輝きのスター!   作:第7サーバー

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第12話・シャンドラの灯の下で

少しだけ歴史を語ろう……。

今から400年前、ジャヤには一つの部族が住んでいた。

その部族の名を“シャンディア”……“シャンドラ”という集落に住む戦士の部族。

その地にはるばる“北の海(ノースブルー)”から一隻の探検船が訪れた。

その探検船の提督こそが“モンブラン・ノーランド”。

400年後の未来――つまり現在まで絵本になり語り継がれる“うそつきノーランド”その人である。

シャンドラの戦士達はよそ者の存在を良しとせず、それまでは誰であっても排除して来た。

その中にあっていきなり“神殺し”を犯したノーランドは許されるはずもない。

しかしそれは集落のためにと生け贄に捧げられた娘を、彼らが神と崇める“ヘビ”から救うための行動であり、なおかつ彼らを襲っていた“悪霊”――“疫病”を治してみせた事で信頼を得て、友となった。

特にシャンドラの“大戦士・カルガラ”とノーランドは親友という関係になったと言ってもいい。

その関係の証として、カルガラはかつて彼らの先祖が暮らしていた“黄金都市・シャンドラ”の存在を見せた。

さらにはその都市の中心にある、先祖の魂を導くという“シャンドラの灯”と呼ばれる“黄金の鐘楼”以外ならば、どれだけでも黄金を船に積んで持っていって構わないとノーランド達を喜ばせた。

友としての楽しい時間が過ぎ――けれど、別れの時になって、カルガラはノーランドに激しく怒っていた。

ノーランドが知らず、彼らの先祖の墓とも言うべき“身縒木”を切り倒したからだ。

だがノーランドも理由なくそんな事はしない。

その木は彼らが罹った“疫病”と同じものに罹っていた。

それを放置しておけばいずれ島を腐らせる。

だから、ノーランドは彼らのために木を切ったのだ。

互いに真実を知り、ノーランドは貰った黄金を全て置いて島を出て行く事にし、カルガラはその出航に間に合えと大地を駆ける。

カルガラは島から離れていく船に、声の限りに叫んだ。

 

――この地でおれはお前を待っている!!! ここでずっと鐘を鳴らし続ける!!! また来るお前の船が、嵐の中でも迷わないように!!! 鐘を鳴らして、君を待つ!!!――

 

声はノーランドに届き、故郷へと戻ったノーランドは、誇らしげにそれらの話を、国王や国民達に語った。

黄金を置いて来てしまったために証拠は何もなかったが、それでも類稀なる“正直者”として有名なノーランドの話をみんなが信じた。

それから5年後――その地に行く事を望んだ国王を連れて、ノーランドは再びカルガラに会いに行く。

しかし、そこには何もなかった。

誰もいなかった。

ジャヤは切り取られたように途切れ、シャンドラの集落は影も形もなくなってしまっていた。

そしてノーランドは一転して“うそつき”と呼ばれるようになる。

半年後……再び帰ってきた故郷において、“虚言”の大罪で処刑される最期の瞬間まで、シャンドラは、“黄金郷”は存在すると“うそ”をつき続け、ノーランドは友の無事を祈りながら死んだ。

 

……一方でカルガラは空にいた。

突如ジャヤを襲った天変地異と呼べる自然現象“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”によって、大地は空へと打ち上げられ、その土地を狙ってやって来た空の者達と、その後400年経っても続く戦いを始める。

 

約束は絶対に果たす。

再び鐘を鳴らして居場所を伝える。

そして、同じ大地でいつの日か必ず会おう。

 

――シャンドラの灯をともせェ!!!――

 

カルガラもまた友の事を想い、それでも激しい戦いの中で、無念のままに壮絶な戦死を遂げた。

 

 

~~中略~~

 

 

……歴史語りは終わり、物語は現在。

そんな時代を越えても続く戦いに、麦わらの一味は巻き込まれる。

そもそもがスター……その無事を信じながらも、仲間をやられた事に怒るルフィ、ウソップ、サンジの三人は、神の地(アッパーヤード)へと自ら乗り込み、神官の一人を倒した。

