ひねくれ魔法少女と英雄学校   作:安達武
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平日は2日に1話の隔日投稿になりそう。
それでもなんとか日刊投稿したい、今日この頃。
そして作者の加筆修正の戦いはまだ続くようです。いつ修正終わるんだろう。


二回戦 vs塩崎

千雨は控え室に聞こえてきたミッドナイトからのアナウンスに従って、控え室を出て修復が済んだステージに向かう。

 

轟と緑谷が破壊したはずのステージは元通りになっている。それもこれもセメントスの個性のおかげだ。

反対側の出入口からステージに上ってくるのはイバラの髪をした女子、塩崎。

 

芦戸との対戦を見た限りでは、棘のあるイバラのツルを使った攻撃は遠距離も近距離も対応可能。さらには拘束、防御、索敵、出来ることは沢山あるため、普通に強い。

また、素の体力も女子としては中々のものだろう。入試の実技試験では4番目障害物競争5位の実力者。

油断したら速攻で場外に出されるだろう。

 

 

「大変お待たせしました二回戦、第2試合!女子同士の戦いだァ!

B組のイバラ姫!塩崎!

A組のデスメガネ!長谷川!」

 

『デスメガネ』

プレゼント・マイクは偶然思い付いた煽り文句なのだろうが―――千雨にとって、その呼び方は地雷中の地雷。

なにせそれは、たった1人で学園内の幾多の抗争やバカ騒ぎを鎮圧して学園最強と呼ばれ不良共に恐れられる麻帆良学園で最強の広域指導員、高畑につけられたアダ名だからだ。

他にも『笑う死神』という異名がある。

 

偶然とはいえそれを付けられるなど……一般人代表たる千雨には我慢ならないものだった。

 

「デスメガネって呼ぶな、このキバタン野郎!」

「ごっごめ……ってキ、キバタン野郎!!?」

 

キバタンとは。

オウム目オウム科に分類され、オーストラリアのオウムの中でも広く分布している大型のオウムの一種である。全体が白い羽で、冠羽が黄色い。

 

電子精霊がスタジアムの大画面をハッキングして簡単な説明文と共にキバタンの画像を載せる。

ついでにキバタンの画像を、プレゼント・マイクのかけているサングラスをかけたものに加工して、本人の写真と並べて大画面に表示させる。

要望を聞かずとも応えられる、これが出来る電子精霊千人長七部衆。

 

サングラスをかけたキバタンとプレゼント・マイクの比較画像には観客席にいた多くの人がめっちゃ似てると言いながら笑った。

 

「確かに似てるけど!サングラスかけたら余計似てるけど!

俺、一応教師でプロヒーローだからな長谷川ガール!?」

「生徒相手なら何でも言っていいということですか?最低ですねこのキバタン野郎!

文句は一度も酷いあだ名つけたことが無いなら言ってください!」

「長谷川、もっと言ってやれ。俺が許可する」

「オーマイフレンド!イレイザーまでとか酷くね!?」

「黙れキバタン野郎」

 

学生時代から酷いあだ名をいくつもつけられてきた相澤は、ここぞとばかりに千雨の味方となった。

ちなみにこの【キバタン野郎】は体育祭後にプレゼント・マイクの予測変換候補の一番上に出てくるようになり、匿名掲示板でアスキーアートが作られ、この日のSNSでのホットワードとなることをまだ誰も知らない。

 

「と、とりあえず!スタートォ!!!」

 

話題から逃げるようにして言われたスタートの合図と共に、千雨の身体を塩崎から伸びたツルが多重拘束する。

千雨はポケットに手をいれていたため、両腕ごとぐるぐるに巻き付かれている。

 

「塩崎が速攻で長谷川の身体を拘束した!!こりゃ勝負決まったか!?」

「このまま場外にーーー」

「中々速い攻撃だからびっくりしたけど」

 

