ニビジムに勝利し次のジム、ハナダジムに挑戦するためにハナダシティに向かう俺たち。
だけど次もコウキだけ頑張ってもらうわけにはいかない。
できれば仲間が欲しい。
コウキは草タイプのリーフィアにもなれる、だけどカントーにはリーフィアはいない。
だから次はサンダースで出てもらう。
それでもやっぱりコウキの負担になるから新しく仲間が欲しい。
そのために俺はハナダシティに向かう途中にある森に入った。
一応自分の体質は理解しているため慎重に奥へと進む。
俺はあの爺さんの特典で通常色のポケモンは仲間には加えられない。
だから奥へと進みいるかもわからない色違いポケモンを探す。
見つからないときはその時だ。
ソウビとコウキはボールから出ている。
別にいいと言ったのだがソウビとコウキに何度も出ると言ってきかないので
森に入った瞬間にコウキを出し、少し行った所でソウビを出した。
ソウビは俺の隣で一緒に歩き、コウキは俺の肩に乗っている。
心配性だなぁ。
奥へ進むとだんだん薄暗くなってくる。
葉で太陽光が遮られるのだ。
そうなるとここには草タイプはいないと思えた。
もう少し奥に行ってから戻ろうと考えた俺は足を進めた。
「うわぁ…」
【これは…】
【おっきいぃ】
奥に進むと開けた場所に出て中心には一本の大樹が立っていた。
近くで見るとさらに大きい。
根っこも十人くらいは軽くまたはそれ以上、乗れるくらいに大きく太かった。
とても何百年でここまで大きくなれるとは思えなかった。
ソウビとコウキに遊んでもいいよといい、最初は遠慮していた二人だけど
俺が何度も言うとソウビは違う根っこの場所に行き、コウキは駆け回っていた。
二人を眺めながら俺は根っこに登り幹に体を預け寝る体制に入る。
枝も長く葉も生い茂っていたため丁度いいぐらいの木漏れ日ができていた。
あまりの気持ちよさに俺はすぐに寝てしまった。
どのくらい経っただろう。
ふと目が覚めて俺の隣にはソウビがいた。
吃驚したがよく見るとソウビも寝ている。
朝早くに出たため、太陽の位置を確認するとほぼ真上にあったため
もうそろそろお昼の時間帯だということが分かる。
結構寝たな。
コウキを探してみるとどこにも居らず、焦る。
ソウビを起こさないように地面に降りる。
きょろきょろと見渡してもコウキの姿はない。
根っこの間はコウキぐらいのポケモンなら簡単に通れるくらいの大きさだ。
それによく見ると空洞らしきものもいくつか見える。
もしかしたらその中に入ったのでは思い、近くの空洞から調べることにした。
鞄の中から小型のライトを取り出し、灯りをつけて中に入る。
「コウキー、どこにいるんだー?」
声を出して探しているのだが返事がない。
もしかしたらこの穴ではないのかもしれない。
引き返そうとしたときにか細い声がした。
【だ…れ…な…の】
コウキの声じゃない。
ということはここに色違いポケモンがいる。
踵を戻し、奥に走る。
不安がよぎる。
二人とは違って弱弱しい声、今にも消えてしまいそうな声。
走る、走る、そんなに深くはないと思っていた空洞は思った以上に深く
さきほどの声の主はどこにいるのか、手遅れになる前に会わないとっ。
樹の中だというのにまたもや開けた場所に出た。
そこはところどころ穴が開いているため日の光が入っている。
例えるなら、ジ○リのト○ロの寝床を小さくして少し暗くした感じの場所だった。
その奥にはぽっかりと小さなポケモンなら余裕で入れる穴があった。
「誰か、いるのか?」
【だ…れ…?】
穴から声が聞こえた。
ライトをいきなり当てるのは失礼だと思い、近づく。
近づくにつれて声の主がはっきりとしてきた。
穴より少し小さいくらいのフシギダネがいたのだ。
よくよく見れば色違い、だから声が聞こえた。
すぐに俺は駆け寄り、フシギダネを間近で見る。
身体は見るからに痩せ細っており、目の周りは酷いクマができていた。
「っ何でこんな身体になるまで放っておいたんだ!」
鞄を降ろし中を探るが水はあったが木の実などがない。
とにかく俺は水を少しずつフシギダネに飲ませようとした。
だが、もうその気力がないのか一向に喉に通る気配がない。
俺は逆に腕に抱え仰向けの状態にしてみた。
この体制なら自然と通るだろう。
水を飲ませると少量ではあるが喉を通った。
それが分かるとすぐさまを水を片付け鞄を持ち直し、フシギダネを抱え
穴の外へと一直線に走った。
穴を出るとソウビとコウキが慌てて駆け寄ってきた。
