僕は公式序列戦の後、しっかりダウンをしてシャワーを浴びて、ゆっくりと生徒会長室に帰ろうとした。あの公式序列戦からもう、2時間近く経過していた。
そんなこんなあって、僕は生徒会長室に入った。
「ただいま戻りました。アーネストさん。」
「うん、実にいい戦いだったよ。」
アーネストさんが僕の試合を講評してくれた。ただその中で、違和感を感じた。
「あれ、ノエルはどこにいるんですか?」
僕がアーネストさんたちにたずねた。
「2時間ほど前にスバルに会いにそちらに向かったはずなのですが……。会っていませんか?」
「いえ、一度も来てませんが。」
僕がそう言うとみんなの空気は一変する。
「まさか、何かあったのでは………」
「もしかするとな。ハプスブルクのやつらが何か手を引いているかもな。あいつらは執着心がすごいし。」
「俺は防犯カメラの映像を見てこよう。」
レティシアさんとケヴィンさんが話し、ライオネルさんは生徒会長室を出ていった。
「まさか、負けたぐらいで誘拐とかをするとはガラードワースとしては情けないね。」
アーネストさんは苦笑している。
すると、僕の携帯端末に一通のメールが入った。
それを見た瞬間僕は生徒会長室を飛び出す。
「スバル、待ちなさい‼」
レティシアさんが叫んだが、アーネストさんはそれを止めた。
「僕らはライオネルの調査が終わってから向かおう。下手に王族を証拠不十分で検挙したら、僕らの方も危ない。」
アーネストがそう言うと、レティシアたちはそれに納得した。
ガラードワース港湾付近空き倉庫
ノエルside
私は目覚めると、腕を拘束されていた。
「おや、目覚めましたか。」
声のした方を見ると、そこには先程お兄さんと戦ったハプスブルクさんとニッケルさんとリカードさんがいた。ただ、その周りには他にも200人ほどマフィアみたいな人がいた。
「ハプスブルク様の言うとおり、レヴォルフの中規模のマフィアグループをお金で雇いました。」
「おそらくあの卑怯者はここに来るはずだ。その時にこの数であいつを制裁してやるんだ。」
「な、なぜ私を捕まえたんですか!!」
私は彼らにたずねた。
「それはもちろんあなたを取引に使うからですよ。今すぐに序列を返せとね。まぁ、取引などするつもりはないがね。」
「彼に制裁を加えれば、洗脳も解けるはずです。ノエル様にも一応メリットはあるのですよ。」
ハプスブルクさんとニッケルさんがニヤニヤして答えた。
「それにしてもやはり君はかわいい。私の妻になることを許してあげましょう。」
ハプスブルクさんが近づいてくる。
「い、いやっ来ないで。」
私は魔女の力を使い、茨を地面から生やし彼をひっぱたいた。
「な、きさま無礼だぞ。不敬罪で訴えてやる。皆、やれ。」
200人ほどの男が近づいてくる。私の魔女の力は発動するのには時間がかかる。もうだめだと思った瞬間、
私と彼らの間に赤い熱風の竜巻が吹いた。
「来たようですね。」
ハプスブルクさんが倉庫の入口を見ると、そこにはお兄さんが立っていた。
「お兄さん!!」
「待たせたね。ノエル。」
お兄さんは剣を振り回すと、弱い赤色の竜巻が私の方に来て、腕を拘束している縄を切った。
私はその瞬間を見計らって、お兄さんのもとに行った。
スバルside
ノエルが僕の所に来て、服にしがみついている。
「ハプスブルクさん。こんな真似をしてどういうことですか。犯罪行為ですよ。」
僕は怒りを隠せない。
「やはり、悪には悪をもって制するしかないと思いまして。あなたがノエルさんを助けなければ、穏便に取引が出来たと思っているのでしたが。」
「もし取引をするならどのような内容ですか。」
僕は皮肉を込めて彼らに言った。
「そうですね。ノエルさんの解放の代わりにまず、序列の返還と洗脳を解いてもらうことです。あとはですね、私への慰謝料と………あなたが叶える願いの権利ですね。」
彼らはつらつらと自分の欲望を言った。
「はぁ…………」
「舐めてるんですか。このバカ共は。僕の知る王族の姫はあなたより数百倍優れていますよ。」
僕はもう隠しきれず、本音が出てしまった。
