巨人島・リトルガーデンへと辿り着いた麦わらの一味。
そこは太古の神秘溢れる不思議島だった。
恐竜が存在し、巨人がいる。
東の海では考えられないデタラメな場所だったが、
もっとも……麦わらの一味の船長からすれば「ジョーシキ? 食べられないなら捨てていいぞ」というレベルの話なのだけど。
「「エルバフの戦士にとって決闘は誇り。理由など――とうに忘れた!!!」」
リトルガーデンでは二人の巨人が100年も前から決闘をし続けていた。
“ブロギー”と“ドリー”。
二人の巨人にとって、この島は小さな庭。
――故にリトルガーデン。
その島を訪れた探検家が敬意を表して名付けたその島に、けれど彼らとも麦わらの一味とも別の無粋な来客の姿。
“Mr.3”に“ミス・ゴールデンウィーク”、それからウイスキーピークで三つ巴の戦いに巻き込まれた不運な二人組“Mr.5”と“ミス・バレンタイン”。
B・Wのエージェントである彼らは、存分に暗躍したが、それが麦わらの一味の怒りを買い一蹴された。
巨人達の決闘は――終わらない。
~~中略~~
リトルガーデンでアラバスタへの“
そして見つけたのは一つの“冬島”。
気温-10℃、雪に覆われた
その島に医者は“魔女”と呼ばれる者が一人きり。
“魔女”は“ドラムロッキー”という標高五千mの“えんとつ山”の頂上にある城に住んでいるという。
「そこで、おれさまの出番というわけだな! 出でよ――“スターシップ”!!!」
「いや、お前こういう時はホントに便利な能力だな」
「はーっはっはっはっはっはっ! 全てはおれさまのスター性があっての事だぜキャプテン」
「スター、おれも行くぞ!」
「おれもだ。ナミさんをお前らだけに任せておけるか!」
「私も!」
「留守番は船を見てるゾロだけか……心配だな。おれは残るぜ」
「「「「どうぞどうぞ」」」」
「そこは誘ってくれよっ! 冗談だよ! べつにゾロの心配なんてする必要ねェだろ! どうせ今頃、寒中水泳でもしてるに決まってる!」
「この気候でさすがにそれはないんじゃないかしら……?」
ビビはまだわかっていなかった。
そのとおりゾロは寒中水泳をしていたが、しかしそれはどうでもよく――船の番をしているゾロを除いた彼らは、“スターシップ”に乗って、一気にドラムロッキーの頂上の城へと辿り着いた。
「ヒーッヒッヒッヒッヒッヒ! 星の船とは珍しい。病人なら治してやるよ。ただし、お代は少々高くつくがね」
頂上の城で出会ったのは“魔女”こと“Dr.くれは”――愛称“ドクトリーヌ”で139歳のギリギリ人間と、“ヒトヒトの実”を食べた青鼻のトナカイ。
医者としての知識も、まだ修行中の身だが充分にあり、普段はぬいぐるみのような丸くて愛らしい姿だが、この島的に雪男のような人型や、元のトナカイの姿にも変身できる“バケモノ”
――“トニートニー・チョッパー”。
そんなチョッパーの存在がルフィの興味を惹かないわけがなかった。
「お、おい、お前!」
「なんだ?」
「あいつらおれに仲間になれとか言って追いかけて来るんだ。お、お前ら、いったいなんなんだ? おれが怖くねえのか? おれは……バケモノだぞ!」
追いかけてくるルフィ達とは違い、“おっかけ”はされたくても、自ら“おっかけ”になったりはしない男、スターの姿を見つけたチョッパーはその疑問をぶつけた。
しかし、スターはある意味ではルフィ以上に話が通じない男である事をチョッパーは知らなかった。
「バケモノ? バケモノかどうかは関係ない」
「え?」
「なぜならおれさまはスターだから! 重要なのはおれさまのファンかそうじゃないかだ!」
「スター? お前、海賊じゃないのか?」
