首都高に流る鮮青6連星   作:susu-GT

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どうも。

ロータリー編も佳境です。

ちょっと投稿ペース遅くなってますが、まだまだ続きますのでよろしくお願いします!




Ep.18 MAZDA E-FC3S SAVANNA(サバンナ) RX-7

《千葉県木更津市 片桐モータース》

 

 

「へぇ、コイツが言ってた若いのか。」

 

 

貴章のインプレッサと同じ水平対抗エンジンを搭載するポルシェ911をまじまじと見つめる片桐。空冷エンジンの独特な乾いたボクサーサウンドを撒き散らすのは銀色のポルシェ964だ。RX-7は初代のSA22Cから911シリーズではないもののポルシェとの類似を唱えられていたために片桐もポルシェには多少なりとも興味はあるのだろう。

 

 

「すみません、元木明彦といいます。レイコさんから噂はかねがね。」

 

「チッ……どうせ変な事しかしゃべってねぇんだろ?」

 

「そんなことないですよ。ロータリー組ませたら職人クラスなのに性格が悪すぎるって。」

 

「言わなくていいッ!! 」

 

 

口が悪いというか、余計な一言が多い片桐。何やら定食屋店主であり、旧式シボレー コルベットC3を振り回す篠田レイコとは腐れ縁なようで、昔はC3とSA22Cで張り合ったりもしていたそうな。

 

 

「アイツまだC3乗ってたのかよ?そろそろ買い換えろって言っといてくれや。」

 

「あ、ハイ。」

 

 

クロスポート加工20B製作の効率化を図るために呼び出された元木。ポルシェの前にはFDに乗っていたという理由で召集したのだ。もちろんそのときは大規模な改造はしなかったというし、そもそもエンジンには手を入れなかったと。

 

 

「レイコさんからはFCの足回りとギア比、空力バランスのセッティングをやって欲しいと伝えられてますけど。」

 

「ああ、構わねぇよ。エンジンは俺がなんとかしてやる。悠祐も手順わかってるから手伝えよ。それからあのFCにノーマルの13Bを積んでおいた。まあノーマルって言ってもオーバーホールはしてあるし、バランス取りもしてあるからフルノーマルって訳じゃねぇけどな。しばらくそれでセッティングしてくれや。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《夜10時 東京湾アクアライン 海ほたる》

 

 

「やっぱりカッコいいですね、FCって。」

 

 

ふとそう呟く貴章。性能的にはFDやRX-8の方がいいのは事実だが、なぜかFCにはそれを選ぶ価値があるように思える。

 

デザインだって直線的で一時の丸みを帯びたデザインが流行ったときにはそれほどかっこよくは見えないと言われることもあるが、そのシンプルさがまたいい。どこかR32と同じような雰囲気がある。

 

 

「なんかこう、スパルタンというか。」

 

「でも、それはよくわかるかな。なんかあるよね、FCで走るっていう理由が。」

 

 

どこか言葉では表せない存在感、そんなものがFC……少なくてもこのFC(クルマ)にはある。同乗している元木もそれには同感なようだ。

 

 

「僕、いっこ前に乗っていたGCインプレッサを選んだのもそんな感じなんですよ。たまたま行った中古車屋で見つけて。本当は80スープラが良かったんですけど。なんか、『あ、自分のクルマだ。』って思えたんですよね。」

 

「へぇー。」

 

「おかしいですよね。首都高走るなら間違いなくスープラの方がいいのに、なんでかインプレッサを選んじゃったんです。」

 

「GT-Rにもあるよね。スペックでは間違いなく35Rなのに、人を惹き付けるのは35じゃなくて32から34の第二世代スカイラインGT-Rだって言うし。」

 

 

恐らく工藤からそれなりの知識を植えつけられつつあるのか、元木が空冷ポルシェ以外のネタを振ってくる。外車事情に少し疎い貴章にとってはありがたい話なのだが。

 

 

「じゃあ行こうか。あんまり時間を無駄にはできないでしょ?」

 

「あ、はい。」

 

 