【いきなり居なくなるな!心配するだろう!】
【アル、お願いだからどこか行くときは僕かソウビを連れてって】
二人から心配したと何回も言われ本当に申し訳なくなる。
【あれ?この子どうしたの?】
コウキが腕の中のフシギダネに気づき首をかしげる。
ソウビも気づきどうしたのかと聞く。
「今から最寄のポケモンセンターにこの子を見てもらわないといけないから
ソウビごめん、ボールに戻って」
ソウビは頷くとボールに戻る。
コウキに走るよというと、全速力で森の中を駆けた。
ところどころでポケモンの攻撃にあうがコウキに相殺してもらっている。
ようやく森を抜け最寄のポケモンセンターに急ぐ。
着いた頃には俺もコウキも息切れが激しく、酸欠で倒れる一歩手前だった。
そんな俺たちを見たジョーイさんとラッキーが慌てて駆け寄ってきた。
ロビーにいた他のトレーナーたちも何事かとこちらを興味深そうに見ている。
「ジョー、イさん、この、子を、お願い、します…」
話したせいで咳が出る。
ジョーイさんにフシギダネを渡すと、その容体の悪さにジョーイさんは
顔を引き締めすぐに奥へと入っていった。
ラッキーはジョーイさんの後を追わず、俺たちの側にいた。
確かに俺たちもラッキーから見れば患者だよな。
そんなことを考えるが、フシギダネがジョーイさんの手に渡ったのを見て
安心したのか、俺は目の前が暗くなった。
日が沈むころに目を覚ました。
自分が寝ていたことに気がづくとガバリッと体を起こす。
かかっていた毛布を跳ね除けて横になっていたベットから降りようと
足を床につけて立とうとしたが、足に力が入らず座り込んでしまう。
触ってみると足が笑っていた。
どうしようかと考えていると部屋のドアが開き、ここで個室にいたことに気付いた。
「あら気付いたのね」
「ラッキー」
ジョーイさんとラッキーだった。
そういえばフシギダネを渡し後気絶したんだっけ。
「酸欠で倒れたのよ、どう?頭は痛くない?」
「あっ頭は大丈夫ですけど足が…」
ジョーイさんに手伝ってもらいベットに腰掛ける。
足を診てもらい、どうやら全速力で長い距離を走ったせいで足が疲れ切ってるらしい。
マッサージしてもらい、明日には動けると聞いた。
「あの、俺のイーブイとあのフシギダネはっ!?」
「あなたのイーブイは今は寝ているわ、一緒に走ってきたようだし
目を覚ましたらマッサージしておくわ」
一先ずホッと息を吐く。
「あのフシギダネのことだけど、もう少し遅かったら命にかかわっていたわ。
でも今は栄養剤をうって寝ているわ。
そういえば水を飲んだ後があったのだけど、あれが無かったら本当に危なかったわ」
どうやらあの処置でよかったみたいだ。
「あの、あのフシギダネすごいクマだったんですけど…」
「私も気になったわ、あの身体の衰弱といい目の周りのすごいクマ。
クマに関しては一週間以上は寝ていないわ」
俺もそれぐらいかなと思っていたがまさか以上とは。
だがそれだけであれだけ衰弱するのだろうか。
睡眠は体力回復につながる重要な要素だ。
寝ていないだけなら目のクマは説明できる、だが身体の衰弱までは説明できない。
「検査したら、胃の中が空っぽで最近食べた形跡がないのよ」
ということはあのフシギダネは眠っていないのと同時に何も食べていなかった。
それならあの身体の衰弱は説明できる。
「フシギダネに会うことはできますか?」
「今は無理ね、ここ数日は安静にしておかないと」
「そうですか…」
お大事に、とジョーイさんたちは戻っていった。
俺はソウビをボールから出し、鞄の中に入れてあったポケモンフードを渡す。
【気になるのか?】
「ん?あぁ、なぁソウビあの子を仲間にしようと思うんだが」
【俺は反対はしない、その子が決めることだ】
「だな、でも俺的には仲間になってほしいよ」
いつもより早いがソウビと一緒に寝ることにした。
明日はコウキも一緒に。
早く寝たために夜中に目が覚めてしまった。
再び寝ようと思っても変に目が覚めてしまい、寝ようと思っても眠れない。
俺はソウビを起こさないようにベットから抜け出し歩けるかどうか
確認すると案外歩けた。
部屋を出ると、薄暗い廊下だった。
外の空気にあたろうと外につながる廊下を歩いていると
外に出ると誰かがいる気配がした。
他のトレーナーかなと思ったが、絶対安静であるはずのあのフシギダネがいた。
「いやいやいや、ちょっと待とうよ」
えっまさかここを出ていく?