「海賊だぞ。だからおれさまは“海賊スター”だ。はーっはっはっはっはっはっ!」
実は腹式呼吸の練習も兼ねている高笑いを上げるスターの姿にチョッパーは困惑する。
「……よくわからない。海賊だとおれが怖くないのか?」
「だから重要なのはおれさまのファンかそうじゃないかだ。お前はおれさまのファンか? ファンならファンサービスをしなければ!」
「ち、違うと思う……おれ、お前の事よく知らねェ……」
「何ィ!!? おれさまのファンじゃないだと!」
「ご、ゴメン!」
スターに睨まれてチョッパーは反射的に謝った。
けれど、スターはチョッパーが自分のファンじゃないのならば、ここでファンにすればファンが増えるぞと、すぐに笑顔になって準備を始めた。
「だったら、ステージの準備をしなければ! ――“スターマイク”! “スターステージ”!」
星形のマイクとステージを出して歌い始めるスター。
チョッパーは意味がわからないまま、そのステージを見つめて思う。
「……海賊ってヘンなヤツばっかりだ」
そんな交流なのかどうなのか不思議な時間が流れる中――かつてこの国に“ドラム王国”という名前があった頃の国王が帰ってきた。
その男の名は“ワポル”。
それは当時、たった五人の海賊“黒ひげ”に国が襲われた時、その強さを知って真っ先に逃げ出した王であり、それ以前にも、いろいろと最低な男だった。
そういう男であるからして、麦わらの一味と気が合うわけもなく、戦いに発展。
はっきり言ってしまえばその戦い――数も多く、実力も上がって来ていた麦わらの一味が勝利するのだが、スターがどうしても言いたい事があるというので、戦闘前に一言だけ。
「“まーっはっはっはっはっは”とか“おれ様”ってお前っ! 微妙におれさまといろいろ被ってるんだよ! せめて笑い方だけでも“まははははは”で止めておけ!」
「知るかァ!!! カバめ! おれ様の方がお前よりは年上だァ! つまりパクリは貴様の方だ! このパクリ野郎が!」
「ぱ、パクリ……? 言うに事欠いてこのおれさまをパクリ扱いだと……? てめェ――銀河の果てまでブッ飛ばしてやるッッッ!!!」
……そしてワポルは星になった。
ルフィの攻撃にスターが追い打ちをかけるという容赦のなさを発揮して。
ドラム王国の国王ワポルは……星になったのだ。
だが、結果としてそれによりこの国は救われたのだと言える。
どこまで飛んだのかもよくわからないワポルがこの国に戻ってくる事は、もうないと言ってもいいだろう。
国は変革の時を迎え、時間はただ変わらずに流れる。
夜になって――空には満月が浮かんだ。
「おれは……お前達に感謝してるんだ! でも……だっておれはトナカイだ! 青っ鼻だし、人間の仲間でもねェんだぞ! バケモノだし……おれなんか、お前らの仲間にはなれねえよ!」
「……」
「だから、お礼を言いに来たんだ……誘ってくれて、ありがとう。おれはここに残るけど……いつかまた、さ。気が向いたらここへ――」
「うるせえェ!!! いこう!!!」
「……お゛お゛!!!」
麦わらの一味に“青鼻のトナカイ”が加わり、シンシンと降る雪は、かつていた一人のバカな医者が開発した“赤い塵”によって、“
その中に籠められた想いを、青鼻のトナカイ以外の一味は知らなかったけれど、その美しさには心打たれた。
「はーっはっはっはっはっはっ! 見事だ! まさか、このおれさまが魅せられるなんて最高にスターな光景だぜ!!!」
船は進む。
桜の想いを次の国へ届けるために。
この大海賊時代、病んだ国は無数に存在しているのだから。
もちろん、麦わらの一味の目的地、アラバスタ王国もその一つ。