輝きのスター!   作:第7サーバー

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第3話・賞金首

麦わらの一味の“航海士”であるはずのナミがゴーイングメリー号と宝を持って逃げた。

それがクリークとミホークの襲来と同時進行で起きていた事件だった。

ルフィだけがクリークとの決着をつけるためにバラティエに残り、残るメンバーはナミを追って“ココヤシ村”へとやって来ていた。

ココヤシ村はナミの故郷であると同時に、“魚人海賊団・アーロン一味”によって支配され“アーロンパーク”とその名前を変えていた。

 

「――で。結局おれさま達は何をすればいいんだ?」

「“アーロン”とか言う魚人を倒して、あの女を連れ戻せばいいんじゃねえか?」

「そうか」

「そうかじゃねェよ、スター! 魚人だぞ! 魚人は人間の何倍も身体能力があるって話だ。それが海賊団を作るくらいにいるんだ。戦うなんて冗談じゃねェ!」

「おれさま、戦いは不得手だが、身体能力には自信がある。スターは身体が資本だからな! 魚人だろうが巨人だろうが負ける気はないぞ!」

「そ、そういう問題じゃねェって! ゾロだって大怪我してんだしよ」

「もう治った」

「ウソつけえっ!」

 

その傷の酷さを知っているウソップは叫ぶが、ゾロは素知らぬ顔でスターへと話を振る。

 

「……それよりも、スター。聞きたい事がある」

「ん、なんだ?」

「あの鷹の目が言ってた“覇気”とか言う技の事だが――」

「“スターオーラ”だ」

「あ、ああ……その“スターオーラ”ってのは、お前の能力に依存する技じゃねえのか? 鷹の目は他にも使い手がいるような口振りだった」

「ふむ。おれさまが“スターオーラ”を使えるようになったのはスター人間になってからだが、

“スターオーラ”は内から滲み出るスター性で自分をより輝かせるための技だからな。スター人間じゃなくてもスター性があれば多少は使えるかも知れない」

 

スターのスター的には懇切丁寧な説明に、ゾロは眉を顰めてウソップを見た。

 

「……ウソップ。翻訳してくれ」

「おれかよっ! ――まあ、なんだ……。“気合”とかを実際に力に変える技って事じゃねェか?」

「“闘気”……いや“剣気”か。そういうのは精神的なものかと思っていたが……あいつを超えるためにはそういうものも身につけなければならねェらしい」

 

結局――スター、ウソップ、ゾロの三人はアーロン一味に戦いを挑んだ。

ヨサクとジョニーはルフィ待ちだ。

意外にもと言うか――彼らは善戦していた。

ゾロは大怪我をしていると言うのに、多くの団員と幹部の一人を倒し、“スターシップ”による空からの攻撃は反則と言えるくらいに相手を一方的に攻撃できていた。

アーロン一味のアーロン、その人物が動くまでは――。

 

「ぎゃあ! あいつ水で攻撃して来るぞ! 銃弾なんかよりぜんぜんヤベェっ!!?」

「大丈夫だ、キャプテン。あの程度の攻撃避けてみせるぜ!」

 

アーロンはノコギリザメの魚人で、下等種族と考える人間をなんとも思っていない男だった。

実際にその筋力は一般人の比ではなく、軽く一軒家を持ち上げてブン投げる事ができるほどで、そのアーロンにしてみれば、わずか少量の水すらも散弾銃の威力を持たせる事ができた。

だが、“スターシップ”は何せ空を飛んでいるのだ。

前後左右、上空高くにも自由自在で簡単に逃げる事ができる。

 

「――“鮫・ON・DARTS(シャーク・オン・ダーツ)”!!!」

 

その状況に苛立ったアーロンは、アーロンパークの正面入り口から、内部にまでせり出している海の中に飛び込むと、魚人ゆえの水中加速を利用してロケットのように飛び出して攻撃を仕掛けてきた。

 

「ぎゃあ! 今度は本人が飛んできやがった!」

「ルフィの時と同じパターン阻止っ!」

 

アーロンの飛び出しはかなり鋭かったが、かつてルフィと出会った時に墜とされた経験から、スターは“スタービーム”を推進力にして、アーロンの攻撃を避ける。

 

「や、ヤバイぞ! スター! “スターオーラ”を使って、あの鷹の目の時みたいな戦いをしてくれ!」

「残念だが、キャプテン。“スターオーラ”はさすがのおれさまも消耗が激しすぎて、そうそう使えないんだ。少なくともしばらくは無理だ」

「な、何ーっ!!? そういう事はもっと早めに言えよっ! じゃあ、なんでおれ達こんな突撃を仕掛けてんだよっ! ゾロもそうだが、回復してからでよかったじゃねェかっ!」

