輝きのスター!   作:第7サーバー

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第11話・そして空島へ

アラバスタ王国を出て、ビビ(とカルー)のいない船の淋しさを感じていた麦わらの一味。

そんな彼らの船には一人の密航者の姿があった。

密航者の正体はミス・オールサンデー――本名は“ニコ・ロビン”。

B・W社の副社長であり、懸賞金7900万ベリーのその女は、自分を仲間に入れて欲しいと麦わらの一味に言う。

麦わらの一味のせいで、アラバスタ転覆とは別の、彼女の目的を果たせなかったロビンは、それでも前後に得た情報からアラバスタにはもともと目的の物がなかったであろう事を悟った。

他の手掛かりのない彼女にとって、アラバスタは最後の希望だった。

彼女の目的、彼女の探し物とは“歴史の本文(ポーネグリフ)”という世界の歴史が記された石。

その中でも特別な“真の歴史の本文(リオ・ポーネグリフ)”。

得意な事は“暗殺”と嘯く彼女は“考古学者”であり、ただ隠された歴史を求めている。

けれど、その生活に疲れていた彼女は、死ぬ事も考えていた。

そんな中でルフィやスターという王下七武海にも絶やす事のできない“輝き”を見た彼女は、少しだけ生きる事を望んだ。

だから、賭けた。

彼らが自分の申し出を受け入れるのならば生き、断るのならば――。

 

「私には行く当ても帰る場所もないの。――だから、この船に置いて」

「なんだ、そうか。そらしょうがねェな。いいぞ」

 

「「「ルフィ!!!」」」

 

「心配すんなって! こいつは“解毒剤”くれたりしたんだろ? なら、おれの命の恩人だ! 悪い奴じゃねェよ!」

「いや、そうだけどよぉ……」

「ファンが一人減って仲間が一人増えるか……おれさまは悲しむべきなのか喜ぶべきなのか……」

「そこはどっちでもいいだろっ! いや、違う! 何あっさり受け入れてんだよスター!」

「ルフィが決めたんだからいいだろ。そもそもおれさまの元ファンに悪い奴がいるもんかっ!」

 

賭けには勝った。

彼らはそれはもうあっさりと彼女を受け入れた。

そうして“考古学者”のニコ・ロビンは麦わらの一味の一人になったのだ。

 

 

さて――事実は小説より奇なりなどとは言うが、偉大なる航路(グランドライン)においても、空から巨大なガレオン船が降ってくるという光景は、少しばかり珍しい。

偉大なる航路(グランドライン)では必須の“記録指針(ログポース)”もなぜか空を示すようになり、麦わらの一味はロビンの言葉から“空島”の存在を知る。

その降ってきた船の残骸から空島の地図を見つけ出したルフィのワクワクは止まらない。

船長がそうであるからして、麦わらの一味の次の目的地は決まった。

 

「空島か……」

 

だけど、そんな夢の国への行き方なんてわからないと頭を悩ませる一味に、スターは高笑いを上げる。

 

「ふふふっ、はーっはっはっはっはっはっ! おれさまの“スターシップ”なら余裕だな!」

「あ、なるほど! その手があったわね」

 

確かに空を飛べる“スターシップ”であれば、本当に存在さえしているのならば、空島にも行く事が可能だろう。

だが、そんなスターの言葉に、一番空島に行きたがっているはずのルフィが待ったをかける。

 

「ズルイぞ、スター! でも、ダメだぞ! おれ達の航海は、メリー号でやるんだからな!」

「まったくルフィの言う通りだぞ、スター。メリーだっておれ達の仲間だろ」

 

彼らの船であるゴーイングメリー号で行かなければ意味がないというルフィとウソップの言葉に、スターは自分の間違いを素直に認めた。

 

「む……。わかったぜ。――だったら、メリー号で空に行く方法を考えないとだな」

「おう!」

 

一味はゴーイングメリー号で空島へ行くための情報を求めて、沈んでしまったガレオン船のサルベージに移る。

そこで同じくサルベージをするために現れた“サルベージ王マシラ”というサル顔の男を船長――もとい園長(ボス)とした“マシラ海賊団”に出会ったり、謎の大巨人を見たりもしたが、特に情報は得られずじまい。

しかし、このまま当てもなく海を彷徨うわけにもいかないしと、ロビンがこっそりその船から盗った“永久指針(エターナルポース)”を用いて、“ジャヤ”という島に向かう。

そこにあったのは夢を見ない町。

夢を笑う無法者達の集まる、嘲りの町“モックタウン”。

まぁ……多少のいざこざはあったものの、特に問題はなく、ついに麦わらの一味は空島へと行く方法を見つけた。

突き上げる海流(ノックアップストリーム)”……海底で起こる大爆発によって、空へと飛び、空島があると思われる“積帝雲”に突っ込む。

ジャヤにあって唯一夢を見る者達――先のマシラに加えて、スターとシャウト対決をして敗北した“海底探索王ショウジョウ”と、その二人に慕われる“うそつきノーランド”の子孫である“モンブラン・クリケット”の協力の下、一味はその時を迎えた。