その時には連れ去られたゾロ達も好き勝手に動いており、さらには神官が一人減った事を知って、それを好機と見た現在のシャンドラの戦士達が神の地(アッパーヤード)へと乗り込み、残る神官三人を含む神兵達に戦いを仕掛ける。

もちろん麦わらの一味とシャンドラの戦士達も仲間ではなく、戦いはバトルロイヤル的なサバイバルの様相を呈していった。

 

神の“予言”によれば、その戦いが始まってから3時間後――神自身も含めて――その地に残るのはわずかに五人。

 

そして、2時間57分が過ぎ……神の前に立つ者は五人。

その内の一人であるナミは隠れているものの、“予言”は、神を含めての“予言”であるからして、まだ一人ばかり人数が多い。

故に神は問う。

 

「――さて、誰が消えてくれる?」

 

「「「「お前が消えろ」」」」

 

神の前に立つ四人。

 

“海賊狩り”ロロノア・ゾロ。

“オハラの悪魔”ニコ・ロビン。

空の騎士にして“前・神”ガン・フォール。

シャンドラの戦士“戦鬼・ワイパー”。

 

彼らはそれぞれの武器を、“玉雲”に乗り宙に浮かぶ神へと向ける。

誰もが一騎当千の猛者であるのは間違いない。

しかし、神・エネルはそんな彼らを一蹴。

“ゴロゴロの実”を食べた“雷人間”であるエネルの前に、彼らは敗れ去った。

神の“予言”は神自身が戯れで破り、残るは神とナミ一人だ。

 

「ヤハハハハ……“海楼石”、それにただの剣士に、薄皮一枚とはいえ斬られるとはおかしな事もあったものだが、これで決着だ」

 

ナミは生き残るために、内心はともかくエネルに従い、そして見る。

動力を“雷”とする“空飛ぶ舟”。

“神の裁き”によって、スターがいきなり脱落させられたその理由――方舟“マクシム”。

スターのせいぜい十人程度しか乗れない船よりもよほど巨大なそれは、エネルの目的である“限りなき大地(フェアリーヴァース)”を目指すためのものであるという。

そんな神の一人勝ちのような状況で、戦いが始まって早々に巨大なヘビに、“うわばみ”に呑み込まれていたルフィが、ようやく脱出を果たし、エネルの前へと姿を現した。

 

「何やってんだお前……おれの仲間によ」

「? どのゴミの事かな」

 

戦いが始まる。

舟へと跳び乗ったルフィに、スターをあっさりと脱落させた“神の裁き(エル・トール)”が襲う。

しかし――。

 

「?」

「うまく避けたようだな……!」

 

避けたのだろうか……いや、避けたのだろう。

そうでなければおかしい。

エネルが放った“神の裁き(エル・トール)”は、まるでルフィの身体をすり抜けたかのように、なんら影響を与えていないのだから。

エネルは手に持った黄金の棍棒“のの様棒”をクルクルと回し、連続して他の技を繰り出す。

6000万(ボルト)雷龍(ジャムブウル)”……1億(ボルト)放電(ヴァーリー)”。

けれどルフィは不思議な顔をするばかりで、エネルは自分の技が通じないという状況に――神にあるまじき驚愕の変顔を晒した。

だが、それだけでは終わらない。

本来なら“雷”故に、自然系(ロギア)の能力者故に、無効化できるはずの攻撃が、ルフィの蹴りがその腹に突き刺さり崩れ落ちる。

 

「……!!?」

「完全に……“雷”の力が無効化してる……! “雷”が効かない人間が、この世に存在するなんて、きっとエネルでも予想しなかった出来事」

 

その二人の戦いを見ていたナミの呟きは正鵠を射ていた。

“ゴム人間”であるルフィは、“雷人間”であるエネルの、世界でただ一人の“天敵”。

もちろん、これが普通の“ゴム”であれば“雷”の前に焼き切れもするだろう。

しかし“ゴム人間”とはあくまで概念であり、特性。

試さなければわからない事ではあったが、その特性は“雷人間”のそれを確かに上回っていた。

 

