輝きのスター!   作:第7サーバー

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第6話・兄弟

チョッパーを“船医”として仲間に加え、まだ名前のない国を出てしばらく――麦わらの一味はオカマを釣り上げた。

オカマは“マネマネの実”の能力者で、右手で触れた相手の顔と、体格、声までをも写し取る。

加えてそれまで触れた者達のメモリー機能つき。

左手で触れれば元通りのそんな能力を持つオカマを――スターは凄腕の“モノマネ芸人”かとわずかに対抗心を燃やした。

 

「だが、まだ甘い! ニセモノのお前に、この輝きが再現できるか!!? “スターオーラ”!!!」

 

カッ――とスターの身体が金色の輝きに包まれる。

そのホンモノの輝きに、オカマは素直に自らの敗北を認めた。

 

「フッ……まけたわ。ホンモノのスターの輝き、確かに見せてもらった……! 道を極めた者の前では、あちしの能力も、ホントにかくし芸でしかなかったわけね」

「オカマ……」

「けれどあちしは落ち込まない。なぜならあちしが極める道は“モノマネ道”ではなく“おかま(ウェイ)”だから……!」

「そうか……お前、“モノマネ芸人”じゃなかったのか」

「そのとぉーりよーう! ジョーダンじゃなーいわよーう!」

 

「「「ジョーダンじゃなーいわーよーう!」」」

 

「やってろ……というか、スター! あんたその技は乱発できないんでしょ! ムダに輝くそのクセやめなさい!」

「それはできない! なぜなら俺はスターだから!」

「ピィー! カッコいいぞスター!」

「だろう? それもまたスターだから!」

 

意気投合した時間の果て――。

 

「――でも、これだけは忘れないで。友情ってヤツぁ……つき合った時間とは関係ナッスィング!!!」

 

去りゆくオカマの後姿。

しかしその直後に、迎えに来た部下達のオカマを呼ぶ声に、彼らはその事実に気づいた。

 

「「「“Mr.2”!!?」」」

 

「あいつが……Mr.2、“ボンクレー”!!!」

「ビビ! お前、顔知らなかったのか!!?」

「ええ……私、Mr.2と“Mr.1”のペアには会った事がなかったの。能力も知らないし! 噂には聞いてたのに……Mr.2は……大柄のオカマで、オカマ口調、白鳥のコートを愛用してて、背中には“おかま(ウェイ)”と」

 

「「「気づけよ」」」

 

「……さっき、あいつが見せた過去のメモリーの中に……父の顔があったわ……! あいつ、いったい父の顔を使って何を……」

「てめェが例えば、王になりすませるとしたら、相当よからぬ事もできるよな……」

「そりゃ厄介な奴を取り逃がしちまったな。……いや、今なら“スターシップ”で追いかけられるんじゃねェか?」

 

ウソップの言葉にスターへと全員の視線が向く。

普段なら注目されて喜ぶべきところで、けれどスターは気まずそうに視線を逸らした。

 

「……スマン。“スターオーラ”で消耗して、しばらく“スターシップ”は出せねェんだ」

「だから言ったのよ!!!」

「ホント、スマーンッ! お詫びに一曲――ハッ! “スターマイク”と“スターステージ”も出せねェ……!」

 

ズガーンと衝撃を受けてよろめくスターを無視して、追いかけられない事は残念だけどと、彼らはもしもの時に――仲間に化けられた時に備えて、一つの“対策”を用意したのだった。

 

 

~~中略~~

 

 

アラバスタの港町“ナノハナ”。

麦わらの一味はついに目的地であるアラバスタへと上陸する事ができた。

これまでの航海の間に起きた“つまみ食い”によって食糧が――本当に最後の非常食で、一個食べれば軽く100万ベリーはボラれるナミのミカン畑のミカンを除いて――全滅していた事もあって、ルフィは一人メシ屋へと走っていく。

船長自ら率先していなくなる姿に若干呆れながらも、いつもの事と残りの者達は変装用の服を求めた。

しかしここでも問題児が一人。

 

「イヤだ。この服はおれさまのポリスィーだ。スター専用のスター服なんだ! おれさまは着替えたりしないぞ!」

「しかしよ、スター。この国の王女であるビビを除けば、手配書が出回ってるルフィとお前が一番正体がバレやすいんだぜ?」

「イーヤーだ! 正体がバレて騒がれるのはスターの宿命だ! だからむしろ望むところ! おれさまは絶対に着替えない!」

「……ダメだこりゃ。どうするよ?」

「べつにいいんじゃない? どうせこれから向かうのは砂漠でしょ。そもそも“スターシップ”に乗ってれば、正体バレとか気にする事もないんだから」

「そうね……」

 

彼らが向かう先は砂の国であるアラバスタの――オアシスに存在する町“ユバ”。

そこにはアラバスタ王国に対する“反乱軍”のリーダーがいる。

まんまとB・Wの謀略に乗せられてしまった彼らを説得するための行程だ。

 

