輝きのスター!   作:第7サーバー

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スリラーバーク編は難産というかまとめ方が難しい感じです。
1話で終わらせてしまおうかとも思いましたが、とりあえず本格的な戦闘前で切りました。
なので、今回はちょっとあっさり目かもしれません。


第19話・ホラーステージ

記録指針(ログポース)”に従って、偉大なる海(グランドライン)でも名スポットとされる、世にも美しい人魚(マーメイド)達が住む島、魚人島へと向かっていた麦わらの一味。

だがその前に立ち塞がるのは、毎年百隻以上の船が消息不明になるという“魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)”。

それがただの海の迷信の一つだと笑い飛ばせればどれだけよかっただろうか。

しかし、ああしかし……今思い返せば、実は人魚だとか言い出すジュゴン体型のココロばーさんの言葉からして、一味はもうホラーな世界に憑りつかれていたのかもしれない。

 

「ヨホホホ~~~……♪ ヨホホホ~~~……♪」

 

霧は深く、周囲は不気味なほどに薄暗い。

その中で一味の前に現れたのは、舟歌を歌う一隻のゴースト(シップ)

帆も船体も戦闘痕に加えて、見るからに年月が重ねられてボロボロなのに、変わらずに海を漂っているその姿は、まさしくゴースト(シップ)と呼ぶに相応しい。

 

「ほぉ……おれさまの前で歌うとは。どうやら、おれさまに対する挑戦者のようだ」

「ど、どど、どこをどう見たらそんなポジティブな思考になれるんだよ!!! か、完全にゴースト(シップ)だろうが!!! ――ハッ!!? みんな、耳を塞げ、呪われるぞ!!! 悪霊は道連れを求めてる!!!」

「安心しろキャプテン。おれさまの歌に敗北はない!!!」

「だから歌の大会じゃねェんだよ!!!」

 

そんな状況でも変わらずのスターの襟首を掴んでガクガクと揺さぶるウソップ――その視界に、他の者達の視界にもだが、サウザンドサニー号より高さのあるその甲板の縁から見下ろす存在の白い姿。

 

「ビンクスの酒を……♪ 届けに……ゆくよ……♪」

 

目は落ち窪むどころかなくて、頬も痩せこけるどころか剥き出しで、アフロ毛でシルクハットを被った動くガイコツ。

 

「……死後の世界からの挑戦者か。はーっはっはっはっはっはっ! いい! ついにおれさまの名前は死後の世界にも届くようになったか!!!」

 

その存在に白目を剥いて泣き叫ぶウソップに、笑うスター。

そして船長であるルフィの決定はもちろん――。

 

「よし、じゃあ、さっそくあいつに会いに行こう」

「な・ん・で・だ~~~!!? スターといい、ルフィといい、なんでお前らはそうなんだ! 悪霊だぞ! 悪霊!」

「悪霊にも希望を与えてこそのスターだ」

「しししし! だって、面白そうな奴じゃねェか!」

 

ウソップというか、一味の者達は悟った。

とっくに知っていた事だが、こうなった二人の考えを変える事は不可能だと。

なので、二人のお守り役をくじ引きで決める。

 

「――そんな事より、お前、おれの仲間になれ!!!」

「ええ、いいですよ」

 

しかしその二人のお守り、ナミとサンジの存在の意味はなく、ルフィは見た目紳士なガイコツ“ブルック”を仲間に引き入れたのだった……。

 

 

~~中略~~

 

 

ルフィが仲間に引き入れたブルックは、普通に――と言うのもおかしな話だが、悪霊だとかではなく、悪魔の実の能力者だった。

ブルックが食べた実の名前は“ヨミヨミの実”。

その能力は“ヨミがえり”であり、ブルックは数十年前に死んで蘇った“復活人間”というわけだ。

無茶苦茶な話だが、麦わらの一味にもすでに個性豊かな能力者が四人もいる上に、こうしてその存在を目にしてしまえば受け入れざるを得ない。

ただ、ブルックはすぐに蘇れば、おそらく皮も肉もある人間として蘇れたはずなのだが、死んだ場所が運悪くこの“魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)”であったために、“魂”の状態で自分の身体を見つけた時には白骨化していた。

そうして誕生したのが骨だけブルック。

毛根が強かったおかげでアフロだけは残っていたが、それ以外は“影”すらも存在していない。

 

