ポケットモンスターTrip 頂へ目指す者 作:匿名おっさん
さて、焦った様に出したとはいってもポケモンを出した瞬間に頭が冴えわたり、相手の方を向き見定める。
年は僕と同じいや、少し幼いのかな?12、3歳位の新人トレーナーだろう。しかし、この時間帯は町や都市外に出れる適応年齢での新人は弱い訳がない。
つまり結論を言えば、
「大当たりってことだな」
「な、何が当たりなんですか?」
軽く後ずさり顔がこわばっている少女から察するに、また獰猛な笑みを浮かべてるだろう。そう言えば、僕のバトル時での豹変ぶりに動揺しない人あまりいないな。グリーンさんやリーフさんとかゲームでのライバル・女主人公の立ち位置の人たちにも軽く引いているか、怯えられていたし驚かないのはレッドさんかあの並行世界のボスさん、それに"あの人"位か?そんな関係ないことはともかく...
「いや、何でもないよ。始めようか」
その言葉と共にバトルが開始する。
少女の目つきが変わりこちらの出方を伺っている。相手はマリルを繰り出しているのに対して、僕は最近先発として多く使っているジャラランカのジャララだ。相性的に最悪だがさあ、どう行こうか?
ジャララに目を向けると、好きにやらせてほしいという顔をしてきた。仕方ない。目線で許可を出すと尻尾をぶんぶんと振って嬉しそうに雄たけびをあげる。
前世で飼っていた犬にそっくりな姿に少し笑ってしまうが、すぐに頭を切り替えて
「行け!ジャララ!!」
そう言うと、勢いよく飛び出していく。
「タルトちゃん、じゃれつく!!」
マリルのどこかあざとい突撃、その直撃はまずい!
普段ならきあいだまとかで相手と少し距離を作って相手に有効なかみなりパンチとかをぶちかますけど、今回はジャララの好きにさせるって言ったし、仕方ない少し
瞬時にジャララの動きに合わせ、マリルの攻撃から腕を十字にしてガードするように動く。
ズンと腕に重みを感じ、足に力を入れる。なかなかいい攻撃をするな!!
ジャララの少し辛そうなうめきをするが瞬時にマリルを捕まえ、地面に叩きつけた。
「タルトちゃん!!」
マリルのトレーナーが焦って、指示を出さない。これで終わりかな。ジャララは全体重が乗ったかみなりパンチがマリルに振り落とす。
地面が軽く鳴り響き二匹の周りには電気のおびた砂煙が舞う。
数秒後、煙が収まると目を回しているマリルと悠然と立っているジャララの二匹。勝負はあっさりと決まってしまったな。
「...お疲れ様です。タルトちゃん」
「頑張ったなジャララ」
お互いのポケモンをボールに戻す。今回はレベル差と進化形態に助かったな。相手のマリルがマリルリだったら、じゃれつくの一撃で体力が全て持っていかれていたかもしれない。
「手合わせありがとうございます。お強いんですね」
「こちらこそ。今後の課題が見えたバトルだったよ」
もし観客が居たとしたら、圧勝と思われる戦いだったかもしれないが、実際の中身はかなりギリギリの戦いだった。
いくらまだ育成途中とはいえ、ジャララの弱点であるフェアリータイプの対策を速急に考えていかなければいけない。あの二人の先生役としてジャララの育て方を見せるのも勉強になるしな。そんな今後の事を考えていると
「どうやら、友人がラムネを保護してくれたみたいです。こんな茶番に付き合っていただいたのにすみません」
「それは別にいいけど、何でバトルになったの?僕的にはとても嬉しいけど」
「ラムネはバトルを見るのが好きで、バトルしてる場所によくふらっと行ってしまうのでバトルをしてたら捕まえられるかなって」
「ええ・・・」
そのラムネってポケモンはある意味僕と似た気質なのか?
はあ、もう満足したし
「じゃあ、縁が有ったらまたバトルしよう」
「はい。次は負けませんよ」
またこの娘と会える気がする。