「――待て! 隠れろ!」

「え、何?」

「海軍だ。なんでこの町に……!!? しかもえらい騒ぎようだぜ? 海賊でも現れたか」

「おれさまより目立ってる奴がいるだと……!」

「いいからお前は大人しくしてろ! それでいったい――」

 

「よう! ゾロ!」

 

「「「お前かーーーっ!!!」」」

 

海軍に追われていたのはルフィだった。

追う海軍の中にはローグタウンで会った海軍大佐スモーカーの姿がある。

 

「逃がすかっ!!! “ホワイトブロー”!!!」

 

煙人間であるために殴れず逃げるルフィを、スモーカーの煙化した右腕が捉えようとしたその時、二人の間を炎の壁が遮った。

 

「え!!?」

「てめェか……」

「やめときな。お前は“煙”だろうが、おれは“火”だ。おれとお前の能力じゃ勝負はつかねェよ」

 

一味と合流したルフィはその乱入者の男の姿に驚く。

 

「エース……!!?」

「変わらねェな。ルフィ」

 

上半身裸で、背中には特徴的なひげの生えたドクロの刺青。

オレンジのハットを直しつつ、そばかすのある顔で不敵に笑うその男。

“ポートガス・D・エース”――ルフィの兄だ。

 

 

~~中略~~

 

 

「兄ちゃん!!? さっきの奴はお前の兄貴なのか!!?」

「ああ、おれの兄ちゃんだ」

「まぁ……べつに兄貴がいる事に驚きゃしねェがよ。なんでこの偉大なる航路(グランドライン)にいるんだ?」

「海賊なんだ。“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を狙ってる」

 

エースは3歳年上だから3年早く島を出たんだと、ルフィは懐かしそうに言う。

その当時は悪魔の実を食べていなかったという話だが、今では“メラメラの実”の――炎の能力者となってルフィ達を海軍から逃がしてくれた。

エースは強くて、一度も勝った事がないと、敗北の記憶をどこか誇らしげに言うルフィは、それでも「今やったらおれが勝つね」と笑った。

 

「――お前が、誰に勝てるって?」

 

ちょうどそのタイミングで船上に逃げ込んでいた麦わらの一味に、エースが追いついた。

 

「エ~~~ス~~~っ!!!」

 

「よう。――あー、こいつァどうも、みなさん。ウチの弟がいつもお世話に」

「や、まったく」

 

エースはぺこりと頭を下げ、軽い前振りから、ルフィに誘いの言葉をかける。

 

「ルフィお前……ウチの“白ひげ海賊団”に来ねェか? もちろん、仲間も一緒に」

「いやだ」

「プハハハ……だろうな。言ってみただけだ」

 

ルフィはその誘いを即答で断るが、エースはわかっていたと笑う。

 

「“白ひげ”……“白ひげ”ってやっぱ、その背中の刺青は本物なのか?」

「ああ。おれの誇りだ……。“白ひげ”はおれの知る中で最高の海賊さ。おれは、あの男を“海賊王”にならせてやりてェ。ルフィ……お前じゃなくてな……!」

「いいさ。だったら、戦えばいいんだ」

 

エースはそんなルフィの言葉に未来を想った。

近い将来、何事もなければ、きっと麦わら海賊団と白ひげ海賊団は正面から、正々堂々とぶつかり合う事になるだろうと。

今はまだまだ話にならないが、その粒は揃っているように見えた。

弟を含めて、弟が見つけ出した原石達は、偉大なる航路(グランドライン)の中で磨かれ“白ひげ”をも脅かす輝きを放つ。

そしてそれは海賊王の座を賭けた最終決戦へと発展するのだ。

束の間の時から現在に帰還したエースは、ルフィへと何も書かれていない“紙きれ”を放る。

 

「ん?」

「そいつを持ってろ! ずっとだ。その“紙きれ”がおれとお前をまた引き合わせる」

「へー……」

「いらねェか?」

「いや……いる!」

 

エースはその答えに満足そうに笑う。

 

「できの悪い弟を持つと……兄貴は心配なんだ。おめェらもコイツには手ェ焼くだろうが、よろしく頼むよ……」

 

そう言ってエースは、自分の乗ってきたボートに飛び乗った。

 

「ええっ!!? もう行くのか!!?」

「ああ」

 

麦わらの一味にB・Wをどうにかするという目的があるように、エースにもエースの目的があった。

エースは仲間殺しを犯した部下を追っているという。

今は“黒ひげ”を名乗っているというその海賊、その海賊のために偉大なる航路(グランドライン)を逆走する中で、海に出たルフィの手配書を見たというわけだ。

 

「次に会う時は海賊の高みだ」

 

兄弟の再会は終わり、それぞれの物語が再開される。

けれど運命は再び二人を引き合わせるだろう。

そのための道具もこうして兄の手から弟へと手渡された。

その時二人は――……。

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