「あ、私がガイコツである事と……“影”がない事は全く別のお話なのです」

 

――らしい。

ブルックは鏡に映らず、“影”もない。

その事実に気づいた一味はより一層驚くが、ブルックは逆に冷静になって語り出す。

“影”は数年前ある男に奪われ、そのせいで“光”ある世界で存在できなくなったのだと。

“光”で地面に映るはずの“影”がないように、鏡や写真に写る事もなくなり、“直射日光”を浴びでもすれば消滅してしまう。

そんな散々な状況にあって、しかしブルックは陽気に笑った。

 

「今日はなんて素敵な日でしょう!!! 人に逢えた!!!」

 

舵の効かない大きな船に、悪魔の実の能力者であるが故に泳げない身体。

波任せに揺られ彷徨う事……数十年。

ようやく出会えた男には“影”を奪われ、状況は悪化。

だが、再びこうして出会った者達は、“仲間になれ”と自分を誘った。

 

「長生きはするものですね!!! 人は“喜び”!!! 私にとってあなた達は“喜び”です!!!」

 

けれど、一度は反射で応じたものの、やはり仲間にはなれないとブルックは言った。

“影”がなければ、太陽の下では生きられないし、一緒に冒険をする事は無理なのが目に見えているからだ。

 

「何言ってんだよ水くせェ!!! だったらおれが取り返してやるよ!!! そういや誰かに取られたっつったな、誰だ!!?」

 

ルフィはそう言うものの、ブルックはその相手の名前を口にしない。

なぜならその“影”を奪った相手は、王下七武海の一人。

普通の人間、普通の海賊ならば、絶対に避けて通るべき巨大な力を持つ存在なのだから。

 

 

~~中略~~

 

 

しかし、サウザンドサニー号はその島に囚われた。

ブルックから“影”を奪った王下七武海の一人が住む屋敷がある、ゴースト(シップ)ならぬゴースト(アイランド)……“スリラーバーク”。

一味に礼を言い、すぐに逃げろと一人スリラーバークへと降り立つブルック。

だが、逃げろと言われて素直に逃げる事がたぶんない麦わらの一味だ。

「ゴーストを捕まえて飼うんだ」と目を輝かせながら虫取り網を構えるルフィを筆頭に、スリラーバークへと上陸するためにサウザンドサニー号の“ソルジャードックシステム”を起動して、買い物船“ミニメリー2号”を出動させた。

羊頭の船首を持った四人乗り蒸気機関“外輪船(パドルシップ)”。

まずは試し乗りと、島に行く事を拒んだナミ、ウソップ、チョッパーの麦わらの一味弱気組と、まだもう一人乗れるのだからと乗りたがったスターが乗った。

スターは“スターシップ”が出せるために、こういう機会でもなければあまり乗る事がないだろうからでもある。

 

「「「「…………」」」」

 

しかしその四人……というか操船を担当していたナミが、メリーの似姿に浮かれすぎて、スリラーバークの岸へとウッカリ乗り上げ、その勢いで周囲を取り囲む堀に落ちてしまう。

 

「ええ、言いたい事はわかってるわ。――そう、100%、私の過失だけど、かわいいから許してね」

「ハリ倒すぞ、てめェ!!!」

 

ナミのまるで反省の色がない態度はともかく。

不幸中の幸い、スターがいるために彼らは空を飛べる。

とっとと戻ろうと言うウソップに、けれど今度はスターのワガママが発動。

 

「どうせすぐにルフィ達も来るんだし、せっかくだからこのままこの島を冒険しよう! おれさまのバックを担当する予定のブルックの事も気になる!」

 

ブルックが自分を“音楽家”だと名乗っていた事もあり、ルフィに次いで気になる様子を見せていたスター。

しかし、ガイコツを仲間にするなんて冗談じゃないと怖がりなウソップは拒絶する。

 

「却ーーー下!!! すぐにサニー号に戻るべきだと思う人、手を上げて!」

 

ババッとウソップの言葉に、同じく怖がりなナミとチョッパーが手を上げる。

 

「はい。多数決! おれを含めて3対1でサニー号に戻るべきだという結論が出ました~」

「――じゃあ、おれさまが一人で行くから、三人はここでルフィ達を待てばいい」

 

「「「いや、それはちょっと……」」」

 