塩崎の話を遮るように、千雨は話しながら全身に更に魔力を込める。すると内側から、ブチリと千切れる音がして少しだけ隙間が出来る。

その音でイケると確信した千雨は、空いた隙間で両腕をポケットからそっと抜いて力ずくでツルを引きちぎった。

 

「……思っていたより拘束力無いな。痛くないし」

「そんなっ!?」

「長谷川、難なく塩崎のツルを引きちぎったァー!!!」

 

身体強化をしているから千雨にツルの棘が刺さることはない。真っ向から塩崎のツルを破ってみせた千雨に、塩崎は慌てる。

A組は千雨の対応に感心していた。

 

「超パワーがあるとしても、腕を封じられていたのに引きちぎるとか・・・…マジで強すぎだろ」

「芦戸との対戦で見せた切り離しを警戒して電撃を使ってないのかな?」

「そうね……千雨ちゃんは轟ちゃんとの対戦を考えて力を温存してるのかもしれないわ」

「いっけー千雨ちゃーん!そのまま私の仇をとってー!!」

「長谷川ー!俺の分も勝てー!」

 

一回戦で塩崎に敗れた芦戸と千雨に敗れた上鳴の2人は小難しい戦略などはあまり分からないので、全力で応援していた。

 

「ならば、引きちぎられない最大量での捕縛!!」

 

大量のツルが千雨に向かった瞬間、千雨は瞬動術で一度横に跳んでツルを回避してから塩崎の背後に回る。ツルは千雨を捕らえられず、ステージのコンクリートを削った。

 

「悪いが、負ける訳にはいかねぇんだ」

「速いっ!?」

 

ツルでガードされる前に、先程の上鳴から頂いた電気の5%……感電して気絶する程度の電力を右手に纏って、塩崎の肩に触れて電気を流す。

電気ショックで倒れた塩崎にミッドナイトが駆け寄って、戦闘の続行が出来るかの確認をする。

 

「塩崎さん、ダウン!長谷川さん、三回戦進出!」

「長谷川、一回戦で見せなかった超スピードで塩崎の背後に回って電気ショック!

これまた無傷で三回戦に進出だァー!!」

 

ミッドナイトの判断とプレゼント・マイクの実況に観客席は盛り上がる。拍手をおくる観客席に千雨が御辞儀をすると、より拍手が強まった。

 

千雨は無傷のため、観客席へ瞬動術を使い一歩で登り、クラス席には行かないで、定位置と言わんばかりに観客席出入口近くの壁に寄りかかった。

周囲の視線を集めてしまったが、仕方がない。

スタジアム内の通路や控え室で第4試合に出る切島か爆豪にでも会えば時間を無駄にしてしまう。

次は飯田と常闇の試合だ、少しも見逃す訳にはいかない。

 

セメントスによって千雨が引きちぎったままだったツルが撤去されて軽くステージが修復されると、すぐに飯田と常闇が出てくる。

緑谷vs轟戦の後の大修復で時間を取られたからだろう。

 

「そんじゃ続けて第3試合!

何事も真っ直ぐ過ぎる、飯田!

無口な影使いの鳥人、常闇!

スタート!!」

 

開始と同時にレシプロバーストを使って速攻勝負に出た飯田。しかし飯田が常闇の背後を取るよりも早く、黒影が攻撃を仕掛ける。

 

「飯田の突進を黒影が弾いたーっ!!おいおいこのスピードにも対処するのかよ!!?」

 

プレゼント・マイクの実況が流れるが、おそらく今のは予測して対処したのだろう。

飯田の個性"エンジン"はスピード特化型の個性と言っても良い。飯田のようなスピード特化は相手の背後を狙うが、大抵速度が上がると曲がれない。

黒影を使って近付かれる前に、弾けばその速度も怖れるものではなくなる。

 

「飯田、お前のその速さは脅威だ。しかし、欠点がない訳ではない。

速度がある分、動きは直線的。さらにその超加速は止まれば一定時間個性が使えなくなるのだろう?」

「!」

 

