ひねくれ魔法少女と英雄学校   作:安達武

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千雨のことをもっと書きたい、千雨がメインで出てくる作品を読みたい。
そんな衝動にかられる千雨欠乏症が全人類の常時共通症状になる時は近いと星が告げている気がする。
気がするだけ。


救助を終えて

何事もないかのように普段通りな姿の相澤に対して目を丸くする生徒たち。相澤はいつも通りの声色で千雨に向かって言う。

 

「長谷川、もういいぞ」

「はい」

 

飯田に抱えられている怪我だらけで血まみれで意識を失っているはずの千雨が普通に目を開けて返事をしたことに、生徒たちは驚き叫び声をあげた。

 

飲み込めない突然の出来事の連続にクラスメイトたち全員が困惑するなか、千雨は飯田の腕の中から身をよじって抜け出し、相澤は保護者達にむかって「お疲れさまでした」と口にした。

 

「なかなか、真に迫っていましたよ」

「いや~お恥ずかしい!先生の演技指導の賜物ですわ!」

「緊張しましたわ」

「爆豪さんがキレた時はどうなることかと思いましたケロ」

「すみません~っ、つい……」

 

先ほどまで恐怖におののいていた筈の保護者達が和気あいあいと話しだし、急展開に置いて行かれている生徒たちに、相澤が声をかけた。

 

「わかりやすく言うと、ドッキリってヤツだ」

「え!?じゃ、じゃあこの犯人も……!?」

「えー……この人は劇団の人です。頼んできてもらいました」

「エッ…ア、ハイ。オドロカセテゴメンネ?」

 

首をかしげながら答えた犯人に、敵だと思って警戒していた上鳴たちが脱力する。

 

「待って、それじゃあまさか、長谷川も……!?」

「大怪我してるのに!?」

「そ、そうです!どう見ても演技や化粧とは思えない怪我で……」

「これ見た目だけなんだ」

 

千雨が赤い年齢詐称薬を飲んで幻術を解除する。煙とともに怪我が嘘のように消え去り、朝の教室で見た千雨の姿に戻った。

 

「えーーー!?」

「はぁーーー!?」

「長谷川の怪我も嘘だったの!?」

「相澤先生から、私がいたら1人で解決するからってことで人質役をすることを頼まれてな。怪我してた方が捕まっててもおかしくないだろ?

つーわけだ。飯田、抱えてもらってたのに悪かったな」

「……」

「……飯田?」

 

静かすぎる飯田の様子に千雨はおそるおそる声をかけた。

 

「…………長谷川くん!

君は、僕らがどれだけ心配していたかわかっているのか!!?」

「ひぇっ」

 

飯田は千雨が演技であり無事である事を心の底から安心すると同時に怒りを爆発させた。

兄であるインゲニウムが先月に下半身不随となり、ヒーロー殺しと戦って轟と緑谷そして飯田自身も後遺症が残る大怪我を負った。

周囲の人が怪我を負うことに対して人一倍敏感になっているのだ。それなのに大怪我したのは嘘でしたなど、怒って当然である。

その飯田の言葉に、八百万も賛同した。

 

「飯田さんのおっしゃる通りです!とっても心配しましたし、怖かったんですよ!?」

「騙してたことに関しては申し訳なかったが……そ、そんなに怖かったか?」

「怖かったかって、お前!あの長谷川があんなボコボコにされる位に強い敵だと思って、マジで絶望してたからな俺はっ!!」

「オイラも危うく漏らす所だったぞっ!?」

「あんな大怪我、マジでシャレにならないからっ!」

「演技だったとしても長谷川のは心臓に悪いやつだったぞ」

「うんうん」

「サプライズは良いものじゃないとね☆」

「……す、すみませんでした……」

 

クラスメイト全員から非難が殺到し、千雨は流石に怪我の表現をやりすぎたかと小さくなって謝った。

小さくなってる千雨に、常闇が声をかける。

 

「本当に、どこも怪我してないんだな?」

「してないよ」

「俺が言いたいことは飯田や皆が言った通りだ」

「……心配させてごめん」

「千雨さんはもっとご自分を大切にしてください!

