首都高に流る鮮青6連星   作:susu-GT

21 / 32
そう言えば初めてかな……インプが首都高攻める描写やるのって……。


Ep.20 Circle 1(都心環状線)

 

 

《深夜1時 首都高速 1号羽田線 上り 平和島PA》

 

 

 

深夜の首都高、それは走り屋にとってのテストコースでもあり、また格好の遊び場(コース)でもあり、はたまた時には過激な戦場にもなる。

 

そして、パーキングエリアは時にある種のオートサロンに変貌する。今もそこそこ知識のある人種が2台の周りに集まって、各々のスマホで画像を撮りまくっている。

 

彼らの視線の先にいるのは、ストラトブルーのRX-8。巨大なGTウイングが目立つ仕様だ。もう1台はクリスタルホワイトのFC3S。言わずもがな、真紀のFCだ。

 

 

 

「へぇ、本当にRX-7(セブン)を用意できたんですね。ボクはてっきり用意できなくて泣きついてくるかと思ってたんですけど。」

 

「言っておくけど、あなたが思うほど容易く準備できた訳じゃないわよ。」

 

「でもFCって……ボクもちょっとナメられたものですね。確かにFDと指定はしなかったですけど。」

 

 

 

走り出す前から一触即発の雰囲気。2週間前にCRSにケンカを売りに来たRX-8乗りは言葉面だけは丁寧なようではあるが、完璧に真紀をおちょくっている。彼についてきた連中なのか、数人は後ろで薄気味悪い笑い声をあげる。ついイラッときた貴章は売り言葉に買い言葉、ニヤリと不敵な笑みを浮かべたまま言葉を返す。

 

 

 

「そんなFCに負けたりなんかしたら、もう赤っ恥だよな。」

 

「確かに。……でもRX-8よりもFCはかなり軽量でしょ?C1ならいい勝負ですかね。」

 

「逃げか?軽量だから負けたって言い訳にするわけだ。逃げ口だけは確保しておこうってな算段か。」

 

「……てめぇ。」

 

「んなこと言いそうだったもんだからさ、こっちも助っ人に来てもらってるんだわ。そろそろくるんじゃねぇの。」

 

 

 

ちょうどその言葉をいい終えた時、PAの入り口から1台のクルマが明るいHIDヘッドライトを輝かせて進入してくる。向こうのと同じRX-8ではあるが、純正のストラトブルーやウイニングブルーとはまた違う明るい空色、シアンブルーのカラーリングを纏っている。

 

 

 

そのクルマは真紀のFCの横に停まっていた貴章インプの横にその体を休める。中から降りてきた人物は、今朝まで共にテストランをしていたうちの一人だ。ペコペコ頭を下げて貴章の前に出てくる。

 

 

 

「新庄さん、すみません遅れて。」

 

「いえいえ全然。わざわざ出てきてもらってるんですし。」

 

 

新田悠祐、木更津のロータリー職人片桐義人が認めるロータリー乗りだ。パワーに頼らないでクルマのトータルバランスで勝負する。すると助手席のドアが開き、見たことあるどころか知りすぎた顔がひょこっと顔を出した。

 

 

「貴章サンずるいッスよ。俺も見させてもらいますからね。」

 

「なんで隆介がいるんだよ……。呼んでねぇだろ。」

 

「すみません……断れなくって。」

 

 

頭をかきながら謝る新田。たぶん隆介が無理言って新田に同乗させてもらおうとしたのだろう。ただ隆介が遅れたから新田の到着も遅れた……たぶんそんなところだ。

 

 

「助っ人とは、同じRX-8でしたか。」

 

「言っとくが、アンタのクルマよりもこっちはパワー出せてねぇからな。ノンターボのままだし。」

 

 

 

新田まで口調が荒くなっている。貴章が今回の事の発端を新田に話した時、なぜか彼までも機嫌を損ねたくらいだ。貴章もそうなのだが、特に新田はクルマをやみくもに否定することはあまりしない。ダメならダメだと判断するなりの理由を持っているし、心情でクルマの良し悪しを語らない。もちろん好き嫌いはあるし、それに理由なんてあるとは当人も思ってはいない。だが、ただ型落ちだという理由だけで否定することに反感を抱いたという。