“積帝雲”の下に入った事で“夜”のような暗さの中、海王類でも抵抗できない大渦の中心へと、強化改造されて翼のついたゴーイングメリー号は突き進む。

 

「待ァてェ~~~!!!」

「?」

「ゼハハハハハハハハハハ!!! 追いついたぞ麦わらのルフィ!!!」

 

そんな中で麦わらの一味を追いかけてくる巨大なイカダのような船に乗る男達の姿。

彼らの目的は一味の首に懸けられた懸賞金。

そこで一味はアラバスタの一件により、手配書が更新されていた事を知った。

しかし、その事に対する反応もそこそこに、目的の現象が起こる。

 

突き上げる海流(ノックアップストリーム)”。

 

空へと一直線に、巨大な柱のように突き上げるその海流を、垂直に走るゴーイングメリー号。

“航海士”のナミの的確な指示により、その勢いを止める事もなく、ゴーイングメリー号は飛び、“積帝雲”へと突っ込んだ。

 

いざ空島へ――。

 

分厚い雲の壁を突き抜けて、一味が気がついた時には、ゴーイングメリー号は雲の上に乗っていた。

“空の海”の存在を確認するものの、“記録指針(ログポース)”は変わらず上を指している。

まだ上があるのだと知る一味だが、そんな一味の前には不思議が一杯。

風船のようなタコに、いきなり襲いかかってきた仮面の男、微妙な容貌のペガサスに乗る空の騎士“ガン・フォール”。

その中で空の騎士だけは友好的で、困った時に吹けば一度だけ助けにきてくれるという“ホイッスル”をくれた。

くれたのだが……それ以外の空島の事などは特に説明せずに去って行ってしまったために、一味はとりあえずで船を進める事にした。

そうして乗れる雲で遊んだりしつつ、見つけたのは“天国の門”。

天国の門には老婆が一人おり、入国料として10億“エクストラ”が必要だと伝えてきたが、べつにそれを払わなくても通れるというので、一味はその“エクストラ”という通貨がよくわからない事もあって、そのまま通行する事にした。

“白海”名物“特急エビ”の背中に乗せられ、川のような帯状の雲を越え――そして、麦わらの一味は、“白々海”神の国“スカイピア”へと入国した。

 

「は~~~!!! ここはなんなんだ!!! 冒険のにおいがプンプンするぞ!!!」

「天使! 天使はどこだ! 天使をおれさまのファンにしなければ!」

「お、スター、天使を探すなら手伝うぜ! ――待てっ! この音色は……! 天使だ! あそこに……天使がいるぞ!!!」

 

サンジが指差した先にいたのは、触覚のような不思議な髪型をして、羽の装飾品を背中につけた少女。

一味に気づいた少女は竪琴を弾いていた手を止めると、にこっと微笑んだ。

 

「……へそ!」

「あ!!?」

「へそ!」

「いや意味わかって言ってんのか、スター」

「ファンの間では時に不思議な言葉が流行ったりするものだ」

「会ったばっかだろ……」

「ああ、おれさまも驚いた。まさか空島にまでおれさまの存在が伝わっていたとは!」

「挨拶一つされただけで、どんだけポジティブなんだよ、お前」

 

“コニス”と名乗った少女は、その父の“パガヤ”と共に親切に空島の事を教えてくれた。

家に招待し、食事までご馳走してくれた友好的な二人に、一味はすっかり打ち解ける。

そんな中で一味が特に興味を持ったのは空島特有の不思議な貝殻“ダイアル”。

 

音を録音・再生できる“音貝(トーンダイアル)”。

風を蓄えておける“風貝(ブレスダイアル)”。

光をためる“灯貝(ランプダイアル)”。

炎を蓄える“炎貝(フレイムダイアル)”。

香りをためる“匂貝(フレイバーダイアル)”。

映像を残せる“映像貝(ビジョンダイアル)”。

 

などなど……空島の文化はそんな不思議“(ダイアル)エネルギー”と共にあるらしい。

 

「これは悩みどころだな……おれさまの声や姿を残す事は正しいのかどうか。おれさまはあくまで直接ファンと会って触れ合いたいが……スターだけに、星の数ほどいるファンに対しておれさまは一人。ここで決断するべきなのかどうか……!」

「悩んだところでそんな金をナミは出してくれねェだろ。そうじゃなくても今は金欠だって話だ」

「ナミと交渉してみる!」

「……で? そのナミさんはどこに行ったんだ?」

「いるだろ海に」

「いやいねェ……」

「じゃ、ちょっと遠出してんだよ。放っとけって」

 