コックピットに座る貴章。インパネ内部のスピードメーターとタコメーターはすべて取り替えてあるとはいえ意外とすっきりまとめられている。元オーナーの真紀のセンスだ。

 

平日とはいえ少々ざわつく東京湾のど真ん中に浮かぶ海ほたるのパーキングに、ロータリーサウンドが響き渡る。ノーマルのエンジンとはいうものの、かなりいい音をばらまいている。

 

アクセルを数回踏み込んで空ぶかし。ターボがついた13Bは、プシャァァというターボ独特の過給音が響く。コンクリートの壁で反響してなおのこと。

 

時代は電気自動車。こんなスポーツカーなんて暴走族か不良の乗り物だと思っている人は決して少なくない。いくらボディ同色とはいえ派手なGTウイングは付いているし、車高だってノーマルと比べれば結構落としてある。いわゆる『シャコタン・ツライチ』の状態だ。白い目を向けられているFC。しかし、それを気にすることなくFCは元気なロータリーのエキゾーストノートを奏でている。

 

 

「じゃあ東京方面向かって行きますね。」

 

 

RX-7のフロントフェイスで目を引くリトラクタブルヘッドライト。それを展開させる。そして元気よく海底トンネルに吸い込まれていくように加速していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

《首都高速 湾岸線 東向き 川崎浮島JCT》

 

 

「なんか煽られてるね。」

 

「しつこい位に後ろベタベタに張り付いてますね。性格悪いな。」

 

「あ、横に出てくるよ。……SLSか。」

 

 

東京湾アクアラインの海底トンネルからずっと後ろに張り付いているクルマ。抜き去る訳でもなくかといって並びかけるでもない明らかな煽り運転。

 

メルセデス・ベンツSLS AMGは6.2Lという超大排気量のV8エンジンを長いフロントボンネットに納めるスーパースポーツで、マクラーレンとの共同製作により生まれたSLKマクラーレンの後継車に位置付けられている。素性の良さはこれのグループGT3マシンであるSLS AMG GT3が数々のレースでタイトルをとってきたことが証明している。真紀の所有するZ4のグループGT3マシンと同じ時期のクルマで、日本に留まらずヨーロッパでも数々のデッドヒートを繰り広げた名車だ。

 

今のFCでは到底太刀打ちできる相手ではない。……それはドライバーが同レベル程度の腕の持ち主であればの話だ。

 

 

「無視してもいいよ。あくまでこっちはセッティングが目的だから。」

 

「……すみません、元木サン。無視できないっす。型遅れのFCだからってナメてかかられちゃ胸くそ悪いですし。」

 

 

直線区間の湾岸線でSLS相手にタイマンはかなり無茶苦茶だが、勝てる相手に執拗に絡んでくるドライバーはこれでもかというほど嫌う貴章。もう自制心は効かなかった。

 

 

「追い抜くのは無理でも、ついていけさえすればいいです。」

 

 

4速から3速にシフトダウン。ロータリーエンジンの滑らかな吹け上がり方をする。

 

 

…………………………………………………………

 

 

「なんだよこのボロ、やる気になったか?」

 

「やっちゃえやっちゃえ。こちとら世界のベンツ様だぜ。」

 

 

一気にアクセルを床踏みするSLSのドライバー。高速領域にそれなりに精通しているのか、リアタイヤから白煙をあげながら目まぐるしく加速していく。6.2LのV8エンジンから発生する571馬力、66.3Kgf・mという怒涛のパワーとトルクをリアタイヤが余すことなく路面に伝えていく。

 

FCもSLSと同じFRレイアウトとは言え、その差は歴然。加速力では圧倒的にSLSが優勢だ。一気にFCを抜き去っていく。メーター読み200km/h。法定速度の軽く上まわっている。決して小さくはないボディを軽々とそんな速度域まで持っていけるのは流石というところだ。

 

あっさりとFCの前に出て先行し、突き放しにかかる。ベンツが威信をかけて作り上げたフラッグシップクーペは、夜の湾岸線をふらりひとり旅……となるはずだった。

 

