俺の目の前にはアニメで見た通りのニビジムがある。
あれから悩んだ末、コウキには頑張ってもらうことになった。
コウキが自ら進言したのだ。
一緒にいるようになってからコウキはソウビからはブースターの姿で
炎技を教わり、他のタイプはオーキド博士に技の種類を教えてもらい
自主練していたのだ。
そのことは俺はもちろん知っていた。
だからコウキからジム戦に出ると言われた時は迷わず承諾した。
あれだけ頑張っていたのだ、出さないほうがおかしい。
「緊張するなぁ」
【初めてのジム戦だもんね】
扉の前で俺は初めて公式のジム戦をするためもの凄く緊張していた。
コウキは今シャワーズに進化している。
わざわざ、目の前で進化することはしない。
さて、どうやって入ろうか。
サトシみたいに『たのもう』と言えばいいのか、それとも普通に挨拶しながら入ればいいのか。
そういえば他の挑戦者の入り方、俺見たことないや。
結局俺は普通に挨拶しながら入ることにした。
深呼吸して
「こんにちわージム戦に来ました」
し~ん
空振り!?まさかの空振り!?
返事がない、もぬけの殻か?
いやそれはないっしょ。
ジムを休むのならどこかにその旨を知らせる紙とか貼ってあると思うし
ここに来るまでポケモンセンターに寄ってから来たけど
一言もジョーイさんは言ってなかった。
まぁジムリーダーのタケシの家は大家族だからなぁ。
なんかトラブルでもあったのかな?
待ってみようと思い、待ち始めてから約15分。
コウキとしりとりなど遊びながら、暇を潰していた。
「あ、あ、アスファルト」
【と、と、トーテムポール】
何故知ってる。
先ほどからもコウキがまだ知らないようなものばかり言ってくる。
トーテムポールなんて見たことないはずないのに。
「しりとり始めてどんくらい経ったかな」
【五分は軽く経ったと思うよ】
「だよな~」
待っているが誰も来ない。
俺の他の挑戦者も来ず、ただの連絡が来なかっただけで本当は今日は
休みなのではと思ってきた。
もう少ししたら帰ろうと思いながらコウキとしりとりしていると
話し声が聞こえてきた。
「誰か来るね」
どんどん近づいてきて、よく聞いてみると子供の声が多い。
これはもしかすると。
「タケシ兄ちゃん、お昼何するの?」
「タケシ兄ちゃん、イワークたちまた見せてよ」
タケシ兄ちゃん、タケシ兄ちゃんと他の兄妹たちに囲まれながら
こちらに向かってくるのは確かにジムリーダーのタケシだ。
なるほど、買い物に行ってたのか。
「あっタケシ兄ちゃん、ジムの前に誰かいるよ」
「ん?挑戦者か?」
こちらに気付いた。
兄妹の中でも小さい二人が方の俺に向かってきて。
「お姉ちゃん、タケシ兄ちゃんに会いに来たの?」
「違うよナナコ、ジム戦に来たんだよ」
あっれ~おかしいな、確か今お姉ちゃんって…
聞き間違いだよな。
そう思っていると他の兄妹たちもこちらに来た。
タケシは食材を入れた袋を手一杯に持っていて重そうだ。
「挑戦者の方ですか?」
「はい、マサラタウンから来ましたアジュールと言います。
言いにくかったらアルでいいです」
本当はズイタウンって言わないといけないけどシンオウ地方だし
ここ二年はマサラタウンに住んでいたからいいかな。
「マサラタウンからですか、確かにニビジムは一番近いジムですからね」
「はい、ですので挑戦しに来ました」
コウキを抱えながらにっこり笑って見せた。
するとタケシの顔がほんのり赤くなる。
「お姉ちゃん綺麗だね」
「だな、お兄ちゃんなんか赤くなってるよ」
「ジロウ兄ちゃん、あのお姉ちゃんが抱えてるポケモン何?」
「あれはシャワーズと言って水タイプのポケモンだよ」
「水タイプなんだ」
「でもタケシ兄ちゃんのイワークたちは強いから負けないよ!」
「お姉ちゃん頑張ってね」
やっぱり聞き間違いじゃなかった。
さきほどからお姉ちゃんと連呼されている。
ってタケシ!?あんたは女に変装した男を普通に見破れるでしょう!?
本能はどうした!本能は!