ナミは“風貝(ブレスダイアル)”を利用した“ウェイバー”という、バイクのように乗り回せる一人乗り用の船をパガヤに借りて乗り回していた。

きっと今も楽しんでいるのだろうが、コニスとパガヤの二人は何やら不安そうな顔をする。

 

「なんだ? どうした?」

「このスカイピアには何があっても絶対に足を踏み入れてはならない場所があるんです」

 

それは聖域……“神”の住む土地“アッパーヤード”。

 

コニスが言う事が確かなら、そこには全能の神“エネル”なる存在がいるらしい。

ルフィを筆頭に一味は、ナミを探したり探さなかったり、神に会ったり会わなかったりするために再び最初に辿り着いた海岸へと足を運ぶ。

そこに現れたのはスカイピアの警察。

彼らは()()()()()である麦わらの一味に最後通告をしに来たという。

一人100億エクストル……麦わらの一味、八人で800億エクストル(ベリー換算では800万ベリー)を支払うなら、その罪も許されるらしいのだが。

ウェイバーでちょうど帰ってきたナミがその額の高さに、スカイピア警察の隊長を反射的に轢き倒し、公務執行妨害でさらに罪が加算、捕縛に動き出した彼らを撃退した事でさらにさらに加算。

あっという間に第11級犯罪が第2級犯罪にまでランクアップしていた。

 

「これでもはや第2級犯罪者。泣こうがわめこうが……ハハハハハハハ……神の島(アッパーヤード)の神官達の手によって、おまえ達は裁かれるのだ!!! へそ!!!」

 

そういう理由から空でもお尋ね者になった麦わらの一味。

この場に留まれば、親切にしてくれたコニスとパガヤにも迷惑がかかるし、居場所がバレてるので、船を出す事に。

弁当やら船の修理材料やらの冒険準備のためにルフィとサンジ、それにウソップとスターの四人は一度コニス達の家に戻り、残りの者達は船で出航準備を進める事になった。

 

「――オイ、船の方の様子が変だ」

 

準備を進める中、バルコニーから船を見たウソップがその事に気づいた。

ゴーイングメリー号の船底には、天国の門からスカイピアに来る時のエビよりも一回り以上巨大な“超特急エビ”の姿が。

それの背中に乗せられ、船に残った一味はゴーイングメリー号ごと、どこかへと連れ去られてしまう。

 

「というか――」

 

「「「「どこ行ったんだ?」」」」

 

「……超特急エビは神の使い。運ぶものはいつでも“神”の供え物。ならば行先は“神の庭(アッパーヤード)”の北東――“生け贄の祭壇”です」

「生け贄!!? ナミさんとロビンちゃんとその他が生け贄にされるのか!!? 神の奴の!!?」

 

許せねェ~~~!!! と騒ぐサンジだが、パガヤの言うところによると、生け贄は言葉の通りの生け贄ではなく“人質”らしい。

残された者達が“天の裁き”の“試練”によって試され、そこに辿り着く者があれば、共に逃げてもいいのだとかなんとか。

 

「はーっはっはっはっはっはっ! どうであれ話は簡単だ! おれさまがぱぱっと“スターシップ”で助けて来てやるぜ!」

「あ、待てよスター。おれも一緒に――」

 

サンジが言うよりも早くスターは“スターシップ”で空へと浮かび上がる。

 

「サンジはいいから弁当を完成させろよ! 戻ってきたらどうせここは出るんだしな!」

 

そう言って一人で飛んで行ってしまうスター。

サンジは文句を言いながらも、まぁ仕方ないかと弁当の制作に戻ろうとした。

ルフィとウソップもスターに任せておけばもう安心だろうと家の中へと足を向ける。

三人が背を向けたその背後で――カッ! と何かが光った。

 

「「「!!?」」」

 

反射的に振り向いた三人の目に映ったのは、巨大な光の柱のようなものに呑み込まれた“スターシップ”の姿と、その後に残る“海雲”に開いた大穴。

 

「おい、ちょっと待てよ……」

 

それからどれだけ待っても、どれだけ目を凝らそうとも、“スターシップ”の姿は見えない。

 

「“神の裁き”……」

 

「「「!」」」

 

パガヤの怯えを存分に含んだ呟きに、三人は一斉にパガヤに視線をやった。

 

「なんだよ……おいっ!!! なんなんだよ、“神の裁き”って!!! スターは――いったい、どこに行っちまったんだよォッ!!!」

 

神は――“空を飛ぶ船”を持つスターの存在を許さなかった。

故にスターは神によって裁かれた。

この後、麦わらの一味は空島を巡る戦いに巻き込まれていく事になる。

それは最終的にバトルロイヤル的なサバイバルの様相を呈する事になるのだが――麦わらの一味の一人、“輝き”のプトレマイオス・E・T・スターは、その戦いが始まるよりも早く、なんの事情すらも知らないままに、早々に脱落する事になったのだった。

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