それに相澤先生も、ドッキリとはいえ流石にやりすぎです!一歩間違えば怪我どころではすみません!」

 

八百万がそのまま相澤に抗議をするが、相澤はそんな八百万に対して淡々と答えた。

 

「万が一には備えてある。やりすぎってことはない。プロのヒーローは常に危険と隣り合わせだからだ。

ヌルい授業が何の身になる?」

「それは……そうですけど……」

 

相澤はじっと八百万を見据えて、ゆっくりと口を開く。

 

「怖かったか?家族と友達に何かあったらと。助けられなかったらと」

「――はい、とても」

「身近な家族や友人の大切さは、口で言ってもわからない。失くしそうになって初めて気付くことが出来るんだ。今回はそれを実感してほしかった。

……いいか。人を救けるには力、技術、知識、そして判断力が不可欠だ。しかし、判断力は感情に左右される。

お前たちが将来ヒーローになれたとして、自分の大切な家族が危険な目にあっていても変に取り乱さず、救けることが出来るか。

友人が倒れている状況でも、思考を停止させずに自分たちに出来ることを模索し続けられるか。

それを学ぶ授業だったんだよ、授業参観にかこつけた、な。

わかったか、八百万」

「……はい、わかりました」

 

うなずく八百万に、その場の全員が相澤がこの授業を行った意図をきちんと理解していた。相澤はそのまま話を続ける。

 

「冷静なだけじゃヒーローは務まらない。救けようとする誰かは、ただの命じゃない。大切な家族が待っている誰かだ。

だが、だからと言って自己犠牲が良い訳ではない。お前らが長谷川を心配したように、お前ら自身もまた周囲にとって大切な存在でもある。

そのことを肝に銘じておけ」

 

相澤の言葉をじっと聞いていた生徒たちは返事をしながら神妙にうなずいた。

 

「で、結果的には全員救けることが出来た訳だ。

今回は失敗した場合を考えた二重の作戦がうまくいった……とはいえ、もっと合理的に行動できただろう。犯人一人に対してわらわらし過ぎだし、無駄な時間も多かった。

他にも色々と言いたいことはあるが……合格点だ」

「っ」

 

相澤からの合格点という言葉に、頬をゆるませる生徒たち。しかし緩ませたままにはしないと言わんばかりに「今日の反省点をまとめて、明日提出な」と課題をきっちりと課す相澤に生徒たちからは不満の声が上がった。

そんな中で、飯田が手を挙げた。

 

「あの、感謝の手紙の朗読は……!

ドッキリをカモフラージュするための合理的虚偽だったのですか!?」

「改めて手紙を書くことで、ふだんより家族のことを考えただろ?」

「確かに……!」

 

飯田が相澤の言葉にあっさりと納得したと同時に、授業終了のチャイムが鳴った。

 

「それじゃ、今日はこのまま解散。保護者の皆様、ご協力ありがとうございました」

 

相澤の礼に保護者も礼を返す。生徒たちはそれぞれ保護者のもとに向かっていく。ドッキリで行われた演習とはいえ、改めて家族の無事を喜んでいた。

 

周囲に集まっていたクラスメイトがそれぞれの保護者のもとに向かう中、轟だけが千雨に声をかけた。

 

「長谷川、本当になんともないんだな?」

「おう。あー……その、なんだ。……心配かけさせたことは、本当に悪いと思ってる」

「……無事でよかった」

 

轟は心底安心した顔で千雨の無事に安堵の息をもらして微笑みながら千雨と話していた。その様子に驚愕する人が一人。

 

「焦凍が、千雨ちゃんと距離が近い上に……ぽやぽやしてる……!?」

 

轟の姉、冬美である。

今まで冬美にとって、顔の良さと父親の存在でトラブルを起こしても大事には発展しなかったものの、教師から連絡がくるくらいにはコミュニケーション能力に問題がある弟だった。

家庭訪問では父であり現役プロヒーローの炎司が出す威圧感で教師は何も言えずにいるため、冬美が代理で出た電話の時だけそういった連絡があったほどだ。

家族に対してもあまり積極的に関わろうとはしない。最近会いに行くようになったお母さんに対してもまだ会話がぎこちない。

そんな弟が同じクラスの女子を気に掛け、心配し、ちゃんとコミュニケーションを取っている。しかも微笑んでる。

 

もしかして。いやもしかしなくとも。

弟は、千雨ちゃんのことを―――。

 

そこまで考えた冬美は千雨と話す弟の所に向かっていた。

 

「焦凍、お疲れ様。

千雨ちゃん!これからも是非、うちの弟のことよろしくね!」

「え?あ、はい……?」

 

焦凍、お姉ちゃん応援してるからね!