「いや、あのですね、俺…男ですよ」
「「「「「「「「「えぇーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」」」」」」」」
そんなに驚くことなのか。
凹むぞ、マジで。
【大丈夫だよアル、アルが男なのは僕たちが知ってるから】
お前たちだけだよ、本当。
タケシなんか目でわかるぐらいに落ち込んでるし。
あれか見破れなかったからか。
「お兄ちゃんなんだ」
「嘘だぁだってタケシ兄ちゃんが見破れなかったんだぞ」
「いや、本当に俺は男だから」
マジで凹むわ。
初めてこんなにお姉ちゃんって連呼されたわ。
それよりジム戦したい。
「あの、ジム戦しませんか」
「すっすみません、いいですよ。
ジロウ、サブロウこれ頼むな」
荷物を弟たちに預けるとタケシはジムの扉を開けた。
岩タイプ専門のジム、フィールドは岩が置いてあった。
「使用ポケモンなんですが、アルさんの手持ちは…」
「この子だけですから一体ですね」
本当はソウビもいるけど。
「では使用ポケモンは一体、どちらかが倒れたら試合終了だ」
「はいっ!!」
いよいよ本当のジム戦、見ている時はわくわくしていたのに
自分がするんだと思うとドキドキしてきた。
緊張するけど、それを上回るかのように早く戦いと
早くコウキたちと一緒に戦いたい。
「俺のポケモンはイワーク!」
タケシの最初のポケモン。
手持ちの中では一番の巨体。
きっと水対策もしているはず。
だけど俺は絶対に勝つ。
「行こう、コウキ」
【うん】
「シャワーズか、このジムの専門を知っていたんだな。
だが、だからと言って水タイプに負けるようじゃジムリーダーは務まらない」
「えぇ、油断はしません」
審判位置にはジロウと呼ばれていた子がいた。
「バトル、開始!!」
「コウキ、水鉄砲!」
合図とともに技の指示を出す。
これで少しでも弱まってくれればいいんだけど。
あたりはしたがあまりダメージを負ってないように見える。
「良い水鉄砲だな、育て方が良いんだな」
「ありがとうございます、効いてないように見えて実は結構効いているってことはないですよね」
「岩タイプにとって水タイプは弱点だ、いくらイワークでも全く効いてないことはできないよ」
それを聞けて安心した。
これであまり効いてなかったらどうしようと思ったよ。
「コウキ、水の波動」
「イワーク、あなをほる」
コウキの水の波動が当たる前にあなをほるで逃げられた。
だけどあなをほるには弱点がある。
「コウキ、あなの中に向かって水鉄砲!」
「何!?」
さすがのタケシもこれには驚くか。
前々からこのあなをほるって技、入ったところに水鉄砲や火炎放射などの技を
入れられたら逃げ場がないと思っていた。
なのにアニメのトレーナーってそれをほとんどしないんだよなぁ。
まさかこれって卑怯なのか!?
水鉄砲で押されて出てきたイワーク。
先ほどより目に見えてダメージを負ったのが見える。
これなら体格差など問題ない、いける!!
「コウキ、決めるぞ!水の波動からアイアンテール」
イワークは動きが鈍っているため水の波動が直撃しコウキのアイアンテールが決まる。
イワークはそのまま倒れ戦闘不能になった。
タケシはもちろん他の兄妹たちも呆気にとられていた。
かくいう自分も実は茫然としている。
勝ってしまったのだ、相性は確かにこちらの方が有利だったが
パワーや体格では相手の方が上だった。
だけど、そんな相手に善戦し、技一つ当たることなく勝利してしまったのだ。
「…おめでとう、君の勝ちだ」
タケシに言われてやっと実感が湧いた。
「あっ、や…った、勝った、勝ったよ!コウキ」
【うん、僕たちが勝った!!】
コウキが腕の中に飛び込んできて俺はそれを受け止めて抱きしめる。
初めてのジム戦での勝利。
こんなに嬉しいとは思わなかった。
「良いコンビネーションだったよ、はいこれがニビジムに勝利した証
グレーバッジだ」
アニメで見たとおりの灰色のバッジ。
それを握りしめると。
「グレーバッジ、ゲットだぜ」
ちょっとサトシを真似してみました。
台詞考えておくか。
「今日はありがとうございました」
「いや俺こそいいバトルができたよ。もっと鍛えないとな。
そういえば次のジムは決まっているのかい?」
確か次に近いのってカスミのいるハナダジムだ。
でもその前に仲間が欲しいな。
そう簡単に見つかるとは思わないけど。
「次はハナダジムを目指します」
「ハナダは水タイプ専門ジムだ、頑張れよ」
「はい」
ジム戦の後はポケモンセンターに戻り、コウキの回復をしてもらった。
その間に近くの森に入り、誰もいないことを確認してソウビを出した。
「ごめんねソウビ、この地方を出るまではソウビを出せないんだ」
【分かってる、俺はここにはいないポケモンだ。変な混乱を招くより
アルに迷惑をかけるよりはいい】
「本当にごめん、その代りこうやって人のいない間は出して一緒にいるよ」
【ありがとうアル。
もう戻ろう、コウキも回復は終わってる筈だし何よりアルがこれ以上
ここにいる方が危険だ】
森の中は野生ポケモンが多くいる。
通常色ポケモンに襲われやすい俺は格好な的だ。
ソウビはそれをいやというほど知っている。
トレーナーとしては情けないな、俺。
「そうだな、戻ったら俺特製のポケモンフード出すよ」
【あれは本当に美味いからな、市販のものが食べられなくなる】
「お世辞ははいいよ」
【(本当のことなんだが…)】
明日はハナダに行く前に危険だけど森に入るか、と明日のことを
考えながらポケモンセンターに戻った。
後書き なんか主人公無双になってしまった。
やっぱりバトルを書くのは難しい。
そしてあなをほるの対策…あれでいいのか、卑怯じゃないよね。
次は草霞との出会いです。
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