「おまえ、よくも私をバカにしたな。不敬罪だ。お前なんかここで終わりにしてやる。」
彼がそう言うと、マフィア達やリカードとニッケルが煌式武装を構える。
「返り討ちにしてあげます。」
僕は純星煌式武装を構えて、起動状態にする。
「やれっ!!」
ハプスブルクの声で彼らは動き出した。
「まとめて相手をしますよ。メテオストーム!!」
僕は先程の公式序列戦よりも大きく、たくさんの火球を空中に作り出した。
「はあぁぁぁぁぁ!!」
たくさんの火球が彼らを襲う。
「「「ぐわあぁぁぁぁ!!」」」
今ので80人ほどやり、怯んだ20近くを剣で斬り倒す。
「なっ!?もう半分近くやられたのか。役立たずどもめ。」
ハプスブルクさんが喚いていると、倉庫の入口に4人ほどの人の姿が映る。
「おお、
フェアクロフ。あの男を倒してくれ。あいつは私を侮辱したのだ。他の者も頼む。チームランスロットの仲間だろ。」
ハプスブルクさんはアーネストさんやレティシアさん達に懇願していた。
「そうですね。ここには犯罪者がいるそうだし、私達も加入しなければなりませんね。」
アーネストさんはそう言うと、校章を触る。
「この場にいる銀翼騎士団(ライフローデス)の者たちよ。正義と秩序のために序列一位の名において戦闘を許可する。
元・序列五位キース・ハプスブルク及び元・序列七位ニッケル、元・序列十二位リカードの一派を鎮圧せよ。」
「「「「了解。」」」」
レティシアさんたちは戦闘体勢に入った。
「そ、そんな。」
ハプスブルクさんがうろたえると、彼の顔面にケヴィンさんの拳が当たり、倉庫の奥の方まで吹っ飛ばされる。
「チームランスロットの仲間だぁ。チームの練習にも来なかったやつがチームの仲間語ってんじゃねぇ。」
「スバル、私とライオネルはニッケルとリカードをやります。あなたはアーネストと一緒にマフィアの片付けを頼みますわ」
「分かりました。頼みます。」
レティシアさんの指示で僕はマフィアと戦うアーネストさんの方に向かった。
「やぁ、スバルくん遅くなったね。」
アーネストさんが白濾の魔剣(レイ=グラムス)をふるいながら、僕に挨拶をしてきた。
「いえいえ、グッドタイミングです。ところで、アーネストさんとツーマンセルなんて魔女狩り以来ですね。」
僕がそう言うと、アーネストさんは笑った。
「そうだね。じゃあ行こうか。」
「はい。」
こうして、アーネストさん達の加入によりハプスブルクさんの暴挙はすぐに鎮圧された。
しばらく待つと、ガラードワースの諜報機関至聖公会議(シノドミアス)の面々がやってきた。どうやらハプスブルク達の引き取りに来たようだ。
「そう言えば、よくハプスブルクさん達に手が出せるように、
EP(エリオット=パウンド)から連絡が来ましたね。」
「いや、僕らは彼らが誘拐した場面の防犯カメラの映像しか証拠を持ってなかったけど、ダイバーシティの人がレヴォルフのマフィアとの取引現場など彼らがアスタリスクに来てからの悪事の証拠を持ってきてね。」
アーネストさんがそう言ってると、
「ハプスブルクがいないぞ‼」
そんな声が聞こえると、海の方から白い雷のようなものが見えた。なんだあれ。
ハプスブルクside
「ひぃぃ、私だけは助かるんだ……」
私は港にある自分のクルーザーにエンジンをかけた。外まで出れば大丈夫でしょう。
沖までやってきた。やった、ここまで来れば…………。そう思っていると、横から轟音を立てた白色の飛行機のような翼をもつ物体がクルーザーと並走するようにやってきた。
すると、剣のようなものから白い雷が出て、クルーザーを襲う。なんだこいつは。
「あれれ、ハプスブルクさんどこに逃げるんですか? 」
男が声をかける。
「お前は………三条ラン。」
こいつはいつもあの男とつるんでいるやつだ。だが、俺はなんとしても逃げなければ…。
「取引をしよう。もし私を見逃してくれたら、好きな分だけお金をやろう。君は学校を作るのだろ。その資金さ。」
よし、こいつは食いつくはずだ。
「そうですね。お金は欲しいのですが………
もうすぐ無くなる王国の金なんて要りません。」
今、何て言った。私の王国が無くなる?まさかな?