 

 

 

「これでFCと僕のRX-8に負けたら、もう言い訳できないですよ。」

 

「おやおや、ボクもかなりおちょくられたものですね。……まあいいでしょう。こっちもいくらか人数いますからね。……で、インプレッサの貴方はどうなさいます?」

 

 

 

ロータリー合戦の中に入るつもりのなかった貴章。だが、インプレッサで出てきていたのには理由があった。

 

 

 

「バトルには加わらない。けど見させてはもらうぜ。オブザーバーってやつかな。」

 

「わかりました。……では、コースはこちらで決めてもよろしいですか?」

 

「俺に聞くなよ。」

 

 

 

貴章の横に立つ真紀と新田はコクりとうなずく。その時、少し片頬を緩ませたような気がしたが、貴章はあえて無視することにした。

 

 

 

「では浜崎橋からC1外回り、江戸橋から箱崎、9号、辰巳経由で湾岸、有明からC1内回り、そのまま羽田線からこの平和島に戻ってくるというルートで。」

 

「C1外回りから新環状右回り、C1内回りか。」

 

 

 

意外とストレート勝負の区間が短いコース取り。むしろパワーに劣るFCにはありがたいルートだが、どこか違和感もある。あえて自分の有利になる条件を自ら放棄するかと言われれば、このRX-8乗りの場合、その答えは『否』だ。

 

 

 

用心しておいた方がいいかもしれないですね。

 

 

ぼそりと呟く新田。だが、その言葉は届いてほしかった貴章たちの耳には入ることはなかった。始動したエンジンにより声がかき消されてしまう。

 

 

「真紀、あんまり無茶するなよ。Z4とは勝手が違うんだからさ。」

 

 

FCのコックピットに収まった真紀に外から声をかける貴章。仕上がったばかりでナラシどころか十分な時間を真紀に用意できなかった後ろめたさがある。ところが不安感を隠せない貴章をよそに、当の真紀はいつも通り――というより珍しく――笑顔で応えてくる。

 

 

「でも、アタシ好みのセッティングにしてくれてるんでしょ? エンジンも自然吸気だし。」

 

「一応Z4と似た足回りにはなってる……はず。…………たぶん。」

 

「ええー、なにそれ。もうちょっと自信持ちなよ。」

 

「そんなこと言われてもな……。」

 

「アタシ、タカが仕上げてくれたクルマなら目一杯踏んでいける。インプレッサもそうだったもん。……あんな奴には絶対負けないから、見てて。」

 

「おう。インプで追っかけるよ。」

 

 

 

ポンポンとFCのルーフを軽く叩く。ちゃんと帰ってこい、そしてのびのび走れと念じて。

 

貴章も隣に停めたインプレッサに乗り込む。あのモンスタープリウスに乗ってからどうしても拭えなかったインプレッサとの不協和音は、まだ完全になくなった訳ではないが、だいぶ改善されている。

 

 

―――何言ってんだよ真紀、だてにずっと真紀のクルマ見てきてねぇよ。―――

 

 

 

ひときわ大きなエキゾーストノート。乾いた甲高いロータリーサウンドは、クロスポート加工した真紀のFCのものだ。3台の中でも一番レーシーな音をばらまく彼女の純白のFCが、動き出した。その勇姿は、威風堂々という言葉がよく似合いそうだった。

 

そして、相手側のRX-8も動き出す。その時の独特な音はチューニング業界ならお馴染みのものだった。

 

 

 

「へぇ、ターボ化してあんのか、あのRX-8(エイト)。タービン何使ってんだろ。…………でも冷却が心配だな。」

 

 

 

新田が走り始めたのを確認すると、貴章もインプレッサのエンジンを呼び起こす。久しぶりに聞く水平対抗4気筒(フラット4)の爆音が小さくなりつつあるロータリーサウンドをかき消す。1速に放り込んで、ゆっくりと発進し、平和島PAを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○●○●○●

 

 

クロスポートの20Bを動かす。それは今日の朝が初めてだったが、自然吸気であることや貴章の絶妙なセッティングにより違和感なく走らせられた。

 

