26巻のネタ過積載っぷりがヤバい。楽しすぎる。ケェーおじさんはよ出したい。
そして本誌読んでて職場体験に行くのミルコのとこでも良かったかなぁと思った。カッケェもん……あんなんズルいじゃん……。
一晩明けて、月曜日。
「…………とまあ、そんな事があって敵の動きを警戒し。例年使わせて頂いてる合宿先を急遽キャンセル。
行き先は当日まで明かさない運びとなった」
朝のホームルームで一番に日曜日に緑谷がショッピングモールにてヴィラン連合のリーダーである死柄木弔に遭遇した事を相澤が話し、その事を受けて学校側で決めた事を話しながら合宿先の案内に関するプリントを手で裂く相澤。それに対してクラス全員から驚きの声が上がった。
「もう親に言っちゃってるよ」
「故に、ですわね……。話が誰にどう伝わっているのか、学校が把握出来ませんもの」
「合宿自体をキャンセルしねぇの英断すぎんだろ!」
ワイワイと騒ぐクラスメイトの中で、爆豪がボソッと呟く。
「てめェ骨折してでも殺しとけよ」
「ちょっと爆豪、緑谷がどんな状況だったか聞いてなかった!?そもそも公共の場で個性は原則禁止だし」
「知るか。とりあえず骨が折れろ」
葉隠から正論を言われても態度を変えない爆豪。
期末試験でチームとしてオールマイトと戦ったとはいえ、爆豪の緑谷への感情は相変わらずのようだ。
それだけ爆豪は緑谷に対して根深いものがあるのだろう。詳しい事情を知らずともそれだけはクラス全員分かる。
「それから連絡として、今日のヒーロー基礎学では期末試験に関してそれぞれペアと担当教師ごとにVTRを見ながら反省会だ。
ホームルームは以上」
「っつー訳で!一限は俺の英語だァー!!エヴィバディ盛り上がれー!」
相澤の言葉を引き継ぐかのようにして教室の扉を開いて入ってきたプレゼント・マイク。相変わらずのテンションの高さであった。
「長谷川、一緒に昼飯食べないか?」
昼休みになって早々、千雨にそう言って昼食に誘う轟。
千雨に声をかけるのは今までと同じだが、職場体験以来、飯田と緑谷といることが増えた。
やはり同性で人に話せないが共に戦ったのが大きな要因だったのだろう。秘密の共有と共闘は絆を深めるなんてのはよくある話だ。
ここで誤算だったのは事件に千雨も関わったせいか、轟だけでなく緑谷と飯田も一緒になって誘ってくるようになり、そこに麗日や蛙吹なども相席するようになったことだろうか。まさかの轟への援軍である。どうしてなのか。
大人数で居るのはあまり好きじゃない千雨だが、この人数なら炎上しないという事に加えて、千雨としてはまだ近いのだが轟が以前よりは距離を詰めることがなくなってきた事、どう言おうと諦めないで誘ってくることに根負けした事で、よっぽどの事が無ければ断らなくなった。
が、今日は
「相澤先生から呼び出しかかってる」
演習試験の講評は心操が普通科という関係上、本日の5限に行われる講評を昼休みに行われると相澤からメールで連絡があったのだ。
というわけで、本日の昼食は購買で先に買っておいたミックスサンドイッチである。
そんな千雨に轟は眉間にシワを寄せた。
「またか」
「またって……そんなに何度も呼び出されてないだろ」
「毎月一回以上呼び出されてるのは多いと思うぞ」
「……呼び出しの頻度はともかく、そういう訳だから。じゃあな」
サッと身を翻してコンビニの袋片手に千雨は教室を出ていった。
残された轟に飯田、麗日、緑谷の仲良し三人組が声をかけて一緒に食堂へ向かう。
生徒の行き交う昼休みの廊下はとても賑やかだ。
「行っちゃったね、長谷川さん」
「ああ……でも相澤先生の呼び出しなら仕方がねぇだろ」
「にしても轟くんの言っていた通り、長谷川くんは呼び出されるのが多いな」
「そう言われてみると……てゆーか、千雨ちゃんが呼び出される時って毎回何かあるよね!」
放課後アイドル事件しかり、授業参観の人質ドッキリしかり。麗日が例を挙げたのに対して、確かにと緑谷、飯田、轟は三人そろって同意した。
「ックシュッ!」
「大丈夫か?」
「すみません、大丈夫です」
同時刻、仮眠室にて盛大にくしゃみをして鼻をすする千雨。
ソファーに座る心操と千雨、そして二人の真向かいに座る相澤の三人は職員室の隣にある仮眠室にてタブレットに表示されている先日行われた期末演習の映像を見ながら講評をしていた。
「まず最初に全体の動きに対する講評だが、囮を使って隠密行動するのは悪くなかった。囮を出す位置とタイミングもな」
「ありがとうございます」
「長谷川、試験で使ったものについて……説明出来るか?」
相澤は言葉にはしていないが、言いたくなければ言わなくて良いといわんばかりの態度だ。
「あーはい。天狗之隠蓑と身代わりの型紙と偸生の符です。
