学戦都市アスタリスク~調律の魔術師~   作:リコルト

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クロヴィスの日記その2

 

 

〇〇月★★日

 

 

 

「お、来た来た。待ってたぜクロヴィス。」

 

 

いや、俺は貴様を待った覚えはないし、まるで会うかのような約束すらした覚えはない。

 

 

俺は今日もブックマーケットが開かれるということで再び歓楽街に来ていたが、俺が用事を済ませて歓楽街の入り口から出ようとした所を赤髪のサングラスの男ーロドルフォ・ゾッポに呼び止められた。

 

 

俺は無視するわけにはいかなく、仕方なくロドルフォの元に向かう。

 

 

おい、なぜ今日俺がここに来ることが分かった?

 

 

「お前がここに来ることなんてオモ・ネロの情報網を使えばすぐに分かることさ。」

 

 

くっ。確かに歓楽街を取り仕切るオモ・ネロにとっては歓楽街に来る人の事などすぐに分かるだろう。だが、俺は別にオモ・ネロに目をつけられるような事はしていないはずだが、何故俺を探していたのだろう。

 

 

「なぁなぁ今日お前はこれから暇だよな。少し俺に付き合わないか?」

 

 

俺が考えていると、ロドルフォが俺に訊ねて来る。

 

 

確かに俺は暇だが、何故マフィアの事情に付き合わなければならないのだ。

 

 

俺はロドルフォに断ろうとすると………

 

 

「そういやこの前何か強くなろうとしている悩んでいる雰囲気があったんだが、もし俺に付き合ったら今からオモ・ネロしか知らない強くなれるだろう場所を紹介するぜ。」

 

 

………やはりこの男は侮れないな。まさか一回会っただけで人の悩みを雰囲気から理解出来るとは。

 

 

マフィアのリーダーに付き合うのは俺自身も気が乗らないが、オモ・ネロしか知らないその場所は気になる。恐らくこれを逃せばオモ・ネロ側からそのようなコンタクトをして来るチャンスなんてまずあり得ない事だろう。しかもリーダー直々でだ。

 

 

俺は仕方なくロドルフォの頼みを承諾した。

 

 

「やっぱり強くなる事に興味が湧いたか。俺はそういう奴は好きだぜ。それじゃ行こうぜ。」

 

 

俺はロドルフォの後について行く。

 

 

おい、こいつは一体何処に連れて行く気だ?

 

 

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

 

俺はロドルフォに連れられある場所に向かうためにオモ・ネロが管理する地下街を歩いていた。

 

 

そこはどうやらオモ・ネロの関係者やロドルフォが認めた人しか使えないらしい。地下街の中には武器を売っている店や小さなカジノがあった。

 

 

「さぁ、着いたぜ。」

 

 

ロドルフォが鉄扉の前で立ち止まる。

 

 

一体ここに何があるっていうんだ?

 

 

「それは中に入ってのお楽しみさ。」

 

 

ロドルフォがそう言って俺を鉄扉の中に招き入れる。入ると通路が広がっており、俺は通路を歩く。

 

 

通路が終わり、開けた場所に出ると俺の視界に広がっていたのは……………

 

 

『~~~~~~~~!!!!』

 

 

『そこだ!!やれー!!』

 

 

中央にリングがあり、リング内でオモ・ネロの構成メンバーあろう二人が戦っていた。周りの男達は酒などを飲みながら彼らを応援していた。まさかここはオモ・ネロの地下闘技場なのか?

 

 

「リーダーお帰りなさい。眼鏡をしたその方はリーダーの客人ですか?」

 

 

オモ・ネロのメンバーの一人が俺の方を見てロドルフォに訊ねた。

 

 

「ああ、そうだ。少しリング借りるぞ。」

 

 

そう言ってロドルフォはリングの方に向かい、戦っていた人達をリングから追い出す。

 

 

「クロヴィス、早く来いよ。」

 

 

ロドルフォがリングから俺を手招きする。俺は周りのオモ・ネロのメンバーが俺を見ている事もあり、ロドルフォに従ってリングに上がった。

 

 

「さぁ、遊ぼうぜ。」

 

 

ロドルフォがメリケンサック型の煌式武装を取り出して俺に向けて戦闘の構えをとる。

 

 

まさか………

 

 