久しぶりのスリーペダルミッション車だが、かつての感覚は消えてはいなかった。あらかじめ同じタイプのミッションを持つ貴章のインプレッサに乗っておけたことも大きいのだろうが。

 

平和島PA出口、1号羽田線に合流する。

 

 

 

「行くよ、タカ。」

 

 

 

アクセルを抑える右足をいっぱいまで奥まで踏み込む。ロータリーエンジン特有の滑らかなエンジンフィールは、回転数が上がっていけば行くほどまだまだ回っていきそうな心地さえする。

 

2速6000回転……8000回転……10000回転

 

 

 

「ココッ!! 」

 

 

2速1万回転でクラッチを蹴り飛ばして3速へシフトアップ、一瞬の加速感の途切れを感じ、エンジンは6500回転まで落ち込む。そして再加速。エンジン自体は1万3000回転程まで回るものの、セブリミットを1万回転に設定したこのFCのエンジンは、ハイギヤードの輸出用ファイナルギアに換装されたミッションですらカバーしてみせる。

 

3速8000回転で車速はメーター読み180km/h。そこからも途切れせずに息継ぎすることなく滑らかに加速していく。いかにも自然吸気らしい超高回転エンジンは、レブリミットまでパワーダウンを感じさせることなく、ロールゲージ増量分込みで1200kgという軽量なFCをぐいぐい引っ張っていく。本来ならばフロントのリフトの原因になるリトラクタブルヘッドライトを撤去したお陰でよりノーズの入りがクイックになっている。

 

バンピーな羽田線や横羽線を、ドライバーへの負担感をまるで感じさせないFC。さすがにC1の銀座エリアのような場所ではクルマは暴れるだろうが、無駄なロールはせず、かといって全くピッチングしないわけでもない。荷重移動に必要な分だけサスペンションがストロークする。彼がインプレッサで積み上げてきたサスペンションセッティングが光る。パワーにものを言わせるつもりだったのか、純正カラーの青いRX-8はピタリと後ろにへばりついている。その後ろに見えるのが恐らく新田RX-8だろう。

 

 

「ふーん、大口叩くだけあって、クルマは(・・・・)速いじゃない。」

 

 

パワーの少ない新田RX-8はともかく、そこそこパワーを出している真紀FCに食らいついてくるのは少々想定外だった。

 

 

「でも、その大パワーを受け入れるだけタイヤをもたせられるのかしらッ!!」

 

 

4速10000回転からシフトアップはせずに4速ホールドのまま浜崎橋からC1外回りに合流する。ここからが、新生スリーローターFCの本領発揮だ。

 

 

「……霞ヶ関が楽しみだなぁ。」

 

 

 

 

 

 

○●○●○●

 

《首都高速 都心環状線 外回り 芝公園ランプ付近》

 

 

 

「インプレッサでC1の霞ヶ関とか、すげぇ久しぶりだよな……。」

 

 

新田RX-8の背後をピタリと追走する貴章。2つ前を走るRX-8はC1は苦手なのか、それともターボ過給エンジンに不向きなのか、ペースが上がらない。真紀のFCが時に見えなくなる程距離を開けられている。

 

すると、貴章の前を走る新田が動き出す。アウトインアウトのモータースポーツのライン取りの原則に乗っ取った相手のRX-8が一般車に引っ掛かってブーストが落ちている間に、インインインのまさしくインベタラインをトレースした新田が脇を掠めていく。鮮やかにオーバーテイクを決めた新田は、彼の自慢のトランスアクスル化したRX-8にムチを入れ、ずんぐりしたシアンブルーの巨体を軽やかに運んでいく。瞬く間に暗闇に消えていく。

 

 

 

「俺は霞ヶ関エリアで勝負……かな。」

 

 

 

首都高速都心環状線、通称C1。首都高の中でも難しいといわれる難所が外回りの霞ヶ関トンネルの進入だ。トンネル直前の路面ギャップとその先のバンクのないコーナー。鈴鹿サーキットと同じように逆バンクと呼ばれている。体勢づくりをミスれば即お釈迦になりかねない。

 