「――その場のノリ?」

「イーヤーッ! 破滅の予感しかしねェ!!?」

 

しかし、危機一髪でクリークを倒して駆けつけたルフィとルフィが新たに仲間にしたサンジが参戦し、ナミやココヤシ村の住人も見守る中――見事にアーロンを撃破して勝鬨を上げた。

 

「ナミーーーッ!!! お前は、おれの仲間だ!!!」

「……うんっ!」

 

 

~~中略~~

 

 

それは今更の事だろうか。

ナミがゴーイングメリー号や宝を持って逃げた理由。

それは今から8年前の出来事……ナミと、その義理の姉“ノジコ”の育ての親である“ベルメール”が東の海(イーストブルー)に現れたアーロンに殺された事から始まる。

憎い仇ではあったが、普通の人間にはとても倒せる相手ではない魚人。

アーロン自身が魚人の中でもかなり強い存在だという事もある。

周囲の海軍の船もあっさりと落とされた。

倒す事はできない……村の全員が人質と言える状況に、その時にはすでに“航海士”として開花し始めていたナミは、その手描きの海図をアーロンに見初められた事から、幼いながらにアーロンと交渉し、一つの約束をした。

 

“1億ベリーで村を買う”という約束。

 

金の約束は守るというアーロンの言葉を信じ、ナミはそれから一人孤独な戦いを始める。

ノジコには事情を話していたし、実は村の者達も全てを知っていたのだが、それを知ったのはつい先程の事だし、ナミが一人で海賊相手に泥棒をしていたという事実は変わらない。

 

そして、歯を食いしばり血を流しながらも、1日1日と時間は流れ――8年……もう少しで1億ベリー貯まるという段階で、ナミはルフィと出会った。

自ら海賊と名乗ってはいるものの、海賊らしくない海賊。

その戦闘力から使えると判断して手を組んだのが始まりだったが、それからの日々はナミにとっても楽しいと言える時間だった。

しかし、アーロン一味がまた暴れ出しているという話をバラティエ周りで知り、楽しんでいる場合ではないと再確認した。

 

それがあらすじ……だが、アーロンは約束を守らなかった。

 

直接的に破ったわけではないが、ナミが8年の歳月をかけて集めたもう少しで1億になるその金を、繋がりのある海軍大佐に泥棒で得た金として奪わせた。

人間を下等種族と見るアーロンにとっては、8年の歳月がすぎようともナミはあくまで利用価値のある道具で、仲間でもなんでもなかったのだ。

 

ちなみに、麦わらの一味は誰もそれらの事実を知らなかったが、ただ仲間であるからと、その仲間が苦しんでいたからや、泣いて助けを求められたからというだけで、その凶悪なアーロン一味に戦いを挑んでいるのだが……それはやはり今更の事なのだろう。

 

「――“スターマイク”!!! “スターステージ”!!!」

 

「「おおっ!!!」」

 

『おれさまの歌を聴けぇえええええええええッッッ!!!』

 

「ピィーピィーッ!」

「いいぞ、スターっ!」

 

実際そんな彼らはこうしてただただ騒ぎ笑っているのだから。

彼らにとってはそれは“当たり前”の事なのだ。

解放の宴。

その中でこれぞ本領発揮とばかりに、スターは星形のマイクとステージを能力で創り出すと歌い始めた。

 

『ありったけの夢をかき集め――☆諸般の事情により以下略☆――ONE PIECE!!!』

 

スタースター騒いでいるだけはあると言うべきか、無駄に上手く力強いその歌声は、宴会を大いに盛り上げたのだった。

 

この8年の間にはなかった賑やかで楽しい夜が更けていく……。

 

 

~~中略~~

 

 

「「「「「「ああ~~~ッッッ!!!!!」」」」」」

 

ココヤシ村を出てしばらく、ナミが買った新聞に挟まれていた手配書。

それを見て、麦わらの一味は揃って声を上げた。

 

「おい、おれ3千万ベリーだってよ」

「お、おれさまのもあるじゃねえかっ。777万ベリー! 海軍もイキな事をしてくれるぜ! それに写真写りもバッチリだ! だが、額がちょっと安いな。おれさまのスター性を考えるに、もう一桁はアップしてもいいと思うんだが」

「スターが本気で戦ったのって鷹の目の時だけだからだろ。にしても、今回は能力者組だけかー。ホッとしたような残念なような……」

「くっ……次はもっと観客(ファン)の事も考えなければ」

「え、鷹の目って何……?」

「ああ、実は――」

 

こうして、ルフィとスターの二人は賞金首として手配される事になったのだった。

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