我が意を得たりと丸め込もうとしたウソップだったが、その結果スターが一人いなくなるという最悪の事態に繋がりかけ、三人は必死に引き止めた。

この状況でスターがいるといないでは、安心感がまるで違う。

“スターシップ”がスターの能力である時点で、多数決などなんの意味もないのであった。

 

「……はぁ。ならせめてあの屋敷を目指しましょう。アテもなくこんな不気味な島を彷徨うなんて冗談じゃないし……何よりお宝があるとしたらきっとあの屋敷よ!」

 

「「結局それか!」」

 

「何よ、仕方ないじゃない。この状況で一番頼りになるスターがこれなんだから。私だって怖いけど、それならせめてお宝くらい手に入れないと」

 

「「結論がおかしいっ! ってか、目もおかしいんだけどっ!!!」」

 

スターの考えを変えられないとわかったナミの身代わりは早く、すっかり目がベリーに変化していた。

“スターシップ”で空へと上がる四人。

そして、島の中央にある屋敷を目指して飛ぶ“スターシップ”――だが、そんな“スターシップ”をバサバサと必死に追いかけてくる者がある。

 

「うわっ!!? なんか追いかけてくるわよ!」

「コ、ココ、コウモリ人間だ! スター逃げろ!」

「なんでだキャプテン? おれさまのファンかもしれないじゃないか。いや、きっとファンだ」

「こんな場所にお前のファンはいねェ~~~!!!」

 

絶叫するウソップの意見空しく、速度を緩めた“スターシップ”にコウモリ人間は着地した。

 

「ひぃー、ひぃー、ま、まさか空飛ぶ船を持っているとは思いませんでした……。私は……“ヒルドン”と申しまし。眼下に見えましお屋敷にて“ドクトル・ホグバック”様の執事をしておりまし」

「え……ホグバック!!?」

 

ヒルドンの口にしたホグバックという名前に反応するチョッパー。

 

「なんだ? そんなに有名な奴なのか?」

「有名……」

 

それまでの怯えた表情から一転、目を輝かせる姿に、何事かとウソップが尋ねた。

 

「医者でその名を知らない奴はいないよ! “天才外科医”なんだぞ! 奇跡のような手術で星の数ほどの人達の命を救ってきたんだ! 地位も名誉も医者として得られる全てを手に入れて……世界中の医師達からの尊敬を集めてた……!」

「星の数……世界中……尊敬……」

 

チョッパーのホグバックを称える言葉の数々に、スターが一々反応し、その目にメラメラと炎を灯しているが、興奮しているチョッパーは気づかずに話を続ける。

 

「だけど、ある日突然姿を消したんだ。失踪事件とも……誘拐事件とも言われて、医学界は一時大変な騒ぎになったけど、結局、なんの手掛かりもつかめないまま、今はもう“ホグバック”という名前は伝説になりかけてるよ」

「伝説……!」

「その! ドクトル・ホグバックだろ!」

「さいでし。ドクトルは今でもこの島で、人知を超えた研究をなさっておいででし」

「サイン頼んでもいいのかなー!!!」

「サイン!!!」

 

スターは懐からマジックを取り出すと、チョッパーの顔面一杯にキュキュッとサインをした。

 

「わっ、な、何するんだよ、スター!」

「ドクトル・ホグバックとやらは、今、この瞬間からおれさまのライバルになった! 許さんぞホグバック!」

「いや、ホグバックはべつに悪い事とかしてねェだろ」

「そうだぞ! ホグバックは偉大な医者なんだ!」

「ああ、そうかもしれないな……。だが、人気はおれさまの方が上であるべきだ! この島に住む不思議生物達の人気は全部おれさまが掻っ攫っていってやるぜ!」

 

「「「不思議生物?」」」

 

スターの言葉にナミ、ウソップ、チョッパーの三人は首を捻る。

ヒルドンの事だろうかとそちらを見るが、スターは眼下を指し示した。

三人が目を凝らすと、ゴーストやら動く木やら、ゾンビやらがちらちらと目に入ってくる。

 

「「「…………」」」

 

「…………」

 

無言のままに三人がぎぎぎ……とヒルドンに視線をやると、ヒルドンは同じく無言で飛び去って行った。

 

「ちょっ……せめて、なんか言っていってくれェ~~~!!!」

「なんかいたァ~~~っ!!! ものっすごいなんかいた~~~!!!」

「ギャアアアアア!!!」

 