一部の人によると、このエリアの攻略において指標となるクルマがあるという。日産BNR32スカイラインGT-Rだ。この32R以前のクルマとそれ以降のクルマでは全くの別次元だという。それまでのストラットではなくマルチリンク式サスペンションを採用した32Rはそれ以前のR31スカイライン、JZA70スープラ、そして当時32R登場までは首都高最速との呼び名高かったFC3S RX-7を瞬く間に置き去りにしてしまった。それを機に、FD3S RX-7や三菱ランサー、スバルインプレッサ、JZA80スープラや初代ホンダNSXが登場し、首都高の主役を飾り始めたのだ。

 

真紀のFCは32R以前のクルマ。それに対して新田RX-8や貴章インプは32Rどころか2000年代のクルマ。この霞ジャンプと逆バンクで走りにくいのはどう考えても真紀FCだ。

 

だが、彼女にはこの霞ヶ関エリアを得意とする人物の手が入れられたFCがある。無論、新庄貴章だ。彼のインプレッサの助手席に乗っていると、彼のこの霞ジャンプと逆バンクのちょっと特殊な攻め方が見れる。インプレッサでやれば端から見ると余計に様になっているのだ。そこまで攻め立てる彼を支えるサスペンションセッティング。そのセッティングが、見つかってから、霞ヶ関エリアは彼の勝負ポイントとなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《首都高速 都心環状線 外回り 霞ヶ関エリア》

 

 

飯倉で2号目黒線、谷間で3号渋谷線とそれぞれ合流。メーターは240km/hを指している。

 

ここで貴章は左側車線を走る前のRX-8の後ろから右車線側にインプレッサを半車身だけずらす。チェックしたのは真紀FCと新田RX-8が既に見えなくなっていること、そして前走車がいない(・・・)こと。

 

抜かれると思ったのか、すぐに右車線にラインを変えるRX-8。貴章はクラッチを踏む左足をブレーキペダルに移行、チョンブレで僅かに前タイヤに荷重を移して一気に左車線にインプレッサを放り込む。この時点では霞ヶ関の右コーナーの進入は貴章がアウト側。しかしまだ相手のRX-8が頭をとっている。

 

そのままブレーキングポイントに突入。RX-8の方がインプレッサよりも若干早くブレーキランプを眩しく点灯させる。ブレーキングで一気に差を詰めてサイドバイサイドに持ち込むもの、誰もがそう思うシチュエーションだ。だが、この霞ジャンプに限ってはサイドバイサイドのアウト側は非常に不利になる。これで一瞬でもイン側のRX-8がはらんでインプレッサと接触すれば、トンネルの壁に張り付くのは間違いなくインプレッサだ。ここでのサイドバイサイドのバトルはほぼあり得ない。RX-8のドライバーもそう思っていた。普段よりもゆっくりと霞ヶ関に進入するために、少しブレーキングを長引かせる。

 

しかし、RX-8のドライバーが目にしたのは、青いインプレッサのリアビューだった。そのブレーキランプは点灯していない。

 

 

「しくじりましたね、オーバースピードですよ。」

 

 

ほくそ笑むRX-8のドライバー。しかし、その次の瞬間その顔は崩れ、明らかに驚きの色を浮かべていた。

 

 

「バカな!? 切り込むのが早すぎますよッ!!」

 

 

 

○●○●○●

 

 

RX-8の横にならんでから、ワンテンポ遅れてブレーキングを開始した貴章。ローターが火花を散らしそうな程真っ赤に焼ける。さらにワンテンポ早くブレーキペダルをリリース。メーター読みでまだ170km/hオーバー。明らかなオーバースピードだ。

 

そしてバンプに差し掛かる直前、貴章はステアリングを右に切る。その直後、アクセルをほぼ全開のままクラッチを蹴りとばす。1度、2度と蹴っ飛ばすうちにエンジンの回転数が上昇。グリップを失ったリアタイヤが流れ出し、愛車のインプレッサがストレート上にも関わらず横を向く。4WDという駆動方式のお陰で、フロントタイヤがじわじわとインプレッサを前へ前へと進ませようとしている。貴章はここでカウンターを当てずに左手をある(・・)ダイヤルに伸ばす。そして体のセンサーに神経を研ぎ澄ます。一瞬だけ路面からのインフォメーションがなくなり、その時貴章が感じたのは、浮く感覚。横を向いたままバンプに乗り上げたのだ。その瞬間、貴章は左手のダイヤルを操作。インパネ内の表示が若干変わる。