SLSのミラーに映るFCの姿は一向に小さくなる気配がない。むしろじわじわと追い付いてきている。次第に大きくなるFCのシルエットに、SLSのドライバーは驚きを隠せなかった。

 

 

「どうなってんだよ!? 」

 

「こんな日本車ごときになにやってんだよ!?」

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

「やっぱり、向こうは相当消耗してますね。」

 

「そうかな……追い付いてはいるけど、離されてもおかしくはないよ。」

 

「大丈夫です。これ以上離されることはないはずです。」

 

 

やけに自信ありげに答える貴章。彼はFCを抜いていった時のSLSの症状に着目していた。

 

それはリアタイヤから上がった白煙だ。0km/hからの加速ならまだしも、150km/hオーバーからの再加速だ。そこでリアタイヤから白煙が上がることはまずない。よほどの大パワーなら話は別だが、このSLSはそこまで手をいれてはいない。なら何が原因なのか。貴章はリアタイヤの消耗を疑っていた。

 

FR、フロントエンジン・リアドライブ方式は文字通りリアタイヤが駆動することでクルマを動かす。もちろん大パワーに耐えうるだけのタイヤを装備しているとしても、寿命というものはある。タイヤがタレればどんなにいいエンジンも意味をなさない。

 

あのSLSのうまくグリップしない疲弊したリアタイヤがホイールスピンすることで白煙が上がったのだとしたら、SLSの武器である強力なパワートレインは100%その能力を引き出すことはできない。そうであればパワーやトルクでは負けるFCでも持ち前の軽量ボディと高い旋回能力でカバーできると判断したのだ。

 

それにSLSの後ろでスリップストリームに入っている間は、空気抵抗になるリトラクタブルヘッドライトの影響をいくらか軽減できる。流石にどこぞの走り屋みたいにヘッドライトを消して走るという芸当はできないので、これだけでもだいぶ違う。

 

 

「ほら、どんどん距離詰めてますよ。これから先はクルマよりもドライバーの腕と度胸試しになるはずです。」

 

「結構走り慣れてる感じはするよ。」

 

 

元木の言うことも最もだ。第一それなりに走っているヤツでなければリアタイヤを白煙が出るまで消費することはない。しかし走り慣れてるとは言ってもタイヤの異変に気づかないのはまだまだ甘い。現にSLSのリアタイヤからはかなりうっすらではあるが白煙が上がり続けていた。

 

 

「走り慣れていても、メンテはあまりしてないみたいですけどね。……リアタイヤが悲鳴を上げるのも、時間の問題ですよ、きっと。」

 

そう言いながらも、貴章はタコメーターの針がレッドゾーンに入った瞬間に間髪いれず4速から5速にシフトアップする。一瞬の加速感の途切れの後、再び力強くシートに体が張り付くような加速を見せるFC。迎撃体勢に入っていた。

 

 

 

……………………………………………………

 

 

「ぐっ……」

 

 

メーターでもうすぐ250km/h。この領域はもう未知の領域だ。ただ後ろに流れていく一般車両の赤いテールランプがこれまでとは比べ物にならない速さでかっ飛んでいく。

 

そしてここに来て現れたステアリングから伝わるバイブレーション。どこかに異常があるとしか思えない。ナビシートに座っている男にはわからなかったが、200km/hを越えた辺りから路面のギャップに乗っかった瞬間にリアが若干滑っている感覚があった。常にカウンターを当てているような感じだ。

 

もう彼らの中には恐怖心しかなかった。そして、このFCはこれまで煽ってきた相手とは格が違う、そんな風におもえてきたのだ。

 

 

「ギブ!……もう無理!! 」

 

 

ハザードを焚いてアクセルを抜く。エンブレと空気抵抗のお陰でみるみる速度は落ちていく。その横を白いFCが易々と走り去っていく。

 

 

「すげぇ、本物ってやつか。」

 

 

彼らはただただ小さくなっていくFCの丸目4灯式のリアランプを見送る事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《首都高速 9号深川線 辰巳第一PA 》

 

 

「やっべー、水温はね上がった時はほんとにヤバいと思った……。」

 

 