「取引はおわりですか。実は友達を貶めるやつが嫌いでしてね。そう、あなたのようにね。」
三条は純星煌式武装に力を込めて私に向かって発射した。
スバルside
先程の爆発を聞いた直後、ランがルナティック・ジークヴルムを使って空から降りてきた。手元には黒焦げのハプスブルクさんがいた。彼はそれを至聖公会議に引き渡す。
「ラン、メールをくれて助かったよ。」
「いや、偶然ノエルちゃんが誘拐されるところを目撃したところだよ。」
彼は偶然、特待入学生のリストをアーネストさんに渡しに行く途中で遭遇したそうだ。
「そう言えば、この事件をダイバーシティの人が関わっているんだけどランは知らないか?」
「いや、まったくだ。」
「それは俺だ。」
後ろを振り替えると、眼鏡をかけた執事の服をした男と黒髪の着物姿をした女性が立っていた。
「クロヴィスさんとシェインさん!?」
「新人さんお久し振りです。」
シェインさんが挨拶をした。
「どうして、ここに?」
「俺は証拠を提出した事件参考人としてで、シェインはレイナの代理だ。」
「何かあるんですか?」
「実は今回の事件で、多くの悪事が発覚して彼の王国はなくなり、領土を再分配する会議があるんですよ。」
シェインさんが説明してくれた。
「しばらくはアスタリスクにいるからまた会おう。」
そう言うと、彼らは港を後にした。
彼らを見送った後、アーネストさんたちがやってきた。
「これで銀翼騎士団も綺麗になったね。」
「でも、銀翼騎士団で3人も抜けてしまいましたね。これからどうするんでしょうか。」
僕はアーネストさんにたずねた。
「実はねEPの人たちから提案があってね。」
「ノエルちゃんとエリオット君を序列7位と序列12位に任命する予定があるんだよね。」
「「えっ?」」
これには僕もノエルも驚きを隠せなかった。
「といっても、後日行われる信任の序列戦で認められたらの話なんだけどね。」
「序列6位はどうするんですか。」
「ああ、それは「ちょっと待った~」どうしたんだいランくん。」
「あのその件なのですが、スバルには序列6位のままでいてくれなきゃ困るんだ。」
「……その件から見ると、今年の特待生に序列を最初からあげなければならない大物がいたんだね。いったい誰なんだい。」
「《研究所》出身で贖罪の錐角(ゴート・アマルティア)の二十年ぶりとなる使い手です。」
「あれを使える人があらわれたのですか!?」
レティシアさんは驚いていた。
「名前は……………パーシヴァル・ガードナーです。」
後日、ハプスブルクさんの王国は統合企業財体によって解体された。シェインさんの進言で7割ほどが隣国のリーゼルタニアの領土となった。また、ハプスブルクさんたちはアスタリスクの永久追放となっていた。
一方で、ガラードワースでは推薦新入生の銀翼騎士団への信任をする序列戦があり、ノエルとエリオットは序列8位と序列13位と戦った。その結果…………
新序列7位:ノエル・メスメル
二つ名:聖茨の魔女(ペルセフォーレ)
新序列12位:エリオット・フォースター
二つ名:輝剣(クラウ・ソラス)
無事に勝利した。とてもうれしかった。
そんなこんな忙しかった日々も徐々に過ぎていき、もうすぐ春を迎える時期になっていた。
というわけで、公式序列戦編が完結しました。
次回からは時期が飛んで春となりますが、その間に閑話を挟もうと思います。主な話はオーフェリアの解放と春からやって来るリーゼルタニアの姫様の話とほのぼのとした日常の話ですね。
次回も楽しみにしてください。