冬美はそう思いながら、弟の成長と青春を微笑ましそうにしていた。

 

冬美が相澤に話しかけられたため千雨がその場を離れると、今度は爆豪とその母親が千雨のところにやって来た。

より正確には、爆豪の母親と爆豪が言葉遣いについて言い争いながら無理矢理連れられて来た、だが。

 

「勝己!あんた千雨ちゃんにさっきクソアホ毛なんて呼んで!しかも暴言いつも吐いてるみたいじゃないの!謝りな!」

「誰が謝るかクソババア!」

「クソババア言うなつってんでしょうが!」

 

スパンッと小気味良い音を立てて頭をはたく爆豪の母親。外見だけでなく、中身も本当によく似た親子である二人を前に、千雨は思わず「うわぁ」という声がこぼれた。

爆豪の母親は爆豪の頭を無理矢理押さえつけて頭を下げさせる。

 

「千雨ちゃんごめんなさいね、ウチの勝己が」

「頭押さえんなクソババア!」

「アンタが素直に謝んないからでしょうがっ!」

「いやあの、本当に気にしていないので……」

「優しいのねぇ千雨ちゃん」

「猫かぶり気持ち悪ぃんだよクソアホ毛…ってーなこのクソババア!」

「勝己ィっ!アンタ何で何度も何度も女の子になんてこと言うの!謝りなさいって言ったでしょうがっ!」

 

火に油を注いでいるというよりも、ニトロで大爆発である。

千雨はあまりの言い争いっぷりにドン引きしながらもその場をおさめようと苦笑いしながら爆豪の母親に声をかけた。

 

「あの、本当に気にしてないので、そこまで怒らなくて大丈夫です。

……爆豪、ちょっとは空気読めよ」

「るっせーわアホ毛」

「テメェ人がせっかく穏便に済まそうと……まぁいいか。その方がお前らしくて安心するし」

「……勝手に安心してろ」

 

爆豪の母親こと光己は息子と千雨のやり取りを見て、千雨の言う『気にしていない』というのはその場しのぎの言葉ではなく本心からなのだと分かった。

そして互いに気を使わないでいられるような信頼関係も築けているらしい。何でも出来るが故にプライドばかり高くなった息子が、暴言混じりとはいえ女の子と対等に話せている。

 

変わらないようでいてちゃんと成長しているのが垣間見えたことに、光己は嬉しさを感じつつも素直でない息子の様子に仕方がないといった様子で千雨に声をかけた。

 

「千雨ちゃん、今後もウチの勝己をよろしくね」

「あ、はい」

「……仕方ねェからよろしくしてやる」

「勝己ィ!!」

「ってェなクソババア!!」

 

爆豪が母親に叩かれたことに怒ったことで再び母子喧嘩が始まったため、千雨はその場を離れた。

保護者がいないため誰かと話すことなく一人でいると、今度は緑谷が母親と共にやって来た。

 

「長谷川さん!」

「……あー…お疲れ。救助の時に轟と作戦立てしてたの見てたぜ」

「え、あ、うん。

そ、それより!さっきの怪我に見せかける原理教えてほしいんだけど……」

「ありゃ機密事項だから教える気はない。

救出前の作戦、クラスメイトを三つか四つくらいの班に分けて動かす事を考えられたらもっとよかったと思うぞ。先生も言ってたけど、ひとかたまりになりすぎてたし」

「なるほど!それなら皆の"個性"の組み合わせ次第で何通りもの作戦が考えられそう……!」

「出久、長谷川さんと仲良いの?」

 

緑谷の母親、引子は息子が女の子と普通に仲良さげに話しているというのが意外だったため驚き混じりに訊ねた。

小学校でも中学校でも女の子と一緒にいるなどなかったからだ。

 

「あ、お母さん!その、えっと……」

「私も増強系の技を使うので、"個性"の使い方でアドバイスをたまに……なぁ?」

「えっあっ…そ、そう!そうなんだよ、お母さん!」

「そうだったの」

 

話を合わせろと笑顔で睨んだ千雨に、緑谷は赤べこのように首を縦に何度も振る。

事実、移動法のアドバイスをしているためまったくの嘘ではない。

 

「……そういえば、この間出久のスマホに映ってたアイドルみたいな子に似てるような……?」

「他人の空似です」

 

千雨は貼り付けたかのような笑顔ではっきりと言った。

 

「そ、そうなの?」

「はい」

「お、お母さんっ!?他の保護者の人たちがバスに集まってるみたいだよっ!?」

「あら本当!