天狗之隠蓑は物を収納出来る布で、八百万との特訓で作って取っておいたマントとか閃光弾とか煙幕弾とかを入れておきました。
身代わりの型紙は名前を書き指示を出すことで囮に出来ます。偸生の符は唇で触れた相手に変装出来る道具です」
天狗之隠蓑にステルス機能があることや無生物だけでなく人も入れることは言わない。情報は伏せてこそである。身代わりの型紙は千雨以外が使ったらどうなるのかは試していないが、魔法も気も使った事も無ければ仮契約もしていなかった千雨が使えたのだ。使える可能性はある。まぁそんな正体を怪しまれかねない実験などする気はないのだが。
そんな千雨の隣で心操は膝の上で両拳を握って、悔しげに表情を歪ませて呟いた。
「……今回の演習は、ほぼ全て長谷川に頼りきりでした……悔しいです」
「その点に関しちゃ、この試験はお前の個性を活かせるような試験じゃなかったからな」
「洗脳しようにも、相澤先生はそもそも挑発出来そうにないし、出来ても消されるか普通に取っ捕まりますからね。
心操の個性はもっと乱戦というか……複数の相手がいる時に姿を隠して使うか、それか銀行強盗みたいに犯人が人質とって立てこもった時とか、何らかの交渉を行う時とか……あとは一対一でも挑発して相手が返事をするとか、そういう発動条件をクリア出来てこそ強い個性だろ」
千雨が心操の個性である洗脳が本領発揮する状況を列挙していく。それを聞いた相澤が千雨に話しかけた。
「……長谷川、他にあるか?」
「え、他にですか?んー……心読み系の個性とかと相性良いんじゃないんですかね?確実に動揺誘える問い掛け出来ますし。まぁ読心も洗脳も単独で強いんで、組み合わせたらえげつないってのは当然ですけど。
あとは幻術系とかも良いかと。見た目を誤魔化せば敵を混乱させられるので。
逆に相性悪い相手ってなると……無効化は当然として、テレパスとかは問い掛け無視されるよな。実体のある分身系とか、声を封じる奴とかも相性悪そう。
この他にあるとすれば、通信系のサポートアイテムとか細かい話に……」
「……」
「……」
「なんですかこの空気」
「いや、想像以上に答えられたんでな」
千雨の発想力は心操の助言になるなと思って聞いた相澤だったが、想像以上に答えられたため驚いていた。心操はまさかここまで自分の能力に関して千雨に考えられているとは思ってもおらず目を丸くしていた。
相澤は前から知ってはいたが、改めて千雨が指導者向きである事を再認識した。それと同時に、指導者としての才能を発揮するしない以前に千雨自身が偏屈かつ選り好みをする性格であるため、たとえ他の欠点のある生徒と引き合わせても、千雨本人が相手を気に入ったり手伝おうとしなければここまで助言はしないだろうなとも考えた。
現にクラスメイトへ助言するかしないかは割と気まぐれであるし、本人に聞かれない限りは助言しない時もある。
千雨が心操と気が合うのもあるだろうが、リスクを承知で手を貸そうとする上にここまで助言をする程度に気に入られたのは心操にとってかなりの幸運だろう。
「……読心と組んだら問い掛けが通りやすいのはわかったけど……単独で強いってのがあまりわかんねぇ」
「読心は攻撃力こそねぇが、敵のアジトも能力も目的も罠も弱点も何もかも丸裸にするから敵からすれば作戦もなにも無くなるんだよ。
それに相手の心を読んで攻撃を回避とか出来るし……対人戦闘において強力な能力の一つだ。私は敵にしたくねぇな」
千雨は隠し事が多いので相手にしたらとてもマズいのもあるが、純粋に能力としても強力なものだと認識している。
それもこれも
それを聞いた心操は考え込むような表情をした。
「……」
「どうした心操?」
「今まで……攻撃的な個性の方がヒーロー向きって聞いてきたから……そういう意見もあるんだなと思って」
「確かに、攻撃力は敵と戦う以上ヒーローに一番求められる。それに敵の逮捕はニュースになりやすい。とはいえ、敵との戦闘はヒーローの仕事の一部でしかないがな」
相澤が心操の疑問に答える。
ヒーロー活動中に最も目立つのは敵を捕まえた時だ。しかし、ヒーローの仕事とはそうした派手な戦闘だけではない。
むしろ戦わずに勝てるのはヒーローにとって一番良い手である。街中で戦闘するということは、いつ一般市民を巻き込むか分からないとも言えるからだ。
「心操、私だって本来の能力はネットや機械関係で攻撃力ねぇし、それを攻撃に使えるようにちょっと応用してるだけだぞ」
「応用であそこまで強くなるのは普通じゃないからな、長谷川」
「先生、私はほんの少し強いだけです」
「……相澤先生、もしかしなくとも長谷川って……」
「ああ、自己評価が限りなく低い」
ほんの少しは強い事を認めたが、まだ自身の強さを認めきらない千雨を相澤と心操は呆れた目で見た。