泣き騒ぐ三人の様子を一人平静な顔で見るスター。

 

「……よし。じゃあ、行くか」

 

「「「なんでそうなるっ!!!」」」

 

“スターシップ”をぴるるるーっと下降させようとするスターの行動を三人は結束して止めにかかった。

 

「ホグバックとどちらがよりスターかハッキリさせないとだろ。それにそんな奴の屋敷ならきっとお宝もあるぞ」

「お宝……」

「ホグバック……」

 

しかしその結束は、ウソップ一人を残してあっという間に崩されてしまう。

 

「うおいっ!!! 買収されるな同志達よ! こんな時こそ我々の特殊能力“何かがヤベーセンサー”に問いかけろ!!!」

 

そんなウソップの言葉も――。

 

「おれさまがいるから大丈夫だ」

「そうね……スターがいるなら……」

「そうだな……スターがいるなら大丈夫だよな……!」

 

スターのスター性の前に敗北。

 

「な、なんて事だ……我々の危機を何度も救ってきた“何かがヤベーセンサー”が、スターのスター性を前に敗北するとは……! 仲間ながら恐るべしスター……!!!」

 

そうして四人は、その屋敷の中へと足を踏み入れる事になる。

だが彼らはまだ知らない。

その屋敷こそがこの島のゾンビやらの不思議生物を生み出している場所であり、その背後には王下七武海の“影”があるという事を……。

 

 

~~中略~~

 

 

「フォスフォスフォスフォス! よく来たな! 我が屋敷へ! それでここへ何をしに来た!」

 

屋敷の中へと入った四人は皿嫌いの使用人“シンドリー”の案内の下、ドクトル・ホグバックに会った。

ホグバックは玉のような胴体に細長い足、尖がった鼻や耳と、奇形じみた体型の男だったが、そんな事でチョッパーの憧れは止まらない。

ホグバックも一応は四人を歓迎してくれているような素振りを見せ、ナミやウソップがこの島に存在するゾンビなどの不思議生物について尋ねると、こう答えた。

 

「質問の答えならこうだ。おれは()()()が何かわからねェからここに住んでる」

「じゃあ、ドクトルは今ここでゾンビの研究をしているのか!!?」

「いかにも!!! 確かにゾンビと聞けば人は恐怖する。しかし“死者の蘇生”と言い換えるならば!!! そりゃあ全人類にとって永遠の“夢”じゃねェか!!!」

「……」

「誰しも身近に生き返って欲しい人間の一人や二人いるはずだ……! ――しかし、人の生死を操ろうなど、神をも恐れぬ邪道の医学……! だからおれはこっそりと世間から姿を消し、この不思議な島で研究を続けている」

「そ! そういう事だったのか! でもその研究は成功すれば、喜ぶ人がいっぱいいると思うぞ! おれは応援してるぞ、ドクトル・ホグバック」

「柔軟だな。ありがとう。ドクトル・チョッパー」

 

憧れの人物にドクトルなどと言われて喜ぶチョッパーをよそに、ホグバックと会うまではライバルだなんだと騒いでいたスターは、いざ対面しても特に騒ぐ事もなく大人しくしている。

 

「……?」

 

その様子にウソップは若干訝しむ様子を見せたが、静かにしているならいいかと放置した。

そして話は進み、ホグバックは「その仲間が来るまでこの屋敷で待つといい……どうせなら泊まっていけ」と提案し、四人もまたその提案を受けた。

 

 

――シンドリーが準備したという風呂にナミが入っている間、男三人はその護衛と、風呂場の前で待機していた。

 

「人間の女の裸には興味ないけど……ドクトル・ホグバックの研究所は覗いてみてェな~」

「そういや、スター。お前、ホグバックと会う前はいろいろ騒がしかったのに、会ってもべつに絡んだりしなかったな」

「ん? ああ……なんかあいつからはいまいちスター性が感じられなくてな。隠居してるせいかもしれないが、わざわざおれさまが競う必要がなさそうだったんだ」

「ふーん、そんなもんか……まァ、そもそもお前とはジャンルが違うしな」

 

ウソップがスターの言葉に軽く頷くと、風呂場の中でその会話を聞いていたらしいナミの声が響いてくる。

 