「なんだと言うのだ……貴様……!!!」

「おれはルフィ。海賊でゴム人間だ」

「……ゴム?」

 

空島にはゴムがないためにエネルはその言葉の意味がわからない。

 

「“雷”なら効かねェ!!!」

「“心綱(マントラ)”」

 

相手の考えや行動が読めるという、ルフィ達が倒した神官も使ってきた技術で、エネルはルフィの攻撃を最小限の動きで避ける。

エネルは一時変顔を晒しはしたもののすぐに冷静になり、“雷”の攻撃が効かないならばと、それは移動にのみ用い、棍棒でルフィを殴りつける。

 

「ふん、打撃も効かねェよ!!!」

 

“雷”もダメ、打撃もダメとなってエネルは、黄金の棍棒を“雷”の力で精錬する。

三又の矛となった“のの様棒”の刺突を、ルフィは跳んで避けた。

 

「ヤハハ。弱点はやはり斬撃か!」

「ああ」

「ゆうな!!!」

 

ナミのツッコミは空しく流れ、戦闘はその激しさを増していく。

 

「“ギア(セカンド)”」

 

ルフィはクロコダイルとの戦いで会得したその技で、身体能力を強化してエネルへと挑む。

 

「!」

 

しかしいくら身体能力を強化しても、エネルはそれ以上の“雷速”を誇っているのだ。

加えて“心綱(マントラ)”。

神を名乗るエネルの力は確かに強大で、それは王下七武海のクロコダイルと比べてみても、決して劣るものではない。

特性故にハンデを負っているにも拘らず、エネルはルフィと互角以上に戦っていた。

 

「“ゴムゴムのJET銃乱打(ガトリング)”!!!」

「無駄だ……。貴様がいくら速くなろうと、私はそれよりなお速い……! 空島観光……悪い時期に来たものだな青海人。私は神だぞ!!! 何事も意のままにする!!! 私の想う世界を創るのだ!!!」

 

ルフィの攻撃を避け、舟の甲板へと叩きつけると、エネルは舟へと“雷”を流す。

 

「……見ろ……浮くぞ……私を“限りない大地(フェアリーヴァース)”へ導く方舟“マクシム”!!!」

「それがどうした。空飛ぶ船なら、何度も乗ってる!」

「チッ……あの青海人の能力者の事か。確かにそれを“心綱(マントラ)”で知った時には、さすがの私も少々心を乱された。神である私がようやく完成させたその手段を、すでに持っている人間がいたのだから! だが、それももういない……!!!」

「スターがあの程度で死ぬかァッッッ!!!」

 

ビリビリと放たれるルフィの“覇気”に一瞬エネルは気圧されるものの、すぐに平静を取り戻す。

 

「“神の裁き(エル・トール)”を受けて死んでいないと?」

「当たり前だ。未来の海賊王の仲間(クルー)がよ……その程度で死ぬもんか!!!」

「カイゾク王? そいつはどこの王様なんだ……?」

「世界の偉大な海の王だ!!!」

「ご立派だな……決着をつけようじゃあないか……この空の上で!!!」

 

戦場は空飛ぶ舟の上。

不意にマクシムの船体の上部に取りつけられた煙突から黒雲が昇り始める。

 

「……」

「ヤハハハハ! これぞこの方舟の究極の機能。名を“デスピア”。“絶望”という名の、この世の救済者だ!!!」

 

それはエネルのエネルギーによって極めて激しい“雷雲”を排出する装置だった。

エネルはそれによってスカイピア全土を包み、その全てを“雷”で破壊するという。

立つ“神”跡を濁さず……エネルは用済みとなった全てをキレイにした上で“限りない大地(フェアリーヴァース)”へ行こうと考えていたのだ。

 

「神ならなんでも奪っていいのか!!!」

「そうだ。“命”も“大地”もな」

 

“ゴムゴムのJET(ウィップ)”もエネルには躱され、逆に高電熱スピアとなった“のの様棒”の対応に苦慮するルフィ。

だが、エネルが“雷速”と“心綱(マントラ)”ならば、ルフィは“ギア”と“本能”――あるいは“勘”。

とっくにその存在に触れているルフィは、いわば目覚めかけの状態。

それはわずかに一度、瞬間の発動だったが、その一度をルフィは逃さず掴んだ。

 