スリップストリームに入っていた時は走行風が入りにくくなるため、冷却性能が若干なりとも落ちる。オーバーヒートこそしなかったものの、あのままでは間違いなくそうなっていた。

 

 

「でもよく離されなかったよね。」

 

 

半ば呆れるように話しかけてくる元木。普通に考えればこんな超高速エリアでSLSとFCがタイマン張れる事自体異常だ。それをSLSがアクセルを抜いたとはいえ、FCが勝ててしまうのはなおさらだ。

 

 

「でも、やるなら自力で抜きたかったです。」

 

「このFCじゃあ厳しいよ。」

 

「ですよね。……それにしても、やっぱりいいですね、ロータリーエンジン。ターボなのにレブリミットまでパワーの落ちる感じがしないし、すごい滑らか。走っていて気持ちいいです。」

 

「ギア比をもうちょっと合わせたいよね。この13Bならこのままでもいいけど、チューンドロータリーならちょっとクロスすぎるかな。」

 

「ですね。せめてファイナルギアだけでも換えたいとこです。足ももう少しアンダーに振りたいかな。」

 

 

すると、どこか聞き慣れたエンジンの音が聞こえてくる。チューニングの世界では知らない者はいないあの名機の音だ。

 

 

「RB26ですね、これ。……辰巳入ってきますよ。」

 

 

現れたのは白いボディの BNR34スカイラインGT-R。外装は限りなくノーマルに近いが、纏ってるオーラが本物の首都高ランナーであることを否応なしに示していた。

 

その34Rからひょこっと顔を覗かせた人物を貴章と元木はよく知っていた。というよりもつい数日前まで一緒にいた人間だ。

 

 

「あ、工藤サン。」

 

「おう、明彦と貴章か。どうだ、FCは? できたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどねぇ、20Bのクロスポート加工か。なかなかえげつない事するんだな。で、今は足回りのセッティングってところか?」

 

「はい、その通りです。」

 

 

GT-R屋を名乗るCRS工藤にもわかるようにクロスポート加工について一通り説明した貴章と元木。クロスポートを説明するには必然的にペリフェラルポートとサイドポートを説明しないといけないから少々てこずった感じがしたが、工藤は一応理解はしてくれたようだった。

 

 

「一応足回りはある程度は仕上げてあったんですけど、やっぱりいろいろ手直ししたくはなりますね。」

 

「うーん、俺はGT-Rしかわからないからなぁ。明彦以外にRX-7乗ってるヤツがいればいいんだけど。」

 

「あの、コータさんは?」

 

「アイツはダメ。すぐにツブすし、下手だから。」

 

「えっ、いるじゃないですか、一人。」

 

 

元木が貴章の知らない人物を挙げるが、それはきっぱりと切り捨てる工藤。貴章がもう一人のRX-7(セブン)乗りを挙げようとしたとき、また一台辰巳PAに入ってくる機影があった。丸っこいフォルムはFCのそれとは似て非なるものだが、纏う雰囲気は近いものがあった。……ドライバーを除いて。

 

 

「お父さん見っけー!」

 

「ああ、もう一人ってリカのことか。」

 

 

白いFD3Sに乗るのはCRS工藤圭介の娘、工藤リカ。免許とりたてとは思えない程FDを乗りこなす。

 

 

「あ、明彦クンと貴章クンも。」

 

「やあ。」

 

「久しぶり。この前はありがとね。」

 

「いやぁ、まさかあのまま寝ちゃうなんて思わなかったけどね。」

 

 

タハハと笑うリカ。すると父親のGT-Rの横に停まっている見慣れぬマシンに目が動く。

 

 

「これ、この前のクルマ? そういえばアタシのセブンと似てる気もするんだけど。同じエンジンを載せるって言ってたけど、セブンのエンジンって特殊なんでしょ?載せられるの?」

 

 

その感じだとFCのことを知らないようだが、なかなか鋭い感性を持ち合わせているようだ。貴章が説明を加える。

 

 

「似てるもなにも、これもRX-7(セブン)だよ。」

 

「ええっ!? 形全然違うよ!? 」

 