「スターの“勘”は正しいかもね」

「なんの話だ?」

「あんた達、屋敷の中をちゃんと見渡した? 廊下も部屋も……この屋敷はすでにゾンビだらけよ」

 

「「ヒィ~~~~~~!!!」」

 

「ど……ど、どこにいたんだよっ!!!」

 

わかり易く怯え出すウソップとチョッパーに、ナミは自分の考えを纏めるようにしながら言葉を紡ぐ。

 

「そうなると一番怪しいのはホグバック本人……彼はウソをついている。あの男とゾンビ達に繋がりがなかったら、この屋敷や島で暮らしていけるわけがない。――とにかく、今は気づかないフリをして、夜になったらここから逃げましょう」

 

そう締めくくったナミは、それからすぐに、何か困惑したような声を上げ、沈黙。

しかし、わずかに争うような音も聞こえ――異常を感じた三人は風呂場のドアを開けて中に踏み込む。

 

「ありがとうございます!!!」

「お礼言っちゃったよ!」

 

全裸で壁に張りついたようなナミの姿に、ウソップがきっちりと頭を下げ、チョッパーがツッコむ中、スターはそれに気づき、“スターオーラ”を部分展開した金色に輝く拳でナミの前の空間をおもいっきり殴る。

 

「“スターパンチ”!!!」

「ほぐあっ!!?」

「えっ!!? なんだ今の声!!! 何かいるのか!!?」

「“スターパンチ”、“スターパンチ”、“スターチョップ”、“スターパンチ”、“スターキック”……」

「ちょっ……まっ……」

「トドメだ! “スターダストビーム”!!!」

「ほげェ~~~っ!!?」

 

最後にスターが撃ち出した星が、その誰かを風呂場の壁ごと吹き飛ばした。

 

「勝った」

「いや、何に!!? スター、お前いったい何と戦ってたんだよ!!?」

「それは知らん」

「知らないのに倒しちゃったよ!!?」

 

ウソップがツッコんでいる間にナミが身体にタオルを巻き、おそらく――と事情を説明する。

 

「“透明人間”よ……もしかしたら何かの能力者だったのかも……」

「と、透明人間!!? じゃあ、おれらの行動はずっと監視されてたって事か!!?」

「かもしれないわね……スター、あんたどうして、透明人間が()()()たの?」

「はーっはっはっはっはっはっ! たとえ透明になっても、おれさまの“スターアイ”は誤魔化せない! 空気の流れすらもおれさまは見極められるのだ!」

 

空気の流れは若干誇張しているが、スターは床の水滴の不自然な弾け具合や、湯気の流れなどを背景から読み取って、後はだいたい“勘”でその透明人間を凹り倒したのであった。

 

「しかし、透明になるなんておれさまには考えられないな。自分から姿を隠すなんてバカな真似をする」

「確かにお前とは対極に位置する存在かもな」

「スターは目立ちたがり屋だからなー」

「……ハァ……まァ、いいわ。とにかくあんた達。一人100万ベリーね」

 

「「「うおいっ!!!」」」

 

――状況に気づき始めた四人……ホグバックやシンドリーは姿を隠し、絵の中や敷物から“びっくりゾンビ”が湧き出してくる。

 

一方で、サニー号の五人も行動を開始していた。

スター頼りの部分が大きい先行組に比べ、戦闘力極大の五人。

現れたケルベロスもどきを従えて、襲いくるゾンビもブッ飛ばした。

そして彼らはゾンビ似で“影”のない大ケガしたお年寄りからスリラーバークの情報を得る。

スリラーバークは村一つを乗せた世界一巨大な海賊船であり、それを統べるのは“影”を奪った男……王下七武海の一人“ゲッコー・モリア”。

元懸賞金3億2000万ベリー。

現在のルフィのそれすらも上回る実力者。

ブルックの“影”を奪い返してやろうと思っているルフィが敵の存在を認識した頃、その敵もまた、約4日ぶりの眠りから目覚め、本格的に動き始めた。

時刻は午前0時……モリアが従えるゾンビ達の“夜討ち”が始まる。




原作アラバスタで10万ベリーだったナミの裸は値上げしました。
ちなみにチョッパーは免除され、ナミを助けたスターは半額になりましたが……。
三人の中では一番見てたウソップは倍額の借金を背負いました。
仕方ない事ですね。
はい……どうでもいい後書き話でした。
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