輝きのスター!   作:第7サーバー

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第10話・アラバスタにさよならを

「オイあれ……!!! あれ見ろ!!!」

「!」

「クロコダイル!」

「勝った……」

「ああ、勝った……!」

 

「「「「「あいつが勝ったんだ!!!」」」」」

 

スターとビビがルフィを連れてみんなを探し出す前に、麦わらの一味は、それぞれの戦いに決着をつけて地上へと上がって来た。

誰もがボロボロだが、誰一人欠けておらず、戦いの決着を見たその顔には笑顔が浮かんでいる。

しかし、彼らはそうでも民衆は違う。

 

「そ、そんな……クロコダイルさんが……!」

「くそぉ、海賊! おれはお前を絶対に許さないぞ!」

「出て行け! この町から出て行け海賊!」

 

砂漠の“英雄”の敗北に、悲嘆にくれた声がそこかしこから上がる。

 

「てめェら、ルフィが誰のために――」

「……いいんだ。あとはこの国の問題だ。行こう」

「スターさん、“スターシップ”は?」

「まだギリ使えるぜ。おれさまはルフィほど消耗してるわけじゃないからな」

「なら、首都に。アルバーナに飛んでください。そこで全てを明かします。それにミス・オールサンデーから聞いた爆弾の話もあります」

「わかったぜ。任せろ!」

 

それからの時間は飛ぶように流れていった。

首都の王宮に一味が着いた頃には、実はビビがナノハナの段階でお供である超カルガモ部隊の隊長“カルー”に託していた“真実”の記された密書が届けられていた。

それにより、ビビの父親――アラバスタ現国王である“ネフェルタリ・コブラ”の指揮の下、王国軍はすでに動き出していた。

暗躍するB・Wの社員を洗い出し、反乱軍の説得にはコブラ自らが赴いた。

それでもすぐに和解とはいかなかったが、同じく真実を知った海軍によりクロコダイルが捕縛されたとの知らせを受け、反乱軍のリーダーであるコーザは、自らの過ちに涙を流した。

 

「おれは間違っていたのか……全部、親父が正しかった……!!! あんたを信じられなかったおれの弱さが……こんな取り返しのつかない事を……!!!」

「顔を上げよコーザ!!!」

「!」

「悔やむ事も当然……やり切れぬ思いも当然。失ったものは大きく、得たものはない」

「国王……」

「――だが、これは前進である!!! 戦った相手が誰であろうとも、戦いは起こり、今終わったのだ!!! 過去を無きものになど誰にもできはしない!!! ……この戦争の上に立ち!!! 生きてみせよ!!! アラバスタ王国よ!!!!!」

 

それから2日後……アラバスタ国民の想いに応えるかのように、雨は降った。

 

 

“麦わら”のモンキー・D・ルフィは、壮絶な死闘の消耗激しく、3日間眠り続けた。

何せそのクロコダイルとの戦いでは、腹に大穴を開けられ、フックに仕込まれていた“毒”までも受けたのだから。

しかし、その“毒”については決闘後になぜかミス・オールサンデーが“解毒剤”をくれ、“船医”チョッパーの適切な処置もあり、無事に中和されたようだ。

そうしてルフィが眠っている間に一味は――というか、スターは最後の大仕事。

同じくミス・オールサンデーからもたらされた情報により、アルバーナの時計台に仕掛けられた大砲――その時限機能つきでもある砲弾を“スターシップ”で海上へと運び、“スターダストビーム”で処理した。

思った以上に規模が大きい爆発に、危うく死にかけるものの、なんとか生還。

その結果をもって――麦わらの一味がアラバスタ王国にてやるべき事は、全て終了したのであった。

 

そんな一味は、ルフィが起きたので改めて今回の功労者として宮殿で盛大なもてなしを受け、大いに騒ぎ、大いに楽しみ、大いに歌い、大いに輝き、大いに新規ファンを開拓し、大いにビビに驚愕され……そしてメンドくさくもまた拗ねた。

 

「……ありがとう」

 

「「「「「エロオヤジ」」」」」」

 

()()()じゃないわ!!!」

 

宮殿の大浴場で女湯を覗いたあとの国王(コブラ)の言葉に、麦わらの一味だけでなく、ご都合主義だとしても嬉しい、実は生きていたイガラムと一緒になっての感想に、コブラはまるで説得力なく鼻血を流しながらツッコんだ。

 

「……国をだよ」

 

コブラは鼻血を拭いマジメな雰囲気になると浴場に手を突いて頭を下げる。

 

「オイオイいいのかよあんた! 国王がそんなマネをして……!」

「これは大事件ですぞコブラ様……! 王が人に頭を下げてはなりません……!」

「イガラムよ。権威とは衣の上から着るものだ。……だが、ここは風呂場。裸の王などいるものか。私は一人の父として、この土地に住む民として、心より礼を言いたい。――どうもありがとう」