「“ゴムゴムのJET回転弾(ライフル)”!!!」

 

ルフィの強烈な拳の一撃が突き刺さり、エネルはマクシムの甲板の神――というよりは仏の顔を模したような黄金の船体に叩きつけられた。

 

「……ハァ、……ハァ、これしき……!」

「!」

 

エネルは口から血を吐きながらも立ち上がった。

エネルにも当然だが譲れないものがある。

目の前には、それこそすぐ手の届くところに、野望の成就が待っている。

いきなり現れた、わけのわからない“海賊”などという輩にそれを阻まれるなどあってはならない事だった。

 

「貴様さえ……貴様さえいなくなれば私の天下なのだ……そうだ。貴様などが私に敵うものか……不可能などありはしない。我は全能なる神である!!!」

 

エネルの猛りに“デスピア”が共鳴する。

 

「やめろ!!!」

「――“雷治金(グロームパドリング)”!!!」

「!!? …………!!! あ、熱゛ィ~~~~~~っ!!!」

 

エネルを止めようと駆け込んできたルフィの腕を、エネルはカウンターで、船体に使われている黄金で包む。

巨大な黄金の玉に伸ばした腕を取られ、ルフィの自由は著しく奪われた。

 

「ハァ……青海のゴム人間……何も無理に私がお前と……勝負する必要などないのだ……」

「外せェ!!! この野郎!!!」

 

エネルは直接的な勝負には拘らなかった。

野望を成就させれば、それは自分の勝利に他ならないからだ。

猛りながらも、エネルはあくまで冷静だった。

そしてエネルはルフィの腕につけた黄金の玉を蹴り飛ばす。

 

「このまま別れようじゃあないか。この金塊は……貴様の善戦を称え……くれてやる……!!!」

 

黄金の重さに引きずられ、ルフィは転がった。

必死に舟の縁にしがみつくが、黄金はすでに舟の外に出ており、ルフィは堪える事しかできない。

 

「ルフィ!!!」

「貴様さえ封じてしまえば……また元通り……私の天下だ!!! 私に敵う者などこの世にいなくなる!!!」

「この世にだと……!!? そんなもん、いくらでもいるぞ……!!! 下の海には……もっと、怪物みてェな奴らがうじゃうじゃいるんだ!!! お前なんか――」

「口の減らん小僧だ。墜ちろ、空島と共に……!!!」

 

エネルの最後の一押しに、ルフィは空を飛ぶマクシムから墜ちていく。

 

「畜生~~~っ!!! 勝負しろ~~~っ!!! エネル~~~ッ!!!」

「ルフィ! 今助ける!!!」

 

ルフィを助けようと、ルフィがマクシムに来る前に共にいた、ガン・フォールのペガサス“ピエール”と、シャンディアの“アイサ”という少女がその背に乗って手を伸ばすが――エネルは忌々しいとトドメの一撃を放った。

 

「“神の裁き(エル・トール)”!!!」

「!!!」

 

“デスピア”のそれよりも一足早く絶望が落ちる。

光の柱のような“雷”がルフィ達を捉えるその間際――しかし、狙ったようにそこに割り込んだのは一艇の星の船(スターシップ)

 

「おれさま、颯爽と登場!!!」

 

「「スター!!!」」

 

「なっ、貴様……っ!!?」

「だ、誰?」

 

現れたのは“絶望”に対抗する“希望”を形成する、最初に欠けた最後の一欠片。

 

「はーっはっはっはっはっはっ! エネル! 空を飛べるおれさまを羨んで、おれさまを狙うまではよかったが、そのおれさまが、ちょっと下に墜ちたくらいで死ぬとでも思ったか!!?」

「墜ちたくらいで、だと!!? 私は全力で“雷”を落とした!!! なのに、なぜ消し飛んでおらんのだ!!? まさか、貴様までゴム人間だなどと言うのではあるまいな!!?」