 

これはスバルの4WDシステムのひとつ、ドライバーズコントロールセンサーデフ、通称DCCD。前後駆動配分をドライバー自身が変更できるような電子制御だ。貴章は普段は前後駆動配分を50:50の完全直結4WDに設定しているが、ここでDCCDを解放し基準値の41:59の若干リア寄りに変更。メーカーの基準値だからGDBFインプレッサの車両バランスを考慮した配分で、最も効率よくトラクションをかけられる。そして、この基準値41:59はインプレッサの名が外れたWRX STIでも継承されているという。

 

ドンという感覚と共に4輪のサスペンションがフルダイブ。直後にアクセルオン。4輪が駆動を始め、白煙をあげながら横滑りしていく。4輪スライド状態のまま逆バンクに突入する。

 

 

 

「曲がれぇッ!!」

 

 

 

徐々に横滑りが止まりだしたところで、貴章はアクセル開度を弱め、初めてカウンターを左向きに当てる。4WDのインプレッサは正直にそれまで右を向いていたノーズを左側に振る。再びスロットルオン。駆動力を与えられた4輪が少し外側に流れながらも前へ前へと進もうとする。強力なトラクションでグリップを横方向ではなく縦方向に使い、ガードレールすれすれでクリア。RX-8を突き放しにかかる。

 

 

4WD特有の『踏んで曲げる』やり方だ。ラリーベース車両らしくドリフトでクリア。

 

4WDはFRと比べてドリフトには向かない。フロントタイヤが駆動力を持つから、スライド状態を維持できないし、そもそも発生させること自体がFRよりも困難なのだ。しかし、きっかけさえ作ってやればアクセル調整で操れるのも4WDの特徴だ。

 

 

 

 

 

 

 

○●○●○●

 

 

「新庄さんのインプレッサって、C1は速そうですよね。」

 

 

 

シアンブルーのRX-8のステアリングを握る新田が、助手席の隆介に尋ねる。芝公園で振りきってしまったが江戸橋までには追い付くはずだと思っている。

 

 

 

「速いも何も、あの人環状の鬼ですから。霞ヶ関エリアなんかついていけないですよ。あそこはひたすら前走車がいますようにって祈る位しかできないですもん。」

 

「霞ヶ関?あの霞ジャンプと逆バンクの?」

 

「はい、もうあの人が結構マジになった時は横には乗りたくないです。」

 

 

ぶるりと身震いする隆介。難所であり勝負ポイントでもある霞ヶ関エリアをそこまで攻め立てるのは少々信じられない。そのイメージを裏切らぬことを隆介が愚痴り始めた。

 

 

「あの人、霞ヶ関トンネルの前に前走車がいないのを確かめたら、バンプに乗る前にインプを横に向けるんですよ。で、着地した時にそのままドリフトしてトンネルに突っ込んで、そこから振り返ししてドリフトしたままS字をクリアするんです。『横向けてやれば後は着地で勝手にグリップなくなるから楽だ。』なんて本人言ってましたけど。」

 

「それ、すごいですね……。そんな高速ステージでサイドブレーキなんか引けないですよ、普通。」

 

「サイドブレーキ使わないんですよ。クラッチ蹴りやってリアを出すんですよね。……いつかトンネルの壁に張り付きそうで怖いですよ……。また恐っろしいのが、真紀さんもできるんですよね。クラッチ蹴りはさすがにしてないらしいですけど。」

 

「じゃあ、あのFCでもやったのかな……。」

 

「……想像したくないですね……。」

 

 

隆介と新田は、横っ腹を見せながらトンネルを駆け抜ける白いFCの姿を否応なしに想像させられる。もう苦笑いすら浮かばなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 





感想、はたまたクルマ談義でも何でもOKですよ~。お待ちしてますw。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。