 

コブラの微笑みと共に贈られた言葉に、麦わらの一味は笑顔になった。

 

「ふふふっ、はーっはっはっはっはっはっ! 裸の王はいなくとも、裸のスターならばここにいる!!! というわけで、風呂場でもおれさまの歌を聴けーっ!!!」

「ギャハハハハハハ!」

「いいぞ、スター! もっとやれ!」

 

騒がしく楽しい夜は過ぎ――そして、麦わらの一味は宮殿から姿を消した。

 

 

『少しだけ、冒険をしました』

 

アルバーナで行われている内乱終結の記念式典。

アラバスタ王国、王女ビビの話が始まる。

拡声器の音量は最大で、“電伝虫”を通じてアラバスタ中の各町にもその音声が流されているにも拘らず、アルバーナの宮殿前の広場には、隙間がないほどに人が集った。

 

『……暗い暗い嵐の中で一隻の小さな船に会いました。……船は私の背中を押してこう言います。“お前には、あの光が見えないのか?”』

 

麦わらの一味の戦いは幻。

その瞬間を見ていた者達はいるけれど、アラバスタ1千万人の国民からすれば、それは極少数に過ぎず、麦わら帽子を被った一人の海賊が、クロコダイルをぶっ飛ばしたなんて話は、ただのバカな冗談として流れ去っていく。

 

「聞こえたろ。今のスピーチ間違いなくビビの声だ」

「アルバーナ式典の放送だぞ。もう来ねェと決めたのさ……!」

「ビビの声に似てただけだ……!」

 

そんな麦わらの一味を乗せたゴーイングメリー号は、東の港“タマリスク”でビビが来るのを待っていた。

ここに辿り着くまでには海軍の軍艦による包囲網などもあったが、それは、一度は友情を結び――そして再び命を賭けてでも仲間を迎えに行くという、麦わらの一味の姿に感銘を受けた、Mr.2(海軍からは逃れていた)の決死の囮作戦によって、突破に成功した。

だが、そうまでしてもビビは来ない……ビビはこの国の王女様だから仕方がない、というゾロやサンジの言葉に、しかしルフィは必ず来ると首を振る。

 

「みんなァ!!!」

 

「ビビ!!? カルー!!!」

 

ルフィの想いは通じた。

ビビは確かにその場所に姿を現した。

一気に盛り上がる麦わらの一味だったが、ビビは笑顔から一転して神妙な顔になる。

 

「お別れを!!! 言いに来たの!!!」

 

「! ……今、なんて……?」

 

船から離れており、潮風もある。

ビビは声を、想いを、きちんと届けるために、それまでスピーチをしていた受話器を手にした。

 

『私……一緒には行けません!!! 今まで本当にありがとう!!! 冒険はまだしたいけど、私はやっぱりこの国を、愛してるから!!! ――だから、行けません!!!』

 

「……そうか!」

 

『私は――……私は、ここに残るけど……!!! いつかまた会えたら!!! もう一度、仲間と呼んでくれますか!!?』

 

それに言葉で応える事はできなかった。

ルフィは応えようとしたけど、ナミによって止められる。

また、海軍の軍艦が姿を見せていたのだ。

王下七武海陥落という大事件に、近海の海軍の軍艦はアラバスタに集まって来ていた。

アラバスタの王女であるビビと海賊の間にハッキリ繋がりがあるとわかると、ビビは“罪人”になるし、これからのアラバスタにとってもよくはない。

何も言わずに出て行く事こそが、仲間であるビビに対する、麦わらの一味にとっての最大の思いやりであった。

 

「…………」

 

ビビの瞳からは大粒の涙が流れている。

その涙は別れの悲しみから流れ始めたものであったが、不意にビビは泣きながらも笑顔を作り左腕を掲げた。

ビビの隣ではカルーも同じ事をしている。

ビビとカルーの左腕には“×印”が記されていた。

それは、Mr.2に仲間に化けられた時のために考えた“対策”であり、仲間の証。

本来はその上に包帯を巻いての、二段構えの“対策”だったが、結局そのためには使われず、だけどこうしてとても役には立った。

 

麦わらの一味は全員一列に並んで、ビビには背中を向けながらも左腕を掲げている。

 

「出航~~~!!!」

 

船は進む。

仲間を一人と一羽、アラバスタ王国に残して。

 

――その後、アラバスタ王国は……諸国も目を見張るばかりの速度で、実に見事な復興を遂げる。

 

 

[手配書更新]

 

    “麦わら”のモンキー・D・ルフィ:1億ベリー。

      “海賊狩り”のロロノア・ゾロ:6千万ベリー。

“輝き”のプトレマイオス・E・T・スター:7777万ベリー。

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