「言わねェよ! おれさまはスター人間! だから、その答えは簡単……おれさまが“スーパースター”であったからだ!!! ――実際、おれさまは圧に押されただけで、それ以外はちょっと痺れて復帰が遅れた程度のダメージだったぜ!!!」

「何ィ!!?」

 

本当は反射的に“スターオーラ”を纏ってなお、“スターシップ”の中で行動不能になり、下の海――青海をプカプカと漂っていたスターだが、そこはちょっと見栄を張った。

 

「しししし、さっそくいたな。おれ以外にお前に敵う奴」

 

“スターシップ”に拾われたルフィは、スターの復帰に嬉しそうに笑いながらエネルに言う。

 

「貴様ら……!!!」

 

神の裁き(エル・トール)”で半壊していた“スターシップ”も、そこはスターの能力なので、スターの復活と共に同じく復活し、今はこうしてマクシムのさらに上空を飛んでいた。

 

「よし! スター! おれをあの舟に降ろしてくれ! 決着をつける!」

「――ちょっと待て! 決着をつけるのはおれさまだ! 先にケンカを売られたのはおれさまだぞ!」

 

「「…………アァ゛?」」

 

「そこ!!! 何を仲間同士でいがみ合ってるのよ!!! どっちでもいいからさっさと――い、いえ、ハハハ……ええいっ! ブッ飛ばしちゃえ!!!」

 

「「なら、早い者勝ちだ!!!」」

 

エネルに睨まれて若干ビビりながらも――もうバカらしい、これでダメならどうしようもないと覚悟を決めたナミの激励を合図に、ルフィは“スターシップ”から飛び降り――スターは“トリックスターボム”をばら撒く。

しかしエネルは“雷人間”なので、それは船体にダメージを与えるだけで、エネル自身にダメージはない。

もっとも、それはあくまでお試し――ついでにマクシムも墜としてしまえという攻撃なので、そこについてはスター的にもわかっている。

スターはここに来る前に、なんか先のスターのように空から墜ちてきたパガヤと、神隊とやらに所属していたとかいう男を拾って、エネルの能力を含めてだいたいの事情を聞いていたのだ。

だからとスターはエネルの攻略法を持っているわけではなかったが、敗ける気もしていなかった。

 

「くっ……貴様ァ!!!」

 

エネルは舟を傷つけられる事に怒りを覚えるも、自分にダメージを与えられるルフィの方を警戒して、その破壊活動には対応できない。

そんなルフィは黄金に機動力をだいぶ削がれながらも果敢に攻める。

エネルもダメージの抜けきらない身体で反撃するが、そこで絶妙に邪魔なのがスターの存在だ。

 

「2億(ボルト)雷神(アマル)”!!!」

 

なのでエネルは一旦完全にスターの存在を無視して、自身最強とも言える技を発動した。

だが――。

 

「おれさまを無視してんじゃねェ!!!」

「がっ……!!?」

 

金色の輝きを、“スターオーラ”を纏ったスターの拳を、エネルはなぜか受け流す事ができず吹き飛ばされた。

 

「な……ぜ……!!?」

「???」

 

スターはエネルの言葉にちょっとだけ考え、ああ、きっとそういう事だなと答えを口にする。

 

「――“スーパースター”に不可能はない!!!」

 

“ゴム”以上に意味のわからない言葉に、エネルは理不尽さを感じるが、そんなものを感じている暇などなかった。

 

「ナイス、スター!!! ――“ゴムゴムのJET黄金回転弾(ライフル)”!!!」

 

エネル、フルボッコ。

スターが飛ばした先で待ち構えていたルフィの、強烈とかそういうレベルじゃない一撃の直撃を受け、エネルはどこまでも空高く吹き飛んだ。

 

飛んで――飛んで――飛んで……?