まぁ確かにトコトコ歩いているがその姿は今にも倒れそうで危なっかしい。
眺めているとフラッと倒れそうになり、その姿に俺は飛び出し抱えた。
「お~い、大丈夫か?」
【誰?】
初めに聞いた時よりはしっかりした声。
どうやら少しは回復したようだ。
【あっ君、あの樹の中であった…】
「アジュール、言いにくかったらアルでいいよ、ではフシギダネ君。
君はこんなところで何をしているのかな?」
【…森に帰るとこ】
目線を合わせて話はしていたがその話題になった途端、目線を外した。
後ろめたいことでもあるのか?
「…そんな身体で?悪いけど、そんな身体じゃ森につく前に死ぬよ」
【…わかってる、だから森に帰るんだ】
愕然とした。
そんなの死ぬために森に帰ると言っているようなものだ。
「何で…そんなこと言うんだ」
【僕はいてもいなくてもいい存在なんだ、みんな僕をおいて何処かへ行ってしまう】
もういいだろう、と腕の中で抜け出そうともがく。
誰が離すか、そんなこと言ってほしくない。
「だったらさぁ俺の仲間にならない?」
【えっ…】
「俺たちだったらどこにも行かない、行くときは一緒。
だから俺たちの仲間にならない?」
目線を合わす、フシギダネの目はどんどん潤んでくる。
【本当にどこにも行かない?】
「あぁ」
【母さんたちみたいに寝ている間にどこかに行かない?】
「ちゃんと側にいる」
【友達みたいに急にどこかに行ったりしない?】
「行かない」
【一緒にいてくれる?】
「当たり前、いなかったら仲間じゃない」
【なる…仲間に、なる】
ボロボロと涙を流す、なんだがソウビの時のことを思い出す。
ギュウっと軽く抱きしめる。
それをきっかけに泣き出すフシギダネ。
思いっきり泣けばいい、泣き終わったとき、きっとすっきりしていると思うから。
「さて、泣き止んだかな」
【うぅ服ごめんなさい】
「あぁ気にすんな、草霞の悲しみに比べれば軽い軽い」
【草霞?】
「俺は仲間になったポケモンには名前を贈ってるんだよ。俺の仲間って証」
まぁもう一つあるけど恥ずかしく言えない…。
「草はフシギダネは草タイプで、霞(か)は霞(かすみ)って意味で
かすむやぼやけるって意味があるんだけど、初めてお前を見たときのお前の姿は
今にもかすんでしまいそうな奴だったからな、でも今はちゃんと“いる”。
だからもう二度と消えないように、草霞“クサカ”」
気に入ってくれたかな、意味不明な名前の由来だけど
そう思ったからこそ、この名前にした。
もう二度と消えない、ちゃんとそこにいる。
その意を込めた霞。
【草霞、僕の名前は草霞だ!】
本当ますますあの時のソウビとそっくりだ。
かわいいなぁ。
「さて、戻ろうか」
【うん】
この後部屋を抜け出したことをジョーイさんとソウビたちにバレて
説教を受けたのはいい思い出だ。
おまけ
「新しく仲間になった草霞だ。仲良くしろよ~」
【くっ草霞です、よろしくお願いします!】
【そんな固っ苦しくなくていいよ~、僕はコウキよろしく】
【俺はソウビだ、よろしくな】
【さてクサカ、仲間になったところで言っておく】
【はっはい】
【決してアルを一人で出歩かせるな】
【はい?】
【実はアルね、何でかポケモンに襲われやすくて、一人で出歩かせるのは危険なんだよ
特に森はね】
【そういう訳で俺は諸事情によりできない、だからコウキとクサカ
二人に頑張ってもらいたいんだ】
【任せて~】
【僕を救ってくれたアルのためです!僕も頑張ります!】
【たのむ】
「俺ってそんなに危なっかしいのか?」
そんなことを呟くアルだが小さかったために三人には聞こえなかった。
ってな訳で草霞が仲間になりました。
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