「そうだ。お前の相手を俺がしてやるって話だよ。これでもそこらの奴より強いと自負してるんだ。」

 

 

確かにロドルフォ・ゾッポはオーフェリア・ランドルーフェン(規格外)を除けばレヴォルフ最強の男である。そして彼は強さは知られているが、星武祭やランク戦には出たことがないため戦える機会が非常に少ない。

 

 

だがなぜ俺と戦ってくれるのだろうか。ロドルフォにはメリットが無さそうに見えるが………

 

 

「メリットはあるさ。お前は俺を楽しませてくれるとあの時見て思ったからな。お互いにWinWinな関係だろ。」

 

 

まさかそれが今日俺を出待ちしていた理由か。

 

 

「ああ、そうだ。」

 

 

どうやら俺はロドルフォに絡まれた時点でこうなることは確定していたらしい。

 

 

だが、ロドルフォの言う通り俺にもメリットがある。滅多に戦えず、ましてや実力が伴う相手なら実践の戦いの中で何かを見出だせそうだ。

 

 

こんな機会滅多にないな。ならばお前をお望み通り楽しませてやるよ。

 

 

俺は戦いの姿勢を取った。

 

 

「じゃあ、行くぜ!!」

 

 

 

 

バキィィィィィン!!

 

 

 

ロドルフォの拳と俺の拳がぶつかり合った。

 

 

 

 

……………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

 

…………………………………………………………………

 

 

 

 

ハァッ…………ハァッ…………

 

 

 

ロドルフォと戦い始めてもう何十分経っただろうか。試合は未だ決着がつかない状態だった。

 

 

だが………………

 

 

「おいおい、息上がってるぞ。」

 

 

明らかにこちらが劣勢である。

 

 

ロドルフォには範囲内の星辰力を操る能力があるため、迂闊に近づくと先日の路地裏の男みたいに体を爆破されてしまう。だから俺は星辰力をなるべく出さないようにしながら相手に素早くヒット&アウェイ戦法で戦った。この方法なら彼の致命的な攻撃は避けられるだろう。

 

 

だが、星辰力を込めない攻撃というのは《星脈世代》にとってはあまり意味を成さない攻撃であり、実際ロドルフォに攻撃を与えられたもののいずれも致命打ではない。

 

 

やはり化け物だな。《魔術師》の中でもその能力は異質過ぎる。ロドルフォが能力を発動させている以上彼に近づくことができないし、俺の拳による衝撃波だって星辰力で出来ているため撃つだけ無駄である。

 

 

 

何処かに隙はないのか…………

 

 

 

俺は拳を地面に叩きつけた。

 

 

「もうおしまいか?でもお前のスピードによるヒット&アウェイ戦法は確かに俺には有効だ。そこまで頭が回る奴だからそこそこ楽しかったぜ!!」

 

 

ロドルフォがこちらに向かって来る。

 

 

 

その瞬間……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グボッ!?」

 

 

 

 

ロドルフォの体が宙に浮かぶ。

 

 

 

それはロドルフォが地面から突如現れた腕の形をした衝撃波の塊がロドルフォをアッパーするかの如く彼の顎にヒットし、叩き上げられたからだ。

 

 

 

今だ!!吹き飛べ!!

 

 

 

俺は空中に上がったロドルフォに拳による衝撃波を打ち放つ。それはロドルフォの能力に干渉されず、彼に直撃する。

 

 

 

「ガハッ!!」

 

 

 

ロドルフォはリングの端に飛ばされる。どうやら一回だけだが綺麗に決めることができた。

 

 

 

「ハハハ!!!参った参った。俺の負けだわ。」

 

 

 

ロドルフォはそう言って立ち上がる。

 

 

「ここまで綺麗にやられるのは久し振りだわ。やはりお前は見込み通りの男だったようだ。」

 

 

ロドルフォはそう言って俺に近づく。

 

 

「おい、今すぐ酒を出して来い。もちろんこの男の分も忘れるんじゃねーぞ。今日は気分が良い。」

 

 

ロドルフォがそう言うとオモ・ネロのメンバーが急いでお酒の準備を始めた。

 

 

俺は戦いの中、ロドルフォから足にダメージを受けたため彼に肩を貸して貰いながらリングを出た。リングに出ていく途中観客からは

 