「リカちゃんの乗ってるFDのいっこ前の型だよ。FC3SサバンナRX-7。『FC』って言ってたの覚えてる?」

 

「うん。」

 

「そのFCもRX-7(セブン)なんだよ。」

 

「へぇー。」

 

 

すると、元木が何か思い付いたのか、工藤に耳打ちしている。案外工藤も納得したようで、リカに問いかける。

 

 

「リカ、お前このFCに乗ってみろよ。」

 

「ええっ!?」

 

「この中で一番FDに乗ってるリカなら、セッティングの参考になるかもよ。意外とコイツ勘いいぜ。」

 

「僕は構いませんけど。」

 

「じゃあ明彦がリカのFDに乗って行けばいいか。頼めるか?」

 

「はい、もちろんです。」

 

「ちょっとお父さーん……。」

 

「何事も経験。とりあえず乗ってみろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《首都高速 都心環状線 内回り 江戸橋JCT付近》

 

 

「なんか、アタシのセブンよりも落ち着かない感じーッ!」

 

「確かにFDより忙しないよね、FCって。」

 

 

ノーマルの状態でも踏めばどオーバー。FDよりもクセのあるイメージがあった。このFCの数少ない救いは空力パーツにより強大なダウンフォースを発生させているためにまだ扱いやすいということ位だろう。ノーマル状態のFDと比べれば明らかにエアロ系統の完成度は高い。FDよりも一回り小さいボディも相まってリカに違和感を与えているのだろう。

 

FDは1991年の発売開始当時、まだёfini(アンフィニ) RX-7を名乗っていた頃は正真正銘のピュアスポーツとして開発された訳ではなく、どちらかと言えばラグジュアリークーペというスタンスが原点にある。むしろピュアスポーツなのはFCの方だ。もっともアンフィニの名前が外れ、後期型の5次車、6次車になるとラグジュアリー方面よりもスポーツ方面の押しが強くはなったのだが。それを踏まえればFCの方がよりシャープな動きをするのにも納得は行く。

 

 

「でも、すごくダイレクト。ハンドル切った分だけスッと曲がっていくしー。」

 

「ちょっと曲がりすぎとは思わないの?」

 

「うん。あ、でももうちょっとハンドル切れる方がいいかな。ほんの少しでもだいぶ曲がっていっちゃう。」

 

「リアは出ないからオーバーって訳じゃないのか。じゃあギアボックスちょっといじって遊び増やすか……。」

 

「あ、それとハンドルがちょっと小さい気がする。」

 

 

リアからは貴章の思わぬところから指摘が入る。元木もそうだったが弱オーバーだと思っていたのは、リカからするとただステアリングの遊びが少ないということで片付く。ステアリングの大きさを変えるだけでも遊びは変えられるが、まさかその程度で済むような事とは思わなかった。リアウイングのお陰でリアはそこそこ粘る。ナビシートに座っていてもそれはよくわかる。

 

ただ、貴章が一番驚いたのはリカが易々とFCを乗りこなしてしまったことなのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《6日後 千葉県木更津市 片桐モータース》

 

 

真紀にFCを渡す期限まであと3日。いまだにエンジンルームががら空きのFCを見て、少しばかり焦りが芽生える。

 

「で、そんなこんなで足回りのセッティングは終わりましたけど。」

 

「じゃあ後はエンジンだけか。」

 

 

睡眠不足による無理がたかっているのか、片桐の目の下のクマがひどく目につく。不安げな貴章と元木の雰囲気をよそに、なにやら不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「安心しな。昨日にエンジン本体は完成してある。後ドライサンプ化だけしてやるつもりだ。それが終わり次第一気にビルドしてバランス取りした後積むぜ。ドライサンプエンジン用のエンジンマウントとかは今悠祐が作ってる。うまく行けばそいつも今日出来上がるから終わったらすぐにFCに移してしまえ。」

 

「じゃあ、ギリギリ間に合いますね。」

 

「まだまだ、最後のツメが残ってやがる。……久々だぜ、ここまで血が騒ぐのはヨ。」

 

 

 

 

 

 

――――――――FC完成まで、あと1日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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