それじゃあ長谷川さん、今後もウチの出久と仲良くして欲しいわ」

「勿論です」

 

ニコニコと普段見せない笑顔で緑谷の母親を見送る千雨。

その笑顔に恐怖を感じているのか、緑谷はおそるおそる声をかけた。

 

「…………」

「は、長谷川さん……?」

「緑谷……テメェは社会的に殺す……女装コラの刑だ……!!」

「ヒッ……は、はい……っ!」

 

緑谷は、笑顔から一転しておどろおどろしい殺意を宿し血涙を流さんばかりの千雨に死刑宣告をされた。

 

 

 

保護者と生徒たちは校舎側のバス乗り場行きのバスに乗って演習場を後にする。保護者はそのまま学校を後にして、生徒たちは教室に戻った。

そうしてそのまま演習についての反省会混じりの話になった。

 

「にしても……私が倒されたからってそんなに怖がる事か?

そんなに強くないだろ、私」

「長谷川、お前はもう少し自己評価を改めろ。お前はクラスの中でも強いトップ3に入る」

「体育祭三位が弱い訳ねぇだろ」

「体育祭は運と相性が良かっただけだ。

それに私の戦闘能力は昔より強くなったとはいえ、猫10匹くらいだ!」

 

キメ顔で告げた千雨の言葉を聞いた全員が、絶対に違うと思った。

 

「それ猫じゃなくてライオン10頭の間違いじゃね?」

「猫だとしても300匹くらいはあるぞ、長谷川」

 

千雨の自己評価ではあるが、魔法も気も使えなかった頃より五倍の戦闘能力になったと認識しているので、強くなっていないという認識ではない。

 

それにも関わらず千雨の自己評価がここまで低い理由は何故か。

 

それは、ネギやラカンやエヴァといった強すぎる人物が知り合いに多すぎるという事に加えて、仮契約カードと電子機器がなければ身体強化と瞬動術と無音拳しか使えない。さらに言えば、魔法発動体の腕輪と予備の指輪も無ければちょっと格闘技が出来る程度で無力だからという理由である。

 

が、周囲はそんな事を知らないため、千雨が体育祭や日頃の訓練で見せている能力全てをもって評価をしている。

よって評価に大きなズレが生じていた。

評価理由が弱点に直結しており、千雨が話さないこともズレの原因なのだが、そうでなくとも千雨は自身のことを過小評価しすぎである。

 

「前から時々思ってたけど……妙なところがズレてるよな、長谷川」

「えっ」

「あーわかる。物の認識とか、強さの評価、俺たちとなんか違うっつーか……ズレてる」

「えっ」

 

ズレてるという切島と瀬呂の会話に思わず千雨の心臓は嫌な音を立てた。

つい昨日も強面のヒーローに対して恐怖を覚えるかどうかでズレがあったと気付いたというのに、他にもあるなど千雨は露にも思っていなかった。

どこで千雨が別世界から来たとバレるか分からない以上、もっと周囲の評価に気を付けなければと考えると同時に、そんなにズレていたのかとショックを受けていた。

 

「私……そんなにズレてる……?」

「うん。ズレてる。特に強さについて」

「何があったかは知りませんが、千雨さんは過小評価が過ぎますわ」

「千雨ちゃんはもっと自己評価してええと思う」

「強さもだけど、たまに話が通じない時もあるし」

「あーうん。結構ズレてるよな」

「……ズレてる……そんな……そんなに、みんなで言うほど……?」

 

全員から自己評価を改めるようにと文句を言われて落ち込む千雨だった。

 

「思ってた以上にショック受けてる」

「……私は、ごくごく平凡で地味な学生なはず……」

「お前が平凡で地味とか絶対ねぇよ」

「長谷川が平凡で地味とか、周囲が"個性"的でも無理があるな」

「グハッ」

 

上鳴の言葉によって精神に強烈な一撃を入れられた千雨。

"個性"派集団1-Aの一員にふさわしい処か、それに勝るくらいなのかと暗に突き付けられたのはクリティカルヒットである。

 