 

 

『おい眼鏡、良い勝負だったぜ。』

 

 

 

『おい、あいつ何者だよ。』

 

 

 

という声が聞こえた。

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

「ハハハハッ!!まさかこんなに俺に攻撃を決められたのはオーフェリア以来だぜ。」

 

 

ロドルフォはそう言ってグラスに汲まれたビールを飲む。ちなみに俺はワインを所望した所、市場価格で数十万円もするワインが出された。俺は遠慮したんだが、ロドルフォが『お前は特別だからな。』と言って勧めて来るので、甘んじて受け入れた。

 

 

俺はこんな高いワインを飲んだことがなく、ロドルフォみたいにグビグビ飲まずゆっくりとワインを堪能した。戦いの後のせいなのか、とにかく旨かった。ていうか、ロドルフォは学生だよな?飲酒して大丈夫なのだろうか?

 

 

「なぁなぁ、クロヴィス。さっきの俺に与えた一撃って設置型の能力だよな?いつから仕込んでた?」

 

 

ロドルフォや周りの者が興味を持って聞いてくる。

 

 

…………あれは咄嗟にやった事だ。お前が言う設置型の能力じゃないし、ましてや俺は《魔術師》でもない。

 

 

「ハアッ!?なら、あれは偶然に出来たのかよ。」

 

 

ああ、その通りだ。《星脈世代》の人は何らかのイメージを持って戦う人が多いはずだ。俺もそれにしたがってあるイメージを持って戦っている。《神の下で平等に俺の拳が制裁する》というイメージだ。お前がやられる前、俺はそれを強く考えた。

 

 

「平等にお前の拳が相手に制裁する、つまり誰にでも拳を当てられるというイメージか。」

 

 

俺はロドルフォのその考えに頷く。

 

 

「なるほどな。でも何処からでも相手に攻撃を当てられるって不意討ちとかにはいいんじゃね?」

 

 

いや、不意討ちに関して言ったらお前の方がヤバイだろ。お前の能力の範囲内に入ったら街とかですれ違い様に標的を爆発させられるだろ。

 

 

「ハハハッ!!確かにその通りだな。けど俺はそんなのは似合わないから絶対しないけどな。」

 

 

ロドルフォが高らかに笑った。

 

 

 

 

 

………さて俺は帰るとするか。時計を見ると、かなりここで過ごしてしまったようだな。俺も何か強くなるイメージが掴めた。感謝する。

 

 

 

「もう行くのか?ならこれをやるぜ。」

 

 

ロドルフォは俺にプラスチックの黒いカードのようなものを投げてきた。

 

 

何だこれは?

 

 

「オモ・ネロが所有している施設を利用出来ることを示すカードだ。これを使えばここの地下街を好きな時に利用が出来るぞ。」

 

 

何故俺に渡したんだ?

 

 

「お前はもう俺の上客だからだ。それに俺のメンバーも認めているようだしな。」

 

 

俺は周りを見ると、オモ・ネロのメンバーが親しそうに俺を見ていた。最初は俺を服から仲が悪いガラードワースの関係者かと勘違いして不愉快そうな顔をしていたが、ロドルフォと戦った後に俺がダイバーシティの人だと言うと、戦いに感動したせいもあるのか、俺に親しくしてきたのだ。

 

 

「また来いよ。俺はいつでも待ってるぜ。」

 

 

…………ああ。出来れば次は仕事の関係で会わない事を願いたい事だ。

 

 

「まったくだな。」

 

 

俺はロドルフォに皮肉を言いながら地下闘技場を後にした。

 

 

 

あいつなら俺に何かしらの刺激を与えてくれる人物だ。もし暇があればまた彼処に行こう。

 

 

 

後で気づいたのだが、俺はロドルフォから貰った黒いカードの裏を見ると、ロドルフォの電話番号が載っていた。

 

 

全く誰がマフィアのリーダーのアドレスを登録するんだ………。俺はそう思いながら彼のアドレスを誰にも見つからないように登録した。

 

 

 

 




ロドルフォの煌式武装ですが、まだ原作中の遠隔式煌式武装がまだないためオリジナルの煌式武装を持たせました。次回はシェインの話です。一体誰と絡むのでしょうか。楽しみにして頂くと嬉しいです。
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