そのまま仮眠室にて昼食を食べた千雨は心操と廊下を歩きながら今後のイレイザーヘッド監修でのトレーニングについてや、ヒーロー科の専門授業のノートを貸そうかなどと雑談をして教室近くの階段でわかれた。
千雨が教室に戻ると、轟に話しかけられた。
「長谷川、さっき普通科の心操と階段近くで話してるの見たが……仲良いのか?」
「ん?ああ……気ィ合うし、一緒にいて居心地良いし、性格も嫌いじゃないな」
試験について千雨は話せないため、当然誤魔化す。勿論心操と気が合うのは事実ではある。
が、それを聞いた轟はほんの僅かだが眉間に皺を寄せる。
「…………」
「どうした?」
「……前から思ってたが、やっぱりまだ俺だけ避けてるだろ」
「急にどうした?」
突然の言葉に千雨は轟に問い返した。
以前ほど避けてないつもりではある。逃げられる時は逃げるが。
「長谷川、俺以外の奴とは男子でも二人きりになったり仲良くしてるだろ」
「そんなことは……」
「……距離感……少しは取るようにしてるのに?」
「うっ……」
「普通に仲良くしたいんだが……ダメか?」
確かに轟は周囲と関わることで炎上した職場体験前よりも距離感が多少まともになった。その成長を無下に出来るほど千雨は冷酷ではない。
その上で訴えかける寂しそうな瞳に千雨が勝てるはずもなく。
「…………考えて、おく……」
純粋な好意と押しに弱いところがある以上、粘り強く諦めない轟に千雨が絆されるのも時間の問題である。
そうこうしているうちに、予鈴が鳴る。今日のヒーロー基礎学は朝の連絡の通り一時間使って演習試験の講評だ。
「長谷川は試験のペアの関係上すでに講評を終えているから、他のペアの講評に参加してもらうんだが、お前は芦戸・上鳴ペアの講評に参加しろ。校長からお前に指導協力の指名が来てる。
教室での連絡は以上だ。各自指定した場所に移動しろ」
振り当てられた校内の会議室に千雨は芦戸と上鳴と共に向かう。
「長谷川、講評終わってんだな」
「ペアが他のクラスだし、相澤先生は轟と八百万のペアも担当してっからな」
「そういやそうだったな」
「長谷川も大変だねー」
簡単に納得した二人に対して、千雨はその単純さに安心するべきか不安になるべきか複雑な気持ちになった。
「やぁ三人とも!早速演習の映像を見てから講評しようか」
小会議室にて芦戸と上鳴の期末演習の映像を時間の都合もあり倍速で見る。
根津の解体用鉄球を振るうクレーンにより時折画面が揺れたり土煙に覆われるが、最後まで逃げ惑う二人を映し続けていた。カメラ位置も計算した上での演習場破壊だったとするとやはり彼の個性『ハイスペック』というのは恐ろしい。
「……とまぁ、こんな感じの工場地帯演習場での演習だった訳だけど、長谷川くんはどう思ったか聞かせてくれるかい?」
「2人の個性があれば普通に勝利出来ますね」
「マジで!?」
「いや無理だろどう考えても!相手は鉄球振るうクレーンだぞ!?」
驚愕する二人に千雨は簡単な事だと言わんばかりに話す。
「芦戸の個性で壁を破壊出来るし弱い酸で滑って移動しても良いし、校長の使ってるクレーンがどこにあるかわかってるんなら上鳴が建物でデカい磁石作ってクレーンの鉄球を固定してる間にクレーンの下の部分とか溶かせばいいだろ」
「……磁石をつくる……?」
千雨の攻略法に対して上鳴と芦戸は頭上にハテナを浮かべるかのように、首をかしげている。
「電磁石だよ、釘とかに銅線巻いてコイル作ってそこに電気流したら磁石になる……上鳴、お前がいくらバカだとしても雄英合格してるんだから、電気を物体に通したら発熱、磁気、化学作用が発生するのはわかるよな?」
「そ、それくらいは分かるっつーの!」
「だったらそれで鉄塔や金属の建物に電気流して磁気帯びさせて鉄球の動き止められんだろうが。表面の塗装が邪魔なら酸で溶かせるし。
んで、鉄球を止めたらそのまま鉄球繋いでる鎖を酸で溶かすでもクレーンの土台溶かすでも問題ねぇだろ」
工業地帯ということで鉄骨や鉄塔、金属製の建物などが沢山あるのだ。それらを使えば超強力な電磁石を作れる。鉄球の大きさがかなりのものだが、それでも鉄球を引き付け止めることは可能だろう。
「いやいやクレーンに近付くの危ないじゃん!鉄球がいつぶつかってくるか危ないし!」
「真下とか基盤を攻撃したら校長出られなくなるからそこは攻撃範囲外だぞ」
言われて気付いたと言わんばかりの表情で千雨を見る二人。その様子に千雨はため息しか出なかった。
「……能力への理解不足に加えて、鉄球で建物破壊されるという出来事にパニックになりつつ回避だけをし続け、立ち回りが後手後手のぐだぐだ。
最終的に道を塞がれて何も出来ずにタイムアップ……そりゃ負けるか……」
「演習に正解というものはないけれど、長谷川さんの作戦が一番効率的でステージをよく活用出来る方法さ!
