シルヴィアside
『ネイトネフェル選手
『準決勝に駒を進めたのはオーフェリア選手!!』
選手用の控え室で私はオーフェリアさんと私と同じ学園のネイトネフェルの試合を見ていた。実況者の勝者を告げるアナウンスがここでも直接聞こえる。
「オーフェリアも無事に準決勝まで進むことができたようだな。」
私にそう話しかけるのはオーフェリアさんの前の試合で準決勝に進んだラン君だ。
今この控え室にいるのは準決勝に進むメンバーだけである。ただこの控え室にいるのは私とラン君しかいない。もう一人の人物は先にどこかに行ってしまって、ここにはいない。誰かはもう分かるだろう。
「私、オーフェリアさんの所に行くね。」
私は無事に準決勝に進んだオーフェリアさんの所に行こうと控え室を出ようとする。
「なら、俺も行こうか。」
ラン君も私と控え室を出ようとする。
「うん、分かった。」
こうして私とラン君は控え室を出て、試合を終えたばかりのオーフェリアさんの所に向かった。
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選手専用通路にて
「オーフェリアさん!」
「…………シルヴィ。」
私は控え室を出てオーフェリアさんを迎えに行こうとするとその途中の通路に彼女はいた。どうやら彼女は誰かと話していた様子だったが、その人物は私にとっても意外な人物だった。
「……………っ!!シルヴィア………」
オーフェリアさんと話していたのは先程の試合でオーフェリアさんと戦ったクインヴェール序列2位のネイトネフェルだった。たしか彼女は前回の王竜星武祭でオーフェリアさんに負けてから彼女に対してライバル意識を持っていたはず。そもそも私が知らないだけかもしれないが、他校の生徒と話すことすら珍しいことだった。
「やぁ、ネイトネフェル。さっきのオーフェリアさんとの試合凄かったよ。」
「ふん、お主に褒められても嬉しくないわ。」
私がネイトネフェルさんの先程の試合を素直に褒めようとすると、ネイトネフェルはそっぽを向いてしまう。私も彼女とは序列上位者同士たまに会うけど、やっぱり私にもライバル意識を持っているから嫌われているのかな。
「…さての、敗者は先に帰ることにしようかの。」
ネイトネフェルはそそくさと帰ろうとする。
「……ネイトネフェル。オーフェリアさんと何を話していたのかな?珍しいじゃない。」
私はネイトネフェルとすれ違う際に彼女に対して質問をしてみた。
「……些細な事よ。ただ彼女は前回の王竜星武祭に比べて雰囲気が変わったと思ったから話して見ただけよ。わらわも前は彼女がわらわの踊りを見ても何も感じないから不気味さと腹立たしさを感じていたが、今回は違っての。わらわの踊りに感じる所もあれば、しっかりと意志のこもった攻撃だったわ。彼女にも人間らしい一面もあるようじゃの。やはり
どうやらネイトネフェルは今回オーフェリアさんと戦って彼女に好感を抱いたらしい。どうやら次の王竜星武祭も出場するのかも彼女に聞いていたらしい
「もちろん、今回は戦えなかったが、お主とも次の王竜星武祭では戦うつもりだ。」
ネイトネフェルは私に宣言をする。
「その時は私も負けないからね。」
私はその宣言に返答をする。
「………そうそう。お主ら三人とも忠告をしておこう。お主らとも浅くない縁を持つ霧咲とやら、あいつはかなりやばいの。ペトラ理事長からも聞いていたが優しい所等どこにもないわ。まるで戦いでしか欲を満たせない怪物だな。もしわらわだったら………ライブの事もあるが、少なくとも彼との試合は棄権するだろう。」
ネイトネフェルは私達三人に忠告をする。彼女から見てもスバル君のヤバさは分かるらしい。
「………親切にありがとね。ネイトネフェル。」
私は彼女に静かにお礼をする。
「………お主らの戦いを楽しみにしておこうと言っておこう。シルヴィアも彼との関係はペトラ理事長から聞いているが、無理はするなよ。」
ネイトネフェルはそう言って私達に背を向けて帰ろうとする。
「……だそうだが、戦うよな。」
ラン君は先程の忠告を気にして私達に訊ねる。
「もちろん、スバル君のためならね。」
