船の存在に、海賊達は大いに驚愕した。

 

「――よしっ! お前ら、戦闘に自信があるようだから飛び降りろ。おれ達はこのまま安全な空から援護に徹する!」

「そうね! それがいいわ!」

「お前らな……。まあ、不満はねェが」

 

海岸に上陸して来た“クロネコ海賊団”はゴム人間であるルフィと“海賊狩り”の異名を持つ、元賞金稼ぎの剣士ゾロの活躍によって一蹴された。

ついでに言えば、空を自由に飛べる“スターシップ”とウソップが得意とする射撃の相性が本当に抜群だった事もあって、そのクロネコ海賊団の副船長であり催眠術師の“ジャンゴ”も撃退し、残るはその襲撃計画を立てた張本人だけとなった。

異変に気付いたカヤによる交渉も失敗に終わり、執事のクラハドール――“百計のクロ”こと“C・クロ”と海賊王を目指す海賊、モンキー・D・ルフィの戦いが始まった。

 

「何やってる! 右だ! 左だ! バカ、後ろだっ!」

「スター、お前、あ、あいつの動きが見えるのかっ?」

「当然だぜ、キャプテン。この“スターシップ”の最高速度の方があんなただ走ってるだけの奴よりよっぽど速い。それに慣れていればあれくらい見えて当然だ」

 

C・クロは純粋に速かった。

普通に走っても100m4秒台の足を存分に活かした技“抜き足”を使って、無差別に駆け無差別に斬る“杓子”という技にルフィの攻撃は当たらず苦戦する。

 

「だーっ、もう見てらんねえっ! くらえ、おれさまの輝き――“スタービーム”!!!」

「むっ、なんだこのビームは?」

「当たった! でも、全然ダメージがないじゃねェかっ!」

「だから、アレは演出用だって言っただろキャプテン。けど、その分狙えばキャプテンの射撃みたいにほぼ必中なんだぜ。ビームって速いからな」

「当たったって倒せなきゃ意味ないじゃないの!」

「そんな事わかってる。しかし、見ろ! あの“スタービーム”の残滓を! あれだけ輝いていればルフィの目にも見えるはずだ!」

 

「「おおっ!」」

 

「……小癪な真似を。悪魔の実の能力者ってのはどいつもこいつも変な技を使いやがる」

「ししししっ! サンキュー、スター! あんだけキラキラなら丸分かりだ。でも、あとはおれがやる。もう手を出すなよ」

「ああ。観客(ファン)もいないから今回は譲ってやるぜ。とっとと決めちまえ!」

「おうっ! 任せろっ!」

 

ルフィの攻撃がキャプテン・クロに突き刺さり、C・クロは倒れた。

――そして、シロップ村にはいつも通りの日常が流れる。

激闘の記録も、全ては彼らの記憶の中にだけ残り、ウソップのウソの中に隠されたのだった。

 

「それじゃ、お前ら元気でな。今度会った時は、おれとスターの冒険譚を存分に聞かせてやるぜ」

 

別れの日……それぞれの旅立ちの時。

ルフィ達に感化されたウソップの提案で、ウソップとスターも旅立ちを迎えようとしていたが、その別れの言葉にルフィは不思議そうな顔をする。

 

「――何言ってんだ。早く乗れよ」

 

「「えっ?」」

 

そのルフィの態度の答えだとばかりにゾロがぶっきらぼうに口を開いた。

言われた二人が顔を見合わせていると、ルフィが当然の事のようにその言葉を口にした。

 

「おれ達もう仲間だろ?」

「っ! キャ……! キャプテンはおれだろうなっ!」

「ばかいえ! おれが船長(キャプテン)だ!」

「お、おれさまがスターだという事だけは譲らないぞっ! おれさまの許可なく、おれさまより目立つのは禁止だからなっ!」

 

こうして、“麦わらの一味”に、“海賊スター”ことプトレマイオス・E・T・スターも加わったのであった。

冒険が始まる――。

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