今回僕は頭脳派ヴィランとしてクレーンを使って君らのゲートへの進行を阻止した。二人とも日頃から自分自身の出来ることをより多面的に考え、相手の攻撃や状況などを考えて個性を使うようにならなきゃいけないのさ!」
「はい……」
「すみませんでした……」
「それじゃあここからはより詳しく、立ち回りについて話すのさ!」
そのまま千雨と校長にどこがどう悪かったのか、どう行動するべきだったのかを指摘され続けた芦戸と上鳴だった。
講評が終わり、小会議室から教室へ戻る三人。
千雨はともかく、指摘の嵐にあった芦戸と上鳴はぐったりとした様子だ。普段使わない頭をフル回転させる上に指摘され続けたのだ、精神的疲労は普通の授業の数倍だろう。
「にしても……上鳴、お前強力な電気も使えるってのに、なんでそんなに残念なんだ……」
「残念って言うなよ!それに強力な電気って、長谷川の方が強い電気使ってたじゃんか!」
「私はお前ほど電気を自在に扱える訳じゃないぞ。こいつらを身体に纏わなきゃ使えねぇし、体育祭で見せた電気を活用した戦闘方法はお前の放った電気を蓄電して一部を拳に収束して使ったからだ。
……前に爆豪が言ってたことじゃねぇけど、出来ないことを出来ないままにしてたらいつまでも強くなれねぇぞ」
千雨の言葉に芦戸がふと思った疑問をぶつける。
「長谷川って、なんでそんなに強くなろうとしてるの?」
「……別に……私は強くなりたいんじゃない。弱いままじゃいられねぇだけだ」
もともとアーティファクトアプリは千雨がネギの協力をする、つまり魔法という裏社会において危険に巻き込まれても問題ないようにするためのものである。
そしてここには千雨を守ってくれるようなネギや小太郎などの強くて頼れる味方がいなければ、いつだって安全と言えるような世界でもない。今のクラスの仲間の中には轟や爆豪など強い奴もいるが、それでも千雨を守ってくれる訳でも頼れる訳でもない。
千雨自身が自分自身を守るためにも、弱いままではいられない。そうでなければここまで戦闘力を身に付けようなどする筈がない。
言ってしまえば千雨は自己保身のためというエゴでしかなく、純粋に強さを求めて修練することや向上心などといったものではないのだ。
「同じじゃないの?」
「方向性が違うから違う」
「長谷川、そーゆーの屁理屈っつーんだぞ」
「うるせぇ」
そうして教室に戻って休み時間中に八百万と話していると、何故か爆豪と麗日が授業開始の本鈴間際に騒いでいて、教室に入ってきた次の授業であるヒーロー美術史担当のミッドナイトが小学生じゃないんだからと怒った。
本鈴と共にバタバタと席に戻る麗日と怒り収まらぬ爆豪、困惑気味の緑谷を見つつ、相変わらず騒がしい連中だなと千雨は挨拶のために起立しながら考えていた。
キャラブック書き下ろしあたりは大幅カットしました。緑谷と爆豪の事にそこまで巻き込まれてないのにフォローするのはちう様らしくないので…………巻き込ませたかったなぁ……。
にしてもI・アイランドか……南の海に浮かぶ島……エヴァにゃん魔王時代……電賊……最先端科学技術とロボットの島……。
Q.これはつまり……そういう事ですか……?
A.待て、その先は打ちきり魔王エンドルートだぞ。
オール・フォー・ワンと連合が浮遊移動人工機械島ちう・アイランドからの集中砲撃とロボット軍団で神野ごと消し飛ぶ。ヒーローも巻き込まれそう。
……空飛ぶ機械島によって派手に吹き飛ばされる伝説的な巨悪とヒーローとか、ちょっと見たい……。面白すぎる……。