「…………当たり前じゃない。」
私とオーフェリアさんはそれに返事をする。
「だよな。ただ準決勝ではこの中の誰かとお互いに潰しあってしまうんだよな~。」
ラン君はその事に頭を悩ませる。私も考えていたが私達は仲間といってもこの中の誰かはスバル君と戦い、もう二人はお互いに無益な潰し合いをしてしまう。私達もその事に頭を悩ませていると……………
「皆さん、ここに居ましたか。」
星武祭のスタッフが私達を見つけると、息を切らして私達の方に向かって走ってきた。
「ど、どうしたんですか?」
私はスタッフの人に訊ねる。
「実は大会側から皆さんに………」
スタッフの人は私達に通達の紙を渡すと、私はそれを見た。そこには信じられない内容があった。
「おいおい、正気かよ。」
ラン君達も動揺が隠せないようだ。
「………でもこれが本当なら。」
オーフェリアさんの言う通りこれが本当なら私達は互いに潰し合わなくていいかもしれない。
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???side
『おい、これはどう言うことだ?』
無人の通路で待機をしていると怒声に近い不機嫌そうな赤い豚さんの声がグループ通話を通して響き渡る。
『おや、不機嫌だね。
通信機越しに《処刑刀》が対応する。
現在、私は彼らの命令に従って会場近くで待機をしていた。ウルスラは今回は不在で、赤い豚さんは一応会長なのでレヴォルフ側の応援席に居て、主犯の《処刑刀》は表側の仕事があって忙しいそうだ。
『ならばこの放送は何だ!!』
彼は今現在、会場内で流れる放送を指摘する。
『私が統合企業財体の皆さんに提案をして可決した結果だよ。彼らは利益にしか目がなくてね。』
『そうじゃない。てめぇがなぜこのような事をしたの聞いてるんだ!!目的を教えろ!!』
通信機で二人の会話が白熱する。
『それは効率を考えてかな。私達はスバル君に彼らを利用して覚醒をしてもらう。そして彼らがスバル君と戦い瀕死になればラン君が持つ最後の《十二宮シリーズ》も回収できるし、今後の障害になるであろう彼女らも一緒に消すことができる。一石三鳥じゃないか。』
『………この前のガラードワースの崩落といい、あいつはまだ覚醒してないのか?』
『まだまだだね。私達は世界を変えるんだよ。欧州の時位とかだったら意味がないだろ。』
『チッ。分かったよ、てめぇの目的はよく分かった。後は邪魔が入らなければいいがな。』
『その辺は《再編の魔女》がやってくれるから大丈夫だよ。それじゃ私は忙しいから。』
そう言って《処刑刀》は通信を切る。
『だそうだ。そっちは頼んだぞ。』
悪辣の王も通信を切った。
さてと、私も動きますか。ただ実際《リ・ページ》をしてもこんな事は起こらなかった。私も未来がどうなるかはもう分からない。
(これはチャンスよ。見逃す訳にはいかないわ)
私はそう思って未来への布石を計画するために大会会場を後にした。
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リーネside
「そうですか、これは私も急がないと」
私は星武祭のニュース画面を閉じる。
「丹波さん、ここからアスタリスクまで最速だとどのくらいで着くのですか?」
「恐らく、明日の夕方位ですかな。」
「ギリギリね。分かったわ、今すぐ私はアスタリスクに向かいます。飛行機を手配してください。」
「かしこまりました。」
丹波さんに命令をすると、私は再び星武祭のニュース速報の動画を視聴する。
「早く私も皆のために向かわないと。」
『ニュース速報です。本日星武祭のベスト4入りが決まりましたが、大会側からの可決の下、準決勝は無くなり明日の15時から4人によるバトルロワイヤル形式による決勝戦が行われます。繰り返し…………』
運命の分岐点は突如、星武祭前代未聞の出来事により早く迎えようとしていた。
急に決勝戦ですみません。決して手抜きではございません。というわけで物語も終盤です。
私も早くこの章を終わらせて日常編が書きたくてうずうずしています。それではまた次回会いましょう。感想お待ちしています。