レシプロバーストのデメリットについては騎馬戦で千雨が分析していた。だからこそ、走り出しを見極めて接近前に潰してしまえば、あとは時間切れで場外に放り出せる。

中距離で広範囲に対処出来る常闇の黒影は飯田に接近を許さず、飯田はレシプロバーストの反動でエンジンが使えなくなった。

 

「常闇、速攻勝負を仕掛けてきた飯田に接近を許さず!飯田が止まった所で場外に放り出したー!!」

 

空中に投げられてはエンジンも使えない。そのままステージ場外に着地した飯田は場外となってしまった。

 

「常闇がこれまた無傷で三回戦進出ー!!!

握手して互いに称え会う2人にクラップユアハンズ!!!」

 

飯田と常闇が握手するのを会場の観客たちが拍手で讃えた。勿論、千雨も拍手する。

握手を終えた2人はどちらも真面目な性格ということもあり、観客席に深々と御辞儀をしてからステージを降りて行った。

 

 

そして、次の第4試合でベスト4が決まる。

 

「第4試合!

執念と漢気で勝ち上った熱血漢!切島!

女相手でも爆破する暴君!爆豪!

スタート!」

 

爆豪に対して悪意ある紹介をするプレゼント・マイク。一回戦で麗日を応援していたからだろう。

爆豪から反論されないようにか、すぐにスタートの合図を告げた。

 

合図と共に切島に接近して脇腹を左手で爆破する爆豪。しかしその爆破で怯むことなく切島は硬化した右拳で殴りかかる。カウンターだ。

爆豪の爆破は体操服の上着の一部を吹き飛ばし焦がしているが、切島の硬化を破るほどではないらしい。

切島は大声で爆豪に効かないと言って、硬化したままラッシュ攻撃を仕掛ける。

 

「切島の猛攻になかなか手が出せない爆豪!」

 

爆豪は切島の連続ラッシュをずば抜けた反射神経でかわしていく。切島の拳はかすっただけで皮膚を容易に切り裂けるだけの硬さを持っている。当たり所が悪ければそのままラッシュに沈んでしまうだろう。

切島の猛攻を避けながら切島の動きを観察する。全身が硬くなるのが個性である以上、どこかで限界がくる。

爆豪は一瞬の隙を見逃さず、切島の左脇腹を爆破した。

その一撃は硬化状態でラッシュしていた切島の動きを止めた。

 

「ああー!!効いた!!?」

 

プレゼント・マイクの驚く声が響く。

爆破の痛みで動きが止まった切島に、爆豪は反撃として、大きな爆破をした後に、連続爆破を繰り出す。

おそらく、大きな爆破の一撃を受けた後に緩んだ切島の隙を狙ったのだろう。

爆豪の爆破ラッシュからの右の大振りでの爆破に切島は倒れた。

 

「切島くんダウン!爆豪くん三回戦進出!」

「爆豪、えげつない絨毯爆撃で三回戦進出!

これでベスト4が出揃った!!」

 

今年度の雄英体育祭1年ステージのベスト4が決まったことで、一度休憩が挟まれる。

その間にベスト4にまで進んだ4人の説明をプレゼント・マイクが始めた。

千雨はそれを聞きながら控え室へ向かう。

 

「ここまで勝ち進んだ4人!どいつもこいつも実力派!

ヒーロー家出身、炎と氷の使い手!轟焦凍!

マンタと電撃と超パワーの紅一点!長谷川千雨!

ほぼ無敵な漆黒のモンスター使い!常闇陰踏!

圧倒的な火力と爆発力の入試一位!爆豪勝己!」

 

ステージの大画面には、ベスト4メンバーの予選からのVTRカットを編集したものに、それぞれの写真と名前がデカデカと表示される。

 

 

 

さぁ……全力勝負だ、轟。

 

 

 





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