 

そしてエネルはそのまま墜ちてこなかった。

 

「……墜ちてこないな。ありゃ、月まで行ったんじゃねェか?」

 

人が星になる姿は、たとえばワポルの時などにも見たが、今回はそれ以上であった。

しかも結構垂直めに飛んで行ったために、スターはそんな感想を漏らす。

 

「ああ! 月までブッ飛ばしてやった!」

 

冗談なのか、本気なのか、ルフィはそんな言葉を口にして笑う。

そう、エネルの行先がどうであれ、戦いは終わったのだ。

 

「ルフィ……言っておくが、決着をつけたのはおれさまだ。おれさまの一撃の段階で、エネルは倒せてた。お前はその後に月にブッ飛ばしただけだからな」

「何言ってんだ。完全におれの一撃で決着だった」

 

「「…………アァ゛?」」

 

「だからやめなさいよあんた達!!! それに、まだ後始末が残ってるでしょ!!!」

 

それから――実は最強なのかもしれないナミの指示で、ルフィとスターの二人は“デスピア”から排出された“雷雲”を協力して散らし、さらにスターはルフィの頼みで空を飛び回り、“黄金の鐘楼”を見つけ出した。

その鐘をルフィは腕についたままの黄金で、青海にも届けと、おもいっきり殴りつけて鳴らす。

 

400年の時を越え――シャンドラの灯がともる。

 

その一撃で、それまでの戦いによる疲労もあったのか、ルフィの腕についた黄金は砕け、同時に“黄金の鐘楼”が乗っていた雲から墜ちていく。

しかし、ヤバイと思ったのも一瞬。

美しく雄大な鐘の音を空一杯に響かせながら、それはその下にあるシャンドラの遺跡の外れへと墜ちた。

 

「鳴った」

「ああ」

「聞こえたかな。おっさん達に」

「そうだな……なァ、ルフィ」

「ん?」

「おれさまはイイ事を思いついたぞ」

 

 

~~中略~~

 

 

「あれ? なァ、スターの奴はどこ行ったんだ?」

「え、ああ……なんでもやる事があるとか言って“スターシップ”でどっか飛んで行ったぜ」

「やる事?」

「どうせスターの事だから、ファンがどうだとかそういう話じゃねェのか?」

「ふーん……」

 

戦いの後には宴がある。

それは麦わらの一味にとってはお約束のようなものだ。

一味はスカイピアの者達も、シャンドラの者達も巻き込んで、盛大に騒ぐ。

しかし――普段なら宴では率先して歌い出し、ステージを披露して、新規ファンを開拓する事に余念がないスターの姿が見えず、その事をルフィは不思議に思い尋ねたが、ウソップの話を聞いて再び宴へと戻っていった。

そのスター、どこにいるのかと思えば、そのどこかからはすでに帰ってきており……その足で怪我人ワイパーを無理矢理に引っ張り出すと、シャンドラの遺跡の外れ――いや、その入口へ。

“黄金の鐘楼”が墜ちた場所でもあるその場所で、待っていたのは栗頭でひし形顔の最終園長。

青海で先祖の“うそ”とずっと戦い続けてきたその男。

 

「おれは……モンブラン・クリケット……!!! お前は……!!?」

 

男の名乗りに、ワイパーの身体が硬直し、一瞬後に震える声で力強く名乗り返す。

 

「ワイパー……!!! 大戦士・カルガラの遺志を継ぐ、シャンドラの戦士・ワイパーだ!!!」

 

これは夢か――いや、違う。

星の導きにより、二人の男の遺志を継いだ者達は、この()()()でまた出会う。

 

「そうか……そうか!!! 今まで、待たせて悪かった!!! 戦わせて悪かった!!! おれは!!! お前に会えて嬉しい!!!」

「……おれの方こそだ!!! “うそつき”にさせてしまって悪かった!!! それが真実だって、伝えられなくて悪かった!!! 会いに来てくれて――ありがとう!!! おれは、おれ達は、お前を歓迎する!!!」

 

ポロポロと涙を流し、その出会いに人生を懸けていた二人の男は、ついにその時が来たと喜んだ。

その様子を少し離れた場所で見守っていたスターは、満面の笑みを浮かべて、そっと静かにその場を去っていく。

 

「ふふふっ、はーっはっはっはっはっはっ! さすがおれさま! ファンサービスはバッチリだ! これはまたファンが増えてしまうな!!!」

 

……訂正。

その様子を少し離れた場所で見守っていたスターは、満面の笑みを浮かべて、若干騒がしくその場を去っていく。

空島の、冒険が終わる……。

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