「つーか、何で猫で強さ表現してんだよ?」

「何でってそりゃ……」

 

ラカンのおっさんがそう評したから。

そこまで考えて千雨は自身のその思考回路に違和感を抱いた。

 

「……あれ!?何で強さの考え方をおっさんのアホみてぇな強さ表を基準にしてんだ私!?」

「今気付いたのかよっ!」

「おいおい……」

 

千雨がラカンの強さ表を何故参考にしていたのか。

それは一般人とは途方もつかない能力と強さに対して、千雨は判断の基準を持っていなかったからだ。

戦闘経験の少ない千雨には自身より弱いか、同じくらい強い、強い、とても強い、あり得ないくらい強い、としか判断出来ないのである。

その曖昧過ぎる感覚的なものよりもラカンの強さ表は出てくる単語こそ突飛であるが、千雨自身を基準値1にされているため、とても分かりやすいのである。

加えてこの世界が現実世界と魔法世界を混ぜたかのような世界だという認識をしていたことも要因だろう。

 

「そんな、馬鹿な……無意識に毒されてたってのか?この私が、あのバグキャラ筋肉ダルマに!?嘘だろ!?」

「なんか知らないけど、スゴいショック受けてるね」

「気付きたくないことだったんだろうな」

 

頭を抱えながら、今までの出来事や世界について振り返りながら電子精霊たちにこの世界の一般と千雨を比較させる。

そうして過去に蓄積された出来事のズレという名のダメージを一気に食らい、撃沈した。

 

「……認めたくないが、色々と認識にズレがあるのは理解した。認めたくないが」

「理解したなら認めろよ」

「それとこれとは別なんだよ!現実だとしても、そう簡単には受け入れられねぇんだよ!」

「開き直ったなー」

「……とりあえず、私が強い……のは、不本意だが認める。そこそこ……まぁまぁ……ちょっと強いくらいに」

「めちゃくちゃ下げてんじゃねぇか」

「ゆっくり認識していかねぇと精神に悪いんだよ……!」

「難儀な性格だな……」

 

周囲が呆れた様子で千雨を見ている。

あの強さとこの性格でここまで過小評価が過ぎるというのは、逆に珍しいからだろう。

 

「……そういった所も長谷川らしい部分だと認めている、そこまで気にする必要はない」

「常闇マジイケメン」

「長谷川、心の声出てるぞ」

「千雨ちゃんが常闇ちゃんに懐く理由がよく分かったわ」

 

千雨の良いところも悪いところも全てひっくるめて受け入れている常闇だからこそ、千雨は高い好意を抱いていて優先するのかと納得したA組の面々だった。

 

 

 

その日の放課後。緑谷は千雨により女装コラが作らればらまかれる事が決まったが、常闇の取り成しにより女装コラと明記して一日だけという期間がつけられた。

 

ちなみに女装は雄英制服。千雨は「制服というありきたりなコスチュームだからこそリアルJKなコラを追及してみた」というコメントとともに、放課後にカフェで激甘フラペチーノ片手にオールマイト特集雑誌を読んでいる長い緑髪を二つ結びにした女子制服姿の緑谷という女装コラを作成。

居るか居ないかで言えば、かなり居る女子高校生である。上鳴が有り判定を出すくらいには居る。

常闇によって一日だけという期間があるので、画像保存及びスクリーンショット不可かつ24時間後に消えるように電子精霊の魔法を組み込みデジタルタトゥーにならないようにきっちりと配慮したからこそ、千雨は容赦なく拡散。

 

 

緑谷にとって一番大きなダメージを受けたのは、オールマイトに女装コラを見られたことだった。

 

 




千雨、ようやくズレを自覚する。(遅い)

小説版第一段はこれにて終幕、次回より期末編

……なのですが。

期末試験をどうしようか迷っておりまして。
その結果、何をとちくるったのか数パターンとそれぞれのルートから神野までのプロット作成をしてるので、次回はちょっと遅くなります。
自分でも何で複数のプロット執筆してるんだって感じですが、ボツの屍を越えていけスタイルです。早くて一週間、遅くても一か月以内に決めます。

あと、キャラブック2に会長の名前とか出てきたら、それに合わせて色々と修正及び加筆も。
……出てきたらなので、こっちは未定。

長谷川千雨メイン作品増えてくんねぇかな~(千雨欠乏症特有の鳴き声)

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